核軍縮部会に日本が参加で検討 昨年の棄権から一転
【ニューヨーク草野和彦】核兵器廃絶に向けた法規定を協議する国連総会の作業部会に、日本が参加する方向で検討していることが分かった。外務省幹部が明らかにした。核兵器禁止条約の策定を念頭に置いた初の作業部会で、米国の「核の傘」に守られる日本は昨年12月、設置に関する総会決議案の採決を棄権していた。唯一の被爆国として一転、核軍縮議論に参加する必要があると判断したとみられる。
作業部会は国連総会の補助機関としてジュネーブに設置され、2、5、8月に3回にわけて計15日間開かれる予定だ。決議によると、「核兵器のない世界の実現と維持」に必要な「具体的、効果的な法的措置や法規定、規範」について、「実質的に取り組む」ことが目的。総会に勧告と報告を行う。
会合に先立ち、28日に作業部会の運営方法や手続きに関する会議が開催される。日本はこの会議に参加したうえで、最終判断をするとみられる。米英仏などの核保有国は部会に参加しない見込み。
部会設置に関する決議案は、138カ国の賛成多数で採択された。核保有国の米英仏中露など12カ国が反対し、日本を含む34カ国が棄権。日本は「核軍縮には、核保有国と非核保有国の協力が必要という立場と照らし合わせた結果」と説明していた。
核軍縮を巡っては近年、人道的見地から核廃絶への法的枠組み強化を求める非核保有国の動きが大きな潮流になっている。作業部会設置に動いたのもこうした国々で、メキシコなどが中心となった。
一方で、核保有国と非核保有国の対立は先鋭化。双方の「橋渡し役」を目指してきた日本は、核軍縮の議論で主導権を握れない状態に陥っていた。
核軍縮に関する国連総会の作業部会は2013年にも「多国間核軍縮交渉の前進に向けた提案を作り出す」目的で設置され、日本は参加した。