ダーウィンが来た!「韓国のカワウソ 大復活の秘密!」 2016.01.24


こちらはニホンカワウソ。
かつては日本各地の水辺に暮らしていましたが乱獲や環境の悪化で激減。
1980年ごろを境に姿が見られなくなりました。
そして2012年ついに絶滅が宣言されたんです。
しかしお隣の国韓国では絶滅の危機に瀕していたカワウソが見事に復活を遂げています。
最近では街の中を流れる川でも頻繁に目撃されるようになっています。
排水管で食事をする親子の姿。
さらに地下鉄の駅にカワウソが迷い込む騒ぎまで起きています。
なぜ韓国のカワウソは復活できたのか?その秘密をひもといていくとカワウソの驚くべき能力が見えてきたんです。

(テーマ音楽)取材班がやってきたのは韓国第2の都市プサン。
この大都会でもカワウソは目撃されているといいます。
街の人に聞いてみると…。
目撃情報が多かった橋のたもとで張り込んでみると…。
うん?何か動いていますよ。
もしかして…?間違いありません。
カワウソです!こんな街の中にもホントにいるんですねぇ。
さらにこちら。
海岸に積まれた波消しブロックの中にも…。
いました!カワウソです。
ブロックの隙間がカワウソの獣道になっているんです。
さらに取材を進めると魚をくわえて道路を横切る様子や排水管の中で食事をする親子の姿も確認できました。
驚きなのがこちらのニュース。
なんと地下鉄の駅にカワウソが迷い込んできたんです。
大都会で姿が見られるようになったカワウソ。
でもかつては絶滅が心配される生きものでした。
乱獲や川の環境の悪化で激減。
30年ほど前にはほとんど姿が見られなくなっていました。
それがこの10年で劇的に復活。
韓国全土で目撃が相次いでいるんです。
なぜカワウソは復活したのか?私たちは謎を解く手がかりを求めある場所を訪ねました。
プサンから車で2時間の所にあるジニャン湖です。
面積はおよそ30平方キロ。
川をせき止めて出来た巨大なダム湖です。
アンニョンハセヨ〜。
ジニャン湖で長年カワウソの保護に取り組んできた…ムンさんに案内してもらいカワウソの姿を探します。
国によって野生動物が大切に守られているジニャン湖。
韓国屈指のカワウソの生息地です。
カワウソは暗くなると姿を現すとムンさんは言います。
日が沈むのを待って探してみると…。
あっいました!カワウソです。
韓国のカワウソは絶滅した日本のカワウソと同じユーラシアカワウソの仲間。
姿も暮らしぶりもほぼ同じなんだそうです。
頭から尾の先まで1メートルほど。
水辺に縄張りを構え単独で暮らします。
さらに進むと…別のカワウソを見つけました。
小さなカワウソが一緒にいます。
子どもを連れた母親です。
子どもは2匹。
子育ては主にメスが行います。
ムンさんによるとジニャン湖には20匹以上のカワウソが暮らしているといいます。
また1匹見つけました。
湖に入っていきますよ。
水に潜ったまま進むカワウソ。
カワウソの前に何かいます。
魚です。
カワウソの主食は魚。
狩りが始まりました。
あっという間に60センチはありそうな大物を捕まえました。
それにしても見事な狩り。
どうやって捕まえているのか詳しく見てみましょう。
こちらは動物園で撮影した映像。
水に飛び込んできたカワウソ。
後ろ足で水をかいて勢いよく進んでいきます。
力強く水をかける秘密は足先にあります。
指の間にご注目。
ほら!立派な「水かき」があるんです。
逃げる魚を追いかけて…ガブリ。
狙った獲物は逃しません。
カワウソは大食漢。
一晩に食べる魚はなんと2キロにもなります。
体重の2割にもなる量です。
ジニャン湖は魚がとっても豊富。
カワウソにとって楽園のような場所なんです。
ここに多くのカワウソが暮らすのにはほかにも理由があるとムンさんは言います。
湖の岸の大部分は断崖になっていて容易に人が近づくことはできません。
