NHK高校講座 地学基礎「地球環境の考え方」 2016.01.27


(息を吹き込んで気泡ができる音)
(関口)おっ少し白くなってきたかな。
(息を吹き込んで気泡ができる音)いい感じじゃないのこれ。
(垣内)隊長こんにちは。
こんにちは。
(息を吹き込んで気泡ができる音)隊長!何やってるんですかブクブク。
お行儀悪いですよ。
それ私が小さい時お母さんに怒られたやつです。
子供みたいで悪かったですね。
これ立派な実験なんですけどね。
えっ?やった事ない?あの…吐く息にさ二酸化炭素が含まれてる事調べる実験。
あっじゃあこれブクブクやってるの石灰水ですか?そうですよ。
あ〜懐かしいですね。
でもそれ地学と関係あります?あのねこの空気の中に含まれてる二酸化炭素ってさ実は私たちが吐き出した二酸化炭素だけじゃないんだよね。
うん。
まあもちろんほかの動物も呼吸してるし植物だって呼吸してますもんね。
そういう事…違いますよ。
うん?そういう話じゃなくて実はこの大気中のね二酸化炭素の発生源っていうのは我々のこの動物とか植物とかのね呼吸なんて大した事ないんだってよ。
えっじゃあ何が二酸化炭素の大きな発生源になってるんですか?主にはね地球の内部から火山活動によって大気中に放出されてきたんだって。
えっ火山活動ですか。
ええそうなんですよ。
今回は火山活動によってねどんなふうに二酸化炭素がこの大気中に放出されたのかほんでどんなふうに二酸化炭素が地球を循環してるのかその仕組みから地球の環境を考えていこうっちゅう話なんです。
はい。
ほんじゃあ早速今日のキーワードいきますか。
お願いします。
え〜っと…まずこれ。
次はこれ。
最後はこれ。
えっこれみんな地球の環境に関するキーワードなんですか?そうですけど。
へえ〜。
じゃあまずこの「時間・空間スケール」ってのからいきますか。
隊長時間・空間スケールって何だか聞き慣れない言葉でピンと来ないんですけど。
だよね。
うん。
じゃあ分かるようにしましょう。
これ見てて。
はい。
何ですか?これ。
竜巻とか雷雨とか火山噴火って地球で起きるいろいろな現象が書いてありますね。
この表はここ横がねこの横軸がさ時間のスケールを表してて縦軸が空間まあ広さとか大きさとかのさスケールを表してる訳さ。
んっ?どういう事だ?例えばさこの竜巻ね。
時間で見るとさ「分」の辺りに書いてあるわね。
そうですね。
まあ竜巻って発生してからさ何時間も暴れてないもんね。
うん。
突然起きて大きな被害を起こしてまあパッとじきに消えちゃうって感じですね。
でしょ?うん。
まあだから長くても十数分って感じだよね。
うん。
では今度は大きさ広さというかこの空間ですね。
そっちのスケールで見ると何か1キロの辺りに書いてあるわね。
そうですね。
竜巻っていう現象は空間でいえば数kmの範囲で起こります。
時間でいえば数分から十数分の間の出来事ですっていう感じの表なのこれ。
なるほど。
じゃあですよこの台風は発生からなくなるまでが数日間で移動距離は1,000kmのちょっと下なので数百kmくらいって事なんですね。
まあ実際の台風そんな感じだよね。
そうですね。
はいじゃあね何でこんな表出したのかっちゅう事ですな。
はい。
垣内隊員。
地球で起こるさまざまな現象とか環境の変化の事を考える時に押さえておかなきゃいけない事って何?んっ?押さえておく事…。
うん。
う〜んあっそっかその現象とかあと環境の変化とかが地球上のどれくらいの範囲で起こっていてあとどれくらいの時間で続いている事なのかというのを知ってなきゃいけないですよね。
あらご名答じゃない。
おっ。
だからこういう図にしてある訳なんだけどもね。
それじゃあ今日のテーマの一つ二酸化炭素に関する事がこの表の中にあったりするかな。
んっ。
もう見つけましたよ。
これですね。
早っ。
ではね垣内隊員。
この現象の時間的・空間的スケールっていうのを見るとどうなってますか?え〜っと空間スケールは地球規模で増え続けてるからおっこれすごいですね全球的。
全球です。
そして時間的には数百年って感じですね。
