お祭り弁護士 澤田吾郎 長崎ランタン祭り連続殺人事件! 2016.01.27


5…4…3…2…1…。

(祭囃子)
(拍手)もってこーい!もってこーい!
(澤田吾朗)きたきた…。
もってこーい!もってこーい!せっかくの祭りだっていうのに…!祭りでケンカはダメダメ!ちょっとすみません。
(風間光一)だったら金で話つけましょうよ。
ねえ!
(江崎和也)ふざけるな!誰がお前なんかに…。
何とか言ったらどうなんだ!?ああちょっとすみません。
ほらほら…。
ねえちょっと!やめなさい。
(鬼塚典子)あっちょっとすみません。
このー!痛い痛い…。
(大鷹喜美子)やめなさい!警察です。
えっ?刑法204条傷害罪で逮捕します!違う!違いますよ。
僕はただケンカを止めただけだ。
はっ?大鷹さん!えっ?あっ…。
あっ!お祭り弁護士さん。
澤田吾朗です。
はっハハハ…。
何やってるんですか?いやいや…。
吾朗さん!どうしたんですか?急にいなくなっちゃって…。
ああちょっと変なおばさんに絡まれてたんですよ。
はい!?あなたたしか結婚してましたよね?ああ〜あ。
今回はお祭りプラス不倫のにおいがしますね。
姦通罪の適応も考えたほうがいいかもしれませんね。
何言ってるんですか?違いますよ。
仕事なんです仕事!こちらは依頼人の鬼塚典子さん。
それにね姦通罪なんて昭和22年に廃止していますよ。
お祭り弁護士さん今誰とケンカしていたんですか?だからケンカしてたんじゃないんですよ!それに僕の名前は澤田吾朗!いい加減名前ぐらい覚えてくださいよ!いつもお祭り弁護士お祭り弁護士って。
あの今そこでケンカしてた人たち見た人いませんか?いませんか?目撃者。
相変わらず人の話聞いてないよ…。
(典子)吾朗さん写真撮ります。
ああすみません。
いいですかー?はいポーズ!じゃあここで。
ああそうですか。
いいですか?いきますよ。
うわー!典子さん今度は僕が撮りますから。
ちょうど馬の前がいいですか?ここがいいですか?そこでいいです。
はいチーズ!これ…典子さんどれ押せばいいのかな?もうすぐそこのところで…。
アハハ!ああ〜。

(典子)長崎ランタン・フェスティバルは元は新地の中華街で中国のお正月をお祝いして行われたのが始まりだったんです。
どうりで。
本当に中国にいるみたいだ。
行ったことないんですけどね。
中国風の提灯のことをランタンって呼んでるんですけど全部でどのくらい飾られてると思います?そうだなぁ…3千個ぐらい?いえその4倍です。
えっ?1万2千個!?はあそんなに…!?イベントも中国色豊かなものがたくさんありますから最後まで楽しんでいってください。
はい!これじゃもう中国に行く必要ありませんね。
フフフ…。
ごゆっくりどうぞ。
ハハハやったやった!これが夢にまで見た卓袱料理か!オーバーなんだから。
いや本当に夢にまで見たんだって。
去年「長崎くんち」に来たときこれを食べられなかったことだけが心残りだったんだよ!ああ…あのときは私が約束すっぽかしちゃったから…。
いいのいいの。
ついにこうやってめぐり会えたんだから。
じゃあ早速。
いただきまーす!あっ待って!えっ?またお預け?
(江崎雪乃)失礼いたします。
卓袱料理にはしきたりがあるんですのよ。
いらっしゃいませ。
女将の江崎雪乃でございます。
典子さんもお久しぶりねぇ。
さあお鰭をどうぞ。
オヒレ?女将さんの「お鰭をどうぞ」という言葉で卓袱料理は食べ始めるんです。
これがお鰭。
そうですか。
じゃあ今度こそいただき!う〜んうまい!これ…これがお鰭か。
卓袱料理の卓袱ってどういう意味なんですか?
(雪乃)テーブルクロスっていう意味なんですよ。
昔は卓にテーブルクロスをかけていたらしいですね。
そういうところは洋風だったわけですね。
うん…味は全体的に甘めですね。
うん…でもおいしい。
卓袱料理の特徴はお砂糖をふんだんに使うことなんですよ。
典子さん遠慮しないでもっと食べてよ。
卓袱料理は「ワカラン料理」ってよくいうんですよ。
「ワカラン料理」?たしかにこれは洋風だし中華だし…。
基本は日本料理なんでしょうけどたしかにどこの国の料理かわからん料理ですね。
ふふふ…。
はい!うん?ワが和風のワ。
カが中華のカ。
ランがオランダのラン。
なるほど!いろいろな国の料理のおいしいところがミックスされてるわけですね。
さすがにタウン誌の記者さんだ!全部受け売りですけど。
最後に梅碗をどうぞ。
えっお汁粉!?締めくくりがお汁粉とは思わなかったなぁ。
いや僕大好きなんですよ。
いただきます。
(辰巳春夫)失礼します。
板長の辰巳です。
お料理いかがでしたか?文句なしにおいしかったです!長崎に来たかいがありました。
いやぁそれはよかったですな。
ありがとうございます。
こちら出島の若旦那です。
まだまだ修行中の身ですけど…。
あれ?ふざけるなこの野郎!ああ…。
先程は失礼しました。
ちょっと絡まれまして…。
ああそうでしたか…。
(典子)どうしたの?ああちょっとな。
あっ…。
典子さんこちらとはお知り合いなんですか?おふたりは婚約しとっとですよ。
お似合いでしょうが?ああ…婚約!?それはおめでとうございます。
そうですか。
ということはやっぱりあの…。
将来的には女将さんの後をお継ぎになるということで…。
典子さんみたいな才媛が女将なんてもったいないっていつも言ってるんですよ。
さあおひとつどうぞ。
あっすみません。
でも典子さんの女将さんも似合いそうじゃないですか。
それで式はいつなんですか?あっそれはまだ…。
(和也)俺がまだ一人前じゃないもんで。
そんなことないでしょう!ねえ?私が独り身じゃなかったら仲人ばかって出るところなんですがね。
ではごゆっくり。
では…。
再開発計画ですか…。
この店もちょうど再開発地域に入っているわけですね。
これはもう決定ですか?和也さんはこの店の7代目としてなんとかしてこのままの状態で「出島」を守りたいとそう思ってるんです。
どうか力になってあげてください。
お願いします。
未来の若女将の頼みとあっちゃ一肌脱がないわけにはいかないでしょ。
わかりました!お手伝いいたしましょう。
(和也)ありがとうございます。
うっ…ああ…。
よ〜し!よっ!