さらにこちらは岸辺の森の中。
この部分が少しへこんでいるのがわかりますか?これカワウソが歩いて出来た獣道なんです。
道をたどっていくと…森の中にも岩場がありました。
岩の下に開いた隙間。
こうした場所もカワウソが暮らすのに欠かせないんだそうです。
一体何に使うんでしょう?近くに無人カメラを設置し観察してみることにしました。
現れたのは大人のカワウソ。
実はここ休憩場所になっているんです。
今度は子どもたち。
住みやすい環境の整ったこのジニャン湖がカワウソの復活に重要な役割を果たしました。
かつて川の環境が悪化した時代生き残ったカワウソたちはジニャン湖に逃げ込みました。
そして環境が改善すると再び川へ戻ってきたのです。
ジニャン湖のような場所が韓国全体にいくつかあったことでカワウソは奇跡的に生き残り絶滅を免れたのです。
いや〜韓国のカワウソ復活してよかったですなぁ。
そうですよね〜ヒゲじい。
あでもちょっと待った!うん?なんで韓国では生き残れたのに日本では絶滅しちゃったんですかね?う〜ん確かにそう思いますよね。
実は日本も韓国もカワウソの数が減った理由はまったく同じなんですよ。
えっそうなの?はい。
どちらの国でも最初は毛皮目当てに乱獲されたことで激減しました。
カワウソが夜活動するのも人を恐れるようになったためとも言われています。
ほう。
あそうなんですか。
はい。
さらにどちらの国でもその後の経済成長期開発で川の環境が悪化。
魚が減ったことでカワウソはさらに追い詰められました。
カワウソはとても大食漢でしたよね。
だから魚が減ると大打撃だったんです。
あ〜なるほど。
なぜ日本では絶滅してしまったのか。
それは環境が悪化した時期にズレがあったためだと考えられているんです。
ズレ?ズレってどういうことなんでしょうか?日本では高度経済成長期が1955年ごろから始まったのに対し韓国では1965年ごろに始まりました。
ほう韓国は10年遅かったっていうわけだ。
そうなんです。
その後90年代に入ると世界的に環境への意識が高まり韓国でも川の水質改善を求める市民運動が活発になりました。
その結果カワウソが減りすぎる前に環境が改善され絶滅を免れたんです。
ふんふん。
同じころ日本でも環境保護の機運は高まったんですがすでにカワウソは「幻の生きもの」となっていたんです。
なるほど。
わずか10年の差で日本のカワウソは手遅れだったということか。
なんとも「カワウソ〜」な話ですな。
(せきばらい)ウッウン!ヒゲじい!はいはい。
韓国でカワウソが復活を遂げたのは環境が改善されたことに加えてカワウソが本来持つ「ある能力」にも秘密があるんです。
ほうある能力ってどどんな?ヒゲじいそれはですね…。
はいはい。
このあとご紹介します。
ナハハ〜早く早く教えて!ある日。
ジニャン湖のカワウソの奇妙な行動を目にしました。
カワウソがやってきたのはコンクリートで護岸された場所。
何やら上のほうを気にしています。
あっ斜面を上っています。
階段まで使ってさらに上へ。
一体どこへ行くんでしょう?カワウソが上っていったのはジニャン湖の南の端にあるダムの壁でした。
ダムの先には湖から流れ出る川があります。
どうやらこの川へ向かっているようです。
別の日またカワウソが階段を上っています。
ダムのてっぺんにやってきました。
キョロキョロと辺りの様子を警戒しながら進んで…。
やはり川へ下りていきます。
一体何が目的なんでしょう?第2章では謎の行動を追跡。
カワウソの驚くべき能力が明らかになります。
復活したカワウソを守ろうと韓国ではさまざまな取り組みが行われています。
ここは韓国カワウソ研究センター。
カワウソ専門の保護施設です。
毎年10匹ほど迷子のカワウソが運ばれてきます。
多くは生後数か月の子どもたち。
大雨で川が増水するとまだ十分に泳げない子どもが母親とはぐれてしまうことがあるんです。
