大奥〜華の乱〜 #02 2016.01.25


価値というところは確かにあるかもしれません。
(綱吉)近う。
早うここへ参れ。

(綱吉)そうか。
そなた初めて故驚いたであろう。
奥泊まりには必ず宿直の者が付くのじゃ。
(綱吉)その音羽などは武芸者での。
いざという時は男より腕が立つそうじゃ。
(綱吉)このことはかねてよりわしも窮屈じゃと思うておった。
そなたの家は気兼ねがのうてよかった。
されどこの窮屈を忍ぶのもそなたをいつまでも側に置いておきたいと思うが故じゃ。
許せ。
(安子)やっ!・
(音羽)しばらく。
ご短慮をお慎みください。
この場にて上様にもし万一のことがあれば牧野の家はお取り潰し。
成住様成貞様の死罪は必定。
それをご承知の上でのお振る舞いですか。
あなた様がいかなるご事情で奥に来られたかすべては私どもの知るところでございます。
ご不審なお振る舞いあらば見逃すなと上の方から申しつけられておりまする。
上の方とは?申し上げられませぬ。
奥に仕えるということは一生をお城の囲いの中で過ごし上様に生涯変わらぬご忠誠を尽くすということ。
安子様。
早う大奥にお慣れくださいませ。

(音曲)
(音羽)
この頃およそご政道というものにご興味を持たれない上様は政を家臣に任せご自分は日々遊興に浮かれておいででした。
上様をお迎えしての花見の宴。
紅葉狩り。
能や歌舞伎などの催しが大奥にても頻々と営まれていたのでございます
(桂昌院)上様はよほど安子殿がお気に入られた様子じゃの。
(桂昌院と綱吉の笑い声)
(お伝)安子殿。
お近づきのしるしにどうぞご一献傾けさせてくださりませ。
受けるがよい安子。
この伝はな館林の頃からわしに仕え鶴姫徳松という二人の子を産んでくれたお腹様じゃ。
(桂昌院)そうじゃ。
お伝殿にあやかり安子殿。
そなたにもお子が授かるとよいのう。
さっどうぞ。
(お伝)これはとんだ粗相を致しました。
お許しくださいませ。
(安子)大事ござりませぬ。
なれどこのようにお召し物がぬれましては風も冷とうございます故毒にございます。
早うお着替えを用意致せ!いえ私は…。
(お伝)お風邪など召しましては事でございます。
そうじゃ安子。
伝の言うとおり致せ。
はい。
(お伝)さっ安子殿。
(お伝)さっこちらへ。
何をなさいます!色仕掛けで上様をたぶらかしたそなたの体どのような体かよう吟味してみたいのです。
安子殿。
そなたは大したお方にございますなあ。
お父上の牧野成貞様は大出世。
お婿様の成住様は牧野家から分家して新たに二万石を与えられたそうな。
これも皆そなたのお働き故じゃ。
二夫にまみえぬのが武士の妻の習いというに夫を捨て恥を捨ててようこの大奥まで参られた。
お伝の方様。
お二人のお子を持つ上様のご側室。
この日安子様は新たなる敵に出会われたのでございます

