2013年12月の安倍晋三首相の靖国神社参拝が憲法が定める政教分離原則に反するなどとして、戦没者遺族ら765人が安倍首相と国、靖国神社に、首相としての参拝差し止めや損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、大阪地裁であった。佐藤哲治裁判長は憲法判断をせず、原告側の請求を棄却した。参拝の性格が公的か私的かの判断も示さなかった。
安倍首相の靖国神社参拝を巡る訴訟の判決は初めて。原告側は控訴する方針。
判決は、安倍首相の参拝について「一般人が神社を参拝するのに比べ、原告らの内心の自由などに大きな影響を及ぼすことは認められる」としつつも、「個人の信仰を妨げるような圧迫、干渉を加えるようなものではなく、直ちに損害賠償を求めることはできない」と指摘した。
歴代首相の靖国参拝を巡る同様の訴訟では憲法判断をしない流れが定着。小泉純一郎元首相の参拝を巡る訴訟でも06年の最高裁判決は憲法判断せず、原告側の上告を棄却している。
安倍首相は13年12月26日に靖国神社を参拝。公用車を使用し、「内閣総理大臣 安倍晋三」名で献花した。原告側は「職務行為としての参拝は明らか」として憲法20条の政教分離原則に違反すると指摘した。一方、首相側は「参拝は私人の立場で行ったもの」と反論。「具体的権利や法的利益の侵害があったとは言えない」と主張した。
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