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原子力規制委、九電の変更申請却下

玄海原発計画にも影響か

2016年01月27日 11時44分

免震重要棟新設を撤回した九電に対して「取り下げ」を指示した原子力規制委員会の審査会合=東京・六本木の原子力規制委員会
免震重要棟新設を撤回した九電に対して「取り下げ」を指示した原子力規制委員会の審査会合=東京・六本木の原子力規制委員会

 原子力規制委員会は26日、九州電力が川内原発(鹿児島県)の免震重要棟新設を撤回した計画変更を審査し、九電が説明した早期の安全性向上に関し「変更申請の根拠を欠く。一度取り下げて出し直しを」と指示した。九電は再検討に応じる考えを示した。今後、玄海原発(東松浦郡玄海町)の計画見直しへも影響を与えそうだ。

 九電は川内1、2号機が再稼働した後の昨年12月、事故時の対応拠点として当初2016年3月末までに免震棟を新設するとしていた計画を撤回した。変更した計画では、暫定で設けた小規模な代替緊急時対策所を継続して使い、隣に耐震支援棟を造るとしていた。

 この日の審査会合では、規制委側から「安全性が向上しているようには見えない」「早期に運用を開始できると言うが、どれだけ早められるのかも示していない」などと計画を疑問視する意見が相次いだ。

 さらに、「免震棟を前提にして審査してきたことが、今回の撤回により無駄になる」と指摘、再稼働後に申請内容を変えた手順を厳しく批判した。

 最終的に、更田豊志委員長代理が「そもそも変更の動機を説明できていない。指摘を重く受け止め、あらためて申請してもらいたい」として、変更申請を取り下げるように求めた。

 審査後、取材に応じた九電の中村明常務執行役員は「安全性向上の意味で計画を作ったが、出し方に問題があったのかと思う。指摘を真摯(しんし)に受け止めて、持ち帰って検討したい」と述べた。玄海原発でも免震棟建設を「白紙」として再検討しているが、今後の影響については「まだ検討している最中でもあり、どうこう言えない」と明言を避けた。

 規制委の対応について、免震棟計画撤回を九電に抗議した反原発の市民団体「玄海原発プルサーマルと全基を止める裁判の会」の石丸初美会長は「この問題は規制委の本気度が問われている。(計画変更の)申請を突き返すぐらいなら、稼働自体を止めろと命じるのが筋。都合が悪いことは、適合性審査で合格した後に修正すればいいという悪例をつくっては絶対にいけない」と批判した。