(テーマ曲)
(お伝)さあ。
このお刀でご自害なされませ。
誰か!誰か!あいにくと女子たちは皆宴で出払うておりまする。
泣いても騒いでも聞く者はありませぬ。
仮に今ここで私がそなたの喉を切り裂いても。
お母上のあとを追ってご自害なされたと申せば疑う者はおりますまい。
(落雷)
(女中たちの悲鳴)
(綱吉)嫌じゃ!嫌じゃ嫌じゃ!わしは雷が嫌いじゃ!おう貸せ。
嫌じゃ!
(侍女)御台様こちらへ。
(綱吉)ひゃー!
(桂昌院)上様!天下の将軍が何を慌てておいでじゃ。
見苦しゅうございますぞ。
(落雷)ひゃー!恐ろしや!恐ろしや!
(綱吉)安子!安子!安子はどこじゃ!安子!安子!安子そこにいたのか。
上様。
安子様はお着替えの最中にございます。
安子。
わしは雷が嫌いじゃ。
恐ろしいのじゃ。
あーっ!お驚き召されるな。
上様は癇の強いお方故時にこのようなことがございます。
参りましょう。
(綱吉)うわー!嫌じゃ嫌じゃ!雷は嫌いじゃ!雷などいずれは止みまする。
(綱吉)安子!安子!
(安子)何故そのように雷が恐ろしいのでございますか。
(綱吉)幼い頃母上に閉じ込められた。
桂昌院様に?母上は厳しい方じゃった。
わしが「論語」の素読を怠けるとそんなことでは天下人になれぬと仰せになり炭小屋に鍵をかけて泣いてもわめいても外に出してはくださらなんだ。
そのような折近くに雷が落ちてきた。
わしは恐ろしゅうて気を失うた。
そんな時でも母上は慰めてはくださらなんだ。
(綱吉)これしきのことで気を失うのは武士としての胆力に欠けると言うのじゃ。
優しかったのは阿久里だけじゃ。
そうじゃ。
そなたの母の阿久里じゃ。
(徳松の泣き声)
(徳松)阿久里。
阿久里。
阿久里。
阿久里。
阿久里…わしは阿久里が好きじゃった。
安子。
なぜ阿久里は死んだのであろうの。
わしは阿久里を喜ばせたかったのじゃ。
阿久里にも阿久里の嫁いだ牧野にもわしはようしてやったではないか。
何も死ぬことはあるまい。
そうは思わぬか?のう。

(鈴の音)
(お鈴番)上様おなりー。

(綱吉)母上。
安子のために新しくあつらえました打ち掛けにございます。
いかがにございます?よう似合うているでしょう。
(桂昌院)上様。
上様が安子殿をお気に入られてることはよう分かりました。
なれど「論語」にある古の聖人の教えに従えばお大事になさるべきはまず御台所の信子様。
そして世継ぎの御腹様にあたられるお伝の方様。
このお二人へのお気遣いもお忘れなきように。
(綱吉)それはもちろん母上様忘れてなどおりません。
御台。
そなたにはこの前の寛永寺参拝の折に西陣の小袖をやったな。
それから伝。
そなたにはほらあの…。
(お伝)上様。
私などよりもまずお母上にお気遣いをお示しになってくださいませ。
桂昌院様のお好きな加賀友禅の小袖など一つおあつらえになって差し上げては。
お伝殿はさすがようお気がつかれる。
人の子の母はやはり違いますなあ。
ほほほ…。
はははは…。
ふふふふ…。
(信子)安子殿。
(安子)美しいギヤマンですね。
(信子)上さんからの頂き物です。
(信子)虫ずが走る。
そなたもしばらく大奥に身を置いて分からしゃったでしょう。
世辞も追従もここで飛び交う言葉には何の意味もない。
大奥に女子は百人千人いても御台所を敬う者は一人もありませぬ。
上さんも今はそなたにご執心なようやがさあそれもいつまでですやろか。
もともと中身のないギヤマンのようにうつろなお方です。
あのお方が心を移す度ごとに女の骸が一つ増えるだけのこと。
されど安子殿。
本当に怖いのは上さんよりもその後ろにおられるお方。
(安子)それは?桂昌院さんです。
あのお方は上さんよりももっともっと怖い。
水を張った箱庭に蟻を何匹も放してそれを遠くから見下ろしておられるような底意地の悪いお方じゃ。
蟻の身になればここは生き地獄です。
事情はあらかた聞いています。
そなたもしや上さんと差し違える覚悟で大奥においでになったのでは?
(信子)お隠しあるな。
もしさようならわたしもいざとなれば加勢致します。
弱い者同士わたしにはお心をお開きくださいませ。

