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名古屋大学ねこサークル 「ねこ籍」作り50匹管理

構内の野良猫に餌をやる玉田勇人さん(右)ら=名古屋市千種区の名古屋大で
構内の野良猫に餌をやる玉田勇人さん(右)ら=名古屋市千種区の名古屋大で

 キャットフードが入った皿を地面に置くと、ものかげから猫が1匹。のそっと歩み寄って鼻を近づけたり、離れたり。「この子はあんまり食べないんですよ」。サークル代表の名古屋大法学部3年玉田勇人さん(21)が、頭をそっとなでた。

 大学構内に50匹ほどいる野良猫に名前を付け、「ねこ籍」で管理。50人ほどのメンバーで分担して餌をやるだけでなく、会費や寄付でほとんどの猫に不妊手術を受けさせた。2012年の発足以来、募集サイトなどを使って17匹を新しい飼い主のもとへ送り出した。野良猫を一代限りで世話する「地域猫活動」。人に捨てられた猫が子を産み、増えていく“負の連鎖”を断つ。そんな思いが根底にある。

 「小さいころから猫好き」という玉田さんらメンバーは、猫が餌を食べおわるまで待って皿を片付ける。置きっ放しではカラスが寄ってくるなど周りに迷惑がかかるから。猫嫌いの人にはそもそも、活動自体が理解されにくい難しさもある。

 誰でも入れる広い敷地の大学に野良猫が居つくことは少なくない。「先行組」の早稲田大や三重大、今年になってサークルができた岐阜大…。それぞれが活動内容をインターネットで発信し、その輪は全国の大学へ広がりつつある。

 「活動が地域にも広がれば」と玉田さん。野良猫の不妊手術を補助する自治体も各地で出てきているものの、国内ではまだ年間10万匹が殺処分される現状がある。「まずは、責任を持って続けることです」と、餌やり一つに気を使う。 (斎藤雄介)

 【メモ】野良猫の増加に伴って2012年に教職員が始めた取り組みを、学生たちが引き継いだ。「ねこ籍」の管理方法など他大学と情報交換を続け、昨年12月には大阪で大学内の野良猫について考えるシンポジウムが開かれた。問い合わせはメールmeidaineko@yahoo.co.jp=で。

(2015年8月10日 中日新聞朝刊市民総合版より)

[2015.08.10]

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