きょうの健康「足首の痛み 変形性足関節症」 2016.01.26


「きょうの健康」です。
スポーツをよくする方ですとかご年配にですね足首が痛いとそういうふうに悩んでいる方いらっしゃるかと思います。
今日のテーマはこちら「足首の痛み変形性足関節症」についてお伝えします。
お話は獨協医科大学越谷病院教授の大関覚さんです。
整形外科がご専門で長年足首のけがや痛みについて研究されています。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
その足関節とありますけれどもその足首の関節にはどんな関節があるんでしょうか?足関節というのは膝の関節や股関節に比べたら随分小さな関節なんですけれどもしっかりした構造で大きな負荷に耐えられるようにできてるんですね。
こちらの方をご覧下さい。
足首の関節は足関節という関節距骨下関節という2つの関節でできていて足首のこの足関節の関節は足が上に上がったり下がったりする動きですね。
距骨下関節というのは斜めの地面に足の裏がしっかり着くように調節してくれる内返し外返しの動きをしています。
真ん中に距骨という骨があるんですけどこの骨は70%が軟骨で覆われていて非常に動きやすい構造をしています。
この関節が2つよく役割を果たすためにはこの距骨が…。
そうですね。
この距骨があるんで自由に足が動く事ができます。
なるほど。
でもどうなんでしょうか。
今お話でもですねちょっとありましたけれども距骨というのは外れてしまったりとかですねそういう事はあまりないんですか?距骨の周りはですね内側に三角靭帯という丈夫な靭帯と外側の方に外側の靭帯前距腓靭帯踵腓靭帯後方に後距腓靭帯とありますけれども周囲をしっかりした靭帯で保護されているんで安定して加重に耐えられるようにできています。
その仕組みは分かった訳なんですけども今日のこの変形性足関節症ですねこれどういう…。
変形性足関節症は骨折やひどいねんざによって足首の骨や靭帯が傷ついたりして炎症が起きてくる病気です。
今一部がちょっと出ましたけれども原因としてはどんな事が考えられるんですか?最も大きなのは関節の不安定性なんですけどもねんざを繰り返してじん帯がゆるんだりしますと不安定になります。
こちらの動画をご覧下さい。
手術の前に関節の不安定性をチェックしてる状態なんですけども外側のじん帯が切れてしまって足首が前後に大きくグラグラ動いているのが分かると思います。
これ…相当グラグラですけどここまでやっぱり放っておく人いらっしゃるという事ですか?足首が直角の状態で筋力がしっかりしていますとアキレス腱や外側の腓骨筋腱という腱で足首がしっかり固定されます。
そうしますとこんなにグラグラでもスポーツを続けていく事ができたりするんですね。
そういう事でお医者さんに診てもらうタイミングが遅れてしまったりする事があります。
それからもう一つの原因はかみ合わせが悪くなる事なんですけれども骨折があったりひどいO脚があったりしますと関節の内側の方に多くの場合は力が集中する事で軟骨が傷んでくるというような事が起きてきます。
関節の内側の方にという事なんですね。
それからもう一つは軟骨の老化なんですけれども軟骨というのは80%が水でできているんですがだんだん年齢が高くなってくるとその水分が減ってきます。
スムーズなそういう動きが減る事で軟骨が傷みやすくなってくるというような状態が起きてくるのも一つの原因です。
その症状としては一体どういう感じになってくるんでしょうか?歩き始めにすごく痛いというのは一番大きな特徴…。
痛いというのはどういう痛さなんですか?ズキッとするような痛みが出てきたりする事があります。
特に朝起きての1〜2歩がすごく痛くてそのあとだんだん慣れてくる。
それは関節の中に関節液が十分広がってきますと症状が軽くなってくるというような事だと思うんですが。
それでもやっぱり一日動き回ったあとは夕方には足首が腫れてくるとかそういう痛みがまた強くなってくるとかというような事が起きてきます。
それから特徴的なのは階段を下りる時とか坂道をくだるような時に痛みが強くなります。
