[インタビュー]状況に合わせた対応必要 北朝鮮核問題=韓国外相

【ソウル聯合ニュース】韓国外交部の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官は26日までに聯合ニュースの新年インタビューに応じ、北朝鮮の戦略的な変化をもたらすため、状況に合わせたアプローチが必要との考えを示した。

 尹長官は「単に北の核問題だけでアプローチするには、問題の要因があまりにも根深く広い」と指摘。核実験への対応で中国が慎重な姿勢を示していることをめぐり対中外交の成果を疑問視する声が出ていることについては、「特定の課題が浮上するたびに韓中関係の根本が揺らぐなどと拡大して見る必要はない」と強調した。

 インタビューは外交部で約1時間にわたり行われた。以下は一問一答。
――年初に行った朴槿恵(パク・クネ)大統領への業務報告で、北朝鮮の核と北朝鮮問題に総体的にアプローチするとしたが、どういう意味なのか。北朝鮮問題には金正恩(キム・ジョンウン)第1書記を中心とする体制に関する問題も含まれるのか。
「北が国際社会の警告にもかかわらず4回目の核実験まで行った。北の考え方や態度の変化、戦略的な計算の変化をもたらす、より広い次元の取り組みも並行してやっていかなければならない。もはや北の核問題だけでアプローチするには北の核問題の要因があまりにも根深く広い。そのため、われわれのアプローチ方法も状況に合わせなければならない。4回目の核実験後、87カ国と10の国際機関が強く糾弾する声明を出したが、内容を見ると、核実験問題を北の核の側面より広い側面から見ている。代表的なのが米下院が採択した対北制裁強化法案で、(北朝鮮住民の)人権問題まで取り上げている」


――国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁はどの程度まで進められたか。
「三つの側面が適切な時間差をつくり、またはほとんど同時に進められる可能性がある。安保理制裁が最も重要で、各国が取る独自の制裁がある。こうした大義名分に賛同する国際社会の平和国が取るさまざまな形の圧力がある。もう20カ国近い国がさまざまな形の圧力を加えている。

 国連安保理制裁と関連しては重要同盟国を中心に文言の協議を進めている。『包括的』は範囲に、『強力』は水準に当たる。範囲の側面で(制裁を)既存のものより広めることも考えており、水準で制裁を追加することも考えられる。北が明確な代価を払う水準にするべきだという問題意識を持ち、文言を協議している。

 また、米国や日本、欧州連合(EU)、オーストラリアなど、いろいろな国が独自制裁を検討している。米下院の制裁法案は非常に強力な措置で、他国の制裁水準にも影響を与えると思う」

――西欧諸国で(北朝鮮と取引する第三国の企業・個人を制裁する)「セカンダリー・ボイコット」を採択する国があると思うか。
「実効的な制裁にするためさまざまな方策を全てテーブルに載せて検討している。こうしたものが全体的に進められ、シナジー(相乗)効果を実現できる方向を議論している。特に、独自制裁を行う国の場合、セカンダリー・ボイコットを導入する可能性が相当あると思う」

――韓国政府が独自制裁を検討する計画は。
「国際社会が独自制裁を実施する雰囲気をわれわれも念頭に置かなければならないので、今後の国際社会との協力という側面から、何をどうすべきかに関して踏み込んだ議論があると思う」

――安保理制裁水準の中心的な鍵を握る中国とロシアをけん引する方策は。
「3回目の核実験より強力で包括的な、われわれが望む方向に賛同してもらうようさまざまな努力を行っている。中国の王毅外相と70分対話をし、(朴)大統領が公に数回にわたりメッセージを送った。このほかにも、国連代表部や北京現地でも対話が続けられている。可能な限りの対話努力を行っている。

 ロシアの場合、ラブロフ外相と電話会談をしたのに続き、近いうちに私がロシアを訪問することを検討している」

――朴大統領が6カ国協議参加国のうち、北朝鮮を除く5カ国協議に言及したが。
「6カ国協議に北が関心を示さず、4回目の核実験を行った状況で現実的に6カ国協議の早期開催は容易でないことは誰もが考えているのではないか。6カ国協議が進められないとして何もせず、北の核能力の高度化を放置してはならない。北が厳重な挑発を行ったこの時期こそ5カ国が集まるべきだ。北の核問題に対し深い協議を行える非常に適切な時期だと思う。

 北を除いては困るという見方よりは、(5カ国協議が)北の態度変化、ひいては6カ国協議の再開にも役立つ。6カ国協議への近道になるとみることが合理的ではないか。

 韓国と米国、中国の3カ国協議も同じ視点でみることができる。韓米中がより本格的な協議をするためには非常に良い時期だと思う」

――中国は5カ国協議に事実上反対したが、中国をどう説得するのか。
「中国は6カ国協議の議長国なので、6カ国協議を早期に再開する問題に当然ながら最も大きな利害関係を持っている、そのような反応を見せることは全く不思議なことではないと思う。ただ、6カ国協議が進められていない状況で協議が追求する北の核放棄を確保するための取り組みは、いろいろな形で推進されることが中国を含む全ての当事国の利害に一致する。