(安子)鬼は外!
(家人)鬼は外!
(安子)福は内!
(家人)福は内!
(安子)鬼は外!
(家人)鬼は外!
(阿久里)これで十分です
(成貞)痛い痛い痛い痛いあのお方が心を移す度ごとに女の骸が一つ増えるだけのこと
(成貞)阿久里。
許せよ
(綱吉)どうじゃ成住。
新しい勤めには慣れたか?
(成住)はは。
お陰さまにてつつがなく勤めさせて頂いておりまする。
(綱吉)新しい女房はどうじゃ?
(成住)はっ。
まだ安子が恋しいのか?添うてみて分かったが安子は確かによい女子じゃ。
そなたがむくれる気持ちも分からぬではない。
よし。
会わせてやろう。
安子もそろそろ里心のつく頃じゃ。
そなたに会えば気も紛れるであろう。
(太鼓の音)
(美吉野)秀尾山!
(秀尾)はい!
(美吉野)小桜!
(女中たち)小桜ー!小桜ー!
(葛原)見合って見合って見合って!はっけよーいのこった!
(太鼓の音と声援)
(綱吉)よし!そこじゃ行け!いいぞ!あっああっ…。
よしよしよし!押せ!押せ!押せー!
(綱吉)はははは…。
(葛岡)秀尾山〜。
(綱吉)秀尾山に褒美を取らす。
(秀尾)えっ!あっ…。
(綱吉)これへ。
(秀尾)ははっ。
驚いたか。
そなたらもたまには話がしたかろうと思うての。
わしが呼んだのじゃ。
待て。
わしが行事をしてやろう。
成住。
別間に茶席が用意してある。
あとから参る故二人そこにおるがよい。
(綱吉)見合って見合って!はっけよいのこった!
(太鼓の音と声援)健勝そうでよかった。
そなたは上様のお覚えがめでたいようじゃ。
そなたが幸せならわたしはそれでよい。
わたしの取り越し苦労やも知れぬがもしも事を起こす気ならやめておけ。
忘れろ。
成住様。
今の幸せが何よりじゃ。
なぜそのようなことを。
私はこの大奥に来て一度たりと幸せであったことなどありませぬ。
私が上様の仰せに従うておりますのはひとえにあなたの身のご安泰を願えばこそにございます。
聞けば新しく奥方を迎えられたとか。
成住様こそ何もかも忘れてこれよりはお幸せにお過ごしくださいませ。
安子。
そなたなしにわたしの幸せなどあろうか。
一度は家を捨てこの身さえ捨てようと思うたが牧野の養子だった間義父上への義理もあって果たせなんだ。
しかしそなたを失うた今生きていて何の意味がある。
いっそ…。
ならば…!私を道連れにしてくださいませ。
私も同じ思いにございます。
あなたこそ私の夫。
あなたの手に掛かれば本望です。
今ここで私と差し違えて。

(小山)間もなく上様のおなりにございます。
今申したこと本気か。
はい。
(鈴の音)
(綱吉)いかがであった?水入らずの逢瀬は。
(安子)はい。
(綱吉)今日のそなたはとりわけ美しい。
まさかあのわずかの間に成住に抱かれたのではあるまいの。
そのようなことはございませぬ。
無論じゃ。
ある訳がない。
安子様はお幸せだったのでございます。
体はそこにいてももう心はこの世を離れ夫成住様のもとにある。
そう信じておられました故
それから間もなく寛永寺ご参拝というまたとない好機が巡って参りました

