昨年11月5日、ももちこと嗣永桃子がプレイングマネージャーをつとめるアイドルグループ、カントリー・ガールズに加入した新メンバー、船木結と梁川奈々美。二人とも新人離れしたパフォーマンス力で既にコンサートではその実力を見せつけているわけだが、先日配信されたネット番組『Girls Night Out』では二人きりで江ノ島をお散歩。そのロケの模様が配信されたのだが、梁川奈々美の落ち着いた安定感が面白すぎるとファンのあいだで話題になっているようだ。

【Girls Night Out#1】(4分37秒〜)
https://youtu.be/a2ZcLaWe5x8


梁川奈々美。2002年1月6日生まれの14歳。趣味は読書とパソコン、そして可愛いもの集めという紛うことなき女の子だ。しかし彼女がひと足お散歩ロケに繰り出せば、ベテラン女優なみの風格が漂う。「おバカ」とか「天然」というアイドルはこれまでにも数多くいるわけだが、「うますぎて逆に面白い」というアイドル未踏の地に足を踏み出している。

というわけで本日は、梁川奈々美の散歩ロケがいかにうまいか、そしていかに逆に面白いかを5つの点に分けて紹介しよう。

<その1 身振り手振りで視線を引きつける技術>

冒頭でロケの概要を二人で話す場面において、梁川奈々美の表情と動きに注目したい。彼女は大きくうなずき、表情を顔に浮かべ、手を動かして話している。本能的に思わずそちらに視線が向いてしまうのは当然で、この時点で既に私たちは梁川奈々美の手のひらの上で転がせていると言っても過言ではない。

「メルビアンの法則」によればコミュニケーションにおいては話の内容などの言語情報が7%、口調や話の速さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%を占めているとされている。まずはトークの内容はさることながら、聴覚や視覚に直接うったえるという梁川奈々美の手法は、確かに理にかなっているのだ。

<その2 あらゆる視聴者層を想定したバランス感覚>


おまんじゅう屋さんでの食レポである。ここで梁川奈々美は「私ね、こしあん派なの」と口にする。なるほど、そうか。上品な梁川奈々美さんらしい。だがもちろんおまんじゅう屋さんにはつぶあんも用意されており、食べることになる。どうする、梁川奈々美。駄目なレポーターであれば「やっぱりこしあんのほうが好きかな」と言いがちだ。気のきいたレポーターなら「このつぶあんだったらおいしい」的なことを言うだろう。だが梁川奈々美はその予想をさらに上回る。

「色んな食感が混じるのっておいしいよね」

自分がこしあん派だというのを嘘にはせず、つぶあんの魅力を別の角度から語るという、この抜群のバランス感覚。こしあん派はもちろん、つぶあん派も一切嫌な気持ちにならない、完璧な正解である。この若さにして百戦錬磨のレポーターにもひけを取らない、すさまじい一言だった。

<その3 沈黙の間を埋めるコメント力の高さ>


二人は丸焼きたこせんべい「あさひ本店」で、たこをまるまるプレス焼きした丸焼きたこせんべいを食べることに。パートナーである船木結がせんべいをかじる。だがせんべいはパリパリしているため、感想を述べるまで弱冠の時間がかかってしまう。ここで梁川奈々美先生の出番だ。

「でもさ、たこせんべいってさ、おせんべいがたこ味みたいなイメージあったじゃん。だけどさ、本当に、たこ自体をおせんべいにしてるっていうのが、新鮮」

この間の埋め方は何だ。生放送でもおそらく完璧に対応できるコメント力。『朝だ!生です旅サラダ』のラッシャー板前の仕事がいつ来てもたやすくこなしてしまうのは間違いない。ただ、土曜の朝に地方ロケというのはコンサートとかぶる可能性が高いため、『旅サラダ』を平日に移動する必要がある。朝日放送の編成担当の方には、一考を促したいところだ。

<その4 食べる音を聞かせる食レポ術>

「食堂いのうえ」というお店で昼食をとることになった二人。視聴者の期待、ハードルはこの時点で上がりきっている。梁川奈々美先生はどんな食レポをするのか。梁川奈々美先生はどんな言葉で料理を褒めるのか。食べたのは、アジフライである。一体どんなことを言うのか、ワクワクして待つ視聴者を、梁川奈々美は見事に裏切る。あえて、まずは、何も言わない。

伝えるべきは自分の言葉ではない。アジフライのおいしさである。それを理解している梁川奈々美は、食べてからいきなり喋り出すのではなく、サク、サク、というアジフライの音を聞かせるのだった。見事というほかない。梁川奈々美はアジフライとのチームプレイに成功している。アジフライも、梁川奈々美に食べられて良かった、と思っているに違いないだろう。

<その5 欲しい答えを引き出す取材力>


「食堂いのうえ」で昼食を食べ終わった二人は、店長にインタビューをする。そのときの梁川奈々美先生の質問が、尋常ではない。

「料理をする上で、調理方法とかじゃなく、気持ち的にこだわりとかって(ありますか)?」

ここで単純に「料理をする上でのこだわりはありますか?」と聞いた場合、調理方法などの専門的な答えが返ってきてしまう可能性がある。だがその答えは、一般的な視聴者にはなかなか伝わりづらい。「調理方法とかじゃなく」という一言を付け加えることによって回答を制限し、「素材のうまさを引き出す」という一般的な仕事論にも通じる答えを導き出している。

恐るべし、梁川奈々美。完璧以上に完璧なこの中学二年生から、目が離せない。

<結論>
1月31日に放送された『AS1422』でも、アンジュルムの勝田里奈と田村芽実が梁川奈々美のすごさに関して言及。どの先輩が一番優しいかという問いに「皆さん優しいです」と返し、一方でどの先輩が一番怖いのかという問いには「皆さん普段いつも優しいんですけど、怒るときは怒ってくれて。でもそれは、私のためだと思っているので」という満点超えの答えが返ってくるそうだ。あの田村芽実をして「大物だと思った」と言わしめる梁川奈々美、今後も要注目だと言えるだろう。

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