社説 京都新聞トップへ

原発協定  「立地並み」へ法制化を

 滋賀県と関西電力が高浜原発に関する「安全協定」を結んだ。しかし、再稼働の事前同意など、原発の立地自治体並みの権限は盛り込まれなかった。
 東京電力福島第1原発事故で放射性物質が遠くまで拡散した現実を踏まえて、多くの周辺自治体が立地自治体と同様の協定を求めている。当然の要求だが、壁は厚く、いずれも拒まれている。
 住民の安全という重い公益が懸かっているのに、電力企業との協議では限界がある。ここは国会の出番、法制化をめざすべきだ。
 県が結んだ協定は「通報連絡」が主な項目。新燃料などの県内通過の事前連絡、異常時の連絡などだが、関電に限らず原発施設でトラブル、事故の通報遅れや情報隠しが過去にあったことを忘れるわけにはいかない。物足りない協定とはいえ、順守はもちろん、不断の情報公開を求めたい。
 県はすでに美浜、大飯など5原発について協定を結んだが、いずれも立地自治体と差をつけられている。昨年2月に京都府と関電が結んだ高浜原発の協定でも、立地並みの再稼働の事前同意は含まれず、事前説明にとどまった。
 本紙はこのほど、高浜原発30キロ圏にある京都、滋賀、福井の3府県15自治体首長にアンケートした。再稼働同意の範囲について、福井の5首長が「立地県内に限る」としたのに対し、京滋の大半は府県を越えて広げるべきと立地限定に疑問を呈した。
 立地と周辺の距離は大きいように見えるが、福島事故後は避難のあり方など共通の難題を抱えている方に目をむけるべきだ。
 実は立地と周辺の自治体が同じ立場で加わった協定がないわけではない。福島事故前だが、浜岡原発について中部電力と静岡県、立地自治体の御前崎市、さらに隣接の牧之原市、掛川市などが協定を結んでいる。
 この協定に再稼働の事前同意の項目はないが、周辺環境の安全確保に特別な措置を要求できるため、自治体の意向を無視して再稼働は難しいと言われている。
 福島事故を受けて、避難計画の策定が30キロ圏内の自治体に広げて義務付けられた。原発協定についても法制化し、再稼働のプロセスを明確化すべきではないか。同意かどうか、どこまでの地域で求めるのか。30キロ圏外を含めて検討していい。住民参加は欠かせない。
 原発に近い京滋の自治体から理解の輪を広げ、しがらみのない超党派による国会論議を求めたい。

[京都新聞 2016年01月27日掲載]

バックナンバー