ハートネットTV 認知症「ジェームズとの対話(2)新しい社会への模索」 2016.01.27


適度な距離感を大事にしながら自分と似た価値観のママを探してみるといいそうです。
「それは違う!認知症の私たちが声を上げるため自分たちのグループを作ろう」。
そして自由に発言できる機会を求めていた仲間が集まり活動が始まったのです。
世界で初めて認知症の本人によるワーキンググループを設立したジェームズ・マキロップさんとの対話第2回。
ジェームズさんは日本滞在中妻のモーリンさんと共にさまざまな立場の人たちと精力的に会いました。
そして認知症の人が声を上げる事によって社会がどう変わるのか議論しました。
(徳田)ジェームズご夫妻ようこそいらっしゃいました。
この日は認知症フレンドリージャパン・イニシアチブという3年前に出来たグループとの対話。
認知症という社会的課題にビジネスや行政などの立場から取り組もうとしている人たちです。
簡単に皆さん自己紹介をしたいと思います。
田中と申します。
今皆さんいるこの会社コクヨという会社の社員です。
認知症と文房具で何かお役に立つ事がないかと思って日々考えています。
稲垣といいます。
富士山の麓の地方の行政でサポートワーカーしております。
初めまして。
富士通研究所の岡田と申します。
富士通というのはコンピューターの会社です。
あとはこういう携帯電話も作っている会社です。
それ富士通製のものですか?
(岡田)そうです。
(笑い声)バイ富士通。
荒川直美と申します。
介護のケアマネージャーをしております。
ジャン・ミーニョンと申します。
今現在福祉系の学校で教員をしております。
横須賀と申します。
花王株式会社という会社に勤めています。
洗剤とか化粧品とかそういったものを作っている会社です。
私は今これからの働き方についての研究をしています。
それではこれからジェームズさんに対する問いを投げかける時間にしていきたいと思います。
私は行政で認知症の方が暮らしやすい地域になるようにキャンペーンをやっていましてもう9年目になります。
やはり症状が進む方もいらっしゃいましてですね自分のそういう意思を前ほど伝えられなくなっていく方が結構いらっしゃいます。
スコットランドのワーキンググループではジェームズさんが直接議論をして作り上げたワーキンググループですので声が出づらくなった人でもその意思を伝えるための何か工夫みたいなものがされているのかっていう事をちょっとお聞きできればなと思います。
ワーキンググループのメンバーの多くは認知症の初期で入ってくるのでその時には話す事も書く事もできます。
彼らには大勢の前で講演を行う方法を伝えます。
残念ながら認知症は遅かれ早かれ進行しますが私たちはたとえ困難があっても必ず貢献できる事はあると考えます。
例えば考える事はできるが話すのが難しくなったメンバーがいた場合言いたい事を紙に書いてもらい私が代わりに読み上げます。
そうすればその人のメッセージは伝わるし本人が疎外感を持たずに済みます。
ワーキンググループが退会を勧める事は絶対にありません。
ただ本人が出席しても内容が分からず取り乱したり来なくなったりする事はあります。
しかしいつやめるかを決めるのはあくまで本人と家族です。
ほかの誰かが決める事ではありません。
コクヨの田中です。
認知症の方でも気軽に入れる認知症にやさしい図書館ライブラリーを作る事を始めようとしています。
ジェームズさんは本が大好きだって聞いてるんですけども認知症の前後で本とのつきあい方が変わったかとか図書館ではどんな図書館だったらジェームズさんのような方が行きやすいか使いやすいかっていう事をもしお考えがあるなら聞かして頂きたいと思います。
質問は1個ずつ。
2つ伝えると忘れてしまいますので。
はい変わりました。
私の場合認知症になってから集中力を長く保つ事ができなくなったので何ページか読むと一度本を置いて楽器を弾いたりパソコンでメールをしたりしてそれからまた本に戻るようになりました。
その場合ストーリーを思い出すため必ず何ページか前に戻って読み直します。
そしてまた音楽やパソコンをやります。
そうやってあれこれやりながら読むと脳が刺激されてよいみたいです。
