プレートの「スロースリップ」に周期性
東日本大震災の震源域を含む北海道から関東の太平洋沖では、プレート(岩板)や断層が揺れを伴わないで動く「スロースリップ」に周期性があることが、東北大大学院理学研究科の内田直希助教(地震学)の研究グループによる分析で初めて分かった。28日に発表した。
グループは1984年以降に東北大や東大が計測、蓄積した地震と地殻変動のデータを分析。スロースリップの活性期と停滞期が周期的に繰り返されていることを突き止めた。
スロースリップの活性期には、停滞期に比べてマグニチュード(M)5以上の大きな地震が6.2倍の頻度で発生していることも分かった。
周期は計測域によって1〜6年の開きがある。岩手北部沖は東西130キロ、南北70キロの範囲の周期が3年。青森や福島の沖では比較的周期が長く、岩手や茨城の沖では短い。宮城は沿岸部で周期が短く、沖合では長いという。
東日本大震災(M9.0)では、1年前から震源の北約130キロの岩手北部沖がスロースリップの活性期に入っていた。1994年の三陸はるか沖地震(M7.6)、2003年の十勝沖地震(M8.0)も活性期に発生している。
内田助教は「スロースリップの活性期に必ず大地震が発生するわけではないが、可能性は高まる。周期性に着目すれば、大地震予測の精密化が期待できる」と話した。
東日本大震災では発生前までの約9年間、震源の西側でスロースリップが続いていたことを東大が確認している。
2016年01月29日金曜日