はい。
二酸化炭素の濃度って急に増え始めたのが1760年代の産業革命以降だからまあ数百年って事になるね。
そうですね。
私たち人間が石炭とかあと石油をいっぱい燃やすようになったからですね。
そういう事です。
さあそこでなんだけど垣内隊員実はですよこの表の中にねその数百年でさえきかないぐらいのとてつもなく長い時間にわたってしかも全地球的スケールの二酸化炭素に関するお話があるんですね。
とてつもないスケールの二酸化炭素の話ですか?はい。
へえ〜。
それがねこれなんですよ。
マントル対流とかプレートテクトニクスといった現象と大いに関係してるんです。
えっマントル対流とかプレートテクトニクスとかっていうと数千万年とか数十億年とかいう時間スケールで起こる現象ですよね。
そういう事になっちゃいますね。
でそのとんでもなく長い時間スケールで一体二酸化炭素の何の話をするのかっちゅう事だよね。
そうですね。
はいこれです。
「炭素の循環システム」。
はいじゃあこちら見て下さい。
これは全地球的しかも数千万年から数十億年ぐらいの時間スケールで起こる炭素の循環システムの図です。
これCO二酸化炭素があちこちに書いてありますね。
でしょ。
二酸化炭素は…この循環にはまあ今まで我々が勉強してきた事はたくさん出てきますから思い出しながらいきましょうか。
はい。
ここがスタートですね。
はい。
マントルの対流です。
マントルが対流してるんで海のプレートが大陸のプレートの下にぐ〜っと沈み込んでますね。
これつまりプレートテクトニクスですわね。
これぐ〜っと沈み込んでる所からちょっと離れた所で岩石が溶けてマグマになるんでしたよね。
そうそうそう。
その岩石がさマグマになる時に二酸化炭素を含んでいた岩石から二酸化炭素が発生するの。
うんうん。
まあこんなふうに二酸化炭素は地球の内部で大量にできてる訳ですな。
そしてマグマが地上に押し上げられると火山が爆発して二酸化炭素こうやって地上にまき散らされてますね。
そういう事ですね。
ほんで火山っていうのは海の中にもありましたよね。
はい。
海嶺とかホットスポットですね。
そうそうそう。
火山活動のうち半分くらいは実は海底で起こってるんですね。
でその大本はマントル対流ですね。
でも隊長。
地下からこんなふうに二酸化炭素が放出され続けてたら地球は二酸化炭素だらけになっちゃいません?そう思うわね。
うん。
二酸化炭素はでもそうなってるかっていったら増える一方じゃないよね。
大気中とか海の中の二酸化炭素っていうのはねこの循環の中で実はちゃんと消費されてるんです。
えっどうやってですか?あのね例えば陸上の陸上での化学風化とかこの海の中での炭酸カルシウムの沈殿とかで大量に使われてるのね。
まあどっちも化学変化ですわね。
んっ化学変化。
それはどんな化学変化なんでしょうか。
まずこの化学風化っていうのは地殻の岩石がこの雨とかさ地下水なんかと反応すんの。
その物質の性質を変える事なんですよ。
でその時に二酸化炭素が使われてる訳なんですよね。
イメージしやすく言ってみたら鍾乳洞ができる時みたいな感じかな。
ふんふんふん。
石灰岩が雨水なんかで溶けるあれですよね。
そうです。
そん時さ岩石から主にカルシウムが溶け出す訳なんですよ。
でこのカルシウムが海に流れ込むと海中の二酸化炭素と化学反応を起こすの。
それがこれなんだけどさ。
つまり炭酸カルシウムになって海底に沈殿すんの。
うんじゃあここでも二酸化炭素が消費されて減っていくって事ですね。
そういう事になりますね。
へえ〜。
ほんで海底に沈殿した岩石ってのはこれはまた長い時間をかけてこのプレートの運動で移動しまして再びマグマになって二酸化炭素を放出するって話ですわね。
うんじゃあ今もう二酸化炭素ぐるっと1周しましたね。
そういう事です。
これを…垣内隊員はさ地球には寒冷期と温暖期が数億年ごとに交互にやって来てるってのは知ってるでしょ?もう。
うん例えば1億5,000万年ぐらい前の恐竜の時代は地球は温暖な時代でしたよね。
でしたね。
