二度と…二度と連れてかねえからな!
(柴田)こんな店来るか!
(玲子)卓ちゃん。
なんで…。
なんでって何よ。
玲子さんじゃん。
(あかね)玲子さん?
(玲子)久しぶり。
我ながら呆れた話だ。
バツ3独身55歳。
それなのにまだ東京の街角で出会いの予感を待っているなんて。
ああこれが何度目の恋だろう?
卓さん玲子さん。
わかってるよ。
(玲子)どこ行くの?忙しいんだよ。
えっ?何だって?卓ちゃん。
誰なんですかあの人?二番目の妻。
えっ?うん?え?玲子が?なんで今更なんだよ。
(柴田)玲子さん何年ぶり?うん?ずいぶんだね。
別れた女房が卓さんにいったい何の用事?別に。
フラーッと寄っただけ。
フラッと寄っただけ?うん。
何よ。
いやわかんない。
え〜?もうどうすんだよもう。
戻んないとまずいよな。
えっでもなぁ。
(明美)卓三さん?はい。
(明美)誰だかわからないですか?えぇと…。
明美です。
明美?明美ちゃん!?もしかして日暮里ヘブンの明美ちゃん?はい。
日暮里ヘブンの明美です。
いつもありがとうございます。
どういたしまして。
ウッソ!お店と全然違うじゃん。
2人:乾杯!いや〜卓ちゃん飲んでる姿もかわいい!
(2人)イェーイ!いやんかわいい!卓ちゃんなんでそんなかわいい顔してんの?こうも変わるんだお店の外だと。
がっかりしました?いやいやとんでもない!むしろこっちのほうがおじさん的には…。
そう言ってもらえるととてもありがたいです。
へぇ!なにやってんですか?来なくていいから。
ちょっと来んなよ!待ってますよ。
誰が?元嫁。
なんで!?あっ柴田バカ…。
どうするんですか?元嫁って誰の?ん?えっ!?なにワケのわからんこと言ってるんだ。
適当にな?適当につないどいてくれ。
なんで私が?頼むから!頼むよ!な?大丈夫でした?今。
ハハハッいや…全然大丈夫!でそれで?今日はどうしたの?急用ができた。
えっ!?じゃあまた。
どこ行くの?押上。
押上…何しに?野暮なこと聞くなよお前…。
あっ逃げた!ちょっと!あっ…。
誰?若い!かわいい!あの人全然変わってないわね。
思春期か!ハハハ…。
いやぁ…。
明美ちゃんと店外デートができるとは夢にも思わなかったな。
そうですね嬉しいです。
《ふだんの明美ちゃんはこんなにも清楚で素朴な雰囲気を醸し出しているのか。
お店とのギャップがたまらない!》どこへ?あのね近くにすごい感じのいいカフェがあるからそこへ行こう。
え〜楽しみ!あっち。
お待たせいたしました。
レアチーズケーキラズベリーソースがけでございます。
わぁおいしそう!どうぞ!はいいただきます。
この特製レアチーズケーキは墨田区のスイーツベスト3に選ばれたんだよ。
ん!?やば〜い!口の中で優しくとろけます!お母さんいつ上京してくるの?来週末です。
下町を案内してほしいってそういうことだったんだね。
事前に下調べしておきたくて。
卓三さん詳しいっておっしゃってたからなんかオススメの場所があったらなと思ったんです。
じゃあ押上を選んで正解だったな。
そうなんですか?うんだって下町風情も楽しめるしスカイツリーもあるしね。
さすがですね卓三さん。
いやぁ…。
《下町好きがこういう形で役に立つとはな》亀戸天神藤まつりで有名な天神様。
へぇ〜。
なんかいいですね。
こうやって男の人とのんびり過ごすの。
えっ!?東京出てきて初めてかも。
嘘でしょ!卓三さんが最初でよかった。
《えっ何!?》《今の発言まさかお客としてじゃなく男として見てるってことなのか?》卓三さんお参りしましょうよ。
《いかんいかんいかん。
その考えはまだ早すぎるぞ》ここに藤の花が咲いたらきれいですね。
ああ。
好きなの?お花。
昼間はフラワーデザインの学校に通ってて。
えっ何?明美ちゃん今学校行ってるの!?はい小さい頃からフラワーアーティストになるのが夢で。
恥ずかしいんですけど。
いや恥ずかしがることじゃないよ。
ステキな夢だよ。
こんなこと他のお客さんには話したことないんですけどね。
頑張ってるんだね。
お店の明美ちゃんからは想像もつかないよ。
無理してるんですよお店では。
でも学費のためにと思ってキャラつくって周りに合わせて。
えっ!明美ちゃんなに学費自分で払ってんの!?お母さんには迷惑かけられないんで。
《何なんだこの健気さ。
彼女を支えてあげたい。
年の差なんて気にしないよ。
