大奥〜華の乱〜 #03 2016.01.27


それでも間に合わないくらいの雪だったんだね。
(お伝)何!?あの女が身ごもった!?
(安子)うっ…。
(桂昌院)お手柄にございますなあ。
(安子)成住様!
(成住)安子!そなたは強くなれ。
力を持て。
そしてそなた自身とそなたの子を守りぬけ。
(音羽)
この時悲しみの淵におられた安子様は上様のお子を身ごもったことの天地を変えるほどの意味にまだお気づきではなかったのでございます。
そして大きな敵が動きだしたそのことにも

(テーマ曲)
(祈とう)
(隆光)お喜びくだされ。
お生まれになるお子は男子にございましょう。
さようか!?
(隆光)ただしご留意くだされ。
つつがのうお生まれになればのことにございます。
何と申す?恐れながらお生まれになるまでにこのお子は幾多の難所をくぐり抜けねばならぬというお告げにございます。

(音曲)上様。
(綱吉)何じゃ?私は夫と心中を企て上様に背こうとしたのです。
そのような女子に何故お情けをおかけになりまする。
わしはそなたをそそのかした成住が憎い。
なれどそなたは別じゃ。
成住亡き今そなたはもうこのわしを頼るほかあるまい。
またそなたの閨へ行きたい。
上様。
お戯れがちとすぎまする。
安子殿のお体を少しはおいといになってくださいませ。
母上。
お種を宿してまもない今は何よりもご静養の肝要な時。
万一にもお子が流れでもしたらいかが致します?
(綱吉)今日より成貞が側役に返り咲くこととなった。
これよりは何事もまず成貞の耳に入れ決裁を待つように。
皆。
分かったな?
(重臣たち)ははっ。
吉保。
(柳沢)はっ。
京よりの勅使饗応役そなたに任すつもりであったが成貞に代わってもらうことにした。
(柳沢)はっ?
(綱吉)成貞はわしにとって誰よりもかわいい安子の父。
安子が男子を産めば世継ぎの祖父になるやもしれぬ。
義父上をないがしろにするは「論語」にある忠孝の教えにもとるでの。
(女中)お改めにございます。
男子禁制の大奥。
さりながら上様のお覚えめでたい柳沢様だけは特別にお出入りを許され御台様桂昌院様やご側室の方々とご親交を結んでおられました。
眉目秀麗なるこの方は大奥でも人気の的にて月一度のお改めの折などには心待ちにしている女子たちもあったようにございます
(美吉野)ああーっ。
柳沢様!ああっ!?見た。
今こっちを見たわ!
(秀尾)はい!ああーっ。
あのお目で見つめられたい。
あのお手に触れたい。
おみ足で踏まれたい!
(秀尾)痛い痛い痛い痛い…。
(葛原)あのお姿も今が見納めかもしれませぬな。
(秀尾・美吉野)えっ!?
(葛原)何しろ牧野様がお側役に返り咲いてからは柳沢様のご権勢も随分かすんだという話ですからね。
(美吉野)えーっ!?
(秀尾)ああーそうそう…。
本当ですか?
(葛原)はい。
(秀尾)今までは上様のお肝いりで柳沢様がお決めになっていた事も牧野様のご決裁がなければ動かぬようになったと聞きました。
柳沢様は館林の頃から上様にお仕えしそのご才知故に人並み外れたご出世をなさってきたお方。
あのように涼しいお顔をなさってはいてもご心中は穏やかではないでしょうね。
とは申せ見かけは猫のようにもの静かでも中身は虎。
油断のならぬお方ですからこれからひと波乱ふた波乱ありそうな気がします。
染子か?染子であろう。
(染子)つまりませぬ。
殿は察しがよすぎて。
(柳沢)このような事をする女子そなたのほかにない。
染子。
そなたに頼みがある。
(染子)はい。
我が屋敷に上様をお招きしたいのじゃ。
ついてはそなたに上様をおもてなししてもらいたい。
そのような栄えあるお役目を私に頂けるのですか?「栄えある役目」か…。
殿?・
(謡曲)
(綱吉)吉保。
(柳沢)はっ。
(綱吉)なぜ鼓を持ち替えた?
(柳沢)はっ。
左のほうが力が入ります。
さようか。
確かによい音がしておった。
今日は久しぶりに存分に舞えてよかった。
ありがたきお言葉汗顔の至りにございまする。
(染子)ご酒にございます。
どうぞのどをお潤しくださいませ。
吉保。
はっ。
三番も続けて舞うた故汗をかいた。
着替えたい。
この女の手を借りるがよいか?はっ。
少々お待ちを。
この者に心得を申して聞かせます故。
許す。
(柳沢)染子。
上様が私を!?そうじゃ。
上様はそなたを所望されておられる。
そう…ですか。
男子一生の頼みじゃ。
聞いてくれぬか。
分かりました。
殿の頼みとあらば。
ただあなた様の物を何か一つ身につけていきとう存じます。
染子はあなた様と添い遂げるつもりでこの屋敷に参ったのです。
閨の間も添うているのはあなた様だと思いたい。
分かった。

