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アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と- 作者:一星

第二章 人里へ

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七話 真・第一異世界人

 あの俺にとって後味が悪いコボルト制圧から数日が経った。
 コボルト制圧は問題なく進み、俺は納得していないが確かに平和的解決が為されたのだった。
 比較的温和な性格だったコボルトは、危害を加えないと分かると怯えも収まり、今度は興味津々にこちらをうかがっていた。

 コボルトを率いていたのは体の毛が伸びた年老いたコボルトで、長老的役割を果たしているらしい。話をしてみると頭が良さそうな印象を受ける。これは老ゴブも同じなのだが、こいつ等は年を取るとその経験を活かして知識の方向へ力をシフトするのだろう。
 力が衰えたならば知恵を得るのは弱肉強食の世界では、当たり前の事なのかもしれない。そう考えると人間も似たような物か。

 俺の支配に入ったコボルトは、素晴らしく有益な情報と道具をもたらしてくれた。

 まず第一に、大体の方角が分かった事だ。これは老コボルトが知っていた知識で、遠くに見えるあの山脈が北に当たり、その南側にこの森が広がっているらしい。ゴブリンの洞窟を中心に東にオーク、東南にコボルトの集落があるのだ。そして、南には前も話に聞いたオーガとゴブリンが争っている地域がある。

 ここで西に関してなのだが、偵察に出していたゴブシン君達によると、居たはずのドレッドスパイダーが消えていたらしい。
 ドレッドスパイダーは、ゴブリンやオークなどの様に、知恵のある生き物では無いと言う。普通の虫の生態と同じって事だろう。
 その習性はある程度固まって巣を作るのだが、縄張り意識が強いらしくその縄張りに入ると数多くのドレッドスパイダーが連携して襲い掛かって来るらしく、ゴブリンはもちろんオークでさえ手が出せないほどの存在らしい。
 その反面、縄張り外に出る事は無く、数もそれほど増えないので隣接していても問題が無かったとの事だ。

 そんな存在が根こそぎ消え、更にその南に居るトロールの姿も消えていたらしい。巣の状態や集落の跡地を見る限り、何者かが北から南へと襲撃をしながら、山から下りてきたと言うのが予想される状況との事だ。

 この話を各種族の主要な面子を交えて話すと、北の山脈には確かに強力な力を持った存在が数多くいるらしい。だがそいつらは北にある山脈に沿って伸びる長い結界に阻まれて、通る事が出来ないらしく、各種族の伝承ではここ数百年は破られた事が無いと言っていた。

 北の結界ねえ……。長い結界と言われたらあの渓谷が思い浮かぶけど、俺がそんな何百年も続く物を壊せる訳がないよな。ボスを倒したから……。いや、止めとこう。

 正直俺の所為臭いが、ここは黙っておこう。確定してない事をべらべらしゃべっても仕方が無い。

 まあ、その台風みたいな奴も、方角はこちらでは無く南の方へ向かったらしい。俺らの進行方向とは違うと信じて放って置こう。
 やばい物は見なかった事にするのが一番だ。いや、どんな存在か分からないし、対処の仕様が無いのだから何も出来ないよね。
 引き続き西側は監視だけする事にして、進展が在ったら対処する事にする。

 コボルトがもたらした道具の方なのだが、なんと彼らは陶器を作っていた。土を焼いた基本的な物なのだが、なかなか見事な造形をしている。数点の品を見せてもらったが、中には磁器の様に白くガラス質が含まれていそうな品もあった。
 これは目っけ物だ。これで容器を作れればポーションを作って保存しておくことが出来る。

 俺は老コボルトにポーションの入れ物を見せ、同じ形の物をこの磁器で作ってくれとお願いしたのだが、どうやら今は作れないらしい。
 理由はと聞くと単純に材料が無いとの事だ。
 今の縄張りでは材料が無いならば探させるだけの話だ。

 老コボルトは見た目通り体力が無いらしく、歩くのは辛いと言っているので、オークを一匹付かせ、背中に担がせて運ばせる事にした。お供のコボルトも付け、当分は俺の縄張りの範囲を含め、周辺を見回ってもらう事にした。