俺は…》どうしました?あっいやいや…。
なんかいろいろ話しちゃってごめんなさい。
いや全然。
ふだんの私も気に入ってもらえるといいな。
えっ…。
行こっ次。
《かっかわいい!もう気に入ってます。
いやもう完全にやられちゃってます俺》あっ大丈夫!?お〜。
(明美)うわ〜おいしそう!寺島せいろ。
寺島?このなすね寺島なすっていって江戸時代からこの辺りで栽培されてるんだ。
この辺りは昔は寺島町って呼ばれてたんでね。
へ〜っ。
香りが強くて皮がやや厚めで天ぷらに向いてるんだ。
うん!甘みと食感が最高!お母さん喜んでくれると思うんだけどな。
そうですね。
でも…どうですかね。
えっ?ダメ?じゃあ他の店…。
いやお店がとかじゃなくて。
実は私お母さんに反対されてるんです。
何を?東京にいること。
ああ…。
実は私の家母子家庭なんですよ。
あっそうなんだ。
それにひとりっ子だから近くにいてほしいんだと思います。
ああ。
だけど強引に出てきて。
たぶん田舎に帰ってこいって話をしにくるんだと思います。
お母さん。
えっ?田舎に戻って早く誰かと結婚してほしいんじゃないかな。
そうなんだ…。
あっ暗い話しちゃった。
ごめん。
いやいやいや…。
うわ〜っ!きれい!すごいでしょ?こんな景色初めて見た。
高さ350mからの東京の夜景だ。
感動。
東京がこんなにきれいだなんて初めて思った。
私…頑張れるかな。
この大きな町で。
明美ちゃんはどう考えてるの?えっ?帰りたいの?田舎。
まだまだ…東京にいたいです。
叶うといいね。
え?夢。
はい。
(明美)ホントにきれいですね。
すごいよね。
あそうだ。
東京にそういう人がいたらお母さんも諦めるのかもしれない。
そういう人?彼氏とか。
彼氏?卓三さんが彼氏だったらお母さんびっくりするだろうな。
《彼氏?俺が?親子ほど歳の離れた俺が彼氏?いやあるか?あるな。
今の若い子は年上好きだっていうし。
あるなこれ》どうしました?あいや…。
だって彼氏とか言うから。
私小さい頃からお父さんいなくて…。
それでなんていうか面影を追いかけるっていうか…。
歳の離れた人といると安心するんです。
《あるなこれ絶対。
あるあるあるある!あるぞ〜!》
(明美)今日は楽しかった。
お店での卓三さんしか知らなかったから新鮮でした。
俺も楽しかった。
ハハハ。
じゃあまた。
また。
《ハァすばらしい。
お店でもこんなに見送られたことないぞ》
(荒木)それで何か明美ちゃんの力になりたいと。
なあなんかいい方法ないか?明美ちゃんのお母さん納得させる。
う〜ん。
卓さんが明美ちゃんの彼氏だったらお母さんも納得するんじゃないっすか?え?2人の恋を引き裂いてまで田舎に戻れとは言わないでしょさすがに。
俺が明美ちゃんの彼氏…。
ちょっと待て…。
そんな急につきあえないだろ。
いやべつに誰も正式につきあえとは言ってませんよ。
どういうことだよ?お母さんの前でだけ卓さんが彼氏役を演じてあげたらいいんですよ。
彼氏役?大丈夫かよそれ。
どうでしょう…でも彼氏役がホントの彼氏になるっていうこともありえますからね。
ああ…代役が主役に抜擢されるパターンな。
ああ…。
でもそうならないってことも頭に入れておいてくださいよ。
いやいやそれでいこう大丈夫大丈夫。
ああおい荒木お前やっぱ頼りになる男だな。
一杯いこう。
〜ビックリしました。
まさか来てくれるなんて。
いや今となってはこの姿のほうが違和感だね。
私もなんか恥ずかしいです。
実は話があって来たんだ。
話?じゃああかねちゃん店は頼んだよ。
はい。
あ今日どこですか?押上。
押上?この間行ってませんでしたっけ?この前は予行練習。
今日が本番。
は?じゃあな。
〜卓三さんお待たせしました。
ほらお母さん行こう。
《若いなお母さん》
(明美)ごめんなさい。
お母さんです。
ここスパイスカフェは南インドカレーが食べられるとあの…人気の店なんです。
南インドカレーはさらっとしてて米になじみやすくえ〜そして…。
豆や野菜をふんだんに使っているので大変胃にやさしいカレーなんです。
どうぞお母さんも召し上がってください。
卓三さんっておいくつなんですか?あの…ちょっと申し上げにくいんですけどえ〜んじゅうご歳です。
はい?55です。
今年56になります。
私より年上なんですね。
そうですね。
トイレ行ってくる。
