27日に追悼の慰霊碑に供花へ フィリピン訪問
【マニラ高島博之】天皇、皇后両陛下は26日、日本とフィリピンの国交正常化60周年を節目とする友好親善のためフィリピンを公式訪問された。同日午前、政府専用機で羽田空港を出発した両陛下は午後、首都マニラの「ニノイ・アキノ国際空港」に到着した。27日は太平洋戦争などで犠牲となったフィリピン人を追悼する慰霊碑に供花する。大統領主催の晩さん会も開かれ、陛下がおことばを述べる。
両陛下はマニラの空港でアキノ大統領の出迎えを受けた。宿泊先のホテルでは、国際協力機構(JICA)がフィリピンに派遣している青年海外協力隊員ら46人と懇談した。協力隊のフィリピンでの活動は1966年に始まり、これまで約1600人が派遣されている。懇談は25分間の予定だったが、両陛下は約1時間、隊員と言葉を交わした。
出発に先立ち、天皇陛下は羽田空港の貴賓室で「フィリピンでは、先の戦争において、フィリピン人、米国人、日本人の多くの命が失われました。中でもマニラの市街戦においては、膨大な数に及ぶ無辜(むこ)のフィリピン市民が犠牲になりました。私どもはこのことを常に心に置き、この度の訪問を果たしていきたいと思っています」とおことばを述べた。
マニラ市街戦 太平洋戦争中の1945年2月、日本軍の占領からの奪還を狙う米軍が、マニラに突入し、市民を巻き込んだ戦闘が市街地で展開された。約1カ月で10万人の市民が犠牲になったとされる。