 北の核能力が高まると、中国東北3省のいろいろな環境的問題を引き起こすだけでなく、中国を含む周辺国の安全にも決して有利にならない。だからわれわれはこの問題を国際社会と北の構図とみている」

――ケリー米国務長官の訪中が分岐点になると思うが、その意味は。
「結局、韓国と米国、中国が中心的な利害当事国になる。米国務長官が核実験以降、核問題を議論するため、以前は1回も(中国に)行ったことがない。ケリー長官が直接行くということはそれほど米国の意志が強いということだ。

 これまで韓国と米国、米国と国連安保理の主要理事国とが議論した内容に基づき、(米中は)意味のある協議をするのではないか。安保理のいろいろな協議の過程を見ても、結局は中心的な当事国の協議を先行させることがその他のプロセスを加速させる効果がある」

―朴大統領の戦勝記念式典出席など、努力を傾けた対中外交が失敗したとの指摘もある。
「韓国と中国、米国と中国、安保理理事国と中国の間で協議が行われているので、今後中国が協力しないと予断する必要はない。最終的に良い結果が出るようにするのが最も重要な目標だ。

 特定の課題が浮上するたびに韓中関係の根本が揺らぐなどと拡大して見る必要はない。この3年間の韓中関係の発展は中国側が口をそろえて最高の関係と言う水準まできている。韓中間で今進められている対話の頻度や質を見ると、3年間に構築された関係のため、率直に意見を(交換)できる段階となった。

 中国の対韓外交失敗や韓国の対中外交失敗という観点から見る問題というよりは、北と国際社会という構図の中で中心的な利害当事国の韓国、米国、中国がどうやって知恵を合わせ、問題を解決していくかという角度から見なければならない」

――中国の立場では北朝鮮は「戦略的な資産」ともいえるが。
「3回目の核実験直後、中国の指導部が見せた強力で否定的な反応、その後に冷え込んだ中朝関係から推測すると、今回の4回目の核実験に中国の指導部と政府がどのような考えを持っているかは察することができる。

 韓中関係は自由貿易協定(FTA)など、良い友と付き合えばいかに良い結果が出るかを考える必要がある。

 中国政府のレベルであれ、非政府のレベルであれ、4回目の核実験を行った北が戦略的に大きな資産になるという見方は戦略的な負債になるという見方に比べ相対的に大きくないと思う。

――ロシア訪問を検討中としたが、具体的な計画は。朴大統領の年内のロシア訪問も推進する計画があるのか。

「1月9日の(ラブロフ外相との)電話(会談)の結果に基づき、あちらが韓ロ首脳会談をロシアで開催することを望み、招待してきたので、私が近いうちに訪問することを検討している。可能な限り早い時期に行くことを検討している。

 私が行くことになれば、北の核問題、昨年11月のパリでの韓ロ首脳会談のフォローアップを含め、両国関係の強化策が議論される。その中には当然、ハイレベルの交流問題が含まれる」

――制裁解除以降、イランとの関係改善の計画は。
「長期間の制裁期間中、イランを離れず、困難な時に手助けした企業は韓国企業など指で数えられる程度だ。イラン政府はその点を非常に高く評価している。ある側面では(韓国は)イランが最も信頼する重要なパートナー国の一つであるということは明確に言える。

 高官級の訪問が本格化していくだろう。すでに両国の政府は経済関係強化を含め、両国関係をどう飛躍させるかについて相当踏み込んだ議論をしている。われわれが先に占めた有利な位置を損ねることなく、国家的な利益を最大限追求できる戦略計画を持っている」

――慰安婦交渉の妥結後、韓日関係をどう進めていく計画なのか。
「妥結により、両国関係改善のための一つのモメンタム(勢い)は確保できたと思う。
 重要なのは合意が誠実に履行され、これまでのいろいろな困難を着実に解消し、信頼が築かれることだ。信頼が強化されれば、互恵的な問題や北の核問題など、戦略的な理解を共有する面で過去よりはるかに協力が強化できると思う。昨年も高官級協議が多くあったが、過去より活発な対話があるのではないかとみている」

――両国の首脳間の相互訪問も可能と思うか。
「こうした土台が築かれれば、さまざまなレベルでより持続可能な対話ができる環境が構築されるのではないか」

――ドイツで開催される「ミュンヘン安全保障会議」(2月12~14日)に合わせ、韓米外相会談の開催を調整しているのか。
「少なくともミュンヘンでは会おうと、事実上双方が合意している」

――さらに発言したいことがあれば。
「われわれの高まった外交力をどう平和定着や(南北)統一に生かしていくかが重要なポイントだ。多国間外交の舞台で培った外交力はわれわれの外交の目標、特に平和統一を実現する過程で重要な資産となる。国際社会に貢献し、(国の)ブランドを高めていくことが欠かせない。今年はとりわけ、開発協力と人道主義分野を大きく強化する予定だ。また、国連人権理事会の議長として、結果的に北の人権問題の進展についても寄与できるのではないかと思う」

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