(ヘリコプターの飛行音)
(木村)うわっ!あっ…!ヘ…ヘビが…!
(篠原孝介)おい木村!大丈夫か?
(上遠野隆彦)落ち着け木村。
(銃声)木村!大丈夫か?行くぞ!爆破。
(爆発音)うわあっ!
(爆発音)
(銃声)
(篠原)木村!
(銃声)ああっ!
(銃声)
(木村)うわあーっ!木村!うわあ!ああ…!
(銃声)木村…!
(バーのママ)いらっしゃいませ。
ごめんなさい。
(メールの着信音)はいどうぞ。
(吉野茂久)ありがとう。
あらこんな時間にメール?かみさんだよ。
(吉野)「先に寝てる。
明日は起こさないでいいから」…だとさ。
たまには「早く帰ってきてね」くらい言えないのかね。
あんな美人で才能ある奥さんつかまえてその言い方はないんじゃない?おかげで遠慮なく飲めるか。
ああもしもし救急車をお願いします!そうです!港区白金…吉野です!
(神戸尊)警備部ですか?
(中園照生)そうだ。
お前さえ希望すれば古巣に戻れるように口を利いてやってもいい。
なるほど。
僕を異動させて杉下警部を孤立させようとお考えなわけですか。
(内村完爾)何?いえ…。
せっかくのお誘いなんですけど当分はこれからの事じっくり考えたいと思います。
なんてったって特命係は暇ですから。
うわっびっくりした…。
(角田六郎)おう朝から暇か?おはようございます。
あれ?杉下警部は?ああ警部殿ならついさっき出ていったけど。
え?鑑識の米沢からご注進があってさなんでも白金で女性の不審死体が見つかったとか。
置いてきぼりかよ!
(芹沢慶二)被害者はこの家の住人で吉野湘子さん41歳。
(芹沢)ペンネームは水元湘子だそうです。
(伊丹憲一)水元湘子って聞いた事あるな。
ええ人気女流作家ですよ。
(米沢守)日本の小説界は大いなる才能を失ってしまいました…。
(伊丹)特命係を呼んだ覚えはありませんが。
(米沢)私がお呼びしました。
何かご不満でも?何開き直ってんだよ。
(杉下右京)死因は?
(米沢)ああ…。
左手首の動脈を鋭利な刃物で切断。
傷口の形状から見ておそらく凶器はこちらで間違いないかと。
この家の台所で使われていたキッチンナイフです。
指紋などは一切検出されませんでした。
犯行後に拭き取ったんですかね?ええかなり出血したはずですが床の血液もきれいに拭き取られてますね。
ひょっとしたら足跡を拭き取った可能性も…。
(伊丹)ご主人ちょっとよろしいですか?
(吉野)はい。
このサイドボード開いたままだったんですが中に何が入ってたんです?あれ?妻の写真と…原稿がないな。
原稿…。
他になくなったものは?いや…。
財布やカード類は手つかずでした。
金目当ての物取りじゃなさそうだな。
ちょっとお話聞かせてもらえますか?はい。
昨夜から今朝にかけての事お聞かせください。
はい。
昨日は会社に1人で残って残業してました。
3時前に会社を出て1杯飲んで帰ろうと思って赤坂の「樽」という行きつけのバーに寄りました。
樽…。
奥さんに電話はされなかったんですか?いえ。
あっでも店に入ってすぐ…3時10分くらいだったと思うんですけど妻からメールがありました。
これです。
失礼。
あっそうだ。
…あどうも。
ちょっと待ってくださいね。
米沢さんこれいいですね?
