渡辺洋介
2016年1月28日05時04分
力仕事が多くて泥にまみれる――。そんなイメージもある農業高校で、女子の割合が近いうちに全国で5割を超えそうだ。農家の減少などを理由に男子が激減する一方、ペットを育てたりケーキやパンを作ったりする授業の充実で、女子の人気が高まっている。漫画も一役買っているようだ。
野菜や果樹の育て方などを学ぶ東京都立園芸高校(世田谷区)の飼育棟。
「お手!」「待て!」「伏せ!」。動物科2年の福田光世さん(17)ら女子生徒4人がトイプードルなど4匹の犬のしつけを始めた。指示を聞かず、飛びついてくる犬たちをしかり、3回目でやっと指示に従わせた。「いい子いい子」。優しく声をかけた。
同校は農業高校のひとつで、園芸、食品、動物の3学科がある。全校生徒143人。このうち女子は95人で、約7割を占める。1989年度に初めて女子が男子を逆転し、男子が多かった造園科を動物科に改編した2006年度には、3学科すべてで女子の数が男子を上回った。
福田さんは自宅でインコやハムスターを飼っていて、動物園の飼育員やトリマー(ペットの美容師)になろうと同校を選んだ。「農業高校でも農業以外の選択肢が広がっている。実習を通じて動物に関わる仕事につきたい」
徳田安伸校長は「農業高校は男子が多いというイメージは大きく変わった。学びが多様になり、女子の進路のひとつとして定着してきている」と話す。
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