まだ自力で魚をとれないため人が親代わりになって育てます。
センターが目指すのはこのカワウソたちを自然に返すこと。
大きくなると屋外の池に移し生きた魚をとる訓練をします。
これまでに10匹を野生復帰させることに成功しています。
今回の撮影地ジニャン湖では10年前から漁業が禁止されています。
網に入った魚をとろうとしたカワウソが出られずに溺れ死んでしまう事故が問題になったためです。
カワウソの保護に取り組むムンさんは仲間と共にボランティアで密漁を監視するパトロールを続けています。
パトロールの合間にはカワウソが住みやすい環境を作るため岸辺の清掃も行います。
さらに2007年からは新たな取り組みも始めました。
湖の上にカワウソの休憩場所を設置したんです。
安心して休めるよう身を隠せる人工の岩も用意されています。
中にはカワウソが運んだ枯れ草がいっぱい。
ちゃんと使っているようです。
カワウソを守ろうとする人々の思いは韓国全土に広がっています。
韓国屈指のカワウソの楽園ジニャン湖。
私たちはダムを越えて川へ向かうカワウソの不思議な行動を追ってみることにしました。
こちらは向かった先の川。
夜10時。
カワウソが現れました。
川に入っていきます。
浅瀬を泳いで…。
魚を捕まえました。
川に来たのは狩りが目的だったんですね。
川の中をのぞいてみると…うわっ魚がいっぱい!水深は50センチほど。
湖に比べ浅いので魚がとりやすいんです。
大物をおいしそうにほおばるカワウソ。
あれ?途中で食事をやめてしまいました。
しきりに頭を上げ何かを気にしています。
一体どうしたんでしょう?現れたのは別のカワウソ。
この川はほかのカワウソたちの狩り場にもなっているようです。
先にいたカワウソに気付いていないのかどんどん近づいてきます。
(鳴き声)ケンカが始まりました!カワウソは単独で暮らす動物。
鉢合わせするとこうして争いになるんです。
勝負がついたのか片方がその場を去っていきました。
別の日またカワウソが川へ下りてきました。
おや?1匹ではありません。
2匹の子どもとそのお母さんです。
子どもたちは生後半年ほど。
まだ自分の力で狩りはできません。
魚をとるのはお母さんの役目。
子どもたちは少し離れた浅瀬で待っています。
お母さん早速大物を捕まえました。
河原に魚を運び上げました。
ここで子どもに食べさせるようです。
お母さんが見守る中子どもたちは夢中で魚を食べています。
その時です。
お母さんが何かを気にしています。
河原にいたのはヤマネコ。
獲物を探してしばしば川にやってきます。
カワウソの子どもを襲うこともある危険な相手です。
親子は急いでその場を離れます。
幸いヤマネコは去っていきました。
開けた河原は見通しが良いためこうした天敵に見つかりやすいのが難点なんです。
ちょっと待った!あっヒゲじい今度は何ですか?いやカワウソたちはなんでわざわざ川に来るんですか?ケンカしたりヤマネコに襲われたりする危険があるなら湖で魚を探したほうがいいんじゃないでしょうかね。
う〜ん確かに。
でもね川には湖にはない大きな魅力があるんです。
ほう魅力。
魅力ってどんな?川の水の量に注目して下さい。
あ〜はいはい。
おや?水がなくなってますぞ。
はい。
ここでは湖の水量調節のためにほぼ毎晩ダムから流れ出す水を止めているんです。
すると…。
あ〜魚が跳ねてる!はい。
水が引くと狭くなった水場に魚が集まります。
魚の密度が高くなりとりやすくなるんです。
カワウソたちはそれをちゃんと知っていてうまく利用しているようなんですよ。
はあ賢いですな!はい。
さらにこちらご覧下さい。
うん?あこれは親子ですな。
水たまりを歩き回って何してるの?これは子どもたちに狩りの練習をさせているんです。
水が浅い所なら子どもでも安全ですからね。
う〜ん。
