フィリピンに出発「無辜の犠牲、心に」
天皇、皇后両陛下は26日午前、羽田空港から政府専用機でフィリピンへ出発された。日本とフィリピンは今年、国交正常化60周年を迎え、友好親善を目的に国賓として招かれた。天皇陛下はアキノ大統領主催の晩さん会であいさつする。また、フィリピンには太平洋戦争の激戦地があり、陛下の希望で、日本とフィリピンの戦没者の慰霊碑をそれぞれ訪問する。30日に帰国する。
両陛下は1962年の皇太子ご夫妻時代にフィリピンを訪れており、54年ぶりで2回目の訪問となる。天皇としてフィリピンを訪れるのは歴代初めて。
午前10時40分ごろから、空港の貴賓室であった出発行事は、皇太子さまや秋篠宮さま、安倍晋三首相らが参加し、天皇陛下は「フィリピンでは、先の戦争において、フィリピン人、米国人、日本人の多くの命が失われました。中でもマニラの市街戦においては、膨大な数に及ぶ無辜(むこ)のフィリピン市民が犠牲になりました。私どもはこのことを常に心に置き、この度の訪問を果たしていきたいと思っています」と訪問への思いを述べられた。
両陛下は27日、太平洋戦争などで亡くなったフィリピン人戦没者の慰霊碑「無名戦士の墓」で拝礼する。29日には、マニラから約70キロ離れたラグナ州カリラヤに日本政府が建てた「比島戦没者の碑」を海上保安庁のヘリコプターを使って訪れ、供花する。両陛下が海外で日本人戦没者の慰霊碑を訪れるのは、米自治領サイパン島(2005年)、パラオ(15年)に続いて3回目。
アキノ大統領との会見や晩さん会は、27日に予定されている。【山田奈緒、高島博之】
両陛下のフィリピン訪問の主な日程
<26日>
・マニラに到着
・青年海外協力隊員と面会
<27日>
・歓迎式典が行われ、アキノ大統領と会見
・独立運動の英雄ホセ・リサールの記念碑に供花
・「無名戦士の墓」に供花
・大統領主催の晩さん会
<28日>
・日本に留学・研修経験のあるフィリピン人と面会
・フィリピンに在留する邦人や日系人と面会
・看護師・介護福祉士として日本で働くことを目指すフィリピン人が学ぶ語学研修センターを視察
・駐フィリピン日本大使主催のレセプション
<29日>
・比島戦没者の碑に供花
<30日>
・帰国