 情報と道具。二つをもたらしてくれたコボルト達は、あっさりと俺らの群れに加わり、与えられた仕事をこなしている。見た目の犬の要素が強いのか、群れの意識がとても高く仲間になった俺たちに遠慮なく接してきている。
 むしろもっと遠慮しろと言いたいぐらいで、俺を見つけたコボルト達が俺の周りをぐるぐる回り、「ボス何したらいい?」、「ボス食べ物欲しいか?」と、ちょっと五月蠅いぐらいだ。
 見た目が結構かわいいのでまだ許しているが、これをゴブリンとオークがしてきたら、ぶん殴っていたかもしれない。

 その中でも俺のお気に入りの子が出来た。コボルトの中でも一番の年下らしく、俺の半分程度の身長しか無くしかもメスである。
 そんな小さなワンチャンが二足歩行で、あっちに行ったりこっちに行ったりしているのだ。可愛くて仕方が無い。

 そんなフサフサの毛持つ彼女を、事ある毎に撫でていたら、いつの間にか俺の傍に付く事になっていた。それを知らせに来た老コボルトが、帰る時に親指を立てる仕草をしていたが、もしかしてこの世界でもそういう意味なのだろうか? 俺はペット感覚で愛でているだけなので気持ちだけ頂いておこう。

 そんな事をしていると、当然ポッポちゃんの風当たりが強いのだが我慢するしかない。
 ポッポちゃん、もうそれ以上入らないよ?
 俺の鼓膜を突いて破ろうとするのを辞めてくれるかな?

 そんなこんなが有りつつも、今俺がしている事は新しい集落作りだ。何時迄も住処を種族別にしていたら纏まる物も纏まらない。
 ゴブリン、オーク、コボルトの縄張りの丁度真ん中辺りの木を切り倒し、開けた場所を作り出す。
 出来た広場を分割して種族毎に小屋を建てて行く。今回建てる小屋は、屋根があり壁もある立派な建物で、事前に用意していた木材のお陰でスムーズに事が進んで行く。
 組立には釘を使っている。コボルトの陶器作りを見に行った際に、陶器を斜面に掘った穴を岩などで補強した窯で作っている事が分かり、それならと試しに青銅のインゴットを入れて見たら見事に溶けたのだった。
 だが、溶けるのはいいのだが、外に出せば当然冷えて直ぐに固まり作業効率が恐ろしく悪い。
 だからと言って、窯の中に入って作業するわけにもいかないので、結局は土いじりになれているコボルトに、俺が渡した釘を見本として、型を大量に作らせそこに流し込む方法を取る事にした。
 青銅のインゴットを幾つか置いておき後は頼んでおいたのだが、次の日に行った時には更なる効率化と木の盾の補強までし出していた。
 青銅何て腐るほどあるので、釘さえ作ってくれれば幾らでもやってもらって構わない。流石陶器を作っていただけあって、コボルトはこの手の作業に才能が有るみたいだ。これは今後も何かを頼めるかもしれない。
 ちなみに、鉄も試したんだが、温度が足りないらしくて溶ける事は無かった。



 それから三日が経ち、新しい集落も大分広くなってきた。
 俺の伐採もレベルが一になり、伐るスピードも上がったし、ボーク君の巨大な斧が繰り出す斬撃が、木々を数度切るだけでなぎ倒していた。
 残る切り株もオークの集団が、重機の様な働きをするお蔭で、それ程の時間を掛けずに処理していく。

 順調に進んでいた集落作りだったが、突然森の中から聞こえてきた、警戒を報せる遠吠えに皆の作業が止まった。
 俺はしていた作業を放り出し、声がした方向へと全力で走り出す。後ろからゴブ太君の何か言っている声が聞こえるが今は無視だ。

 走り出して数分で、俺の探知にこちらに向かって走って来るコボルトの反応が入る。双方走っている事もあり、ほんのわずかな時間でお互いが目に入る距離まで近付いた。

「どうした」

 俺が短くそう言い放つと、コボルトはまだ距離があるにも関わらず、大きな耳をピクピクと動かし俺の言った言葉を聞き分けたようだ。
 程なくして距離は縮まり、双方手が届く程近付くとコボルトは、「縄張りに侵入者発見」と、キャンキャン吠えて俺に報告をした。
 現場では既に、警備に当たっていたコボルト数匹と、付近を偵察していたゴブシン君が、対処に動いているとの事だ。
 俺も急ぎ駆け付ける為に、現場に向かって走り出す。先導を任せたコボルトに侵入して来た相手の事を聞き出すと、「人間、一匹」と答えたのだった。