このたった一度の逢瀬が後に将軍家を覆す布石になることをまだどなたもご存じありませんでした。
すべては柳沢様の謀だったのでございます
(お伝)何卒徳松に上様のお墨付が頂きとうございます。
後にどなたに男子が産まれようと長子徳松を世継ぎにするとお記しになったご誓詞を。
(桂昌院)ふふふふ。
お伝殿。
徳松はまだ幼い。
何もそのように焦ることはあるまい。
そうは仰せになっても上様の安子様へのあのご執心。
お目をくらまされた上様が軽々しゅうご判断なさることも。
あるいは…。
口をお慎みなされ。
もとはと言えば素性卑しきお末であったそなたをここまでお引き立てくださった上様の大恩をお忘れか?何事も上様のお心ひとつ。
そなたが口を出すことではないのです。
(信子)そなたに上さんのお種のつきやしたことわたしは心からうれしいと思うておりますのえ。
安子殿。
お子を持たれたことでそなたは力を持たれた。
わたしと力を合わせればあの桂昌院とお伝に非を認めさせ敬うべきものが敬われる筋道正しい大奥にすることができましょう。
安子殿。
私は産みとうて上様の子を産むのではありませぬ。
人を出し抜き争いの渦中に身を置くことは今の私にはとても。
わたしの加勢はいらぬとおっしゃいますか?私はただ…。
安子殿。
そなたは甘い。
ここに参られたからにはそしてお子を持たれたならなおさら争いに無縁に生きるなどできるはずがない。
この大奥では人に笑われて泣き寝入りするか勝って笑うかのどちらかなのじゃ。
これからあるお方にお会いします。
ついておいでなさいませ。
(滝川)常磐井の局様おなりにございます。
(常磐井)御台さんごきげんよう。
つつがのうお過ごしと賜りお喜び申し上げます。
何と美しい方。
常磐井殿。
そなたはやはりわたしが見込んだとおりの方やった。
もったいないお言葉にございます。
時にわたしが文にて頼んだこと考えてもらえましたか?お文は拝見致しました。
御台所としてのお立場の辛さいたわしゅう存じ奉ります。
ならば話は簡単です。
常磐井殿。
わたしを助けると思うて奥にいらしてはくれませぬか?
(常磐井)わたしも今のご政道の乱れ耳にしてはおりました。
申すもおそれおおき事ながら綱吉公は暗愚そのもの。
桂昌院殿は隆光なる僧侶の言の葉に操られまた将軍の気ままなる専横を正義のごとく押しつけてはばからぬお方と。
今その言葉を聞いて長年の胸のつかえが下りました。
そのような賢い見事な眼力を持つそなたにこそ奥に来てほしいのや。
(常磐井)わたしには身に余ることにございます。
(信子)いいえ。
どうあっても来てもらいます。
扶持として年にお切米百石合力金三百両。
御台所付きの上臈御年寄という身分では?
(常磐井)金三百両ですか?
(信子)では金五百両にて。
その条件でなら。
それと上臈御年寄ではなく大奥総取締の称号を頂きとう存じます。
大奥総取締…。
しかし奥のことは桂昌院が何もかも取りしきっておりまする故。
御台さん。
物事にはそれなりの道具立てと書き割りが要りまする。
わたしの立場が桂昌院殿より下ではいかに正論を吐いたとてついてくる者はありますまい。
(信子)見たであろう。
あの常磐井の見識。
聡明さ。
あの者が味方になってくれたらどれほど心強いか。
なれど大奥総取締の称号はわたしの一存ではどうにもできぬことや。
安子殿。
今の上さんはそなたの申す事なら何でも聞いてくださるであろう。
そなたわたしの代わりに上さんを口説いてはくださらぬか?
(お伝)上様。
上様がこのところ安子様ばかりをごひいきなさいます故伝は寂しゅうてなりませんでした。
そうか。
なれど私には上様より賜った徳松君がございます。
それだけを頼みにして参りました。
(綱吉)うむ。
(お伝)どうか上様。
徳松を世継ぎにするというお墨付を下さいませ。
そのご書面ひとつあれば私の老い先も心安うなりまする。
老い先などとその若さで何を申すか。
私は心配なのです。
もしも上様の御身に万一の事があったらと。
わしが早死にするとでも申すか?いえ。
そのようなことは。
伝。
そのような不吉なこと二度と申すな。
世継ぎを決めるなどまだ先の話じゃ。
上様!それと言うておくがわしが安子をかわいがるのはわしの勝手じゃ。
そなたに子が次々に出来た時御台は何ひとつ言わず耐えていたのに安子のことをあれこれと恨みがましく申すははしたなき事。
そなたやはり生まれが生まれじゃな。

