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さまざまな囲碁ルール
囲碁にルール(規約)という言葉が使われたのはそう古いことではありません。囲碁組織ができたのは江戸時代の日本においてですが、日本棋院の最初の規約が1949年制定ですから、囲碁歴史四千年(?)と比較すれば、ほんの最近のことです。
ルールという英語は慣習という意味もあるので規約が成文化されていなくとも、それなりのルール・規範は、もちろん、1949年以前よりあったということです。
それまでは、ルールは暗黙の了解のようなもので、実戦でうまく解決できない問題が数々発生し、トラブルが起きるたびに時の権威者や組織が裁定してきたのは囲碁歴史家の記するところです。これをうまく回避するようルールが改訂され、提唱されてきました。
世界には
- 日本ルール
- 韓国ルール
- 中国ルール
- AGAルール(アメリカ囲碁協会)
- 世界アマ選手権ルール
- SSTルール(故 応昌期氏 提唱)
- ニュージーランドルール
というように囲碁ルールにも色々あります。
また、コンピュータ囲碁大会用の特別ルールもあります。
近頃はインターネット対局も盛んで、これは囲碁サーバーにより採用しているルールが違います。
私は、どのルールの主張も一理あると思いますが、やはり慣れ親しんだ日本ルールが個人的にはいいと思っています。生まれてこのかた中国ルールしか使ったことが無く、それに慣れていれば、それはそれでいいと思う立場です。
ルール間の優劣は、その論理性で決まるとは思ってはいません。つまり皆に支持されないルールはいくら論理的であっても、採用することはない。と思います。
例えば、3コウを回避するために、循環禁止をルールで決めても実際は、実戦で手番を判断するのも難しく、競技者を混乱させるばかりだと思うからです。現に、中国はいわゆる3コウ以上のスーパーコウ・ルール(循環禁止)を破棄しました。
自殺手を認めるのも、それが碁の自由度を高めるといっても、打ったらどちらが取るのかとか、かえって初心者にはむずかしくなります。
例えば、今の計算方法を今日から変えろと言われても、皆さんも納得いかないでしょう。要は、いいと思った人が打てばいいのです。国際大会でこのルールを使いなさいと指示されればそれで打てばよい。
実際、今更、慣れていない計算方法をしようとは思いません。と言うかできない、間違えると思います。何しろ、私もそうですが、日本の囲碁ルールも皆さんも、そんなに詳しくないでしょう。
それでは、簡単に各ルールの基本的な違いを見てみましょう。
各種ルールの主な違い
ルール名 |
計算方法 |
セキの地 |
自殺手 |
コウ |
備考 |
日本 |
地 |
X |
X |
コウ |
|
韓国 |
地 |
X |
X |
コウ |
日本ルールに近い |
中国 |
地と石 |
○ |
X |
コウ |
スパーコウは破棄 |
AGA |
地、地と石 |
X |
X |
スーパーコウ |
パスは白終了のため3パスあり |
世界アマ |
地 |
X |
X |
コウ |
|
SST |
地と石 |
○ |
○ |
スーパーコウ |
台湾プロ中心、台湾大衆は他のルール、特殊ゴケ使用 |
NZ |
地と石 |
○ |
○ |
スーパーコウ |
ニュージーランド |
KGSネット |
地 |
X |
X |
コウ |
日本ルールに準ずる |
色々な違いがあるものですね。世界を旅行したらひょっとしたら違うルールで打てるかもしれません。
ルールは意味深ですが水物です。よく変わるし、解釈の違いで混乱することもあります。私の説明も
間違っているかもしれませんので、なんなりと指摘してくださいネ。
個別のルールの細かい違いは、別の機会に詳述します。
-*-
2003.Feb©Y.K
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