あ〜とった!確かにこれはいい練習場所ですな。
いや〜うまいことやりますなぁ。
でしょ。
カワウソはこんなふうに人の作った環境をうまく利用する能力が高い動物なんです。
ほら大都会のプサンでも波消しブロックの隙間や排水管を使って暮らしてましたよね。
あ〜はいはい!そうでしたそうでした。
こうしたカワウソ自身の適応力の高さも復活できた理由の一つと考えられているんですよ。
う〜んなるほど。
人工物を利用したり都会で暮らしたり街に「マッチ」して暮らせるなんていやたくましいですな!1か月ぶりにダムの下の川を訪ねました。
夜も更けたころ。
現れたのはあの親子です。
子どもたちは2匹とも元気そうです。
このひとつきの間に子どもたちに大きな変化がありました。
1匹で泳ぎだした子ども。
しばらくすると立派な魚をくわえて上がってきました。
自分の力で獲物をとれるようになったんです。
カワウソの子どもが親と過ごすのはおよそ1年間。
子どもたちはあと数か月で新天地を求めて旅立っていきます。
子育てと狩りの場である川。
この川にはもう一つ重要な役割があることが今回の取材でわかりました。
捕まえた魚を食べるカワウソ。
そのすぐ近くに…。
もう1匹カワウソが現れました。
魚を食べていたカワウソが気付いたようです。
相手がゆっくり近づいてきました。
また大ゲンカが始まるかと思いきやなんだか様子が違います。
2匹は一緒に泳ぎだしました。
実はこれオスとメス。
恋の季節が始まりどちらも相手を探していたようです。
単独で暮らすカワウソにとって多くのカワウソが集まる川は出会いの場にもなっていたんです。
次の春この2匹の間に新たな命が生まれるかもしれません。
ある日うれしいニュースが飛び込んできました。
ムンさんがジニャン湖に作ったあの休憩場所の近くに…。
まだ明るい時間なのにカワウソが泳いでいます。
人を恐れ夜しか活動しなくなったカワウソ。
白昼堂々姿を現すなんて以前では考えられなかったことです。
さらに狩りまで始めました。
おびえてビクビクする様子はまったくありません。
悠然と魚を食べています。
今ジニャン湖のカワウソたちは少しずつ人に翻弄される前の本来の暮らしを取り戻しつつあるのではないかと考えられています。
地道な保護を続けてきたムンさんたちの努力が人とカワウソの新たな関係を生み出そうとしています。
カワウソが水辺で自由気ままに遊ぶ。
近い将来韓国ではこうした風景が当たり前になるかもしれませんね。
絶滅の淵から見事な復活を遂げた韓国のカワウソ。
人の営みを巧みに利用し命をつないでいました。
カワウソは私たちの想像以上にたくましい生きものだったのです。
2016/01/24(日) 19:30〜20:00
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「韓国のカワウソ 大復活の秘密!」[字]

日本では絶滅したカワウソ。お隣の韓国では、絶滅の危機から復活をとげ、最近では大都市でも姿が見られる。大復活の秘密は人の暮らしを巧みに利用する驚きの能力にあった!

詳細情報
番組内容
かつて日本各地の水辺にいたカワウソ。毛皮目当ての乱獲や環境の悪化で数が激減し、2012年に絶滅が宣言された。しかしお隣の国・韓国では絶滅の危機にひんしていたカワウソが奇跡的に復活を遂げ、近年は大都市プサンの川でも目撃が相次ぐまでになっている。復活の秘密を探るため、取材班は韓国でカワウソの暮らしに密着。すると人工物や人の営みを巧みに利用して生きる、カワウソ本来の驚くべき能力が見えてきた!歌:平原綾香
出演者
【語り】近田雄一,龍田直樹,豊嶋真千子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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