集中力がなくなるのは私だけではなく認知症の人に共通するようです。
ですから私の本の読み方は間違いなく変化しました。
2つ目の質問ですけれども繰り返させて頂きます。
私が好きな図書館は専門書ではない一般向けの本がたくさんある所です。
読みやすくて読んだあとによい気持ちが残る本を読みたいのです。
私が好きなのは殺人事件の推理小説と自叙伝です。
今妻が本の並べ方も大事だと思い出させてくれました。
そのとおりです。
もちろん本がどこにあるか教えてくれるいい司書がいて大きな見やすい標識があるといいですね。
本棚については本があまり高い所にあるとタイトルが読めないし手が届きません。
低すぎても老人は腰が痛くなるので困ります。
目の高さにあるとありがたいです。
やっぱり長い集中力が続かないってところは何か1個ヒントになるのかなと思います。
ワーキンググループの中で町がこんなふうだったらいいなとか先ほどの図書館のようにですね駅がこんなふうに建ったらいいなっていうようなお話はよくされるんでしょうか?はい。
ワーキンググループでは世間話はしません。
私たち全員に影響する大事な事について話し合います。
実際に話した事から社会が変わったりしましたか?私たちがキャンペーンを始めるにあたり心がけたのはビジネスライクである事でした。
その結果人々は私たちの話に耳を傾けるようになりました。
以前私たちを見下していた人たちがこの病気の専門家として尊重してくれるようになったのです。
日本にもスコットランドもそうかもしれないんですけれど孤立している人がたくさんいるんじゃないかなと思うんですね。
地域と関わる出会いの場作りのためにこちらからどういうふうなアプローチをすればいいか。
私たちが暮らす地域で最近コミュニティー・カフェがオープンしました。
認知症に限らずさまざまな問題を抱えている人たちがお互いに話をして地域とのつながりを作っていくための場所です。
また私が通う教会でジェームズはいつも礼拝が終わる頃に現れます。
コーヒーとビスケットの時間にみんなに会いにやって来るのです。
そんな彼をみんなジェームズらしいと受け入れています。
そういう事を認知症フレンドリーというのだと思います。
その人をありのままに受け入れるという事です。
私はいつもこう言っています。
「今認知症フレンドリーな社会を作っておけば将来あなたの祖父母や両親兄弟を救うだろうし自分自身を救う事になるかもしれませんよ」。
これからどこの国も認知症の方ってどんどん増えていくと思うので認知症の人もそうでない人も一緒に働いていく職場を考えた時にどんな事が必要になってくると思われますか?それは私にとっても重要な問題です。
ある時認知症の仲間たちと話していたのですがそこにいた全員が認知症に気付いたきっかけは職場でのトラブルでした。
全員が退職に追い込まれていました。
問題は雇い主に理解がなかった事です。
もしその人が飛行機のパイロットや外科医だったらその仕事は続けない方がいいでしょう。
それでも危険のないほかの仕事があるはずです。
私は銀行員でしたが時間を延ばす事でなんとかできていました。
認知症の人がまだできる事に注目し職場で働ける方法を探してくれる事を望みます。
日本では例えば男の人が割と高齢者になった時引きこもりやすくてスコットランドでどうなのか分からないんですけど男の人は無理やり引っ張り出さないと出てこないのか何かそこら辺違いがあるのかなと思いまして質問しました。
ジェームズはまさにそういう人でした。
認知症になり仕事を辞めた時友達は一人もいませんでした。
精神的に落ち込み外の世界との接触を全て断って家に引きこもっていました。
そんな時アルツハイマー協会の職員だったブレンダと出会った事は全くの幸運でした。
ブレンダという本当に信頼できる友人ができジェームズはさまざまな事に挑戦し始めました。
そして少しずつ自信を取り戻していきました。
適切な時に適切な支援を受けられる事は本当に重要です。
私の経験では認知症になるとほとんどの人がえ〜っと何だっけ…自信を失います。
失った自信を取り戻すのは大変です。
外出するのが怖くなります。
周囲から「あの人認知症だ」と思われるのではと心配してしまうのです。