で今の地球は寒冷な時期って学びました。
そうは感じませんけどそうなんだね。
その数億年単位で交互にやって来るこの温暖期寒冷期ねこの炭素の循環システムと関係があるんじゃないかっちゅう説なんですよ。
ほうどういう事でしょう。
まあざっくり言いますとまあこれも既に学んだ事なんだけども…あっそれ二酸化炭素の温室効果ですね。
そういう事です。
じゃあどうして大気中の二酸化炭素が多い時期と少ない時期があったのかっちゅう事だね。
これが火山活動と関係があるんじゃないかっちゅうね。
へえ〜。
まあ火山活動が活発な時期は大気中の二酸化炭素は多くなって温暖期。
逆に火山活動の少ない時は二酸化炭素が少なくなって寒冷期になるんじゃないかなっちゅう事なんですな。
ふ〜ん。
でもまあ詳しい事は現在研究中なんだそうですから。
へえ〜。
これはまあ数億年という時間スケールでの話なんでじっくり研究して頂きまして…。
そうですね。
まあ何ともダイナミックなお話でございますね。
ほんじゃあ本日最後のキーワードいきましょう。
はい。
これ…おっフィードバック!英語ですね。
英語ですよ。
英語ですけどこれ地球環境を考える上でとっても重要な言葉なんで覚えておいて下さいよ。
はい覚えましたよフィードバック。
フィードバック。
この…ほう正と負のフィードバック?ええ。
じゃあね簡単な例でいきましょう。
どういう事かと言うとあるお母ちゃんがこの「地学基礎」を息子に見せて勉強させてみました。
そしたらその息子が成績が上がっちゃいました。
おお〜。
するってえとその息子は地学の勉強が面白くなっちゃいました。
んで自分で勉強するようになったもんだから更に成績が上がっちゃいました。
はい。
これ正のフィードバックですな。
めちゃくちゃ分かりやすかったです。
最初の変化を強めるように物事がどんどん先に進んでいくって事ですね。
あらうまいことまとめんじゃないよ。
まあそういう事ですよ。
はい。
ほんじゃあ今度はこんな例見て下さい。
あらシロクマちゃんがいますね。
はい北極ですね。
例えば気温が上昇して海の氷が解けちゃったとしますこれ。
ねっ解けちゃったの。
そしたらそれまで太陽の光を氷が反射してたのに水になっちまったもんで海が光を反射する割合が減っちゃいました。
するってえと海は太陽の光をより多く吸収する事になっちゃうもんですから海水温が上昇して更に気温も上昇しちゃいました。
これが正のフィードバックですね。
じゃあ正のフィードバックが続くとどんどん気温が上がっちゃうっていう訳ですね。
そう。
そういう可能性があるとしか言えないんです。
何でかって言うとねあの環境の変化っちゅうのは実はどう転ぶか分からないもんでございましてこんな場合も言えちゃわないかと。
えっ負のフィードバックですか。
はい。
へえ〜。
さっきと同じみたいに気温が上昇したとするでしょ。
でも…するってえと雲が増えた。
何が起きるか。
雲が増えたんだから太陽が遮られたんで気温が低下しちゃったってパターンがあってもよくなっちゃうよね。
何かこれもありえそうに思えてきましたね。
でしょ。
まあこういうふうに最初の変化を弱める方向にはたらくのを負のフィードバックっていうんですね。
じゃあ隊長正か負かフィードバックは一体どっちにはたらくんですか?あのね将来の気候の変化をスーパーコンピューターを使って予想するってのがあるのね。
で何でスーパーコンピューターが必要かっちゅうとどの要素がどういうふうにはたらくのか複雑なフィードバックを読み解かなきゃいけないからっていう事でスーパーコンピューターが必要なの。
じゃあ「どっちだ」なんて簡単には言えない。
…という事になっちゃいますね。
ほう〜。
ではよろしくお願いします。
(久田)こんにちは。
今日はフィードバックなる言葉が出てきましたがあの…イメージで言えば暑くなるとか寒くなるとかこうエスカレーションの話のような事でしたよねイメージで言えばね。
ところがまっすぐにエスカレートしてて大変な事になった事ってないっていうまあ隕石とかは別としてですねなぜか何かこういうふうに循環図になるみたいな。