(パトカーのサイレン)
(菊地)どがんですか?間違いない。
風間だわ。
やっぱり長崎は風情がありますね。
この坂もいい雰囲気だ。
ほお〜。
あの…私も出島に行かないとまずいですか?いや…もし都合が悪いんだったら…。
あっいえ大丈夫です。
ねえ典子さん。
ひょっとして結婚反対されてるの?何かそんな感じがしたから…。
一番反対しているのが父なんです。
どうして?それがよく…。
たしかに女将さんになったらそりゃ大変だろうとは思うけど…。
あっちもこっちもなかなか思うようにはいかなくて。
そうか…。
典子さんも大変なんだな。
きれいだな…。
あっ!姦通罪!やめてくださいよ!これから仕事に行くところなんですから。
失礼します!行きましょう。
何で隣に並んで歩くんですか!私もこっちのほうに用があるんです。
しつこいな!私もここに用事があるんです。
えっ!?
(江崎卓造)出島の主人江崎と申します。
これが息子の和也ですが和也が何か?ああちょっとお伺いしたいことがありまして。
ええとですね…。
この男ご存知ですね?はい…。
あっちょっと。
えっ?ちょっと見せてくれたっていいじゃないですか。
もういいでしょう。
昨夜湊公園であなたがこの男と言い争いをしていたという複数の証言を得ています。
今朝その湊公園でこの男が変死体で発見されました。
えっ!?申し訳ありませんが署のほうでお話をお聞かせください。
待ってください大鷹さん。
これは任意同行ですよね?そうですけど。
和也さん刑事訴訟法には捜査機関への出頭要請に対しこれを拒みまたは出頭後いつでも退去することができると規定されています。
つまりあなたは行く必要なんかないんですよ。
大丈夫です。
俺人なんて殺してませんから。
しかし…。
ご協力ありがとうございます。
ではここでお待ちしますのでどうぞ。
とにかく所轄署に行ってみるよ。
大丈夫だから心配しないで。
風間とはあの日初めて会ったんですね?そうです。
そして金をよこせとしつこく付きまとわれた。
そうです。
う〜ん。
風間は何であなたを恐喝しようとしたんですかね?さあ…。
・とにかく大鷹さんに取り次いでくださいよ!あっあの取調室にいらっしゃるんですよね?今取調べ中なんで…。
お願いしますよ!お祭りじゃないんだからそんなに大声出さなくても聞こえますよ。
いいわ。
ありがとう。
江崎和也さんの弁護を担当することになりました澤田吾朗です。
ちょうどよかったお祭り弁護士さん。
澤田吾朗ですよ。
江崎さんの指紋を採らせてもらってもよろしいですか?お断りします。
指紋等取扱規則で逮捕などにより身柄が拘束された場合以外は被採取者つまりこの場合はあちらの江崎和也さんですけどご本人の承諾が必要だと定められています。
ですからこうやってお伺いを立てているんじゃありませんか。
ですからお断りしますって!
(和也)あの…。
何ですか?俺だったらいいですよ。
ええ〜。
ほらごらんなさい。
指紋採取したら和也さんのこと連れて帰りますからね。
すぐ…すぐに連れて帰りますよ!
(雪乃)和也とは別れてもらいます。
自分がどれだけ和也や出島に迷惑をかけてるかも知らないで。
まったくいい気なもんよ。
今回の事件だって何か心当たりがあるんじゃないかしら?大体あなたに料亭の女将は無理です。
東京の大学で何を勉強してきたか知らないけれどお好きな雑誌記者やってたほうがいいんじゃないのかしら?典子さんに何ば言いよったと?和也さんのこと心配しないようにって。
ねえ!?悪かね典子さん。
いいえ…。
・ただいま!吾朗さん!あっ和也さんは?安心してください。
もう板場に戻ってますよ。
ああ…。
藤の間のお客さん間に合わんぞ。
はい!差し出がましいようですが和也さんと典子さんの結婚に反対されているんですか?私は喜んどるとですよ。
あの2人にならすぐにでもこの店ば任せてもよかって思っております。
じゃあ女将さんが…?和也とはいわゆるなさぬ仲というやつでしてね。
女将さん後妻さんなんですか?典子さんが雑誌の記者ば続けたかって言いよったのが気に入らんとかいろいろ言いよっとばってん実際は自分がこの店ばまだまだ続けたかっとでしょう。
はあ…。
(仲居)失礼します。
小包が届いたんですけど宛て名が変なんです。
どれ…。
(卓造)出島内築山悟…。
築山悟?こがん人間うちにはおらんよね。
お客様の中には?調べてみたんですけどいらっしゃいませんでした。
住所はたしかにうちだねぇ。
おい雪乃。
築山悟っていう人を知らんね?さあ…。
開けてみますか?タコですか?長崎ではハタと言うとですよ。
ハタ?きれいだなぁ。
ちょっと…。
イタッ!大丈夫ですか?ダメばい。
ヨマば持っちゃ!これを「ヨマ」ば言うとですがビードロの粉が塗り込んであるとですよ。
ビードロの粉!?本当だ…。
ビードロって言ったらガラスのことですよね?どうしてそんなことしてあるんですか?長崎のハタ揚げは普通のタコ揚げとは違うとですよ。
(卓造)空中でハタ同士ばぶつけて糸ば絡ませ相手のハタば切り落とすという遊びなんですよ。
だったら取扱注意とか書いておいてもらわないと。
ねえ。
痛い…。
「ランタンを見ろ」?えっ?ここに。
「ランタンを見ろ」?何ですかこのメッセージは…。
差出人は?千里眼。
千里眼…!?吾朗さん大変!和也さんがまた…。
えっ!?刑事さん!何ですかまた…。
逮捕状…?16時40分江崎和也を殺人容疑で逮捕しました。
何か物証でも出たんですか?ガイシャの刺殺に使われとった包丁の柄から江崎和也の指紋が検出されたとです。
まさか…。
何かの間違いだ。
間違いだ!和也さん!和也さん!典子さん!和也さんが風間さんを殺すなんてそんなことありえない。
お父さんは?まだ工房だと思います。
家のすぐ裏なんです。
お待たせしました。
ああ…。
どうぞ。
すみません。
あの…ちょっと訊きたいことがあるんだよ。
はい。
典子さん被害者の風間光一って男を知ってるの?やっぱり知ってるんだ…。
さっき風間のこと風間さんって呼んでたから。
付き合ってたことがあるんです。
ほんの短い間ですけど。
それはいつごろですか?東京の大学に通ってたころ…。
でも危ない仕事をしてる人だってすぐにわかって…。
危ない仕事って?詐欺師です。
詐欺師!?それで最近また会ったりしたんですか?1週間程前向こうが勝手に私の職場に押しかけて来たんです。
典ちゃんお客さん。
ああすみません。
(典子)何しに来たの?