(お伝)安子殿。
隆光殿のご託宣によればお生まれになるお子は若君とやら。
なれど姫であることをわたしは願うておりまする。
あなた様とお子様の双方の御ためにございます。
身重となって半年。
その時初めて安子様はお子が動くのをお感じになったのです。
恨んでも恨みきれぬお人の子。
なれどそれは確かに死にとうないと声を上げている小さな命の証しにございました
(綱吉)そうじゃ。
そなたの懐妊祝いの席を設けてやろう。
その場で成貞に会わせてやる。
父上に?成貞は今では側用人筆頭じゃ。
いろいろあったがあれはわしの意をくんで実によう務めてくれる。
あれこそ忠臣じゃな。
父は隠居したのではなかったのですか?いや。
わしが取り立ててやったのじゃ。
彼奴め相好を崩して喜びおっての。
ははは。
うむ。
それがよい。
おお。

(柳沢)お伝の方様。
お伝の方様のご心中お察し申し上げまする。
(柳沢)私も五百石の小納戸役から上様のご厚情にあずかって今日がありますがご重臣の方々からは事あるごとに「あの柳沢の奴めが」と言われます。
よう似た身の上でございますれば。
(お伝)柳沢様。
時に安子様のご懐妊祝い吹上のお庭にて催されるとの事ご存じでしたか?いえ。
あの辺りの庭は高台にて滑りやすい石段などもところどころに配してありまする。
ひょっとして間違いが起きはせぬかと案じておるのですが。
まっしかしすべては隆光様のご祈とうにあるごとく運命なのでございましょう。

(囃子)
(綱吉の笑い声)
(綱吉の笑い声)
(綱吉)成貞。
ここへ参れ。
安子の顔が見たいであろう。
(成貞)あっ…。
ははっ。
(成貞)上様安子様におかれましては此度のご慶事誠にめでたく恐悦至極に存じ奉ります。
(綱吉)相変わらずそちのあいさつは杓子定規で面白うないのう。
(成貞)ははっ。
祝いに一差かたつむり踊りでも舞うてみよ。
(成貞)あ…あっ。
いや。
されど私この舞いは習うたことがございませぬ。
(綱吉)さっ。
やれ。
(成貞)はっ…。
あっ。
はっ。

(囃子)
(笑い声)
(綱吉)ほれ。
(哄笑)
(綱吉)ほい。
ほい。
ほい。
(嘲笑)安子?安子。
いかがした?何をしておる。
追え。
追うのじゃ。
はっ。
お目が覚めましたか?ご乱心に間違われぬよう急なつわりに襲われて席を立たれたと皆には申しておきました。
がいかがされたのです?得意のだんまりですか。
まあよいでしょう。
ここで少し頭を冷やされるがよい。
少し一人にさせてください。
安子!?安子!安子。
聞いてくれ。
わしは…。
聞きとうありませぬ!今日分かったのです。
私は父上を許せませぬ。
上様のご非道だけでなく弱さ故に母上をむざむざ見殺しにされた父上のお覚悟のなさも私は心の底でずっと恨んで参ったのです。
(成貞)安子。
もうたくさん。
もうよいのです。
成住様の後を追うて…。
いえ。
いっそ母上の亡くなった時その後を追うて死んでいればよかった。
(成貞)何を申す!・
(お伝)安子殿。
お散歩ですか?ここにお城の庭師が丹精を尽くした見事な牡丹が咲いてございます。
下りていらしてようご覧なさいませ。

