人生には恐らく何度かのチャンスが巡ってくる
(電話のベル)
あの日から店の電話は鳴りやまなくなった
(電話のベル)
(司会)大西祐貴様どうぞステージへお願いしますラーメンが一つ星として掲載されたのは世界で初めてになります
日本のラーメンが初めて「ミシュラン」の一つ星に輝いたニュースは瞬く間に全世界を駆け巡った
(大西)「何でしょうか」っつったらこう…
いつまでも厨房で麺と格闘しているつもりはさらさらない
男ははるかな先をにらんでいる
だが…
何しに来たんだよ!って話だよ
勲章の星は思わぬ波紋を呼んだ
俺は辞めてほしくて…雇ってんじゃねえよ何も分かってない
この星を流れ星にするわけにはいかない
寒空の下こんな時間から大西の店には客が列を成し始める
しかも外国人の姿が目立った
・あぁ新横浜
開店準備が始まるのは6時半
いつか必ず海外に打って出たい
大西の夢を…
…という店名が物語っている
11時からの券ですねお待ちしております
「ミシュラン」で注目を浴びて以来来店時間指定の整理券を配るようにした
行列が近隣の迷惑にならないように
その券も7時半にはなくなってしまう
じゃあもう今日はダメ?
(店員)ダメ早く来たつもりなんだけどなぁお願いします!
(店員)お願いしますお願いします…最近毎朝やってましてね
5時間もの間どこかで時を過ごしてきたお客たちがなだれ込みカウンターだけの店はたちまち満席になった
多分今世界で最もありつくことが難しいラーメン
星を獲得した一杯を待って誰もが興奮していた
味の決め手ともいえるのが高級トリュフを使ったソース
馥郁とした香りがラーメンに気品を与えている
定番の…
お客たちはおしゃべりもせず無心に麺をすすり続ける
メニューは黒トリュフの醤油味と白トリュフの塩味それにつけ麺の三本柱
(スタッフ)Howdidyoulikeit?VerymuchIlikeit
渾身の一杯はラーメンというより料理なのだと自負していた
いつ店が潰れてもいいように…あぁあの時ああしたからだなとか思いたくないですしやっぱり…その覚悟は常に持っておきたいんですよねThankyouありがとうございましたありがとうございます
最後のお客が帰るとすぐに翌日の仕込みが始まった
大西はラーメンに2種類のスープを使う
一つはブランド鶏のガラと丸鶏で取るスープ
スープから出る地鶏の脂も大切な材料だ
丁寧にすくい取った上質な脂はトリュフの香りを引き立てる
もう一つのスープは魚介系
大量のアサリからうまみを抽出する
外火が漏れないように…ぐらい
(店員)分かりました大体1時間ぐらいで沸きだすから
これにカツオ節サバ節ウルメイワシや昆布などを加える
これ入れたら火をちょっと上げる去年ですよね…
使い古された言葉だが「タレは秘伝」
従業員にも作り方は教えていない
タレっていうのは一番やっぱり命になるんで
タレのためにブレンドする醤油は3種類
メインは和歌山の醤油だった
…って言ってましたね
加えていくみりんや酢などの割合は苦心の末に編み出したもの
タレ作りは原則として従業員がいない定休日に行っていた
更に丸鶏を入れて…
これ以上は見せられない
国産小麦100%の自家製麺と化学調味料を一切使わないやり方が高く評価されてきた
けれどそれは素材のコストに跳ね返る
(スタッフ)結構いってますねそりゃねでも…
一方で願ってもない「ミシュラン」効果は思わぬ不協和音を呼んだ
夜明け近くからお客の行列
周囲に気を遣って新たに整理券を配る仕事が必要になってしまった
(スタッフ)松澤さんは行列マネジメント担当という…そうですね
松澤一隆さんは大西のラーメンを学ぼうと半年前よその店から転職してきた
だが任されたのは早朝の整理券配り
なくさないように気を付けてください時間外券のほう無効となります気を付けてくださいあと今日連食はできなくなっておりますご注意ください
営業時間中も店の外に立ちお客の誘導に専念しなければならなかった
とても技術を身につける余裕などない
ごちそうさまでした
(松澤さん)ありがとうございます
その不満が忘年会で爆発した
喜ばしい一年の締めくくりというのに松澤さんは暗い顔で押し黙っている
(松澤さん)だから言ったじゃんそん時に…って思ってますよ
辞める辞めないの議論
お客の整理を持ち回りにすることでこの場は収まった
大西の悩みは多いようだ
少年時代アメリカでホームステイを楽しんだ経験がある
高校を卒業と同時に実家のラーメン店で修業を始めた
そうですねやっぱり…
独立から4年
大西のもとには今さまざまな商談が持ちかけられている
この日はコンビニチェーン
もう…まずベースになるのが前回品だと思いますのでお持ちさせていただきましたそれをまずご確認いただければはい分かりました
原価率の高い店にはブランド力を利用して運転資金を補う必要もある
(スタッフ)ラジオ番組のオファー?はい
(スタッフ)今日ですか?TOKYOFMって言ってました
(スタッフ)へぇ〜
(スタッフ)メディアからどんどんオファーが来ますねそうですねただいまあらっパパでろでろでろパパでろでろねパパでろでろでした?
