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ドナルド・トランプはヒトラーと同じデマゴーグ【後編】

The Rhetorical Brilliance of Trump the Demagogue

2016年1月27日(水)18時15分
ジェニファー・マルシエカ(テキサスA&M大学コミュニケーション学教授)

 トランプの土台となる論理は、アメリカはこうしたモノの犠牲者だというものだ。モノについては、人ほど配慮する必要がない。だから、私たちがイスラム教徒を入国させないことは正当化される。

 最後に、トランプは「証拠」を都合よく歪曲することを指摘しておこう。トランプによれば、アメリカに住むイスラム教徒たちへの調査結果として、「回答者の25%が、アメリカ人への暴力は正当化される」と答えたとされている。だが、この調査の出所である安全保障政策センター(CSP)は、反イスラムのシンクタンクだといわれる。

 また同じ調査で、アメリカに住むイスラム教徒の61%が「預言者ムハンマド、コーラン、あるいはイスラム教信仰を侮辱した人々に対する暴力は許容できない」と回答している点に、トランプは触れていない。アメリカ人への暴力をグローバル・ジハードの一環として正当化することはできないと考える人が64%に上ることにも言及していない。

 残念ながら、真のデマゴーグの常として、トランプは「事実」には関心がないようだ。(前編

Jennifer Mercieca, Associate Professor of Communication and Director of the Aggie Agora, Texas A&M University

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.

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