今夕、再稼働へ…3号機、初のプルサーマル
関西電力は29日午前、福井県高浜町の高浜原発3号機(出力87万キロワット)で核分裂を抑えている制御棒の駆動検査を始めた。検査が順調に進めば午後5時ごろ、原子炉を起動し、3年11カ月ぶりに稼働させる予定だ。原子力規制委員会の新規制基準に合格した原発としては、鹿児島県の九州電力川内(せんだい)原発1、2号機に次いで3基目で、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使う初の「プルサーマル発電」となる。
関電は今後、2月1日に発送電を開始し、同月下旬に営業運転に入る予定。
東京電力福島第1原発事故の反省を踏まえ、規制委は原子力災害対策指針を改定し、避難計画の対象範囲を原発から半径30キロ圏に拡大した。高浜の30キロ圏には京都府や滋賀県も含まれる。計画は昨年12月に了承されたが、広域避難訓練は実施されておらず、今後の課題となりそうだ。
MOX燃料は、原発から出た使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムと、ウランを混ぜて作る。国は核燃料をリサイクルする「核燃料サイクル政策」を掲げ、発電しながらプルトニウム燃料を増やす「高速増殖炉」を中心に開発を進めてきた。ところが原型炉の「もんじゅ」(福井県敦賀市)がナトリウム漏れ火災事故(1995年)などで運転実績がほぼないままで、プルサーマルをプルトニウム利用の本命に据えた。
高浜原発3、4号機は2015年2月、新規制基準に合格。しかし同年4月、福井地裁が運転差し止めの仮処分決定を出した。再稼働できない状態が続くなか、同年12月、福井県の西川一誠知事が再稼働同意を表明。2日後に福井地裁が仮処分を取り消し、再稼働が可能になった。
関電は高浜4号機(出力87万キロワット)についても、31日以降に核燃料を装着し、2月下旬に再稼働させる方針だ。【畠山哲郎】