 兎に角、状況が分からない事には、何を考えた所で全てが想像でしかない。先を走るコボルトに方角を聞き、俺は全力で駆け出し彼を追い抜きその方角へと向かった。

 コボルトを追い抜いてから数分がたった。今だ走り続けているが息が切れる事は無い。この倍ぐらいなら、まだまだ全力で走り続けていられそうだ。

 そこから更に走って数分すると、探知に反応が掛かる。五匹のコボルトと、二匹のゴブリンが人間と思わしき反応と対峙しているみたいだ。
 だが、報告にあった人間一人は間違い見たいで、もう一つ小さな反応が探知に掛かっている。もしかしたら、子連れなのかもしれない。

 程なくして現場が見えてきた。そこには地面に倒れるコボルトが二匹と、木に寄り掛かり首から血を流した男の姿があった。

 血の付いたナイフを持った、ゴブシン君が油断無く男を見つめ続けている。その隣に立ち俺は尋ねた。

「何があった」

 するとゴブシン君はこちらに振り向き、事の顛末を伝えて来る。

 警戒活動をしていたコボルトが、縄張りに侵入して来た存在を発見して、周囲に警戒を伝えて侵入者を遠目から追っていた。
 周りから援軍に来たコボルトの数も集まったので、対峙してみるといきなり弓矢で撃たれたのだと言う。
 それを切っ掛けに戦いが始まり、ゴブシン君が駆け付けるまでに、更に一匹のコボルトが剣で斬り伏せられたらしい。
 ゴブシン君が加わると、体勢は変わり何度目かの鍔迫り合いの末、首を斬り裂き今に至ると言う。

 俺はコボルトに近付きその体を見る。一匹は首に矢を受けていて流れる血も少なく、それ程苦しまずに死んだのではないだろうか。
 血の池に、うつ伏せで倒れているもう一匹を、仰向けにして見ると、肩から胸にかけて傷があるのが見える。息苦しそうに呼吸をしていて今にも死んでしまいそうだ。

 俺はポーションを取り出し、傷口に掛けてやる。だが、まだ足りないみたいで傷口が塞がらない。追加のポーションを取り出し更に掛ける。
 すると、苦しそうな呼吸は段々と安定して来て普通の呼吸へと戻った。しかし、苦しそうなのは未だ変わらない。もしかしたら血が出過ぎたのが原因だろうか。
 探知で感じる気配が、消えかかっていたので諦めていたのだが、案外助かるものだと感心した。

 他のコボルトに介抱を任せ、俺は人間の男もとへ向かう。
 駆け付けた時には既に虫の息で、ゴブシン君と話をしていた直後に、探知から気配が消えたので死んだことは分かっていた。
 もしかしたら助けられたかも知れないが、事情も分からずに、倒れていたコボルトより先に助ける何てあり得ない。

 確かに何の情報も得られずに、殺してしまったのは痛いのだが、コボルト達もゴブシン君も自分の仕事をしたまでの事。しかも、縄張りに入って先制攻撃してきたのだこうなっても仕方ないだろう。

 どうするかと考えながら、男の死体を見ていると、視線に動くものを捉えた。何かと目を向けると、男の近くにある大きい袋が、モゾモゾと動いている。
 この状況や、人間の死体が目の前にある事に気を取られすぎて、俺はすっかり忘れていた。もう一つの人間の気配が、その袋の中からするのを感じ袋を開けて中身を確認してみた。

 そこには、猿ぐつわをされ、手足を縛られている女の子が入っていた。



「お名前は?」
「コリーン!」

「お年は?」
「四歳!」

 俺の目の前には、茶色の髪の毛を肩まで伸ばした女の子が座っている。先程まで泣き叫んでいたとは思えないほど、にこやかな顔をしている。顔立ちは所謂地球で言う白人の子だ。転生で変わった自分の顔を見た時から思っていたが、この世界の人の顔立ちは外国人っぽい人が多いのかも知れない。