(米沢)ああどうぞ。
被害者の携帯電話です。
(芹沢)ああ履歴ありますね。
先に寝てるっていうからそのまま飲み続けて…。
で明け方5時に帰ってこられた。
現場に向かうならひと声かけてくれてもいいんじゃないですか?何をそんなに怒っているのでしょう。
置いてきぼりを食らったんですよ。
怒りたくもなるじゃないですか。
ですが君はちゃんと僕の行き先を突きとめて今ここにいる。
なんの問題もないじゃありませんか。
被害者の夫は出版社の社長だそうです。
独立系出版社白秋社を一代で大きくした出版界の寵児だと聞いています。
浴槽からも血痕が出たのでしょうかねぇ。
つまり返り血を浴びた犯人がここで洗い流した。
おや…。
シャトーマンシェット1998年。
食べてないのに捨てられてある。
仕事部屋は手つかずですか。
おっ…。
スイートドリーム。
でこちらが著作と。
取材用の資料ファイルでしょうかねぇ。
きちんと順番に並べられています。
え〜…。
「堕栗花」と読みます。
梅雨入りの別名です。
へ〜。
読んだ事あるんですか?いえ読んだ事はありませんが確かオリオン文学賞を受賞した被害者の代表作のはずです。
あっ…こりゃどうも。
やはりファンでしたか。
あぁこれ…。
ファンなどという生易しい言葉では定義出来ません。
これは失敬。
だから事件発生を聞いて真っ先に杉下さんに連絡したんですね。
ええ。
こちらが検視の結果とそれから水元湘子の私物です。
失礼。
死因は手首の傷による失血死ですか。
死亡推定時刻は午前2時から4時の間です。
午前3時10分夫の吉野茂久に被害者の携帯電話からメールが送られています。
犯行はそのあと3時10分から4時の間でしょう。
室内からは不審な指紋は見つかっていませんが玄関のドアノブから夫とも被害者とも一致しない指紋が検出されています。
こちらは被害者の手帳ですね?ええ。
岡崎君…。
はい?「岡崎君からの資料到着」「岡崎君と白秋社で打ち合わせ」「岡崎君と打ち合わせ」頻繁に会ってますね岡崎君と。
(伊丹)ストーカー?
(社員)はい。
(社員)熱烈な水元湘子先生のファンで新刊が出る度に…こんな分厚い感想の手紙を送ってくるんで有名な奴なんです。
(橋田智美)先生と社長のご住所まで突き止めて家の周りを徘徊したり最近はネットに先生の殺害を匂わすような文章まで書き込んでて。
川芝直哉…。
よしこいつ当たるぞ。
はい。
じゃあこれお借りします。
じゃ失礼します。
(伊丹)ったぁ…。
お済みですか?
(伊丹と芹沢のせきばらい)警視庁の杉下と申します。
同じく神戸です。
すみませんねぇ入れ代わり立ち代わり。
こちらの編集部の岡崎さんという方は…?岡崎は今出張中なんですが…。
出張?はい。
25日まで韓国に。
韓国。
先生に頼まれた取材で。
という事は岡崎さんは水元湘子さんの…。
はい。
アシスタントで今年に入ってから取材や資料集めをずっと担当してもらっています。
取材とはちなみにどのような?環境問題をテーマにした取材で現地の空港を見て回るとか言ってましたけど。
なるほど…。
新作のテーマは環境問題ですか。
(管理人)ここです。
(伊丹)開けてください。
川芝さーん。
川芝さん!入りますよ。
うぅ〜わっ。
これ全部水元湘子がらみのものですよ。
(芹沢)やばいなこいつ。
川芝の野郎完璧にいかれてるな。
(芹沢)あっ。
先輩これ。
水元湘子の家ですよこれ。
(伊丹)決まりだな。
(伊丹)鑑識呼んで指紋調べさせろ。
(芹沢)はい。
水元湘子の家の玄関から出た指紋川芝直哉って男のものと一致したそうです。
重要参考人として一課が総出で行方を追ってるみたいですよ。
…あれ何か?水元湘子の資料ファイルです。
あっ…。
アシスタントの岡崎敦也という人は今年に入ってからずっと資料集めや取材の手配をしていたそうです。
ですが仕事部屋の資料ファイルは去年までのものしかありませんでした。
(杉下の声)あれほど年代別に資料ファイルが収められているのになぜ今年の資料ファイルがないのでしょう。
