(富貴子)愛して。
愛して!最後だから。
これが最後だから思い切り。
(綱輝)富貴子。
富貴子。
(富貴子)ぼたんって呼んでもいいわ。
愛して。
永遠に愛して。
(綱輝)愛し続けるよ。
永遠に。
富貴子。
ぼたん…。
ぼたん!
(司会)本日は世にも珍しい合同の結婚披露宴でございます。
(司会)それぞれのご新婦さまがご姉妹であられることからこのような形式の挙式と披露宴をなさることになったと伺っておりますが居並ぶお二組の新郎新婦さまを拝見しておりますとめでたさも2倍。
いや。
3倍にもいや増してまいるようでございましてご姉妹のご両親さまのお喜びもいかばかりかと拝察するしだいでございます。
(司会)さてこの場を借りまして簡単にそれぞれのご新郎さまご新婦さまのプロフィルをご紹介させていただきます。
(司会)さて。
大隈家のご新郎さま春馬さまは株式会社シレンの社長職にお就きになってすでに40年。
関西から東日本にかけて多くの支店を出店なさいまして泣く子も黙る金融界の帝王でいらっしゃいます。
ご新婦さまの富貴子さまは芳紀26歳。
明光大学ご在学中に4年間アメリカに留学をされその英語能力には定評がございます。
まさしく時代の先端を歩んでおられる才色兼備の花ともいうべき女性でございます。
(司会)さて。
もう一方のご新郎瀬尾綱輝さまは青森のご出身でございます。
幼いころより神童の誉れ高く…。
(従業員)お願いでございます。
お座りください。
(世奈子)分かったわよ。
座るわよ。
(伊佐子)あっ。
ちょっと。
(世奈子)こういうお子さんを連れていらっしゃるんだったらもう少しお行儀よくさしてくださらないと困るわねぇ。
(伊佐子)あっ。
こぼしちゃ駄目よ。
すみませんねぇ。
フランス料理なんて食べたことがないもんですから。
(ハナエ)まあどうも。
(徹馬)このたびはどうも。
はあ。
(徹馬)おめでたいことで。
(ハナエ)わたすはてっきり綱輝は富貴子さんと結婚すると思っていたけども相手が違ってまあびっくらこいちまって。
(徹馬)黙ってろ。
お前は。
どっちにしてもめでたはんで。
(世奈子)駄目駄目。
飲ませないで。
(徹馬)へっ?
(世奈子)だいたいこんなおめでたい席にはそちらさまは遠慮なさるのが筋じゃないかしら?
(伊佐子)まあ。
ひどい。
(峰靖)私たちはね新婦の両親なんだ。
あんたに文句言われる筋合いはないよ。
でも私はね娘のぼたんをあなたたちの長男に殺害されたんですよ。
(一同)えっ!?
(世奈子)困るじゃないの。
しかも同じテーブルに!
(眞澄)ママ。
よろしかったら他のテーブルにお移りになります?
(世奈子)あなたもまた何をとち狂ったこと言ってるのよ?席を替わらせるんなら私でなくてこの3人でしょうが。
(眞澄)でも3人じゃ座るところが…。
(徹馬)私たちの席は空いてるども…。
(ハナエ)空いてないよ。
(徹馬)ああ。
空いてない?
(萌子)もうよしましょう!いまさらそんなことでもめたってしょうがないわ。
あら。
あなたも女優の割にはデリカシーがないんですのね。
そんなんでいい演技ができるのかしら?
(萌子)デリカシーがないのはあなたの方でしょ。
こんな無茶な縁談押し付けて。
私たちとしては心からお祝いするわけにはいきませんよ。
(世奈子)まあ。
小日向家のためによかれと思って私が陰でどんなに苦労したか知れやしないのによくもおっしゃること。
(眞澄)ホントに正直なところママにはお礼を言うべきか恨み言を言うべきか迷ってしまうんです。
(眞澄)親の気持ちとしては複雑なものがあるわ。
ママが富貴子と綱輝さんの間を引き裂きたかったってことだけは明らかだけど。
まったく。
親子揃って恩知らずなことばかり。
あきれるわねぇ。
私どもとしては正直申しましてめちゃくちゃな結婚だと思っています。
(世奈子)めちゃくちゃですって?
(徹馬)めちゃくちゃ!?
(ハナエ)めちゃくちゃな結婚?
(大隈)何とかせい。
(杉彦)ああ。
めちゃくちゃだ!めちゃくちゃ!
