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 厚生労働省は29日、2016年度の年金額は今年度と同じになると発表した。年金額は物価と賃金の動向に応じて年度ごとに見直すが、今回は物価が上がり、賃金が下がったためルールにより据え置く。15年度に初めて実施した年金額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」も発動しない。6月支給分から反映される。

 16年度の月額は、国民年金を満額もらう人で6万5008円。厚生年金はモデル世帯の夫婦2人分で22万1504円になる。モデル世帯は、夫が平均的な収入(賞与を含む月額換算で42万8千円)で40年間働き、その間、妻が専業主婦だったと想定。支給額の端数処理方法を変えたため、15年度より数円(モデル世帯で3円減)変わる人もいるという。

 昨年の消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)は前年より0・8%上がったが、これをもとに計算した賃金はマイナス0・2%。物価が上がれば同じ年金額で買える物やサービスが減るが、賃金が下がった時に年金額を増やすと年金財政の収支バランスが悪くなることから据え置く。