川芝が生原稿や写真と一緒に持ち去った。
川芝は熱狂的な水元湘子のファンでネットに殺害をほのめかす書き込みまでしていました。
それを実行に移すために自宅に押し入った。
…そう考えるのが妥当なのでは?だとすればなぜ凶器があの家のキッチンナイフだったのでしょう。
自らが予告した殺人を実行するために向かったのならば当然凶器も準備すべきではありませんか?…それは。
ですがこれはあくまで個人的に僕が気にしているだけです。
真相は君の言うとおりかもしれません。
(智美)昨日はごあいさつ出来なくて…。
社長秘書の橋田と申します。
どうぞ。
そうでしたか。
実は吉野社長にもお話を伺いたいのですがお取り次ぎ願えますか?社長でしたら今…。
(吉野)お義父様こそどうかお力落としなく。
(水元卓蔵)ああ。
ありがとう。
大分建設の会長水元卓蔵氏ですよね。
今お帰りになられた方が水元先生のお父様です。
なるほど。
水元湘子さんのご実家は大分建設の創業者一族という事ですか。
はい。
湘子の次回作…ですか?ええ。
これまでとは違った作風を書こうとされていたと伺っています。
ええ。
ですから私も出来る限り協力を…。
協力とおっしゃいますと?一度私のコネで取材のアポを取ってほしいって頼まれた事が…。
大学の同期が豊日商事にいてそこの社員を紹介してもらいました。
確か…笠井とかいったかな。
それはいつ頃の事でしょう?ひと月くらい前でしたけど…。
(山根幸博)笠井宏樹でしたら…2週間ほど前に亡くなりました。
えっ…亡くなられた!?
(山根)はい。
突然の事で私たちもまだ…。
突然というと事故か何かでしょうか?それが夜釣りに出かけ海で溺れて…。
(山根の声)他に釣り客もなく翌朝発見されました。
運輸部長というと笠井宏樹さんは山根さんの…。
ああ直属の部下でした。
1か月ほど前昨日亡くなった小説家の水元湘子さんが笠井さんに取材されたのはご存じでしたか?いや全く心当たりは…。
あ…申し訳ありません。
笠井さんのご遺族にもお話を伺いたいのですが住所をお教え願えませんか?あ…確か…奥様今ご実家の方に戻られてると聞いてますが。
ご自宅のマンションの方は引き払われたんですね。
(笠井享子)あ…あの部屋は主人との思い出がありすぎて…。
落ち着くまではここで暮らしていいと父が言ってくれたものですから。
そうでしたか。
奥様は伏見享一良氏の…。
昔は伏見享一良の娘って言われるのがすごく嫌だったんですけど…。
まぁ今となっては父が政界から引退して息子のいい遊び相手なんですよ。
小説家の水元湘子さんをご存じですか?ええ。
確か亡くなったと新聞で…。
1か月ほど前水元湘子さんが取材のためにご主人を訪ねていた事がわかりました。
その件で何かご主人からお聞きになってないかと思いまして。
確か小説の取材を受けたって言ってましたが。
奥様は取材に関しては何か…?主人から一度聞いただけなんですけど…。
どうもすいませんでした。
笠井さんが取材を受けたのは航空機の燃料により空港周辺の環境が汚染されている件だった…。
違いますか?申し訳ございません。
いや隠すつもりはなかったんですが…。
昨日は隠してましたよね明らかに。
はぁ…。
関係各省庁にはすでに報告書を提出していますがマスコミ向けの謝罪会見を来週に控えていて…。
それまでは社内でも箝口令が敷かれて…。
あ…申し訳ございません。
どうぞ。
謝罪会見という事はなんらかの不祥事でしょうか?この1年の間に輸入した航空燃料の中に不純物が含まれている事が内部調査で判明したんです。
不純物?硫黄や重金属が基準値より多く含まれていてそのため空港周辺の大気や土壌からもそれらの成分が…。
つまり水元湘子さんは空港周辺の環境が汚染されていた事を…どこかで突き止めていたのでしょうかねぇ。
はぁ…NPOなど環境団体があちこちでデータを取ってますから。
じゃあ水元湘子さんはその結果を笠井宏樹さんにぶつけて釈明を求めた。
(水元湘子)硫黄や重金属が基準値よりはるかに多く検出されています。
これは完全に環境破壊ですよね?
