- 晴れて「ガルパンおじさん」となったので、ちょっとその良さと面白さについて考えてみた。
なぜ「ガルパンはいいぞ」なのか
1 「ガールズ&パンツァー」の魅力とは何か
ストーリーの王道さ
- 未見者には「女の子にヌルめのミリタリやらせりゃ売れるだろwwww」と思わせる安直さに反し、「二昔前のスポーツ漫画かよ!」とツッコミたくなるほどの王道展開なストーリー。
- いわゆる「スポ根」「学園・青春」「家族」などの要素をミックスした設定なのだが、そのバランス取りが非常に上手い。若い女の子主体のアニメではあるが、子供のいる家庭でも鑑賞に耐えられる内容である。パンチラとかないから!
- 「女の子たちが部活として戦車を操縦して戦う」という「奇をてらった設定だが、その話はあくまで王道」というバランスが不思議な現実感を生み出している。
キャラ描写の巧みさ
上記の画像は初期の大洗女子学園(女子校です)の戦車道メンバーである。初期段階でこれだけの人数がいながらも、一人一人の描写は丁寧に行われていく。戦車道はあくまで「学校の中の活動」であり、彼女たちには「学生としての日常」がきちんと存在し、授業や放課後などの1日の流れが描写されている。
そうした「日常がある」という演出が、キャラの存在感に説得力をもたせている。- 特に「上手いなあ…」と思わせるのは「よく見ると気が付くネタ」という演出の使い方。
強烈なキャラクター
戦車の激しいアクション
世界観設定
- 「女の子×戦車×部活動」という無茶な組み合わせを成立させる舞台と世界観設定が存在している。
(1話最後のアレ、戦車が路面を走れる理由、人的被害が出ないような仕組み、街中に物的被害が出てもOKな理由などは説明されている) - 「現実と同じ大洗の風景」に「非現実的な戦車がアグレッシブに走り回る」という絵は、シュールでありながらも次第に説得力を生んでいく。
- 例:地方メガテン(orアトラス)ファンが都内や新宿に行くと、ゲーム内に出てきたスポットを見るたびに「ニヤリ・・・」とするアレ
- 公式配布コンテンツで戦車のペーパークラフトや出場者名簿、初心者向けガイドを配布するのは、現実と非現実がミックスされている印象を受ける。
- -公式ガルパン紹介ガイド(※PDF注意)
2 「キャラ」と「ストーリー」という両輪
「西住みほ」から見た世界
- ガルパンは「キャラクターとストーリーの関係性が特に深い」という特徴がある。
熊本に本拠を構える西住家は戦車道の一流派「西住流」の家元であり、主人公「西住みほ」は西住家の次女である。
しかし、彼女はとある試合中のトラブルをきっかけに、親元を離れて戦車道のない大洗女子学園へ転校してしまう。しかし、戦車道がないはずの大洗女子学園で戦車道が始まることになり… というのがガルパン1話目である。ここから最終話まで非常に淡々かつダイナミックに話が進んでいく。 - また、対戦する各学園に所属する一部のキャラクター同士には因縁もある。こうした話は作中で説明されているのだが、これらが全て「物語を進めるエネルギー」となっており、また「キャラクターの魅力」にもなっている。
つまり、キャラの魅力を語ろうとするとストーリーのネタに触れざるを得ないのだ。
ネタバレは初見の喜びを殺す
- ガルパンを勧める人は「本編で説明していることを自分で読み解いていってほしい」という思いがあある。それはガルパンが「説明はしない。描写はする」という演出が非常に多いがゆえ、「自分なりにこの作品を見て欲しい」という想いから「前知識がない状態でこの作品を見て欲しい」「初見の喜びを感じて欲しい」となる。
しかし、「ガルパンの魅力について語ってくれ」となると、キャラにしろストーリーにしろ、ネタバレに触れてしまって「初見の喜び」を潰してしまう可能性がある。- 実際「ネタバレしてほしくないな」というのは中盤あたりから痛感した。「先を知りたい」というよりも「キャラクターと同じ知識、目線で物語を進めていきたい」という欲望が生まれてくる。
- 特に1話最後の演出は「事前に語るべきではない」と思う。あれは「この作品はちょっと違うぞ」と思わせるフックであり、巨大な布石でもある。先に知ってしまうと、かなり肩透かしになってしまう。
「ガルパンはいいぞ」に秘められた優しさ
- ストーリーが語りにくいなら、キャラクターについて語らざるをえない。しかし、ガルパンはキャラクターとストーリーの関係性が高いので、見ていない人にキャラクターの良さだけを語るのは難しい。
こうした「キャラとストーリーに触れずに面白さを伝える」という矛盾した前提をどうにかするために、そして「本当に満足度の高い、とても良い作品である」ということをサラリと伝えるのが、「ガルパンはいいぞ」というシンプルにも程があるフレーズなのだ。
3 今から始める「ガールズ&パンツァー」
- 「Amazonプライム」では「TV版12話+OVA」が見れる上に買い物とかもサイコーだ。実際超便利。
- 他にも「dアニメストア」、バンダイチャンネル、J:COMオンデマンド、ビデオパス、milplus、U-NEXT、アニメ放題でも視聴できるが、OVAが見られない事が多い。レンタルでもよければ、GEOでもTSUTAYAでも今すぐ走るべきなのは確定的に明らか。
- で、劇場版はTV版+OVA版を見た上で見ていただきたい。何故なら、劇場版はTVの後の話であり、またTV版で語りきれなかったエピソードやつめ込まれたネタなどを全力でぶち込んだのが「超絶娯楽劇場版」だからである。戦車ですごい事するぞ、全員。
- 映画には音楽やキャラクターの見せ方、アクションを含め、ファンにとっての満足度がとても素晴らしいものとなっている。
2015年度のアニメ映画で「最大のリピーターを産んだタイトル」と言ってもいいだろう。4DX、行きてえー! - ガールズ&パンツァー(GIRLS und PANZER)|イベント上映
オチ
- ガルパンは、
とても、
いいぞ。