「ミシュラン」以来身辺はひどく慌ただしい
マカオ出店の話が舞い込みそのプロデュースを進めていた
長年の夢だった海外進出
自分のラーメンをもっと進化させたい
盛りつけってやっぱすごいなと思いますね
マカオの話とは別にシンガポールの投資会社からも業務提携のオファーが来ていた
大西のラーメンを世界へ100店舗以上展開したいという
あまりにも壮大な話だった
一人ではとても交渉に臨めない
かつての大先輩に相談を持ちかけていた
だから今すげぇ怖いですすげぇ久々すぎてご無沙汰してますすみませんすみません
(スタッフ)よろしくお願いします
20代半ばの頃大西にはラーメンから離れアパレル業界で働いていた時期がある
相談相手の斉藤浩史さんは当時勤めていた会社の経営者
企業同士の契約にも明るいに違いない
昨日一晩かけて夜中まで見ましたけど…あの「子会社に渡す」っていうの分かんないですよねだから全部そこに譲渡されちゃうわけじゃんそこが全部の…日本以外の
大西は大先輩に申し出た
海外展開のビジネスパートナーになってはもらえまいか…
答えはシンプルだった
お前のラーメンの味を見てからだ
こんにちはこんにちはいらっしゃいませ!大西はい!お水しかないですけど…こういうのが気になってしょうがないんだすみませんすぐ直します
大げさに言えばそれは世界への夢を左右する一杯だった
お願いしますありがとうございますあぁ〜うまいありがとうございます
頼りがいのあるパートナーが味方についてくれた
契約にあたっては専門家からもアドバイスをもらったほうがいい
大みそかシンガポール企業との交渉を前にして斉藤さんは懇意の弁護士を紹介してくれた
(タカハシさん)大みそかで…
(斉藤さん)ですよねすいませんあっすいません弁護士のタカハシと申します今日はありがとうございますよろしくお願いします大西さんとしては大枠として今後の方向性というのはどういった形でお考えになってます?まぁその…そこの部分もちょっと……っていうところがたくさんあったりいろいろ思ったりもするんですよねそうすると…
(斉藤さん)間違いないですね
今年…
空港には商談相手が待ち構えていた
無論日本から大先輩も同行している
交渉の窓口は投資会社の御曹子
シンガポールを振り出しにヨーロッパやアメリカに大西のラーメンを展開する計画だという
資金を提供するから一緒に会社を設立したい…というのが先方の提案だった
だが相手は投資のプロだ
言いなりになれば足元をすくわれかねない
主張すべきは主張しなければ
(英語)
契約金や株の比率など具体的に細かく詰めていく交渉が始まった
正直腹割ったら確かに愛してくれてるんだけど…
提示された持ち株の比率では発言権も封じられてしまう
交渉は難航した
(英語)
御曹子が中座した
ボスである父親に相談するという
自分の味を守れなければ業務提携に価値はない
30分後
大西側の条件は受け入れられた
1号店のオープンは7月
それでその時の…その時に多少猶予が欲しいですよね
「ミシュラン」の星からほんのひと月余り
大西が世界へと飛躍するための第一歩
それは大いなる賭けかもしれない
その日の夕方
シンガポールの一等地には既に1号店となる物件が押さえられていた
試されるのはこれからだ
留守をしていた3日間店は従業員に任せていた
いずれ自分が店に立ち続けることは難しくなる
味がぶれていないか気がかりだった
おはよう
(店員たち)おはようございます
海外展開が本格化すれば日本の店は従業員任せになる
帰国早々味のチェック
お待たせしましたいただきますおいしいありがとうございますはい…ハハハハ!
チャンスを生かしきるには度胸という隠し味も必要だ
僕は便のことを「茶色い宝石」って呼んでます
次回の「情熱大陸」は腸内細菌のスペシャリスト
目指すは1万人の便の解析
2016/01/24(日) 23:10〜23:40
MBS毎日放送
情熱大陸[字]【大西祐貴/世界が驚く至福の一杯…噂の一つ星ラーメン店の新たな旅立ち】
ラーメン料理人/大西祐貴▽一杯850円で原価率を無視した無添加にこだわった食材とヘルシーさを兼ね備えた味で食通を唸らせる男の、海外へ新たな一歩に踏み出す姿を追う
詳細情報
番組内容
ミシュラン史上初となる“ラーメン店”での一つ星評価を獲得した東京・巣鴨の「蔦」で大西が作り出すラーメンは、地鶏をベースに昆布・干し椎茸・アサリなどの日本の旨味を凝縮したスープに特注の醤油タレとこだわりの自家製麺、さらにトリュフオイルを添えた珠玉の一品だ。そんな中、世界一のラーメンに注目したシンガポール・マカオなどから出店オファーが届いた。日本のラーメンを世界に通用させる事が夢だった彼の挑戦を追う。
プロフィール
大西祐貴/ラーメン料理人
1979年神奈川県出身の36歳。
ラーメンの名店「めじろ」を経営する父のもとで育つ。
高校卒業後、新聞販売店やアパレル業界を経て父の店で修行に励む。
4年前に独立し巣鴨で「Japanese Soba Noodles 蔦」を開店。
現在マカオの高級ホテルやシンガポールの富豪との海外プロジェクトが進行中。
また国内でも「蔦」をさらに進化させた高級ラーメン店の開業を準備中。
制作
【製作著作】MBS(毎日放送)
【制作協力】SEPIC
関連公式URL
【ツイッター】@jounetsu
番組の感想に#jounetsuをつけてください!
http://twitter.com/jounetsu
【フェイスブック】
番組公式ページへの「いいね!」もぜひ!
http://www.facebook.com/jounetsutairiku
おことわり
番組の内容と放送時間は、変更になる場合があります。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
情報/ワイドショー – グルメ・料理
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32722(0x7FD2)
TransportStreamID:32722(0x7FD2)
ServiceID:2064(0x0810)
EventID:12932(0x3284)