(山根の声)笠井も今の私と同じような話を水元湘子さんにもお伝えしていたはずです。
今のお話を水元湘子さんが小説で発表されたとしたらこちらの会社としてはどの程度のダメージを負われる事になるのでしょう?どの程度と言われても…まあすぐに公になる事ですから。
今度ばかりは当てが外れましたね。
はい?水元湘子が調べていた航空燃料に不純物が入っていた問題すでに解決済みでしたから。
つまり事件の動機にはなり得ないと?ええ。
杉下さんが気にしていた資料ファイルも元々なかったのかもしれないしやはり犯人は重要参考人の川芝だと思いますけど。
(宮部たまき)でも熱狂的なファンなのにどうしてそんなむごい事が出来るのかしら?愛するがゆえに殺さざるを得なくなる…。
ジョン・レノンを殺害したマーク・チャップマンの例を思い出します。
愛するがゆえの死ですか…。
なんか水元湘子さんの小説の話みたいですね。
おや?たまきさんも水元湘子お好きですか?いえ以前に何冊か。
『セントマーチンの夏』とか『堕栗花』とか…。
『堕栗花』…。
あのラストは今でも涙を禁じ得ません。
確かヒロインは自殺するんですよね?ええ。
自殺や心中は水元湘子の作品に通底している重要なテーマです。
警察無線の訃報を聞いた時私など真っ先に自殺を疑ってしまったほどです。
(芹沢)この写真の男なんですけどね今日お店来てないですかね?ああ!似た人なら奥の個室に。
え?あー!
(芹沢)川芝!おら!待てこらおい!待て!おら!
(芹沢)待てこら!
(伊丹)この野郎!川芝直哉…。
水元湘子殺害の重要参考人として同行してもらう!川芝直哉のカバンから見つかったのはこれだけですか?そうです。
あれ?生原稿とか写真ないですね。
ええ。
どうしました?水元湘子の資料ファイルありませんねぇ。
ねえ?
(川芝直哉)なんで水元湘子さんを僕が殺さなきゃなんないんです?じゃあなんで逃げた?怖かった…。
何が?殺害予告を書き込んだ事で…。
でも殺してません!
(三浦信輔)だったら指紋はどう説明するんだ?被害者宅の玄関のドアノブからあんたの指紋が出たんだぞ!それは…。
あーもう…!1分だけよろしいですか?1分だけ。
事件当夜ですがあなたは玄関までは行ったもののドアには鍵が掛かっていて開かなかったのではありませんか?えっ?室内からはあなたの指紋は一切見つかっていません。
ドアノブにだけ残っているのは不自然だと思ったものですからね。
つまり家の中には入らなかった。
そうだよ。
確かに玄関までは行ったけど…。
それは何時の事でしたか?2時ちょうどぐらいだったかな?電気がまだついてたから中をのぞこうと思ったんだけど…。
その時何か変わった様子はありませんでしたか?庭の方に回って今度はリビングをのぞこうと思ったんだけどカーテンが閉まってて…。
そしたら物音がして…。
驚いてそのまま即行で逃げたんだよ!そんなデマカセ信じられるわけねえだろうが!川芝の話が本当だとすると犯人は他にいる…。
問題は水元湘子さんはどうして死ななければならなかったかです。
1つよろしいですか?どうぞ。
ちょっと確かめたい事があるんですけど。
はい?どうぞ。
あの…お話って?いい香りですねぇ。
確かこの香水グランルージュのスイートドリームでしたっけ?かなり珍しいやつですよね?スイートドリームって。
あっでも最近どっかでこれと同じものを見たような気がするな…。
あっ水元湘子さんのお宅だったかな。
あなたと吉野社長の関係は…?ご安心ください。
我々の口から水元会長に漏れるような事はありませんから。
この会社は大分建設から融資を受けているんですね?水元先生の小説を出版している縁で随分前からかなりの額を…。
お二人の関係に水元湘子さんが気づかれていた可能性はどうでしょう?あっお待ちしておりました。
被害者の携帯電話の通話記録が届きました。
どうもありがとう。
水元湘子が送った最後のメール…。
夫の吉野茂久によれば午前3時10分にメールを受け取ったと言っています。
あらこんな時間にメール?
