- 2016年 1月 10日
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交流の広場
- ウイング論文盗用
<ウイング>
金戸幸子(かねと さちこ、47歳、藤女子大学文学部准教授、2015年10月22日当時)氏が藤女子大学の「文学部紀要」に発表した2報の研究論文で盗用し、諭旨解雇となった事が藤女子大学から2015年10月22日公表され、新聞やテレビで報道された[1][2][3][4][5]。藤女子大学は北海道の名門女子大学だが、このような事件が起きて残念だ。論文盗用というと小保方晴子氏が早稲田大学に提出した博士論文のコピペ盗用が大きな事件で、「コピペ」という言葉が流行り、社会現象という程極めて大きく報じられた。小保方晴子氏は昨年博士号を取り消された。早稲田大学では小保方晴子氏の他にも大量の盗用博士論文が発覚した。
これほど大量の博士論文の盗用が発覚したのは、コピペや盗用に関する倫理教育が全く行われていなかったため、盗用が常態的に行われていた事を示す。論文盗用は著作権侵害であり、著作権を侵害した者は著作権侵害罪として、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると著作権法第119条1項で定められている立派な犯罪である。
この事件を受けて、東大は2014年の入学式で新入生に対してコピペしないよう注意した。さらに、提出されたレポートの文章約75%がインターネットからの盗用だった事件に対して、東大教養学部が盗用した後期課程の学生の2014年度冬学期の全科目の単位を無効とした[6]。このように各大学は危機感を持ち、二度とこのような事件が起きないように再発防止に取り組んでいる。
しかし、[1]によると金戸幸子氏の盗用が認定された論文[7]は2015年2月発表で、これらの事件の後だ。「コピペ」という言葉が流行になる社会現象を見せる程、極めて大きく論文盗用の問題が騒がれ、各大学が注意を呼び掛け、学生だって気を付けていたのに、盗用当時40代後半で、准教授というシニア教員の金戸幸子氏が諭旨解雇になるような犯罪で悪質な論文盗用を行ったのだから、愕然とする。よほど緊張感がないのか、金戸幸子氏にとって小保方晴子氏らの論文盗用は所詮対岸の火事に過ぎなかったのか。
金戸幸子氏が盗用当時40代後半で、准教授というシニア教員だった事を考えると、金戸幸子氏の余りの倫理意識の欠如がこの事件を発生させた主要因だと思うが、藤女子大学の指導も悪かったのではないだろうか。
日本の学術界はSTAP細胞事件の発生等で世界からの信用を落としている。信用回復には再発防止が不可欠だ。にも関わらず、世間で社会現象になるほど大きく騒がれた盗用事件後それほど経たずに、40代後半の准教授というシニア教員が諭旨解雇になるような犯罪で悪質な論文盗用を行っているようでは信用の回復は難しい。
各研究機関は対岸の火事と思わず再発防止や研究倫理の向上に努めてほしい。