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[FT]オバマケアの議論避ける大統領選候補者

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2016/1/28 15:35
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 ドナルド・トランプ氏からテッド・クルーズ上院議員、マルコ・ルビオ上院議員に至るまで、米国大統領選の共和党の候補者たちは、オバマ大統領を特徴づける医療保険制度改革を打ち砕きたいという点では一致している。しかし、もしその判断の一部が正しいとしても、打ち砕こうとする必要はないかもしれない。というのも、オバマ氏の遺産である制度の核心部分は、自ら解体の危機にあるからだ。

「オバマケア」といわれる米医療保険制度への申請書=ロイター
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「オバマケア」といわれる米医療保険制度への申請書=ロイター

 新たなオバマケアと呼ばれる保険システムの核は、政府が支援するネット上の保険加入サイト、もしくは「エクスチェンジ(取引所)」と呼ばれるもので、大概初めて加入を希望する顧客が低コストの民間保険を選んで入れるようにするために設定された。しかし、今その取引所が実際に機能するのか疑問がわき上がっている。

 オバマ氏は、これまで保険の対象から漏れていた米国人1700万人に保険を担保するという任務の熱心な推進者だった。同氏にとって幸運なのは、2013年の「医療保険マーケットプレイス」開設に際して、「Healthcare.gov」という連邦政府が運営する取引サイトがそのマーケットプレイスを悲惨な機能不全に陥れたという失敗の記憶が薄れてきていることだ。

 しかし、医療保険業者や元政策立案者らによると、医療保険制度改革法は保険市場そのものに由来する、より根本的な一連の新たな問題に直面している。ビル・クリントン元大統領時代にシニアエコノミストを務め、現在は財界系シンクタンク、経済開発委員会に所属するジョセフ・ミナリック氏は、「性急に作られた制度で、失敗の兆候が見えてきた」と語る。

■多すぎる病人、手ごろなプランの欠如

 解決されるべきは、健康な顧客と自らの事業を成り立たせたいと主張する者の間のバランスで、保険会社はそれを必要としている。オバマケアの取引所サイトを初めて訪れる人には、保険会社が殺到し、保険会社間の市場競争で顧客の保険料が押し下げられるはずだった。

 しかし、現在の懸念は、病人が多すぎるということと、支払える手ごろな医療プランがほとんどないということの組み合わせが原因で、オバマケアが潜在的に持続不可能になるのではないかということだ。

 米国最大の民間医療保険会社、ユナイテッドヘルスは15年、政府が支援する取引所で7億2000万ドルを失った。そして、同社はオバマケアから完全に撤退することを検討している。ほかの保険会社は、顧客が想定よりも健康ではないという不満を漏らし、保険料を引き上げた。そして、競争が増えるとの期待に打撃たっだのは、保険制度改革法によって育まれた新規の保険ベンチャー23社のうち、11社が失敗に終わったことだ。

 アイオワ州の保険検査官、ニック・ガーハート氏は14年のクリスマスイブに、自転車操業に陥っていたベンチャーの営業を停止した初の人物だ。同氏は「医療保険プランで保険料が値上がりしたのは、保険加入していなかった人々の需要が一気に殺到したせいなのか、それとも単に民間保険会社だけしかないことが原因なのか。そこが本当の問題だ」という。

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