国債市場はやっぱり品不足
まず、国債を誰が保有しているのかを確認しておこう。最新の日銀の資金循環勘定(https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sj.htm/)をみると、グロス1040兆円の所有者がわかる。
銀行等256兆円、保険・年金234兆円、その他金融機関36兆円、一般政府・公的金融機関70兆円、中央銀行315兆円、海外102兆円、家計14兆円、その他13兆円である(下図)。
2016年度の新規国債発行額は34.4兆円であるが、先のコラムで述べたとおり、借換債を含めた長期国債発行額120兆円はほぼ日銀が買い尽くす(日銀の国債買いオペは新規80兆円、償還分40兆円なので、合計で120兆となる)。
もちろん、日銀の直接引き受けは、日銀乗換の8兆円であり、その他は民間金融機関からの買い入れである。国債入札する民間金融機関は、最終的には日銀が買い入れるという前提で入札するので、とりあえず入札シェアを確保しようとして、加熱入札になるだろう。
なにしろ、国債市場は「品不足」なので、こぞって入札に参加するからだ。このため、長期金利も低位のまま推移する公算が高い。
量的緩和を行っているので、予想インフレ率は大きく崩れない。その中で、名目長期金利も低位なので、実質金利(=名目金利ー予想インフレ率)は低く、マイナスのままであろう。これは、設備投資を押し上げるはずだ。
金融機関のポートフォリオを見ても、設備投資環境にはもってこいだ。資金循環勘定は金融機関のバランスシートの情報もあるので、今度はそれを見てみよう。
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