(風間)いい街だな長崎って。
住みたくなったよ。
なあ一緒に住もうぜ。
何言ってるの?私もうすぐ結婚するの。
ああそうなんだ。
もう訪ねて来ないでね。
(典子)それっきり風間は私の前に姿を見せませんでした。
その代わり私のことで和也さんに接触していたのかもしれない。
たぶんそうだよ。
あのときのケンカもきっと典子さんのことで何かもめてたんだろうな…。
だからって和也さんが風間を殺すはずがない。
そんなこと絶対にない…。
あっ父さんおかえり。
お客様がみえてるの。
弁護士の澤田吾朗さん。
お邪魔してます。
澤田と申します。
吾朗さんねお祭りが大好きなのよ。
去年の「くんち」のとき知り合って。
くんちのシャギリやドラの音聞いたらもう腰がウズウズしてじっとしてられませんでした。
ハハハ…。
くんちの辻回しも見たんね?はい!いやぁもう豪快で本当最高だったなぁ!あっ…あのお父さんは長崎生まれの長崎育ちですか?当たり前だ。
地げもんたい。
典子酒の用意せんば。
あっいやいや…。
そんなどうぞおかまいなく。
遠慮することなか。
典子!
(りんの音)
(和也)風間から典子と別れろとしつこく言われていたんです。
あの日のケンカもじゃあ…。
それがやっぱり原因ですか?ええ。
ふざけるな!風間の死亡推定時刻のあなたのアリバイはやっぱり証明することはできませんか?誰かに証明してもらうってことは…。
凶器になった包丁はどうでした?やっぱりあなたの包丁でしたか?
(和也)ずっと使っていない包丁でしたけど間違いなく俺の包丁でした。
その包丁っていうのはどこにあったんですか?板場の包丁置き場です。
板前全員の包丁が同じところに置いてあっていつも使ってる包丁以外はなくなっても気づきませんよ。
板場には誰でも入れるんですか?ええ。
店の人間はもちろん自由に入れますし休憩時間なんかだったら勝手口から誰が入って来てもわかりません。
ということは誰でも板場から包丁を持ち出せるってことか…。
何でこんなことに…。
あららら…。
こんな高級なところなの?大丈夫かなぁ?1枚2枚3枚…。
いやぁ〜。
何ボケッと突っ立ってるんですか?ああ…。
来たら来たって言ってくださいよ!これって…。
千里眼です。
あちらにあるのが順風耳。
2人は兄弟で航海の女神媽祖の家来です。
千里眼か…。
千里眼は千里先の悪事まで見通すことができるといわれています。
千里先の悪事…。
つまりあのハタは築山悟の悪事はすべてお見通しだぞというような意味があるのかな…。
どうしたんですか?ああ…いや別に。
あなた!鬼塚典子さんとの不適切な関係を見透かされるようで怖いんじゃないですか?まだそんなこと言ってるんですか?あのねいい加減にしないと僕は怒りますよ!僕はただこの千里眼に興味があっただけでそんな不適切な関係なんて…。
こう見えたって僕は祭り一筋妻一筋できてるまじめな男なんですよ。
それを…。
もう人の話を聞けよ…。
どうぞごゆっくり。
ヤッべーなぁコース料理かよ…。
私がごちそうします。
ここは。
本当ですか?はい。
いやぁそれじゃ遠慮なしにいただきます。
はいどうぞどうぞ。
あっ?チャンポン!?まあいいか。
いただきます。
チャンポンは明治32年この店の初代が中国人留学生のために考案した料理です。
つまり長崎生まれの長崎育ちの料理ですね。
どうです?一味違うでしょ?ここの店のチャンポンは。
うんたしかにうまい!うん。
だけど今すぐ江崎和也さんを釈放してくれたらもっとおいしく食べられるんですけどね。
釈放するかしないは私が決めることです。
人の指図は受けません。
話が出来すぎてると思いませんか?和也さんの状況証拠にしたって凶器にしたって出来すぎてますよ。
きっと誰かが和也さんのことを陥れようとしているんです。
まあね。
私だってそういう可能性を考えないわけじゃありませんよ。
だったら何で逮捕したんですか?今の状況ではどう考えても江崎和也がホンボシです。
違うという可能性も少しは考えているのなら他にも何か真犯人につながるような証拠が出ているんですね?しまった…。
やっぱり…!餃子頼むの忘れていました。
風間って男は詐欺師だったんでしょ?広域捜査官である大鷹さんもそれで追っていたんじゃないんですか?つまりその線で風間が殺害された可能性だって十分考えられるわけですよ。
やっぱり餃子頼もうかなぁ。
餃子でも何でも頼んでいいですから風間のことぐらい教えてくださいよ!ちょっとどこ行くんですか?餃子の注文です。
ねえちょっと!人の質問にちゃんと答えてくださいよ。
大鷹さん!あっ!これ…これもだ。
こんなにたくさん…。
風間って男は全国のいたるところで土地をネタにありとあらゆる詐欺行為を繰り返してきた男です。
もうちょっとでね逮捕ってところまで追いつめたのに残念だ。
大鷹さんありがとうございました。
いやいや。
ここね僕におごらせてください。
ノー!贈収賄になります。