 袋の中から解放して、新集落まで連れてきた彼女は、目を覚ますと鼓膜が破れるかと思うほどの声で泣き叫んだ。それも当然で、俺以外の人間が珍しいのか、暇な三種族が大集結して彼女を囲んでいたのだ。
 目を覚ましていきなりオークの顔とか、ビビらない訳が無い。
 泣くのも分かるので、まずは水とパンを与え、その後俺のお気に入りのコボルトであるコボ美ちゃんを抱かせる事で、やっと機嫌を直してくれた。

 一番の懸念であった言葉も問題なく通じる。だが、明らかに日本語は話していない。何と言うか、タイムラグ無しの自動翻訳と言うか、和製英語だけの組み合わせを聞いてるような感じと言うか、とても不思議な感覚だ。
 俺がしゃべった事も変換されているのか、ちゃんと理解していて滞りなく会話が出来ている。
 どうやら俺はそんな能力を神様から貰ってる臭い。

 最初はステータスに現れないが、固定スキルの項目に異世界言語というスキルでもあるのだろうと思っていたのだが、俺の話す内容を人間であるコリーンちゃんと、ゴブリンであるゴブ太君の双方が同時に理解していた。
 そうなると自動翻訳の方が可能性が高そうだ。
 まあ、通じるなら何でもいい。この世界で初めての人間との会話だ、相手は子供だが知ってることを聞き出そう。

 コリーンちゃんは膝の上にコボ美ちゃんの頭を乗せ撫でながら、美味しそうにパンを頬張っている。パンのクズがボロボロと、コボ美ちゃんに降りかかっているが目で我慢しろと命じておく。

 パンを食べ終わったコリーンちゃんに、何故袋の中にいたのか聞いてみると、あの男の事も含めて大体の事が分かってきた。

 彼女の話では、怖いおじさんに袋に入れて連れていかれたとの事だ。もう少し話を聞いてみると、どうやらコリーンちゃんは、数日前に村から誘拐されたらしい。
 長い間袋の中に居たので、詳しい日数や村の場所などは分からないとの事だが、五回は夜が来たと言っている。曖昧な内容が多いのだが、四歳児にそこまで覚えてろと言うのは酷な事だろう。

 だがこれで、徒歩圏内に人里が有る事が分かった。俺にとってかなりの朗報だ。

 死んだ人攫いは、その場に埋めてきた。持っていた武器や道具などは、俺がマジックバッグに収納して、服などはそのままで埋葬しておいた。
 人攫いと分かっていれば、服も全て剥いでいたかもしれないが、当時は普通に死者を伴なおうと思っていたからだ。
 まあ、臭そうだったし血で汚れてたし、何より一部焦げたしいらないか。

 人攫いは縄張りの西方向から侵入してきた。現在西側は空白地帯となっているので、案外すんなり通ってきたのかもしれない。どんな経路を通ってきたかは分からないが、少なくとも南はあり得ない。あそこはオークとゴブリンの紛争地域で、激しい縄張り主張が繰り広げられているからだ。
 そうなると南西方向からだろうか?
 あそこもトロールが居なくなっているらしいので、同じく空白地帯になっている。可能性としては在りそうだ。

 当分コリーンちゃんは俺の傍に置いとく事にする。もはや群れの連中も、俺の指示なく手を出す事は無いだろうが、言葉が通じないコリーンちゃんを放って置く訳にもいかない。
 この辺じゃ俺の近くが一番安全なのだ、問題ないだろう。

 こんな騒動があったのだが、集落作りは順調に進んでいる。
 俺の監督の元、作り上げた小屋は結構評判がよく、雨風しのげる素晴らしい出来らしい。
 だが、俺から見たらボロボロの素人が作った小屋にしか見えない。幾ら大工スキルがあっても、低レベルではこの程度なのだろう。作業自体は群れの皆がしているので、器用不器用入り混じってこの出来って所為もあるんだろうけどね。
 日本の職人さんの技術の高さを、異世界に来てまで気づかされるとは思わなかったよ。


 家作りは俺が居なくても進むようになっているので、俺はそろそろ別の事をする予定を立てる。
 まず俺が一番したい事と言えば、スキルのレベル上げだ。
 現在の俺のステータスはこうなっている。

