ソウルを流れる漢江で26日、遊覧船が浸水し、乗客乗員が緊急脱出する事故が発生した。乗客乗員11人は全員救助された。
26日午後2時半ごろ、漢江の永東大橋付近を航行していたイーランドクルーズ所属の遊覧船「ココモン号」(125トン、216人乗り)の機関室に水が流れ込んできた。船員は非常連絡網で盤浦水難救助隊に通報し、救助を要請した。船には外国人ら乗客6人と乗務員5人の計11人が乗っていた。通報を受けた救助隊は約10分後に現場に到着し、レスキューボートで全員を救助した。
救助された乗客は米国人3人、タイ人2人、観光ガイド1人で、救助されてすぐに宿泊先に戻ったとされる。消防当局によると、低体温症になった乗客もいたが、いずれも水につかってはおらず、健康状態に大きな問題はないという。
同船はこの日、松坡区の蚕室船着場を出発して汝矣島方面に向かったが、漢南大橋付近で再び蚕室側に旋回。永東大橋の手前で浸水し始めた。救助隊は当初、レスキューボートで船を曳航(えいこう)しようとしたが、機関室に1メートルの高さまで水が流れ込み、船が傾いたため、ソウル市漢江事業本部所属の曳船(300トン級)を動員し、排水作業を行いながら蚕室船着場に曳航を試みた。
だが、船尾のほとんどが水面下に沈み、スクリューが川底に接触するなどして作業が難航したため、27日にあらためて曳航作業を行うことにした。消防当局は、船内に残った燃料の一部が流出する可能性に備え、船の周辺に油の吸着布をまいている。国民安全処の関係者は「船のスクリューに設置された逆流防止用のゴムパッキンに異常が生じ、船が浸水したと把握された。正確な事故原因を調べている」と伝えた。
同船は1986年8月に建造された。2013年8月の消防防災庁の点検で、救命胴衣の位置や消火器の配置などに問題があると指摘されたという。
漢江遊覧船の運営権は1985年にセモグループが取得したが、2004年にセヤン船舶に売却され、10年にはイーランドグループに移った。旅客船「セウォル号」沈没事故を受け、政府は安全運航のため遊覧船の船齢を最長30年に制限する内容の「遊船および渡船事業法」施行令改正を推進している。この改正案は来月初めに閣議にかけられる予定だ。これに基づくと、ココモン号は今年8月に船齢制限の30年を迎えるが、「既存事業者の場合は7年の猶予期間を設ける」という例外条項により23年まで運航できる。
イーランドクルーズは「自社で2週に1回ずつ船体検査を実施している。13年に消防防災庁から指摘されたことは船そのものの安全(の不備)ではなく、救命装備や消火器など安全用品の配置などに関することだった」と釈明している。