ただのチャンポンですよ。
ここは私が払います。
はあ〜。
何だよあそこだけかよ!?何ブツブツ言ってるんですか?不倫弁護士ー!澤田吾朗です。
それだったらお祭り弁護士のほうがまだましですよ!大丈夫ですか?そんなに酔っ払って…。
酔ってませんよ。
ただ若干思考と体のバランスが狂ってます。
それを「酔ってる」っていうんですよ。
もう…。
チャンポン食ったあとにね…。
今度はあれだけ酒をチャンポンで飲めば誰だって酔うんですよ。
で結局俺持ちなんだもん。
大鷹さん大体あなたはね…。
あれ?大鷹さん!?ああっ!気持ち悪いんですか?大丈夫ですか?嘔吐感があります。
うっ…。
ああダメダメ。
こんなところで吐いちゃダメですよ。
・離せよ!辰巳さんとお父さん?お先におやすみなさい。
ああちょっと…。
ダメですよ大鷹さん。
こんなところで寝ちゃ…。
ねえ大鷹さん!大鷹さんって!心配しなくても大丈夫ですよ。
このあと警察に行ってまた和也さんの釈放を頼んでみます。
お願いします。
本当吾朗さんがいてくれたおかげで心強いです。
いや弁護士として当たり前の仕事をしているだけですよ。
あれ?手袋…。
あああそこだ。
すみません。
取って来ます。
手袋…?そうだあのとき!和也さん手袋してた!すみませんお待たせしました。
典子さんごめん!吾朗さん!?風間は刺される前に犯人ともみ合った形跡があるんですね?それはもう何回も申し上げました。
だったら風間が着ていたこの皮のジャケットからも当然犯人の指紋が見つかっているわけですよね?当然です!皮のジャケットから江崎和也さんの指紋は見つかったんですか?言えません。
ジャケットから和也さんの指紋は検出されてないんですね!?言いたくありません!凶器の包丁からは指紋が見つかってるのにどうして皮のジャケットからは和也さんの指紋が見つかってないんですか?ノーコメント!和也さんは無実です。
すぐに釈放してください。
それとも検察に送致するおつもりですか?もうタイムリミットですよ。
まだ逮捕してから48時間経ってませんよ。
あと2時間もありません。
ほら…。
あっ!大鷹さん。
ああっ!大鷹さん!ああっ!大鷹…。
・お待ちどうさまでした。
遅い!注文してから28分も経ってるよ。
人の話を聞いてくださいよ。
大鷹さんもう…。
はいおつり…。
領収書もね。
うん?これ何ですか?長崎名物トルコライスたい。
トルコライス!?どこがトルコなんですか?スパゲティはどこの国ね?イタリア。
トンカツは?日本。
じゃあその中間は?トルコ!?だけんトルコライスたい。
まいど!本当かなぁ?それ…。
大鷹さん…食べてないで和也さんのこと釈放してくださいよ。
あと2時間待って何も新事実が出てこなければお帰りいただきます。
本当ですね?本当です!よし!典子さん!さっきはごめん!和也さん釈放されるよ。
本当ですか!?うん!保証する。
じゃあ和也さんの容疑はすっかり晴れたんですね?それは…。
真犯人が捕まらない限り容疑がすっかり晴れることにはならないね。
真犯人を捕まえてください!ちょっと待ってよ。
僕は弁護士だよ。
犯人捜しは警察の仕事じゃない。
じゃあ自分で捜します。
そんな!素人にはそんなこと無理だって!無理でも捜します!典子さん!?典子さん待って!典子さん!典子さん!典子さんちょっと待って。
ねえ典子さん。
典子さんちょっと待って。
これ以上和也さんに迷惑かけたくないんです!このままだったら私たちの結婚だって…。
ちょっと…。
わかったから!とにかく和也さんが釈放されるのを待とう。
それから次のことを考えようよ。
ねっ?典子さん…。
じゃあ行きましょう。
あのハタ…。
ハタの柄ってたくさんあるのかな?今あるのは50種類くらいだと聞いています。
それぞれに名前とかもついてるんですか?ええ。
たしかあれは「山形」だったと思います。
山の形か…。
出島に送られてきたハタも山形でしたよね。
典子さんも見たの?ええ。
でもなぜかあれにはピッケルも描いてあった…。
ピッケル!?そうかあれはピッケルだったんだ。
あれがピッケルだとしたら…。
あのハタ全体で山登りを意味していたのかな?山登り?
(携帯電話)はい澤田です。
わかりました。
すぐ署のほうに伺います!和也さんよかった…。
釈放感謝します。
ああ…それはどうでしょうかね?えっ?
(典子)父さん!?どういうことですか?鬼塚龍太郎さんに任意同行をお願いしました。
こちらです。
理由を説明してください。
殺された風間の着衣からガラスの粉が採取されていたんです。
そのガラスの成分を分析したところ鬼塚さんの作っていたビードロの成分と一致したんですよ。
それは間違いないんですか?そういうことですから。
長崎ではガラス製品のことをビードロって呼ぶんです。
長崎は日本でのガラス発祥の地で1670年代にはもうビードロが作られていたそうです。
こういう色はどうやってつけるの?