でいちいちこの理由が違うみたいなね。
不思議だな〜なんて思いながら説明しながら思ってたんですけど二酸化炭素は今ねニュース見てたら増える一方な話しか聞いてませんけれどもこれも何かなるんですかね。
あの…地球46億年の歴史の中でですね今…最初は今よりもず〜っと二酸化炭素は多かったっていわれてるんですよ。
だから…どっちなんだか分かんなくなってきますよ。
少ねえんだか多いんだか。
ところがですねそれがやはり増減を繰り返しながら徐々に徐々に減ってきて今の二酸化炭素濃度この大気中の中の二酸化炭素濃度になったといわれてるんです。
今のその二酸化炭素のこの流れはえっ?その大きさによっては減ってる方になっちゃうって事になっちゃう。
はい。
長〜い時間をかけて見るとそうなってる。
ただやはりこの人間活動のここ数百年の活動の中でむしろぐ〜っと増えてる。
だけどもその先はまあこれからある程度は増えていくでしょうけどもまた下がったりを繰り返すだろうといわれてますね。
まあいずれにしたってじゃあ別に二酸化炭素を増やしてもいいやっていう線だけはない事は確かみたいですけども。
そうですはい。
複雑ですね随分話がもう。
そうですね。
これはもう我々は人間…この社会があまりにも地球を何て言うんですかねいじるといろんな事が生まれてしまうんですけれども地球自身の持っているそういう力というのは大きな流れで見ると酸素は増えていく。
二酸化炭素はむしろ減少傾向。
まあ増減を繰り返しますけれどもそういう傾向にあるという事が最近分かってきたんです。
もうどう捉えていいか分かりません。
そんな流れに今あるとは。
ニュースでは聞いた事ありません。
(息を吹き込んで気泡ができる音)隊長。
私たちの人間活動のせいで二酸化炭素が今増えてるっていってまあみんなねえ問題に思ってる訳じゃないですか。
そのとおりです。
だがしかし長い地球の歴史で見ると二酸化炭素が減ってるって「ええっ!」ってさっき…。
そういう事らしいです。
うんどっちなんですかね。
私に聞く?どういう事なんですかね?さあ…う〜んこの話はね言ってみりゃシンクロナイズドスイミングみたいなもんなんじゃないんすか?えっ何ですか?どういう事だ?何で二酸化炭素が増えてんの減ってんのっていう時にさ何に原因がいるか分かんなくてさ結構ある時は同じ動きするもんだから一つかと思ってみたら実は何も原因があったみたいなさ〜。
なるほど。
案外そういうような話に私には思いますね。
あ〜。
ですから我々が未来予測ができるようになる日ってのは来んのかね〜。
どうなんですかね。
来ると思う?でも今までいろいろ頑張ってきた私たちですから…。
うん。
今日やった事なんかは分かったからね。
うん。
私は何か果てしない未来にやっと可能になるみたいな事のような気がしますね。
うん。
2016/01/27(水) 14:40〜15:00
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 地学基礎「地球環境の考え方」[字]

「地球」は私たちにとってかけがえのない存在です。その地球を、「宇宙の中の1つの星」「地球という物体」「地球の歴史」そして「環境」という視点から学んでいきます。

詳細情報
番組内容
私たちが住む地球の環境は、どのように変化してきたのだろうか。そして、これからどのように変化していくのだろうか。今回は、身近な物質、二酸化炭素を通して、地球環境のしくみを考えてみよう。【出演】関口知宏、垣内彩未【講師】久田健一郎
出演者
【司会】関口知宏,垣内彩未,【講師】筑波大学教授…久田健一郎,【語り】市川展丈

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 大学生・受験
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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