第2に、このシミュレーションは自衛隊の体制の抜本的な改革の必要性を示唆しているということです。
中国のサイバー攻撃および大量の弾道・巡航ミサイル等による奇襲能力、すなわちA2/AD戦力が、有事における米軍の活動および来援を困難にするレベルに達しているというのは、米国の議論ではすでに前提となっています。米軍ですらそうなのですから、自衛隊がより困難な状況にあることは言うまでもありません。
しかも、現在の自衛隊の戦力構成は、中国の対地・対艦弾道ミサイル攻撃等、そして、サイバー攻撃やゲリラコマンド攻撃に対して非常に脆弱と言わざるを得ません。
海自のいずも型ヘリ空母は弾道・巡航ミサイル攻撃の前には無力です。中国の対艦弾道ミサイルDF-21は1ユニット6~12億円、いずもは1隻1200億円であり、100発撃ち込んでもお釣りがくる計算です。海自の対潜能力は最高水準ですが、対ミサイルには関係なく、そもそもミサイル保有数も限定的です。空自の基地にける戦闘機用の掩体壕(えんたいごう)は少数であり、ミサイル弾薬のほとんどが高蔵寺弾薬庫に集中しています。陸自はそもそも輸送力が決定的に不足しており、国内の有事の輸送は日本通運、通信はNTTが頼りです。
中国は、こうした自衛隊の脆弱な面に特化して軍拡をしてきたと言っても過言ではありません。
どのようにすれば継戦能力を有事に維持することができ、中国のA2/AD能力を無効化・緩和できるのか、どうすればたった5日間で尖閣諸島を奪われるという屈辱的な事態に至らないで済むのか、自衛隊のあるべき戦力構成や作戦構想について真剣に議論すべき時が来ています。