規制委が「免震撤回」批判 「安全向上せず」
九州電力は26日、原子力規制委員会の安全審査の会合で、川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)が事故を起こした際の前線基地「緊急時対策所」について、免震構造での建設を断念し、耐震構造に変更する計画を規制委に初めて説明した。これに対し、規制委は「安全性が向上しているとは見えない」などと批判し、計画の見直しを求めた。
九電は当初、緊急時対策所として敷地内に免震重要棟(延べ約620平方メートル)を完成させる計画だったが、再稼働後の昨年12月、免震構造での建設を取りやめると発表した。
免震構造は、建物と土地の間に緩衝装置を設置して揺れを減らす仕組み。新規制基準では免震か、耐震かは決まっておらず、事業者の判断に委ねられている。
26日の会合で、九電側は「免震構造は自社の原子力施設として、許認可を経た実績がない」「実績が豊富な耐震構造は安全性向上につながる」などと説明し、耐震構造への変更について理解を求めた。一方、規制委の更田(ふけた)豊志委員長代理は「安全性が向上するという最も重要な根拠を欠いている」と批判した。【酒造唯】