(小室)ビードロは化学とです。
カガク?バケガクのほうの化学。
色ば出すとにはガラスに金属酸化化合物ば混ぜるとです。
例えばこのグラスの瑠璃色を出すとには…。
これです。
酸化マンガンと酸化コバルトば混ぜる。
これです。
工房によってビードロの色あいも微妙に違うんですか?違うとよ。
色ば見ただけでどこの工房で作られたものかすぐにわかっとよ。
それじゃあ金属酸化化合物の調合の割合なんかも微妙に違う?違うと。
だからガラスの成分を分析すればビードロ工房が特定できるっていうわけか…。
龍太郎さんが出す瑠璃色は絶品たい。
誰にもあの色は出せんと。
あの人の頭の中には典ちゃんとビードロのことしかなかとよ。
そがん男が典ちゃんが悲しむようなことするわけなか。
(飯田)俺もそう思います。
親父さんにとっては典子さんが一番大事なビードロなんですよ。
父さん!申し訳ありませんが明朝10時にまたお越しください。
まだ龍太郎さんに訊くことがあるんですか?風間の殺された夜風間と会ったことは認めましたよ。
会った時間は?風間の死亡推定時刻と一致しました。
えっ…!?まあ娘思いのお父さんとしたら風間みたいな男に娘が付きまとわれたら大変だと思ったんでしょう。
そこで思いあまって…ブスッ!勝手な推理するのはやめてください。
だったらどうして娘の婚約者である和也さんの包丁を凶器なんかに使ったりするんですか?お父さんこちらとの結婚に反対しているでしょ?罪を着せるのにちょうどいいと思ったんじゃないですか…。
ふざけるな!お義父さんがそんな汚いことするわけないだろう!?
(卓造)しらばっくれるな!ここの土地の権利書ばどこにやった?おいに隠れて何ばしよっとか!?どうして私ばっかり疑うの?和也さんだって持ち出せるでしょ?和也がそんなことするか!
(携帯電話)
(車内アナウンス)「まもなく…」
(携帯電話)はい澤田です。
(和也)「江崎です」ああどうも昨夜はごちそうさまでした。
「それより大変なんです!すぐ来てもらえませんか?」ええ!?たしかにここの土地の名義は変更されていますね。
1週間前に江崎卓造さんから江崎雪乃さんになってる。
しかも分筆された10坪程の土地は風間光一名義だ。
あの…分筆って何ですか?1つの土地を分けて別々に登記することを言うんです。
今現在この土地の一部は風間の土地っていうことになってます。
でもたった10坪ですよね?どうしてそんなこと?この土地が再開発計画に引っかかっているでしょ?それを狙ったんですよ。
つまりこの土地が買い上げられることになるとしますよね。
そのときに風間は売らないと言ってゴネるんです。
しかしたとえ10坪でも買い取らないと計画はまったく進まない。
だからわずか10坪でもそれを何千万も出して買うことになるんです。
よく暴力団が使うシノギの手口ですよ。
またあの男か…!雪乃の奴!なんてことば!女将さんはどこですか?それが昨日問い詰めたら家ば飛び出してしもうて…。
おい俺の包丁知らんね?さあ…。
おかしかなぁ…。
風間が長崎に来たのはやっぱり出島の土地が目的だったのか…。
もっと早く捕まえとけばよかった。
しかしそうなると江崎雪乃が風間を殺害したという線も出てきたわけですよね。
うん…。
とにかく一刻も早く女将さんを捜し出さないと。
よろしくお願いします。
ええ。
それと典子さんのお父さんどうですか?いやこれがね無口を絵に描いて額縁に納めたみたいな人でね。
この調子だとまた明日もお出でいただくことになりますね。

(祭囃子)おはようございます。
お願いします。
はいいってらっしゃいませ。
(携帯電話)はい澤田です。
えっ!?わかりました。
すみません。
ちょっとすみません。
すみません。
困ります。
弁護士の澤田です!
(菊地)ああ入れてやれ。
そんな…!お待たせいたしました。
この度はご愁傷さまでございました。
ええ…早速ですがこれを見てください。
これは雪乃さんの殺害に使われた凶器です。
これは辰巳さんの…。
えっ?間違いありませんか?はい。
間違いなかです。
昨日から見当たらんで捜しとったとですよ。
それに気づいたのは昨日の何時ごろですか?たしか…。
おい昨日の何時ごろやったかな?仕込み始めてすぐやったけんが11時ぐらいじゃなかとですか?ということは昨日の午前11時より前に何者かが持ち出したということですね。
その前の晩は?前の晩はたしかにあったとです。
ありがとうございました。
鬼塚典子さん。
はい。
あなたは昨夜9時から11時の間どちらにいらっしゃいましたか?ちょっと待ってくださいよ。
どうしてそんなこと典子さんに訊くんですか?今回の連続殺人事件における重要参考人として伺っています。
典子を疑ってるっていうんですか?和也さんここは僕に任せてください。
ねっ?大鷹さん典子さんの一体どこが疑わしいっていうんですか?まず2人を殺害するに足る十分な動機を持っています。
彼女にとって風間は結婚に向けての大きな障害だった。
それと同じく和也さんとの結婚に反対していた雪乃さんも障害だった。
それに雪乃さんはこの土地の名義を書き換えていますよね?将来の若女将としてはそのことが許せなかったんじゃないですか?そんな…。
そうですよ。
何で典子さんがそんなことを…。
しかも彼女には風間の死亡推定時刻のアリバイがない。
その時間お父さんが家にいなかったために誰も彼女のアリバイを証明できないんですよ。
さて典子さん昨夜の9時から11時の間はどこにいましたか?雑誌の編集部で仕事をしていました。
そのことを証明する人は?いません。
1人で残業してましたから。
あの包丁もあなたなら持ち出せますよね?待ってください!風間は和也さんの包丁で殺され女将さんは辰巳さんの包丁で殺されているんですよ。
和也さんも辰巳さんも典子さんにとっては大事な人なんです!そんな人の包丁をわざわざ凶器に使うわけはないでしょうが!そこですよ!えっ?そういう思い込みを逆に利用してるとしたら?そんなこと私…。
詳しい話は署のほうで伺いましょうか?典子じゃなか!2人を殺したのは…このおいたい!父さん!?何言ってるの?父さん!おい!典子…!一体どうなってるんだよ。
この事件は…。
吾朗さん何とかしてくださいよ。
このままじゃ俺たちの結婚だって…。