【名前】ゼン 【年齢】10 【種族】人族
【レベル】 38 【状態】――
【H P】 729/729 【M P】 138/138

【スキル】
・投擲術Lv3(224・7/300)・格闘術Lv2(1・6/200)
・鑑定 Lv2(187・3/200)・料理 Lv2(61・5/200)
・魔法技能Lv0(33・8/50)・鍛冶 Lv2(175・6/200)
・錬金  Lv0(1・2/50)・大工 Lv1(30・3/100)
・裁縫  Lv0(20・8/50)・伐採 Lv1(6・4/100)
・採掘 Lv3(258・9/300)・探知 Lv3(120・6/300)
・調教 Lv2(20・4/200)・隠密  Lv0(20・8/50)

【加護】・技能神の加護 ・医術と魔法の神の加護 ・*******

 もうそろそろ鑑定が上がるのだが、これはこの周辺を歩き回り、そこらじゅうの木や植物何かを、鑑定していけばいいだろう。偵察にもなるし新しい発見もあるかも知れない。

 俺の生命線でもある投擲術も上げていきたいのだが、適当な的が無いのがつらい。魔物相手じゃないと効率が悪すぎるんだよね。

 後は上げる方法が今は無い物もある、それならば新しいスキルの獲得を目指してもいいだろう。ゴブ太君辺りに槍の使い方を教えてもらえれば、案外簡単に上がりそうだし。

 よし、その方向でいこう。

 次にやりたい事と言うか、用意しておきたいものがある。それは今後戦いになるであろう、オーガやゴブリン対策だ。
 俺は兎も角、数でも質でも劣る我々が、勝てる方法と言ったら漁夫の利位だろう。幸いな事にオーガとゴブリンは縄張り争いをしているのだ、それを狙わない手は無い。
 彼らの戦いに介入するとしても戦力は必要だ。一番簡単に強化出来る事と言えば、新しい武器を与える事なので、その用意も考えなくてはいけない。

 レベルアップによる強化もしたいのだが、今の所適当な相手が居ないという問題がある。
 西は何が居るか良く判らない状態だし、南はまだ手を出すわけにはいかない。北は動物程度しか居ないのでこれも論外、東側にはリザードマンなどが居るのだが、そこに行くまでに数日は掛かるらしい。大した戦力を置いていけ無い状況で、本拠地であるこの場所を離れるのは愚策だろう。
 と言う訳で、レベルアップによる強化は今の所出来ないのだ。南の勢力を釣ってきて狩る方法もあるかも知れないが、下手に間引くと戦力が傾いて一気に大勢が変わるかも知れない。悩ましい事だ。

 とまあ取り敢えずの予定は立てられたので、今日もそろそろ寝る事にする。だがその前に俺の隣でスヤスヤと、寝息を立てているコリーンちゃんの頭を一撫でして、マジックバッグから今日手に入れた、人攫いが持っていた物を取り出す。

 背負っていた袋からは、干し肉や硬いパン等の少量の食べ物と水の入った何かの皮で作った水筒、小型のナイフやロープなどの道具が入ってる。
 腰に着けていた小さな鞄からは、精巧な細工がされた大小四種類の銀と銅の硬貨、空の磁器や包帯、火打ち石などの小物が詰まっていた。
 そして持っていた剣と弓。

 これらの中で剣とナイフは、今の俺なら作れそうな品質で、オーク達が持っていた物と大差ない。その他の物も、特に特徴がある物は無かったが、硬貨だけは違っていた。

 この美しい硬貨は、精巧な細工がされていて、日本の硬貨以上の細工が施されているかも知れない。大きさは二種類あり、小さい方は五十円玉程度の硬貨で、大きい方はそれの何倍も重い大きな硬貨だ。片面には5人の人物の絵が描かれていて、もう一方の面には、魔法陣の様な五芒星が細かく刻まれていた。
 四種類とも同じデザインなのだが素晴らしい出来だ。鑑定をしてみるが、結果からは余り情報は得られなかった。何故ならばこんな鑑定結果だったからだ。

 名称‥【銀貨】
 素材‥【銀】

 名称‥【大銀貨】
 素材‥【銀】

 大小それぞれの硬貨の名前はこんな感じで、呼び方は分かったが単位も価値も分からないので、どうしようもない。
 多分コリーンちゃんも分からなそうだなぁ。

 まあいい、今日もまた新しい情報が手に入った。ゆっくりでも確実に進んでいる気がする。ダンジョンの中とでは雲泥の差だ。

 さて寝よう、おやすみないさい。
+注意+
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