(安子)あっ!?あっ!?
(成貞)安子!ああーっ。
うわーっ。
うう…。
うっ。
(安子)ああっ!?
(成貞のうめき声)父上!?父上!?誰か!誰かお匙を!誰か!安子。
父上!阿久里の遺言じゃ。
そなたが上様のお側に参ってから文机にあるのを見つけてずっと懐に持っておったのじゃ。
(阿久里)「安子のことくれぐれもお願い申し候。
安子にだけは災いの降りかからぬよう成住様とこの先もつつがのう暮らしていけますよう殿のご一身に代えてお守りくださるよう重ねて重ねてお願い申し候」
(成貞)今のわしにできることは上様の側室となったそなたの命と立場を守ることだけじゃ。
わしが側役を受けたのもいつの日かそなたの役に立てばと思うたからじゃ。
そなたのためなら鬼にも蛇にもなろうと思うた。
(成貞)安子。
わしのことは存分に恨むがよい。
なれどそなたのその命阿久里と成住が身を捨てて守った命であることゆめゆめ忘るるな。
(うめき声)お父上!父上!父上!お匙を!早うお匙を!あっ。
(うめき声)
(中臈たち)安子様!安子様!
(小山)誰か!
(中臈)早うお匙を!
(侍女)安子様いかがされました?お気を確かに!
(中臈たち)安子様!安子様!
(中臈)早う!
(侍女)安子様。
お気を確かに!
(侍女)安子様!
(侍女)大変でございます!
(安子)父上は?
(音羽)足腰を強くお痛めになりご快癒に暇はかかりましょうがお命はお取り留めになりました。
おなかの子は?ご無事でございます。
(安子)開けておいてください。
(成住)そなたは強くなれ。
力を持て。
そなたは勝て
(安子)母上。
成住様。
お力をお貸しください。
安子は強うなりまする。
きっと強うなってみせまする。

(お伝)ご健勝なご様子拝見して安堵致しました。
(安子)お陰さまをもちまして。
二度と先日のような災禍の起こらぬようお伝の方様もお祈りくださいませ。
石段から足を踏み外すはご自身の不注意。
お心掛けが悪かったのでは?いえ。
あれは災禍にございます。
いま一度同じようなことが起こりましたならその時は上様にお願いして大奥の厄払いをして頂く所存にございます。
失礼致します。

(侍女たち)上様。
お見事でございます。
(綱吉)そうか。
ふふふ。
(安子)上様。
おお。
安子か。
(安子)ひとつお願い申し上げたきことがございます。
(綱吉)うん?京の御所に常磐井の局という音に聞こえたご才女のおられることご存じにございますか?
(綱吉)うん?
(音羽)水無瀬中納言ご息女常磐井の局様御台様よりお名を賜り本日より右衛門佐様お目見えにございます。
(右衛門佐)右衛門佐にございます。
御台所信子さんのご信任を得まして今日より大奥に勤めさせて頂きまする。
常磐井の局改め右衛門佐様。
大奥の女の闘いに新たなる火種を放つお方がまた一人京の都よりお越しになったのでございます
2016/01/27(水) 14:55〜15:49
関西テレビ1
大奥〜華の乱〜 #03[再][字]

「仇の子」

詳細情報
番組内容
 愛する夫・成住(田辺誠一)と心中を図るも失敗に終わった安子(内山理名)だが、綱吉(谷原章介)の子を身ごもったことが判明し、大奥は揺れた。
 綱吉の寵愛が安子に移り、お世継ぎ候補の母としての地位があやしくなってきたお伝の方(小池栄子)は、なんとか我が子を跡継ぎにすべく桂昌院(江波杏子)や綱吉のお墨付きをもらおうと必死になるが、思い通りにはならず、苛立ちを募らせていく。
番組内容2
お伝の方の焦りを察して、柳沢吉保(北村一輝)はお伝の方に入れ知恵をする。お伝の方は、世継ぎを産ませまいと安子が階段から落ちるよう細工をする。だが、間一髪、父・成貞(平泉成)が身を挺して安子を助け、自害した母・阿久里の遺書を安子に見せる。安子は恨んでいた父の真意を知り、今は亡き母と夫のためにも大奥で強く生きることを決意するのだった。
 一方、信子(藤原紀香)は、お伝の方と桂昌院に対抗すべく、
番組内容3
安子の懐妊をこれ幸いと仲間に取り込み権力拡大を狙っていた。そのため、京から聡明な常盤井の局(高岡早紀)を大奥に招こうと持ちかける。安子は、父母や夫の無念を思い、信子の策に乗ることにした。
出演者
内山理名 
谷原章介 
小池栄子 
高岡早紀 
北村一輝 
貫地谷しほり 
平泉成 
火野正平 
余貴美子 
江波杏子 
藤原紀香
原作・脚本
【脚本】
浅野妙子
監督・演出
【演出】
林徹
【企画】
保原賢一郎
【プロデュース】
林徹 
手塚治 
樋口徹 
金丸哲也
音楽
石田勝範
【主題歌】
「修羅場」東京事変(東芝EMI)

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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