(司会)まあまあまあ。
まあまあまあまあ…。
宴もたけなわのようではございますがただ今より皆さまお待ちかねの新郎新婦のケーキカットの儀に参りたいと存じます。
まずは大隈さまのお二人さまからケーキの前へとお進みください。
(大隈)よっしゃ。
行こうか。
ほれ。
(司会)さあケーキカットの瞬間をカメラに収めたい方はどうぞ前方の方へお進みください。
(杉彦)めちゃくちゃだ!めちゃくちゃだ!
(峰靖)おい。
杉彦!
(伊佐子)杉彦。
(一同)ああっ!おおー!
(峰靖)杉彦!杉彦!
(富貴子)杉ちゃん?
(峰靖)よしなさい!あっ!
(杉彦)やめろ。
やめろ。
姉ちゃん!
(峰靖)杉!杉…。
(伊佐子)あっ!
(峰靖)おい!
(伊佐子)杉彦…。
(杉彦)やめろ。
やめろ!
(峰靖)おい!杉彦!
(大隈)いったい何やねんこれは!
(峰靖)杉彦。
(司会)お静かにしてください。
(司会)お静かに。
皆さん。
お静かに願います。
(峰靖)お前。
大丈夫か?
(司会)お静かに。
席へお戻りください。
(司会)お席にお着きください。
(世奈子)やってくれたわね。
よくもぶち壊してくれたわね!
(大隈)帰ったで!ハァー。
よいしょ。
(瑠璃)パパ!おかえりなさい!
(大隈)ああ。
いい汗かいた。
あっ。
アハハ。
ご飯食べたんか?
(瑠璃)まだ。
(大隈)ほうか。
ほんならパパと一緒に食べようか?
(瑠璃)うん。
食べる。
ああー。
うまっ。
(瑠璃)はい。
新聞。
(大隈)ああ。
おおきに。
瑠璃はよく気が利くなぁ。
(瑠璃)お砂糖入れないの?
(大隈)あっ。
ほうか。
ほんならなスプーンに1杯入れてんか。
(瑠璃)はーい。
(大隈)はい。
(瑠璃)はい。
できた。
どうぞ。
(大隈)ああ。
おおきにおおきに。
瑠璃はホンマにええお嫁さんになるわ。
あなた。
お食事できてますよ。
(大隈)まあもうちょっとゆっくりコーヒー飲ましてくれへんか?ランニングの後のコーヒーはホンマこたえられんわ。
頭がなしゃっきりするんや。
瑠璃。
先に食べなさい。
(瑠璃)はーい。
本当によく続くわね。
無理なさらないでくださいね。
(大隈)おう。
後でなランニングシューズ洗っといてくれへんか?ええ。
分かりました。
(瑠璃)いただきます。
あっ。
そうや。
自由が丘にな英語を教えてくれる幼稚園があるそうやで。
月謝はちょっと高いそうやけど外国人の先生が英語たたき込んでくれるそうや。
瑠璃。
そっちへ入れといた方がよかったんちゃうかな?でもこの子今の幼稚園が気に入ってるみたいですわ。
そのくらいの年から生の英語の発音たたき込んどいたら将来楽やで。
英語は私が教えます。
あっ。
そうか。
ママはぺらぺらなんやな。
忘れとったわ。
ハハハ。
わしはなこの家の生活が何とも言えんわ。
そうですか?
