北川慧一
2016年1月29日08時20分
厚生労働省は28日、派遣や契約社員など非正規労働者の「正社員転換・待遇改善プラン」を発表した。企業への助成金を拡充したり新設したりして、「正社員の仕事が無い」ためやむなく非正規で働く人の割合を、2016年度以降の5年間で約半分にすることをめざす。
国が非正規の正社員化や待遇改善を目指す包括的な計画を出すのは初めてだ。
厚労省によると、非正規全体のうち、やむなく非正規で働く人の割合は14年で18・1%。正社員化を進め、20年に10%以下に引き下げることが目標という。成長分野向けの公的な職業訓練を増やすといった施策のほか、大学や高校の中退・既卒者を正社員として採用した企業に出す助成金を新設するなど、「特に若者の支援に力を入れた」(厚労省)という。既存の制度も含め、16年度以降に順次対策を強化していく。
ただ、非正規全体の約2割を占め、過去10年で3割以上増えた中年層(35~44歳)への支援は乏しい。この層は、短期で職場を転々とするなど、技能や経験を積めないまま年を重ね、中年になっても不安定な職から抜け出せないでいる。
正社員との賃金格差も大きい。14年の厚労省調査では正社員の月額は31万7千円だが、非正規は20万円。非正規の場合は定期昇給などもなく、50代だけをみると約2倍の差になる。厚労省のプランは「賃金格差を縮める」との目標は立てたが、数値目標には踏み込まなかった。安倍政権が掲げる「同一労働同一賃金」を進めるためのチームを省内につくるなどして非正規の待遇改善をめざすという。(北川慧一)
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