(吉野)かみさんだよ。
発信基地はこちらですね。
おっ…。
現場には川芝の痕跡はなんにもありません。
まさか本当に犯人じゃないのか?失礼。
ああ…今度はなんです?こちらを見てください。
事件当夜の被害者の携帯電話の発信記録です。
(芹沢)あれ?
(伊丹)赤坂基地局?水元湘子の家は?白金基地局です。
(伊丹)事件当夜午前3時前に会社を出たあなたはバー樽で3時10分奥さんからのメールを受け取った。
その時刻奥さんは白金のこの家にいたはずですよね?ええ。
なのに3時10分のメールが発信されたのは赤坂基地局。
え?ここは白金基地局。
え?
(伊丹)わかります?いいえ…。
ひょっとしてあなたバー樽に奥さんの携帯電話を持っていきこっそり自分あてにメールを送ったんじゃないですか?なんだってそんな事を…。
奥さん殺害のアリバイを作るためですよ。
赤坂基地局から半径200メートル内にあなたがいたという店があったんですよ。
1つよろしいですか?はい。
事件の夜この部屋から水元湘子さんの携帯電話を持ち去りアリバイ工作をし死体発見時に部屋に戻したのはあなたですね?よしじゃあ続きは本庁で伺いましょうか。
私は妻を殺してない!ええ。
奥さんを殺害したのはあなたではありません。
(2人)え?あなたは事件の夜3時よりも前のもっと早い時間にこの家に一度戻ってきたはずです。
湘子!そして奥さんを発見された。
玄関の鍵は掛かっていた。
室内も仕事部屋もきちんと整頓され全ての状況が示していたのは自殺でした。
自殺!?問題は自殺の動機にあったのです。
この本が遺書の代わりに水元湘子さんの仕事机の上に置いてあったのではありませんか?どうして小説が遺書の代わりになるんです?しおりが挟んであったページは物語の終盤ヒロインが自殺をする場面です。
自殺の直前彼女は愛する夫との思い出の品だったワインとチーズをたしなんでいます。
小説と同じ銘柄のワインとチーズがキッチンに捨ててありました。
小説ではヒロインは夫の心が自分から離れ別な女性に向かってしまった事に絶望し出会った頃の夫との幸せだった思いを胸に抱き死を選びます。
ちなみに秘書の橋田智美さんはあなたとの不倫関係を認めましたよ。
(2人)え?人気作家が自分の小説を遺書としてヒロインと同じように夫に裏切られた末自殺をした。
これはかなりのスキャンダルですよね。
なおかつあなたが何より恐れたのはそれがある人物の耳に入る事でした。
水元湘子さんのご尊父です。
巨額な融資を引き上げられたら白秋社は倒産してしまう。
それだけは避けたかったんですよね?水元湘子さんはあなたの不倫に気づいていたんですね?
(吉野の声)湘子の奴何日か前からやけにピリピリしてて…。
何読んでるんだ?
(湘子)やめて!何するの?ごめん。
仕事中なのよ。
勝手に入ってこないで!すまない。
待って!ごめんなさいあなた。
何があっても私を守ってくれるわね?私にはあなたしかいないの。
(吉野)ああもちろんだとも。
ありがとう。
そうだ。
これもうなくなりそうなの。
ついででいいから買ってきてもらえるかしら?湘子は私の浮気に気付いていたんだと確信しました。
(吉野の声)あんな当てつけたような死に方をして…。
だからこそ自殺した奥さんを発見した時…。
バスルームから遺体をリビングに運び出し…。
自殺でなくすためには他殺にするしかない。
あなたが犯人に選んだのは熱狂的なストーカーでした。
そして遺書である『堕栗花』を元に戻し…。
ワインとチーズが意味する事もあなたならば気付いたはずです。
だからこそ…。
さらに自らのアリバイを作るために顔なじみのバーへ行き店に入ってすぐ午前3時10分あらかじめ用意しておいた文面を被害者の携帯電話から送り…。
(バーのママ)ごめんなさい。
(メールの着信音)あたかもその時間まで被害者が生きていたかのように偽装をし…。
あらこんな時間にメール?かみさんだよ。
再び家に戻り携帯電話を元に戻し119番通報をした。
ああ…もしもし?救急車お願いします。
はぁ…。
じゃあ殺人でもなんでもなかったって事か…。
これ罪に問えるんですか?自殺した人間を他殺に見せかけあまつさえ疑われる必要のない人間に殺人の容疑をかけた。
立派な犯罪です。
警視庁までご同行願います。
ああ…最後にひとつだけよろしいですか?