(大隈)この絵にしてもそうや。
富貴子が牡丹で美輪子が薔薇やと聞いたけど最初は奇麗なだけで深みのない絵やなと思うとったけど5年もしてやっとこの絵のよさが分かった。
この絵は言うたらわが家の幸せの象徴や。
そうですか。
(大隈)見れば見るほどいい絵やなぁ。
ホンマにこの家にぴったりの絵や。
今日は私病院に見舞いに行ってこようかしら。
(美輪子)行ってらっしゃいよ。
おばあちゃまによろしく言っといて。
行けばあなたたちのことばかりよ。
「大丈夫かしら?」「うまくいってるかしら?」ってそればっかり。
(美輪子)私のことはともかくお姉ちゃまは幸せなのかしら?大隈さんがあまり外に出したがらないみたいね。
ネイルサロンもやめてしまえって言われたらしくって。
瑠璃が生まれてからはあの子にかかりっきり。
(美輪子)最近はローズカフェにも顔を出さないんだから。
でも大隈さんって少し封建的だけど悪い人じゃないわ。
それに申し分のない親バカぶりで瑠璃を目の中に入れても痛くないようなかわいがり方だし。
当たり前じゃない。
自分の子だもの。
そうなんでしょ?えっ?そうに決まってるじゃない。
何言ってんの?美輪子。
変なこと言うんじゃないわ。
でもお母さんあまり大隈さんには似てないって言ってたから。
あっ。
子供ってね母親に似たり父親に似たりするものなの。
めったなことを言っちゃ駄目よ。
美輪子。
はい。
申し訳ありません。
私はねあなたのことが心配よ。
最近綱輝さんとはどうなってるの?たまには会ってるの?あまり…。
電話もかかってこなくなっちゃった。
偽装結婚も問題ね。
あなたも26になったんだし籍を入れてしまっちゃ他の人と結婚したくても動きが取れないじゃないの。
別に好きな人がいるわけじゃないからいいわ。
でも一緒に暮らせば男女の情が芽生えてホントの夫婦になるってことも…。
そんな小説みたいにはいかないのよ。
最初の2年間彼のマンションで暮らしてみてよく分かったわ。
でも偽装結婚で5年もたってそのままじゃ…。
無理なのよ。
綱輝さんはいまだにお姉ちゃまが好きなんだから。
そう?やっぱり。
愛してるんですって。
永遠の愛を誓い合ったんですって。
いってらっしゃいませ。
旦那さま。
ほないってくるで。
・
(ドアの閉まる音)さあ幼稚園に行きましょうね。
あっ。
その前に…。
どうしたの?パパの靴汚いの?ほーら。
ほらほらほらほら…。
待て待て。
じゃあ抗生物質で?
(萌子)うん。
一応熱も治まったし胸の痛みもなくなったから効いてるとは思うんだけど菌の正体は検査中なのよ。
まだ死なないでよ?頼むわよ。
お母さん。
大丈夫よ。
富貴子と美輪子の幸せをこの目でちゃんと見届けないと死ねないわよ。
お母さんには心配かけたくないんだけどホントに悩ましいことばかりで。
何よ?何かあったの?あっ。
ここだけの話だけど私何だか瑠璃のことが気になって。
瑠璃がどうしたの?今が一番カワイイ盛りでしょう?ホントにカワイイのよ。
だけど…。
あんた駄目よ!そんなこと口が裂けても言っちゃ駄目よ。
(瑠璃)着いた着いた。
おうち着いた。
はい。
おうち着いたわよ。
はい。
降りて。
まあ。
綱輝さん。
(綱輝)びっくりさしてしまったかな?どうなさったの?連絡してくださればいいのに。
(綱輝)連絡したら断られるに決まってるから。
誰?お入りになって。
さあ早く。
誰?このおじさん誰?
(綱輝)瑠璃ちゃんだね?瑠璃です。
4歳。
瑠璃。
(綱輝)瑠璃。
瑠璃ちゃん。
お茶も出してあげられなくてすみません。
(綱輝)今度外でゆっくり会ってもらえないかな?
(綱輝)3年前にたった一度会ったきりであれから僕の心は宙づりになったままなんだ。
もう私なかなか難しいんです。
(綱輝)相変わらず籠の鳥なのか?あのときはベビーシッターを雇っていたからよかったけど今はこの子から目が離せなくて。
だから瑠璃ちゃんを一緒に連れてきてほしい。
瑠璃も?