吾朗さんお願いします。
お願いします!こんなときに千里眼がいてくれたら…。
千里眼…!?あった!きっとこれが今回の事件とどこかでつながってる。
「ランタンを見ろ」…。
きっと山登りに関係あるランタンです。
それに絞って探してみましょう!ここのランタンは?ここは手作りランタンコンテストの会場なんです。
手作りしたランタンを誰でも出品できるんですよ。
それを一般のお客さんが投票して順位を決めるんです。
あの…あのランタンは?ほらあの黄色くて山登りにかぶる帽子みたいな…。
キャップランプみたいですね。
キャップランプ?ええ。
鉱山に入るときにかぶる…。
ああ…!名前が書いてありますよ。
築山悟…!?そうか!このピッケルだと思っていたのはツルハシだ!昔は炭鉱でツルハシを使っていたって聞いたことがあります。
だとしたら「山形」の山は山でもボタ山だ。
これ全部で炭鉱を意味してたんですよ!吾朗さん!見てくださいよ。
あの番号札の裏の名前を…。
風間光一!?千里眼は風間光一だったんだ!一体風間はこんな手の込んだことをして何が言いたかったんでしょうね?風間が出島の女将と組んでいたことは間違いない。
そのことを築山悟という男が知っていたとしたら…?風間は千里眼を騙ることで築山悟に脅しをかけようとした。
しかしその前に殺されてしまったと…。
ということは…ひょっとすると江崎雪乃も築山悟に…。
その可能性は大きいですね。
築山悟…。
一体誰なんだ?そこまで考えてるんだったら典子とお義父さんを早く帰してください。
そうはいきません。
いいですか?この築山悟が鬼塚龍太郎あるいは鬼塚典子でないと誰が言えますか?それに風間の小包が出島に届いたということはご主人の卓造さんだという可能性もある。
どこまで疑えば気がすむんだ!まあまあ…和也さん。
申し訳ありませんね。
捜査というものはあらゆる可能性を考えてやらなければいけないんです。
しかし何で2人を殺したなんて言ったんでしょうね…。
そりゃ大鷹さんが典子さんのことをまるで犯人みたいに言うからそれで思わず…。
それだけでしょうか!?まあいいでしょう。
今日のところはお2人にはお帰りいただきますか。
窯の火って落とさないんだね。
火を落とすのは半年に一度ぐらいです。
そうなんだ。
ねえ吾朗さん。
さっきの話の続きなんですけどハタを送りつけた風間はやっぱり築山悟に炭鉱を思い出させるためだったんじゃないでしょうかね?炭鉱の何を?そこまではわからないよ。
出島の関係者で昔炭鉱で働いていた人なんかいますかね?
(和也)います。
うちの親父です。
和也さんのお父さん?若いころは出島を継ぐのが嫌でしばらく夕張の炭鉱で働いていたって聞いたことがあります。
夕張の炭鉱か…。
築山悟にとって炭鉱っていうのは何か大きな意味があるのかもしれませんね。
前に親父に聞いたことがあるんですよ。
炭鉱で落盤事故に遭った人の話を。
その人はその後二度と坑道にもぐれなくなってしかも真っ暗なところもダメになったらしいです。
だったらうちの父もです。
お義父さんも?夜寝るとき電気を消さないの。
普通にこういう状態で寝てるってこと?ええ。
もうずっと昔から。
おはようございます。
典子さんいらっしゃらないんですか?朝から出かけとる。
あのお父さんちょっとお伺いしたいんですけど昔炭鉱で働いていたなんてことありませんかね?典子も同じことを訊きよった。
そげんことなか。
ああ…。
じゃあ夜眠るときに電気つけたまま眠るそうですね。
それはどうしてですか?理由なんかなか!子供のときからそうやった。
ああそうですか。
これやっぱりいい色してます…。
何すっとか!仕事の邪魔たい。
参ったなぁ…。
お父さんはどうして典子さんたちの結婚に反対なんですか?男親が娘を嫁に出すのはたしかにつらいだろうって思います。
僕が結婚したときかみさんの親父さん説得するのそれは大変でしたからね。
でもやっぱり一番大事なのはお互いの気持ちなんじゃないかなって思うんですよ。
それが…。
おいこっち来いね。
はあ…。
どっちが手作りかわかっとか?たぶんこっちです。
どがんしてそが思う?こっちは底にヘソみたいのがあるけどこっちはほらきれいだからです。
フンッ!逆ぞ。
こっちがおいが作ったと。
あんたが選んだほうは台湾の工場で大量生産されたものたい。
最近はここらの店でもこがんとが長崎ビードロとして売られとるたい。
何がおっしゃりたいんですか?本物も見抜けんような若造が人に意見ばするなって言いよっとさ。
わかっとっとか!たしかに…。
たしかに若造かもしれませんけどでも僕にだってあの2人の気持ちが本物だってことぐらいわかりますよ。
お父さんこそどうして2人を応援してあげられないんですか?典子さんに幸せになってほしくないって言うんですか?何で典子さんのお父さんは結婚に反対されているんですかね?それがわからないんですよ。
最初から付き合うことも反対されていたんですか?いいえ。
初めて典子の家に行ったときは逆に大歓迎されたんです。
飲まんね。
えっ飲まんね。
(和也)本当に気に入ってくれたみたいで…。
朝まで飲もうって言ってくれたんです。
じゃあいつごろからお父さんの態度が変わったんですか?典子が言うには俺が出島の跡取りだって分かったときからじゃないかって。
それは料亭には嫁がせたくないということなんですかね。
そういうことではないみたいです。
昔この店と何かあったとか?俺もそう思って親父に訊いてみたんですよ。
でも親父も心当たりないって。
女将さんには?訊いたことありません。
(辰巳)失礼します。
あらぁどがんしたとですか?そんな浮かない顔ばして…。
いえ…。
おひとつどうぞ。
ああすみません。
気を使わないでください。
板場の片付けはあとで俺がやりますんで…。
ああ…。
今日はもうおおかた片付いたけんね。
今日はもうよか。
すみません。
ではごゆっくり。
あっあの辰巳さん。
はい?典子さんのお父さんとこの店と何かトラブルのようなことがあったとか聞いたことありませんか?さあ…。
典子さんのお父さんのことば知らんですけんね。
えっ?離せよ!じゃあ失礼します。
あっ停電かな。
いやブレーカーが落ちたんじゃないですかね。
ちょっと見てきます。
(辰巳)わっわっ…。
辰巳さん?