(吉野)何か?あなたが奥さんを発見されたのは正確には何時の事でしたか?
(吉野の声)2時20分ぐらいだったはずです。
(伊丹)さあ行くぞ。
何か気になる事でも?川芝直哉の証言です。
(川芝)2時ちょうどぐらいだったかな…。
そしたら中から物音がして…。
ところが吉野が死体を発見したのは2時20分過ぎ…。
何か見落としがあるはずです。
ただのパントリーですよ。
ええ…。
鑑識もここは調べてませんよね。
おお…。
あっ…。
えっ?あっ…。
なんでしょうね?「水元湘子様すでに関係省庁に提出済の報告書ですが小説のお役に立てればと思い詳細なデータと写真を同封させていただきます。
笠井宏樹」笠井宏樹?水元湘子は取材の時に笠井宏樹から報告書を受け取っていた。
おーし上げた!はい上げます。
ゆっくりな。
(米沢)杉下警部吉野茂久の自供どおり埠頭に捨てられていたものを回収してきたところです。
はい…。
えっ報告書?はい…。
いやぁそのようなものは見つかっていませんよ。
どうもありがとう。
吉野茂久は資料ファイルも報告書も持ち出してはいなかったようですね。
杉下さんどうしてそんなに報告書とかファイルにこだわるんですか?もし仮に事件の夜あの家から報告書や資料ファイルが持ち出されていれば事件は180度違う様相を呈してくる。
僕にはそう思えてならないからです。
吉野茂久によれば水元湘子さんは亡くなる何日か前ピリピリして様子がおかしかったそうです。
もしそれが夫の浮気に気付いたのではなく何か重要な機密を知ってしまったせいだったとしたらどうでしょう?え?もし仮に死体を発見した吉野茂久が素直に消防や警察に通報していたとしたらどうなっていたでしょう?自殺と断定されればそれ以上捜査されません。
つまり資料ファイルや報告書がなくなっていた事になど誰も頓着しなかった。
そうは思いませんか?よしだったら行きましょう。
おやどちらへ?岡崎ってアシスタントですよ。
帰国予定日は今日。
彼なら資料の事何かわかってるかもしれません。
グズグズしてると置いてきぼりにしますよ。
行きましょう。
(チャイム)
(岡崎敦也)はい。
宅配便です。
先ほどのお届け物の事でちょっと…。
(岡崎)ああ…はい。
(岡崎)あっちょっと…。
(岡崎)ああ…。
岡崎岡崎…岡崎…。
岡崎8階です。
(物音)うわぁ…ああ…。
マジかよ…。
神戸君。
はい。
屋上に人がいます。
え?君は非常階段で行ってください。
はい。
(スイッチを押す音)階段にも誰もいませんでした。
そうですか…。
本当に誰かいたんですか?ええ。
2016/01/27(水) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
[新]相棒season9[再][解][字]
『顔のない男』女流作家殺害事件を追う右京(水谷豊)と尊(及川光博)の背後で、怪しく蠢く謎の男・・・。日本を揺るがす前代未聞の壮大な陰謀が動き始める!
詳細情報
◇番組内容
新たなステージへ!ついに真の相棒となった右京(水谷豊)と尊(及川光博)が挑む難事件!見所満載の「相棒 season9」も見逃せない!!
◇出演者
水谷豊、及川光博、益戸育江
川原和久、大谷亮介、山中崇史、山西惇、六角精児
小野了、片桐竜次
【ゲスト】
徳重聡、津嘉山正種、近江谷太朗
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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