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 北アルプス鹿島槍ケ岳(2889メートル)にあるカクネ里雪渓(長野県大町市)が氷河かどうかを調べていた学術調査団が28日、「氷体(大きな氷の塊)の動きが確認された。氷河の可能性が限りなく高い」とする調査結果を発表した。学会で認められれば、2012年に日本で初めて氷河と確認された富山県の北アルプス立山連峰の3カ所に続き、国内4カ所目の氷河となる。

 氷河は「重力で長期間連続して流動する雪氷体」と定義される。標高2200~1800メートルにあるカクネ里雪渓には最大で長さ700メートル、幅400メートル、厚さ40メートルの氷体があるとされる。

 信州大や市立大町山岳博物館などでつくる調査団は昨年9月24日、雪渓の氷体5カ所に観測用ポールを設置。全地球測位システム(GPS)で同日と10月18日に位置を測量した。中流部で15~17センチ、上流部と下流部で12~13センチの流動を観測。年間の流動速度は2・5メートル前後と推定している。

 団長の小坂共栄・信州大山岳科学研究所特任教授は「予想以上の流動が確認された。1年を通じて流動する氷河である可能性は限りなく高い」としたうえで、「いつの雪が氷河になったのかなど引き続き調べていきたい。気象や環境の過去の変化、将来の予測につながるデータなども得られるかもしれない」と語った。