(辰巳)はあはあ…。
辰巳さん大丈夫ですか?わあー!辰巳さん!辰巳さん!辰巳さん…。
はあ…。
典子さん!どうしたの?あの…私見てほしいものがあるんです。
ちょっとこっちで。
はあ…参ったなぁ。
築山悟が死んでたなんて…。
私複数の資料で調べました。
間違いありません。
この28年前に落盤事故が起こった国島炭鉱ってどこにあるの?長崎沖の島にあった海底炭鉱です。
もう10年くらい前に閉山になってますけど。
この一緒に亡くなった人の名前聞いたことある?いいえ。
築山悟は死んでいた…。
どういうことなんだ…!?和也さん典子さんのお父さんが裏におみえになってます。
わかった。
あのすぐ戻りますんで。
忙しい時間に悪かね。
とんでもないです。
それより典子に何かありましたか?いや…そげんことなか。
ちょっと話ばしておきたいことがあるとよ。
今さらこげなこと言えた義理じゃなかばってん典子ばもらってやってくれんね。
典子はあんたしかおらんとよ。
典子を幸せにできっとはあんたしかおらん。
頼む!お義父さん…。
このとおりばい!やめてくださいよお義父さん。
頭上げてください。
俺のほうこそまだまだ半人前ですけどよろしくお願いします!これで安心したばい。
あっ仕事の邪魔ばして悪かったね。
いえ…。

(携帯電話のバイブレーション音)はい。
(和也)「ああ俺」和也さん?どうしたの?仕事中でしょ。
「うん…。
さっきお義父さんが来たんだ」父さんが?「何か様子がおかしかったからちょっと気になってな…」様子がおかしいって?《築山悟は死んでいた…》《でもどうして風間は死んでいる人間にこんな物を見せようとしたんだ?》《それと築山悟と一緒に死んだ米倉常二》《この人は…?》ひょっとして…。
(目覚まし時計の音)父さん!
(目覚まし時計の音)
(目覚まし時計の音)父さん!父さん!?
(目覚まし時計の音)父さん…!?
(典子)父さん?父さん!父さん!いないの?
(アナウンス)「お客様のお呼び出しを申し上げます」「米倉常二様米倉常二様」「お嬢様が中央デッキでお待ちです」「お客様で米倉常二様米倉常二様」「お嬢様が中央デッキでお待ちです」典子…。
父さん私を置いてどこに行くつもりだったの?やっぱりそうだったんですね?あなたの本当の名前は米倉常二。
しかも長崎生まれの長崎育ちなんかじゃない。
京都生まれの京都育ちです。
何ば言うとっとね!おいは鬼塚龍太郎さ。
長崎生まれの長崎育ち。
地げもんさ!だったら何で長崎くんちの話をしたときにあんな間違いをしたんですか?くんちのシャギリやドラの音を聞いたらもう腰がウズウズしてじっとしてられませんでした。
くんちの辻回しも見たんね?お父さんあのときくんちの辻回しも見たのかって俺に言いましたよね?あのときは気づかなかったけどくんちは「辻回し」じゃなくて「引回し」ですよね?辻回しは京都の祇園祭で使う言葉です。
長崎と同じように京都も祭りどころです。
やっぱりずっと祭りの中で育った人間にはその土地の祭りが体に染みついてるもんなんですね。
あの島ですよね?28年前炭鉱の落盤事故が起こった島は…。
そのときの事故で亡くなったのは米倉常二と築山悟じゃなかった。
本当に亡くなったのは鬼塚龍太郎さんと辰巳春夫さんだった。
つまり本当は米倉常二だったあなたはそのとき亡くなった鬼塚龍太郎さんと入れ替わり同じく本当は築山悟だった出島の板長は辰巳春夫さんと入れ替わった。
一体28年前に何があったのか話してもらえませんか?父さん話して。
父さん!あれは…突然やってきた。
助けてくれ!築山ー!待ってくれー!米倉ー!あっ!辰巳さん!鬼塚さん!アホ!放っとけ!
(龍太郎)あのとき無理してでも2人ば助けとったら…。
ばってん俺は働き始めた新米坑夫…。
あのときはそげん余裕はなかった。
父さんここに「ずっと嘘ついてて悪かった」って書いてあるよね。
もしかして私の本当のお父さんは…。
落盤事故で亡くなった鬼塚龍太郎さんばい…。
何でそんなことに…?すまん…。
全部話して!すまん…。
すまんじゃわからないでしょ。
父さん!その続きは僕が話すよ。
典子さんにも真実を知る権利があると思うんです。
だからお話しします。
お父さんと出島の辰巳は炭鉱で働く前強盗事件を起こして指名手配されていたんだよ。
あの炭鉱に潜り込んだのは2人して身を隠すためだったんですよね?そこで幸か不幸か落盤事故に巻き込まれそれを利用してあなた方2人は他人に成りすました。
同時に指名手配されていた2人は落盤事故で亡くなったわけだからもう警察に追われる心配もなくなった。
じゃあ私と父さんの28年間は…?嘘でしょ?嘘だって言ってよ!父さん!そんな…。
あなたは隠してきた過去をネタに辰巳に脅かされていたんじゃないですか?離せよ!娘にバラしてもよかとか!?可愛いか娘ば泣かせとうはなかやろ?だったら俺の言うとおりにしろ。
だからあのときあんなことを…。
典子じゃなか!2人を殺したとこのおいたい!あれも辰巳から脅かされたうえでのことだったんですね?・築山さん。
あなたの本当の名前は築山悟さんですよね?何ばおっしゃっとっとですか?私の名前は辰巳春夫ですよ。
十数年前に風間光一と組んで土地絡みの詐欺をはたらいていたころはずいぶんいろんな名前を使っていましたよね。
でもそのころ1回だけ「築山悟」と名乗ったことがあったんですよ。
まあ魔が差したっていうのか気が緩んだのか…。
それとも偽名を考えるのが面倒くさくなっちゃったんでしょうかね?また昔の悪い病気が出たようですね。
このあたり一帯が再開発されることを知ったあなたはそれを利用して儲けない手はないと考えた。
そこでまず色と欲に飢えていたここの女将さんをたらし込んでさらには詐欺仲間の風間光一を利用して自分の手は汚さずに儲けることを考えた。
しかしあなたより風間のほうが役者が一枚上でした。
どがんことや!?何で分筆されとる?貴様!俺のことをおちょくりやがって!辰巳さんそんな興奮しないでくださいよ。
悪いようにはしませんて。
そげんことな信じられるか!お前のことはおいが一番よう知っとる!人のことを利用することしか考えとらんくせしやがって!お互いすねに傷持つ身じゃないですか。
仲良くやりましょうよ。
ねっ築山さん。
ねえどうするの?殺したる…!そのときからあなたはずっと風間を殺す機会を狙っていたんでしょ?
