快調な船出となったNHK大河『真田丸』で、異色の脇役に注目が集まっている。
放送記者が話す。
「2週目で3年前の『八重の桜』以来となる20%超えの視聴率を出しましたが、1話と2話で出番が終わったにもかかわらず、武田勝頼役を演じた平岳大(ひらたけひろ)の人気が急上昇中です。『上手い』『かっこいい』と視聴者から絶賛の声が寄せられています。朝ドラ『あさが来た』で人気になったディーン・フジオカと似たような現象で、“どんな役者? ”という関心も増しています」
平は41歳の独身。父は演劇界の重鎮・平幹二朗(82)で、母は東映の元看板女優・佐久間良子(76)という二世俳優だ。しかし、親の七光りを嫌ってここまでやってきた。
「二卵性双子の兄として生まれましたが、10歳の時に両親が離婚。母親に引き取られた岳大は色メガネで見られるのを嫌い、両親の呪縛から逃れるように高校入学後渡米します。理系の大学からコロンビア大大学院まで進学(中退)し、IT関連会社などで働いていましたが“向いていない”と、27歳の時に自分の意志で役者に転向した。デビュー作の舞台『鹿鳴館』は離婚した父と母が主演で、別々だった親子3人の共演で話題に。息子が役者になることに反対だった佐久間を幹二朗が説得して実現したそうです」(演劇関係者)
183cmの長身に鍛えられたマッチョ系の体型。幅広く役をこなす中堅俳優だが、これまではさほど注目されることはなかった。
「昨年、話題になった『下町ロケット』(TBS系)にも出演していますが、今回は勝頼役がハマった感がある。大きめの顔でヅラが似合い、父親に似て目力があるので武将役としての迫力があった。1話で登場した途端、まるで主演のような存在感でした。2話では亡霊として現れた父・信玄に涙ながらに土下座して詫び、“これも天命”と切腹するシーンは真に迫っていた。大きな反響を呼び、“感動をありがとう”というツイッターが続出した。平も嬉しさのあまり“再登板あるかも”と、ツイッターでジョークを返したほどです。実際、これだけ人気が出て、型破りな三谷(幸喜)作ですから、何かの“秘策”で再登場もあるかもしれません」(テレビ誌記者)
“平丸”の快進撃も始まった。
<週刊文春2016年2月4日号『THIS WEEK 芸能』より>
「週刊文春」編集部