(瑠璃)ママ。
できた。
あら。
上手。
じゃあこっちも塗ってみようか。
(瑠璃)はーい。
さっきこの子を見た瞬間頭がくらくらっとなってわれを失いそうだった。
全身の血がざわざわと波立って体が震えてくる。
こうして見ていると抱き締めたくてしかたがなくなる。
ひょっとして僕の子じゃないのか?この子は僕の?綱輝さん…。
(綱輝)はっきり言ってくれ。
この顔立ちは古里の僕の妹と同じなんだよ。
幼いころの僕の妹とそっくりなんだよ。
違います。
あなたの勘違いです。
(綱輝)でもしかし…。
そう思いたいあなたの気持ちは分かるわ。
でも残念ながら違うの。
いや。
あの夜…。
結婚式の前の夜死ぬほどに愛し合ったときの。
そうじゃないのか?《ぼたんって呼んでもいいわ》《愛して。
永遠に愛して》
(綱輝)《愛し続けるよ。
永遠に》最後のあの夜に授かった子じゃないのか?悪いけど女の体はちゃんと覚えてるものなのよ。
違うと言ったら違うの。
・
(クラクション)
(瑠璃)あっ。
パパだ。
パパ!パパ!行って。
早く行って!ほら。
(大隈)ただいま。
おかえりなさいませ。
(瑠璃)パパ。
おかえりなさい。
(大隈)早かったやろ?たまには早う帰ってびっくりさせてやろう思うてな。
(大隈)瑠璃。
一緒にお風呂入ろうな。
(瑠璃)うん。
今おじさんが来てたの。
(大隈)おじさんやて?寒くなる前に床暖の点検をしてもらったんですわ。
(大隈)ああ。
そら早手回しな。
瑠璃。
行こう。
行こう行こう…。
はい。
・「お風呂行こうお風呂行こう」こちらの方がやや渋みが強いようです。
(女性)へえー。
そうなんですね。
あら。
珍しい。
まあ。
どうなさったの?いや。
ちょっと。
嫌だわ。
綱輝さん。
靴はどうしたのよ?困るじゃない。
はだしのままじゃ。
ねえ?綱輝さん。
靴のサイズは?26cmだったかしら?
(綱輝)ああ…。
26cm半?ねえちょっと。
スニーカー買ってきてくれない?
(従業員)スニーカーですか?サイズは26cm半。
適当に選んできてちょうだい。
早く行ってきて。
(従業員)あっ。
はい。
いったいどうしたのかしら?いつもぴしゃっと決めてる綱輝さんがはだしで現れるなんて前代未聞の珍事だわ。
あれは絶対僕の子だ。
えっ?どうして嘘を言う?瑠璃は僕の子なんだよ。
こんにちは。
(女性たち)こんにちは。
こんにちは。
(世奈子)あらあら。
来たわねぇ。
何してらっしゃるんですか?こんなところで。
(世奈子)あなたたちの子供が見たくて来たのよ。
ほんの小さいころに見たっきりだから会いたくなって。
やめてください。
そんなこと。
・
(戸の開く音)・
(先生)はい。
みんな帰るわよ!
(先生)さようなら。
(瑠璃)ママ!
(世奈子)へえー。
この子が瑠璃ちゃん。
この子がねぇ。
さあ行きましょう。
2016/01/26(火) 13:25〜13:55
関西テレビ1
新・牡丹と薔薇 #38[字][デ]【世にも奇妙な結婚式!?】
亡き父が残した莫大な借金。世奈子(田中美奈子)から金融会社を経営する大隈(大和田伸也)を紹介された富貴子(黛英里佳)と美輪子(逢沢りな)は、驚きの決断をする!
詳細情報
番組内容
富貴子(黛英里佳)と大隈(大和田伸也)、美輪子(逢沢りな)と綱輝(片岡信和)の合同披露宴が行われる。新婦の親族として富貴子の養父母一家も出席するが、そのことに腹を立てた世奈子(田中美奈子)が怒りをぶつける。眞澄(伊藤かずえ)や萌子(山口いづみ)も加わり、口論する中、興奮した杉彦(石田愛希)がウェディングケーキに体ごとぶつかり…。
番組内容2
奇妙な宴から5年後、富貴子のそばには4歳になる娘・瑠璃(古川凛・子役)の姿があった。夫婦仲は良好だったが、ふとした瞬間に大隈への嫌悪感を抱いてしまう富貴子だった。一方、美輪子も綱輝と戸籍上は夫婦のままだったが、お互い愛情を抱くことが出来ず、別居生活を続けていた。
ある日、富貴子の前に何の連絡もなく綱輝が現れる。瑠璃の顔を見た綱輝は、驚がくの表情を浮かべる。
出演者
吉田富貴子:黛英里佳
小日向美輪子:逢沢りな
牧原世奈子:田中美奈子
浅黄萌子:山口いづみ
瀬尾綱輝:片岡信和
・
大隈春馬:大和田伸也
小日向眞澄:伊藤かずえ ほか
スタッフ
【企画】
横田誠(東海テレビ)
【原作・脚本】
中島丈博
【演出】
西本淳一
【音楽】
中川幸太郎
【主題歌】
サラ・オレイン「涙のアリア」(ユニバーサルミュージック)
【プロデュース】
西本淳一(東海テレビ)
大久保直実(ビデオフォーカス)
坪ノ内俊也(ビデオフォーカス)
【制作著作】
ビデオフォーカス
【制作】
東海テレビ
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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