だから自信を取り戻す手助けをしてくれるよい支援者と出会う事が必要なのです。
認知症フレンドリーなコミュニティーが自分だけではなくて家族や兄弟や子どもたちを助ける事になる。
非常にいい分かりやすくて心に響くんですけれどもそれでも分かってくれない人はいると思うんですよね。
そういうあまり分かってくれない人にどうやって働きかけて変えたのかっていう事をもう少し教えて頂ければと思うんですが。
前しか見えない目隠しをつけた馬のように人の意見に全く耳を貸さない人はいます。
そういう人に対しては認知症であってもできる事はあるのだと実際にやってみせ自分で気付いてもらえるようにします。
でも何をやっても駄目な場合というのはあるものです。
(モーリン)ジェームズは小学校から呼ばれれば7歳か8歳の子どもたちに認知症の話をしに行きます。
学生や看護師にも話をしますし医師に頼まれて病院の職員全員に話をする事もあります。
認知症について話す機会があればどんな所にでも出かけていくのです。
皆さん今日のやり取りを通じて私が思った感想も含めてなんですがこれから社会が変わっていく面ある種の文化が変わっていく必要があるかなというふうに思っています。
そういった変化がスコットランドでは始まっていて日本でももしかしたらそういった変化が起きてるかもしれないんですけども認知症の方と一緒に社会を作っていく文化を作っていくための一番大事なポイントは何だと思いますか?今夜こうして皆さんが集まっているというだけでもう一歩を踏み出していると思います。
全てはほかの人を助けたいという気持ちを持つ事から始まります。
すみません。
頭が真っ白になりました。
認知症の方に何かをしてあげるという文化から認知症の方と一緒に何かを社会を作っていくという文化に変わるためのポイント何だと思いますか?大切なのは皆さんの心構えだと思います。
まず認知症の人が価値のある人間であり次の世代のために提供できるものを持っていると信じる事。
そして私たちが残りの人生を懸けてやり遂げようとしている事を皆さんが手伝うのだという心構えです。
私もそういう支援と出会い人生が変わりました。
大切なのは認知症の人が何を求めているのか分かった気にならない事。
必ず本人に尋ね実行して下さい。
一つ一つの質問に全力で答えるジェームズさん。
その言葉をどう聞きどう形にしていくか一人一人に託されました。
スコットランドでも認知症の人を何も分からない人と見る偏見は今なお根強く残っています。
これに対しジェームズさんが取り組んでいる事の一つが将来福祉の現場で働く学生のためのトレーニング。
どんな事をしているのか実際に見せてもらいました。
目的は認知症の人が発信するメッセージを読み取るための技術と心構えを身につけてもらう事です。
こうした活動に対しジェームズさんは3年前大学から名誉博士号を授与されました。
トレーニングはロールプレー形式。
認知症の人の自宅に支援者が訪問し話を聞きます。
事前に学生に伝えるのは簡単なプロフィールだけ。
支援に必要な情報を聞き出すのが課題です。
早速始めようとしたところジェームズさんから要望がありました。
トレーニングの都合上ここにもう一つ椅子を持ってきて下さい。
自宅のリビングという設定に近づけるためもう一脚椅子が欲しいというのです。
どうやらこの椅子に深い意味があるようです。
(ノック)カムイン。
どうぞ。
失礼します。
ハローこんにちは。
失礼します。
ジェームズさん初めまして。
私はのぞみメモリークリニックというところから来ました阿部民子といいます。
先日お電話でお話をした時にお仕事を辞められたという事。
それから少しご家族に何か負担をかけているのではないかと感じているというふうにお電話でお聞きしました。
今日はその辺りの事をちょっと詳しくお話を伺えたらと思います。
私は家族に対して攻撃的になってしまいます。
自分で抑えられないのです。
なぜか分かりません。
「もう暴言を吐くのはやめよう」と自分に言い聞かせますがやめられずつらくてなりません。
攻撃的になってしまう…。
ジェームズさんお仕事を辞められたのはつい最近ですか?6か月前です。