(僧)こちらにございます。
怖くはないか?はい。
これからはずっとあなたのお側にいられるのです。
安子はうれしゅうございます。
そうか。
行くぞ。
わたしもすぐあとに参る。
はい。
うっ。
(安子のせきこみ)どうした?申し訳ございませぬ。
うっ…。
安子…。
もしや?あなたの子ではない。
愛おしゅうもない男の子をはらんだとて何で命が惜しかりましょう。
安子の気持ちは変わりませぬ。
(安子)さあ!ひと思いに突いてくだされ!さあ!さあ早く!成住様。
(家臣)己!
(成住)うわっ!成住様!
(家臣)お覚悟召され!成住め。
情けを仇で返しおって。
(桂昌院)打ち首をお申しつけくださいませ。
上様!
(染子)殿。
あのお方はどうなされたのです?案ずるな。
そなたにはかかわりないことじゃ。
(草庵)先刻お調べしましたがご懐妊は確かにございます。
さようか。
(桂昌院)お手柄にございますな。
城に戻られたらつわりによいくず湯でも差し上げましょう。
お咎めはないのですか。
あなた様は寛永寺参拝に出向かれ無事に戻られた。
それだけのことにございます。
天下のお世継ぎを宿された方が男と出奔するような愚かしい真似をなさるはずがございませぬ。
さあ。
(安子)桂昌院様。
後生にございます。
どうか成住様のお命だけはお召し上げくださいますな。
私はどうなってもかまいませぬ。
どうか…。
どうか夫の命だけは。
夫とは何のことです?そなたには夫などない。
成住などという男初めからこの世にはいなかったのです。
(桂昌院)さあ行きましょう。

(成住)お待ちくだされ!あっ!
(成住)武士の最後の頼みにございます!今生の別れにひと目妻の顔を拝ませて頂きたい!いいでしょう。
(安子)成住様!
(成住)安子!よう聞け。
そなたは生きぬけ。
わたしは最後までそなたを守りきることができなんだ。
それもこれも一介の武士であるわたしに上様の仰せに盾つく力がなかったからじゃ。
そなたは強くなれ。
力を持て。
人に指図される側ではなく指図する側になれ。
そしてそなた自身とそなたの子を守りぬけ。
わたしは負けた。
だがそなたは勝て。
成住様…。
(侍女)安子様。
(侍女)安子様。
さあ。
(安子)ああ成住様!
(侍女)お静かに。
成住様!成住様!成住様…。

(侍女)安子様!成住様!
(柳沢)おかわいそうに。
(柳沢)辛き事憂い事多い世にございますな。
私でよければお味方になりまする。
この時悲しみのふちにおられた安子様は上様のお子を身ごもったことの天地を変えるほどの意味にまだお気づきではなかったのでございます
(お伝)何!?あの女が身ごもった!?懐妊とな。
そして大きな敵が動き出したそのことにも
2016/01/25(月) 14:55〜15:49
関西テレビ1
大奥〜華の乱〜 #02[再][字]

「伏魔殿」

詳細情報
番組内容
安子(内山理名)は母の仇を討つ覚悟で綱吉(谷原章介)の閨に入った。だが、宿直の中臈・音羽(余貴美子)に牽制され、なすすべもなく綱吉に抱かれた。
綱吉の寵愛を受ける安子を快く思わぬお伝の方(小池栄子)は陰湿ないじめを始め、不満の多い正室・信子(藤原紀香)は信子で、心に秘めた思惑から安子を仲間に引き入れようと画策する。
そんな中、周囲の目を盗み、安子は元夫の成住(田辺誠一)と外出先で心中を企てる。
番組内容2
だが、成住は捕らえられ、最期に「そなたは、生き抜け。私は負けた。だが、そなたは勝て」と安子に言い含めるのだった。その時、安子にまさかの変化が…。
出演者
内山理名 
谷原章介 
小池栄子 
北村一輝 
貫地谷しほり 
田辺誠一 
余貴美子 
江波杏子 
藤原紀香
原作・脚本
【脚本】
浅野妙子
監督・演出
【演出】
林徹
【企画】
保原賢一郎
【プロデュース】
林徹 
手塚治 
樋口徹 
金丸哲也
音楽
石田勝範
【主題歌】
「修羅場」東京事変(東芝EMI)

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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