寒い冬のまっただ中。暖かい春が待ち遠しいが、花粉症の人にはつらい季節だ。ドラッグストアの店頭にはアレルギー対策の薬や様々なサプリが並ぶ。なかでもこれからの季節に注目したいのはなじみの食品を原料として登場してきたサプリだ。薬事法の関係もあり商品パッケージでははっきりと効果をうたっていないが、アレルギー症状に苦しむ人の強い味方になりそうだ。
管理栄養士によるマーケティング支援「食プロリサーチ」によると、日本人のアレルギー患者数は増加傾向にあり、中でもアレルギー性鼻炎患者の増加率は高く、有病率が1998年(29.8%)から2008年(39.4%)の10年間で約10%増加している。アレルギー対策関連食品の市場規模も拡大中。17年には550億円規模になるといわれている。
■愛媛大、青ポンカンを粉末にして配合
サプリや機能性化粧品を開発するファイン(大阪市)が15年秋に発売したのは栄養機能食品「N+(プラス)アレルクレンズ」。愛媛大学など産学官共同開発の成果によって生まれたサプリメントだ。価格は2980円(税別)。愛媛県産の青ポンカンを丸ごと粉末にして配合している。パッケージに「快適生活サポート」とうたう。やはり、花粉症対策を前面に打ち出してはいない。
愛媛大学農学部付属食品健康科学研究センター長の菅原卓也教授らが地元企業とともに研究。かんきつ類の皮に含まれるポリフェノールの一種「ノビレチン」と、牛乳の「β-ラクトグロブリン」という双方の有用成分を組み合わせてアレルギー症状を緩和する効果はないかを調べてきた。そしてアレルギー症状、特に花粉症の症状に対する緩和効果に関するヒト臨床研究を行い、スギ花粉症による結膜炎症状が緩和されることが明らかになった。
■ヨーグルト味で水なしでも摂取しやすく
ファインはこの研究成果を活用し錠剤タイプのサプリメントを作った。広報IT事業部の担当者は「有用成分の科学的根拠を背景にしている」と話す。花粉症の薬を含む、これまでのアレルギー対策商品は「眠くなる、口の中が乾く、味がおいしくない、摂取しにくい」などの欠点があった。ヨーグルト味で水なしでも摂取しやすくし、3歳以上の子供から高齢者まで幅広く、手軽に利用できるようにした。発売以降、販売は月間2000個のペース。「花粉症のシーズンに入ることもあり、1万個を目標にしている」という。
この分野の先駆けは、ア・ファーマ近大(大阪市)が、近畿大学薬学部の研究成果を商品化し04年11月に発売した「ブルーヘスペロンキンダイ」(3703円、税込み)だ。日々の健康と美容が気になる人におすすめとうたう。近大がこれまで積み上げてきた研究の知的財産をもとに開発された。
■先駆けの近畿大、青ミカンを独自の手法で加工
薬学部薬用資源学研究室は日本人になじみの深い温州みかんを長年にわたって研究し、青い時期の早摘みミカンに新しいパワーを見つけた。和歌山県有田郡の農家と「近大青ミカン組合」を設立。そこで管理栽培された青ミカンのみを使っている。青ミカンの有用成分ヘスペリジン・ナリルチンの含有量が最も高い時期に収穫し、青ミカンまるごとを独自の手法によって加工している。
購入者から同社に届くアンケートはがきには「鼻水が改善した」などの声が寄せられているという。ネット通販に書き込まれている消費者の声も「飲み続けた結果、マスクは全然いらなくなった」「くしゃみや鼻づまりがなくなった」といったものが多い。「売り上げも順調に伸びている」(同社)という。
■「アレルギー患者の増加、現代の食生活が原因」
食物アレルギー対策には小麦粉を含まない「グルテンフリー」といったアレルゲンフリー食品が人気だ。一方で、アレルギー性鼻炎などの吸入性アレルギー対策には治療薬による対症療法が主流。こうした現状について「食プロリサーチ」を運営するインサイツ(東京・中央)の石川陽介社長は「もともとアレルギー患者の増加は現代の食生活が原因といわれている。食品が原料の商品によるアレルギー緩和策が浸透することにより、食品が本来持つ機能性に対する理解が進み、現代の食生活の見直しにつながることに期待したい」と話している。
(村野孝直)
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