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JS.next

JavaScriptの最新実装情報を追うブログ

末尾呼出し最適化が実装された

★☆☆ ES2015 新仕様実装 V8

概要

ある関数Aから別の関数Bを呼び出すとき、処理系は後で戻って来れるように一旦Aの状態を保存し、関数Bの処理に入る。
これが問題になるのは再帰の時で、数万回程度の再帰でスタックが一杯になり、エラーとなってしまう。
しかし、もし関数B呼び出しの際に、関数Aに戻ってきて処理を続ける必要のない形で呼びだされていれば、
状態の保存を省略して関数Bに移行する最適化が可能であり、ES2015でその詳細が定義されることとなった。


具体的には、strictモードの関数で、「 return fn() 」という形での呼び出しについて最適化が有効になる。


最適化が効く例:

function fn( i ) {
  'use strict'
  if ( i <= 0 ) {
    return 'done!'
  }
  return fn( i - 1 )  
    // この関数がする処理はこれ以上ない
}

fn( 1e6 )  // "done!" 


最適化が効かない例:

function fn( i ) {
  'use strict'
  if ( i <= 0 ) {
    return 'done!'
  }
  fn( i - 1 )
    // returnがないと、undefinedを返すという処理が残ってしまう
}

fn( 1e6 )  // RangeError


注意

デバッガが起動していると最適化が無効になるので、
ブラウザのコンソールで試す際は、

setTimeout( `( function () { 'use strict'
  ~~テストコード~~
} )()`, 2000)

の形で実行し、すぐ閉じてまた開くと良い。


実装されるバージョン

V8 4.10.69