中部電力の浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)ではいま、福島第1原発事故を参考に、高さ(遡上高)15メートルの大津波を想定した浸水対策工事が巨費を投じて進行中だ。一方、内閣府の有識者検討会(南海トラフの巨大地震モデル検討会)が3月末、御前崎市付近で最大21メートルの津波の可能性を指摘したため、対策が十分かどうか議論を呼ぶ。中部電力は防波壁だけに頼るのでなく多重的な浸水対策を講じつつあるが、周辺住民らを納得させることができるだろうか。対策工事の様子などを取材した。
浜岡原発5号機の建屋の上階から見下ろすと、原発敷地内は「一戦を控えた城塞」を連想させる。海に面した南側では総延長1.5キロメートルに及ぶ防波壁の建設が進み、その手前の敷地内では地下を深く掘り下げて新たな貯水槽をつくっている。北側の小高い山は頂上付近が整地され広大な資材置き場ができつつある。いたる所に足場が組まれ、作業員や工事車両が行き交う。その中に混じって背広姿にヘルメットをかぶった見学者の姿も目につく。
約1400億円を投じる大工事は「世界でいちばん安全な原発にする」(水野明久中部電力社長)ためだという。昨年5月、菅直人前首相の「要請」で稼働中だった4、5号機の運転を停止した。発生がほとんど確実視される東海地震の震源域の真上に原発が位置していることが理由とされた。
そのときから定期検査中で動いていなかった3号機も含め、浜岡の3つの原子炉は運転再開への道程がはっきりしない。停止の経緯から、再開の手続きも他の電力会社の原発とは異なるステップを踏む。ストレステスト(耐性調査)1次評価を経るのではなく、2次の総合評価にいきなり進むこともありうる。2次評価を実施した原発はまだなく、新設の原子力規制庁が評価をチェックすることになる。そんな先行き不透明ななかで大工事にまい進する様子には、再開にかける中部電力の意地のようなものさえ感じられる。
最も目をひく浸水対策である防波壁は、鉄筋で補強された鋼板製の巨大な箱構造だ。地上に現れた壁の高さは10~12メートル、壁の厚さは2メートル。地下10~30メートルまで深く基礎構造が入っており、鉄筋コンクリートで地上部と基礎が一体化される。
浜岡原子力発電所、中部電力
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