問題は、これは韓国にとって「得なのか、毒なのか」という点だ。韓国と日本の経済協力は、2012年には700億ドル(現在のレートで約8兆2900億円)規模の通貨スワップを結ぶレベルにまで進展したが、経済危機の解消と韓日関係の冷え込みにより、昨年初めに消滅した。今年に入り、菅義偉官房長官は「韓日通貨スワップの必要性が生じたら協力したい」と発言したが、日本の官僚・専門家の中には「韓国と協力する際には、協力するにしても『日本側の必要でスワップを結ぶのではなく、韓国側の要請で結ぶ』と明記すべき」と唱える人物も少なくない。これに対し、柳一鎬(ユ・イルホ)副首相(経済担当)は「日本側がやろうというなら反対する理由はないが、今すぐあえて通貨スワップを推進すべき理由はない」と発言した。李柱烈(イ・ジュヨル)韓国銀行総裁も「通貨スワップ問題は慎重にアプローチすべき」と発言した。韓国経済の対外的健全性は良好なのに、ことさら無理をしては、逆に「韓国は何か不安なのではないか」と誤ったシグナルを発しかねない、というわけだ。日本でなくとも、すでに中国としっかりした通貨スワップ協定を結んでいるではないか、という見方もある。
ただし、韓国がこのように日本との間できしみを立てている間にも、中・日は積極的に見解の差を狭めつつある。習近平国家主席と安倍晋三首相が2度にわたって首脳会談を行った後、昨年6月には北京で2年ぶりに中・日経済対話が再開された。当時、中国の楼継偉・財政部長は、麻生太郎副総理に対し「中・日はグローバル経済のガバナンス改善においてもっと大きな役割を果たすべき」と発言した。「重要な話は中・日間でやって、韓国は排除するのではないか」という懸念が、この時から絶えず起こるようになり、今回の中・日経済協議体の話で、そうした心配は一層大きくなった。これに対し、韓国外交部(省に相当)の李泰鎬(イ・テホ)経済外交調整官は「韓・中国交正常化直後につくられた韓中経済閣僚会議を含め、韓中間にも数多くの協議体が存在する。中・日が協議体をつくるからといって、すぐさま韓国に不利益になるという判断は行き過ぎの感がある」と語った。