これは足首が下を向きますと関節のかみ合わせがゆるくなるんですね。
関節の隙間ができやすくなるもんですからその事によって炎症が起きやすい状態になるからだと思います。
その症状から始まってその進行としてはどんなふうになっていくんでしょう?こちらの写真をご覧下さい。
右足を正面から撮影したレントゲンなんですけれども初期から末期まで並べてみました。
初期の写真を見ますとすねの骨けい骨と距骨の間には隙間があります。
ここですね。
はいそうです。
この隙間はレントゲンには写らない軟骨がまだある事を意味しています。
初期には軟骨は少し傷ついていますけれども十分な厚みが残っています。
じん帯がゆるんできますとしばしばこういう状態になります。
初期は軟骨の十分な厚さが残ってる訳ですね。
はい。
進行期には軟骨の厚みが更に薄くなりましてよく見ると軟骨の縁にとげのようなものが見えます。
とげ…今出ましたけれども。
これは骨棘というんですけれども軟骨の厚みが減って関節の縁に負担がかかってそこに骨が誘導されて変形が起こり始めている状態です。
はい。
末期にはほとんど軟骨が無くなります。
くっついてますもんね。
隙間ないですはい。
骨棘が大きくなって骨の形も変形しています。
そのため足首の動きも悪くなってきます。
こういう状態になっていくそうすると治療としてはどんな事が考えられるんでしょうか?手術療法と保存療法とがあります。
いくつか有効な保存療法がありますけれども足首の動きを少し制限してやるサポーターとかですね足の内側の方に体重がかかるのを少し外側の方にずらしてやるというような外側が高くなった足底板を使うというような方法があります。
中敷きのようなものという事ですね。
それから軟骨が損傷してきますと炎症が起きますけれどもその炎症が更に軟骨を壊すという悪循環が起きてきます。
そういう悪循環を止めるために非ステロイド性の消炎鎮痛剤を内服して頂くとそれも有効です。
薬物療法。
そうですね。
それから運動療法としましてはアキレス腱が硬くなってきますのでアキレス腱をよく伸ばすストレッチなんかが有効です。
アキレス腱が硬いと関節の前方の方に関節にかかる圧力が集中します。
そういう事で痛みが出るもんですからアキレス腱をよく伸ばして関節の動きをいい状態に保持するという事が助けになります。
その足底板など例えばそのO脚などの場合にも少しね中敷きで工夫したりしますけどそういう事もあるという事ですか?体重が外側に移動する事で痛みが軽減する事ができます。
今はこれ保存療法でしたけれどもそうするとその手術をですね検討しなければいけないと。
それはどういう状況の時でしょう?手術を考えるポイントですけれども痛みの出る頻度が増えたりとか痛みの程度が強くなったりだとかそういう事で日常やらなければいけない仕事というのが十分できなかったり楽しみたいスポーツができなくなったりそういう時に手術の治療を考えます。
それから患者さんが痛みがなくなったらこんな事やりたいな。
手術してでもよくなりたいんだというそういう治療への意欲というのがすごく僕は大事だと思ってます。
それではですねここからはその具体的なケースでご紹介していきたいと思います。
まずこちらですねAさん59歳女性です。
足首の状態は初期です。
テニスが趣味でどうしてもテニスがしたいんだけれども炎症が強くて一度テニスをすると翌日は足が腫れて痛みがあります。
でも軟骨には十分に厚みがあるといわれていますけども。
こうしたケースはどういった手術が検討されるんでしょうか?こういう時にはじん帯再建術を検討します。
初期から進行期の患者さんに行う手術ですけれどもじん帯がゆるんでねんざを繰り返してる場合にはじん帯を再建するという事が有効です。
傷んだじん帯の代わりに膝を曲げる腱を1本材料にしてじん帯の場所に移植します。
膝から持ってくる訳ですね。
そうですね。
足関節と距骨下関節が安定して生理的な動きが回復します。
手術的には1時間から1時間半くらいの手術ですけど翌日からリハビリとして足を着いて歩く事ができますし2週間くらいで退院できます。
テニスは大体3か月くらいで復帰する事ができると思います。
