米IT大手グーグルと英グーグル・ディープマインド社の研究チームは、開発した人工知能(AI)のコンピューターソフト「アルファ碁(AlphaGo)」が、欧州のプロ棋士と対戦し、5戦全勝したと27日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。AIが、正式なフルサイズ碁盤の囲碁で人間のプロ棋士に勝ったのは初めてで、開発チームは「偉業を成し遂げた」と喜んでいる。
AIはチェスや将棋ではトップ棋士と肩を並べたとされるが、指し手がより複雑な囲碁は、人間の「最後のとりで」と言われてきた。3月にはソウルで、世界最強とされる李世※(イ・セドル)九段(韓国)との対局が組まれ、実力が試される。
アルファ碁は昨年10月、2013~15年欧州王者で中国出身のファン・フイ氏(二段、フランス)と対局。初戦はアルファ碁が2目半勝ちし、残り4戦は同二段が途中で負けを認め、投了した。公式戦と同じ広さの19路盤を使い、ハンディもなかった。また、「ZEN」(日本)など五つの市販ソフトとも対局し、495戦494勝(勝率99.8%)と圧倒したという。
近年の囲碁ソフトは、初手から終局までの膨大なシミュレーションをランダムに繰り返し、最も勝つ確率が高いものを選び出す計算手法「モンテカルロ法」が主流だった。チームはこれを改良し、「深層学習」と呼ばれるデータや経験を自ら学習するプログラムを導入。盤上の碁石の配置を評価し、今後の展開で最も有利な手を効率的に読めるようになったという。
その結果、アルファ碁が読んだ手の数は、1996年に米IBMのスーパーコンピューター「ディープブルー」が当時の世界チェス王者、ガルリ・カスパロフ氏と対局した時の数千分の1に減った。
初手から終局までの可能な着手数はチェスが10の120乗、将棋が10の220乗、囲碁が10の360乗とされる。加えて、囲碁は局面を評価する力も問われる。
AIの能力は、産業技術への応用も期待されている。電話取材に応じた開発チームのデミス・ハサビスさんは、スマートフォンなどの利用者に対して、価値があると思われる情報を個別に提示する「推奨システム」や病気の画像診断などを挙げ、「長期的には『AI科学者』が人間の科学者と共に科学の飛躍的な進歩につなげられる」と語った。【阿部周一、八田浩輔】
※は石カンムリに乙
◇コンピューター将棋・囲碁が専門の伊藤毅志・電気通信大助教(認知科学)の話
囲碁の局面評価はコンピューターには難しいと思っていたが、深層学習によって精度の良い予測が可能となった。人間の棋士が持つ「大局観」に近いものを得たとも言える。数カ月でさらに学習するだろうから、トップ棋士とも好勝負をするかもしれない。
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