今現在おうちではどのような生活を毎日送ってらっしゃるんですか?本も読まず音楽も聞かなくなり何もせず寂しく過ごしています。
自分が認知症だと知らされて自信を失ってしまいました。
「あの人認知症!」と指さされるのが恐くて外に出られなくなったのです。
誰か助けてくれる人がいないと家から出られないように感じるのです。
では一緒に出かけるようなパートナーの人や支援者の方がいたら外に出る事はそんなに怖くないかなという感じでしょうかね。
そうです。
誰か認知症の事をよく分かっていて私に自信を持たせてくれる人がいたらいいなと思います。
10分間のロールプレーが終わると今度はジェームズさんの方から学生に質問します。
私について何か気付きましたか?最初にお会いした時は少しちょっと沈み込んでいらっしゃるかなと思っていました。
だけど少しずつジェームズさんがやりたい事ですとか今楽しんでいらっしゃる水曜日の過ごし方をお聞きしてると少しずつ楽しそうに見えました。
ほかに何か気付きましたか?ちょっと難しい。
難しくしてあるんです。
ノー!ふだんこの実習をする時私は3日前からヒゲをそりません。
ちょっと役作りをするのです。
髪もボサボサにします。
ボタンもわざと掛け違えておくのです。
目を使って下さい。
気付いた事を口に出す必要はありませんが目で見てメモして下さい。
うつ状態のサインですからチェックする必要があります。
もう一つはこういう手の動きです。
やがてリラックスしてくると深く腰掛けるようになりやがて椅子ごとあなたに近づきました。
その動きは感じていました。
ですがここは気が付かなかった。
ジェームズさんの顔ばかり見てました。
駄目です。
全体を見て下さい。
もう一つは入ってきた時「どの椅子に座ればいいですか?」と聞いてほしかったです。
分かりました。
もしここに座っていたらあなたの声は聞こえませんでした。
私は右耳が聞こえませんから。
それに自分のお気に入りの椅子にあなたが勝手に座ったら気分を害します。
あなたの質問はよかったですよ。
今回の訪問の目的はその人を知る事であって問題を解決する事ではありません。
ですから「何がしたいですか?」という質問は非常に適切だったと思います。
今日はどうもありがとうございました。
自分を知ってもらう事が一つの目的になってるというのはとても意味深く何か面白いなと思って。
まさに僕らは仕事柄僕は医師という仕事ですぐ問題を解決したがってしまうんだけれどもそうではないという事を何か分かった気がするんですよね。
それは大きな学びでした。
そのとおりです。
その人を知る事です。
訪問を重ねるうちにその人がどんな人で何をやりたいかだんだん分かってきます。
するとどうすれば助けられるか分かってくるものです。
それが大切です。
とても大切な事を日本に残して頂いたなというふうにとても感謝してます。
今日はどうもありがとうございました。
(拍手)2016/01/27(水) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV 認知症「ジェームズとの対話(2)新しい社会への模索」[字]

ジェームズさんとの対話の第2回。新しい視点で認知症に関わろうとする企業や行政の人々との対話に加え、現地で行っている専門職を育てるためのトレーニングを実演する。

詳細情報
番組内容
ジェームズさんとの対話の第2回。2つの対話を紹介する。一つは、企業や自治体の職員、研究者などが作る「認知症フレンドリージャパンイニシアチブ」との対話。もう一つは、医療や福祉の専門職を育てるため、ジェームズさんがスコットランドの大学で行っているトレーニングの実演。いずれも認知症となった本人と周囲が希望を持って生きていくため、専門家のみならず、一般の企業や社会が発想の転換を迫られている現実を語りあう。
出演者
【語り】河野多紀,【声】千田光男,勝生真沙子

ジャンル :
福祉 – 障害者
福祉 – 高齢者
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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