(龍太郎)誰がお前に金ば出すか!?だったら典子に頼むしかないな。
貴様!ああ…。
さすが昔の相棒たい。
手間ば省いてくれたばい!風間もう一度生意気な口ば聞いてみろ!そうやって風間を殺したあとだ。
あんたを脅かそうと思って風間が送ったこのハタが出島に届いたのは。
予定外のことにあんたは焦った。
しかもここの土地の名義が変わっていたことが早々にバレたこともそれに追い打ちをかけた。
私が名義変更したってバレちゃったんでしょ?ねえどうするのよ?どがんするもこがんするもなか。
こいは風間とお前がやったことになっとるけんおいがやったという証拠はどこにもなかやろ。
何ですって!?私を見捨てる気?見捨てるんじゃなかよ。
こがんすっとよ!私何も言わない。
信じて!あんたはそうやって2人を殺したんだ。
それなのに龍太郎さんのことを脅かして自首しろなんてあんたよく言えるな!フフ…。
ハハハ…。
澤田吾朗。
あんたさえ祭りに来んやったらな。
築山悟署まで同行願います。
わあー!往生際が悪いぞ!やめなさい!くそー!待てー!築山!いやぁ…!
(和也)典子!下手な真似ばしてみろ!こいつの命がなかぞ。
いや…。
築山…。
どけ!言うとおりにしなさい!どこまで卑怯な男か!?貴様…!こっちだ築山!典子!離せ離せ!離せよ!築山悟殺人容疑で逮捕する。
お父さん大丈夫ですか?父さん?父さん!あっちょっと…!
(卓造)おい!救急車たい!はい!あのハンカチありますか?はい。
ちょっと上げましょう。
父さん父さん!典子…。
1つだけ本当のことがある。
いいからしゃべらないで。
落盤事故のあと本当の鬼塚龍太郎さん宛てに手紙が来た。
しゃべらないでって言ってるでしょ!?女子が生まれたという知らせやった。
おいは罪滅ぼしのため病院ば訪ねた…。
申し訳ございませんでした。
奥さんのことを救えなくて…。
(龍太郎)お前のお母さんはお前を産んですぐに死んでしもうたと…。
しかもお前には身寄りも何もなかっていうじゃなかね。
(看護士)抱いてあげてください。
お父さん。
わかるのねお父さんが。
うれしいね!
(龍太郎)おいはそのとき誓った。
心ば入れ替えてこの子の父親として一生生きていかんばって。
典子。
お前がおいを救ってくれた…。
お前に会うとらんやったら…。
おいは…!これだけは本当たい…。
だから典子さんのことだけ考えて必死に生きてきたんですよね?典子さんの幸せだけを考えて。
だったら最後まで責任持ってよね。
だって私まだ幸せじゃないもん。
お前のことは和也君が幸せにしてくれる。
もう誰も2人の邪魔ばするもんか。
もちろん和也さんとは幸せになる。
でもそこには父さんもいてほしい!父さんがいなきゃダメなの!典子さんのお父さん早くよくなるといいですね。
ああこれが有名な眼鏡橋だったのか…。
たとえ罪を犯しても人間必ずいつか償えますよね。
どこが眼鏡なんだ?そう信じているからこそ僕たちもこういう仕事を続けていけるんですよね?ねえこの橋のどこが眼鏡なの?もう…人がせっかくいい話してるっていうのに!あのですね眼鏡橋というのは橋を渡ってるだけじゃわからないんですよ。
1回橋から離れてみるの。
するとこの水辺にこう…。
ああ気持ちいい!やっぱり春はお腹が空くね。
まだ説明終わってないんですけどね。
あのねカレー味のチャンポンのおいしい店見つけたのよ。
行こう。
何なんだよこの人は…。
行こうって行こう!大鷹さんの頭には食べることしかないんですか?食べることは生きることの基本です。
僕だって祭りは生きることの基本ですよ!祭りがなかったら生きていけませんからね僕は。
でもさ祭りにも食べ物はつきものでしょ!でも祭りがあるから食べ物がついてくるんですよ。
違いますよ!祭りのほうは家来です。
食べ物が親分です。
違います。
祭りが王様。
食べ物が家来。
決まってますよ!
こちら福岡県福岡市にあるオシャレなカフェレストラン
…と思いきや
2016/01/27(水) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
お祭り弁護士 澤田吾郎 長崎ランタン祭り連続殺人事件![再][字]

長崎ランタン祭り連続殺人!瑠璃色のビードロに父と娘の秘密が…“山車”が暴いた真犯人!

詳細情報
◇番組内容
人気シリーズ第4弾。今回は、中国の旧正月・春節祭を祝う「長崎ランタンフェスティバル」が舞台。高嶋政伸は長崎の祭りに欠かせない龍踊り(じゃおどり)に挑戦!
◇出演者
高嶋政伸、野際陽子、芳本美代子、梅沢富美男、深水三章、岡まゆみ、ひかる一平、麿赤兒、四方堂亘 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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