東京都大田区の自宅マンションで、母親の交際相手から虐待を受けた新井礼人(あやと)君(3)が死亡した事件で、傷害容疑で逮捕された暴力団組員、永富直也容疑者(20)が、礼人君の顔を何度も平手打ちした後で、胸ぐらをつかんで投げ飛ばすなど執拗(しつよう)に暴行を加えたとみられることが、警視庁大森署への取材で分かった。永富容疑者は今月18日ごろから「しつけ」と称して平手打ちをするようになったといい、大森署が詳しい経緯を調べている。
大森署によると、永富容疑者は25日夜、かかとを振り下ろすようにして礼人君の頭を蹴ったり、ガラスケースに向かって投げつけたりした。暴行は1時間以上続き、礼人君がぐったりしてからようやく終わったという。礼人君の身長が98センチだったのに対し、永富容疑者は身長195センチ、体重120キロの体格。暴行の理由を「にらみつけてきたので頭にきた」と供述しているという。
礼人君は翌26日、水を与えられても嘔吐(おうと)する状態が続き、「ママ、苦しいの」と訴えることもあった。母親は頭を冷やすなどの手当てはしていたが、119番したのは27日未明になってからだった。救急隊の到着時、礼人君の両頬や尻には複数のあざがあったほか、両耳も緑色に変色していた。
大森署は28日、永富容疑者を東京地検に送検した。【山崎征克、神保圭作、深津誠】