ちょっ…。
明美ちゃん!すみませんね勝手な娘で。
あっいえ…。
どうぞ。
あっどうも。
やっぱ無理あるよね。
ご迷惑をおかけしてすみません。
いえとんでもないです。
ありがとうございます。
娘の嘘につきあってくださって。
え?すぐに見破れますよ母親だったら。
私が田舎に戻って早く結婚しろって言うもんだからつきあわされたんでしょ?あ…すみません。
でもこれで娘の気持がわかりました。
親が思うように子供は育ってくれませんね。
でも…。
明美ちゃん自分の夢に向かって頑張ってますよ。
もう少しだけ東京にいさせてあげるわけにはいきませんか?卓三さん。
はい。
東京の父になってあげてください。
あの子の。
《東京の父?》厚かましいお願いですけどどうかお願いします。
《父?父…》あっもちろんです。
どうか顔を上げてくださいお母さん。
ごめんなさい。
ステキな人じゃない卓三さん。
え?お母さん安心した。
さあ食べましょう。
天気がいいね。
うん。
《東京の父か。
まあそうだよな》卓三さん次どこ行きます?スカイツリーのぼります?いや俺はここで。
え?せっかくなんだからお母さんとゆっくり話しな。
お母さん娘さんに下町いっぱい案内してもらってくださいね。
はい今日はホントにありがとうございました。
いいえこちらこそ。
ほら。
ほら。
卓三さんまた。
ああ。
《頑張れよ明美ちゃん。
頑張ればもっともっと東京が好きになるよ。
きっと…》ありがとうございました。
ありがとうございます。
またお待ちしてます。
はい。
ただいま。
おかえりなさい。
早かったですね。
ああ。
あかねちゃん。
はい?ちょっと聞きたいんだけどさ。
はい何ですか?あかねちゃんの恋愛対象っていくつまで?あぁ…30ですかね。
低っ!そんなもんでしょ。
百歩譲って35。
変わんねえじゃん。
低っ!現実見ましょう。
低っ!背も低っ!悪口。
いらっしゃいませ。
こんにちは。
卓三さんいらっしゃいますか?お客さんですよ。
なんだその覇気のない声は。
こっちまでやる気をそがれるよ。
こんにちは。
明美ちゃん!やる気出た。
昨日はありがとうございました。
とんでもない!あれからどうだった?お母さんとどんな話したの?お母さん卓三さんのことすっごく気に入ってました。
ホント?それでそれで?それでもう一度会ってもらえませんか?もちろんだよ。
あぁ…よかった。
私合うんじゃないかと思うんです。
卓三さんとお母さん。
えっ?もし卓三さんとお母さんがつきあうことになったらステキじゃないですか?俺と…お母さん。
それにお母さんも卓三さんのことステキって言ってたし。
私からやんわり伝えておくんで…。
ちょっと待って。
お茶いれてくるね…。
ちょっと待って。
(明美)私全力で応援しますんで。
ドンマイ。
(明美)卓三さんどうですか?ああうん。
お母さん今50歳だしちょうどいいと思うんですよ。
ちょうどいいわ。
2016/01/25(月) 23:58〜00:40
テレビ大阪1
ドラマ24 東京センチメンタル #2 吉田鋼太郎 高畑充希 小栗旬 大塚寧々[字]
バツ3独身、東京下町の和菓子職人・久留里卓三の恋物語。今回の舞台は『押上』。ひょんなことからキャバクラ嬢の明美と念願の店外デートをすることに…。ゲスト:市川由衣
詳細情報
あらすじ
東京・言問橋の和菓子店「くるりや」の久留里卓三(吉田鋼太郎)。腕は確かだが私生活では離婚歴3回。アルバイトのあかね(高畑充希)に叱咤されつつ、55歳の今も自由気ままな日々を送る。女性にだらしなく、下町のあちこちで巻き起こる卓三の恋模様…成就する日はくるのか?▼今回の舞台は『押上』。ひょんなことからキャバクラ嬢の明美と念願の店外デートをすることに。店とは違う明美の姿に心躍らせる卓三だが…。
出演者
久留里卓三…吉田鋼太郎
須藤あかね…高畑充希
柴田幸吉…片桐仁
○
荒木…小栗旬
玲子…大塚寧々
≪ゲスト≫
明美…市川由衣
喜美子…栗田よう子
原作脚本
【脚本】松本哲也
監督・演出
【監督】三木康一郎
音楽
【音楽】【主題歌】
MACO「恋心」
(ユニバーサル ミュージック)
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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