ここで言いますとこれがそのじん帯になる訳ですか?そうですね。
再建した所という事になりますね。
更にその進んだ症状の場合にはどうなんでしょうか?もっと症状が進んで軟骨の厚みが減ったり関節のこういうがたつきが出たりする時ですね。
間空いてますね。
こういう時には骨切り術という手術を考えます。
骨を切るんですか。
はい。
手術としてはすねの骨ですねこのけい骨を斜めにこういうふうに骨を切ってこの部分に骨盤から骨を持ってきて移植します。
この方法は20年くらい前に私の友人ですけれども福島県立医大の教授の寺本司先生が考案された方法で足首の関節をしっかり左右からですね内側外側から支えて距骨を安定させるという方法で関節の動きを温存しながら加重に耐えられるようにできる大変いい手術だと思ってます。
そうですね。
今度はですね末期の方です。
Bさん男性50歳です。
仕事は運送業です。
こういう場合に検討するのは足関節の固定術です。
傷んだ軟骨を切除してこのけい骨という骨と距骨という骨をくっつけてしまうという方法です。
何でくっつけるんですか?これはネジなんですけれどもネジで固定するという方法を行います。
軟骨の厚みがなかったり不安定性が強い進行期から末期の患者さんに行われます。
固定のしかたはいろんな方法ありますけれども最近では足首を大きく切らないで2〜3か所小さく切開して関節鏡で見ながら行う鏡視下手術も増えています。
鏡視下手術の特徴としては手術後の痛みが少ないというような事とか血流が大変いいんで早く関節が骨でくっつくというような利点があります。
そうは言いますけども2〜3か月はかかります。
手術の利点としては骨がくっついて関節固定が完成してしまえば痛みはなくて力仕事ができます。
階段下りる時とかちょっとくだりの坂道を歩くなんて時は多少不安があるんですけれども平らなとこを歩くんではほとんど手術した事が分からないぐらい非常にスムーズに歩けるという利点があります。
はい。
その膝の手術などで人工関節なども聞くんですが足首の場合どうなんでしょうか?足首の人工関節もありまして我が国でも2つの方法が使われています。
関節の動きを残せるという利点がありますけれども負荷が強いとゆるんでしまったり壊れてしまったりというような欠点もあります。
まだ長期成績が出ていないんですけれどもこれからどんどん進歩していく分野じゃないかと思います。
今日はいろいろ伺って本当いろんな治療法があるという事よく分かりました。
やっぱり足首が痛くてやりたい事ができないという事になりますと本当に味気ない人生になってしまいます。
そうならないようにするためにあんまり症状がひどくならないうちに足首に詳しい先生によく相談されて治療を早めにやる方がいいと思います。
きっと力になってくれると思います。
今日は大関覚さんにお話を伺いました。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2016/01/26(火) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康「足首の痛み 変形性足関節症」[解][字]

変形性足関節症は骨折やひどいねんざによって、骨やじん帯、軟骨等が傷つき炎症がおこる病気だ。運動などの保存療法の他に、症状や日常生活の不自由度に合わせ手術も検討。

詳細情報
番組内容
足首は股関節や腰・膝などの関節に比べると小さい関節だ。しかし強いじん帯や筋肉に守られて大きな負荷に耐えられる構造になっている。ただ軟骨の老化や、骨折・ひどいねんざを繰り返すと、足首の骨やじん帯が不安定になり、炎症が起こり痛みが出る。これが「変形性足関節症」だ。治療法は、サポーターや足底板などの適切な装具療法や消炎鎮痛薬、運動療法などの保存療法の他に、症状や日常生活の不自由度に合わせ手術を検討する。
出演者
【講師】獨協医科大学教授…大関覚,【キャスター】桜井洋子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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