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環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け、著作権法が変わりそうだ…
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環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け、著作権法が変わりそうだ。文化庁はこの国会に改正案を提出する方向で準備を進めている。
全体として、著作物の保護期間を延ばすなど著作権を持つ人や団体にとって有利な内容になっている。正当な権利を守るのは当然だが、規制を強めるばかりでは文化活動にブレーキがかかり、社会にとって大きなマイナスになる。制限はなるべく小さくし、著作物をより活用しやすくする仕組み作りを併せて進めてもらいたい。
特に影響が大きいと見られているのは、保護期間の延長と著作権侵害の非親告罪化だ。
いまの著作権の保護期間は作者の死後(法人などは公表後)50年。それが70年に延びる。
作者が亡くなって50年以上も利益を生む作品はごく一部。半面、「権利者不明」の著作物はますます増え、活用の障害となる。著作権者が分からない時に文化庁長官の裁定で著作物の使用を可能にする制度の使い勝手を良くするなど、工夫を重ねる必要がある。
著作権侵害は、いまは権利者側の告訴が必要な親告罪だ。それが非親告罪化されそうだ。これにより、様々な表現活動が萎縮するのではないかという心配が広がっている。
特に改作やパロディーによる「二次創作」で不安が大きい。漫画同人誌などでは、著作者が黙認することで多様な二次創作が生まれ、漫画文化の裾野が広がっている。こうした土壌を痩せさせてはいけない。法整備にあたっては、非親告罪化の対象を権利者に大きな損害を与える海賊版に限定し、一般の表現活動に影響しないよう、はっきり記す必要がある。
本は読まれてこそ、音楽は聴かれたり、演奏されたりしてこそ価値がある。活用されて作品と作者の社会的な生命は延びる。権利を保護しながら、より活用を広げるための施策を考えてゆくべきだ。
法改正を検討する文化審議会小委員会には、保護期間を延ばすとしても存命の作者に限る、登録された著作物に限定するなど、多様な意見が寄せられている。そうした案も詳しく検討したらどうか。
政府がTPP協定の暫定仮訳を公表したのは今月7日。国民がその全体像を詳しく知ることができるようになって、まだ間がない。協定発効もかなり先になる見通しだ。それに伴っての著作権法改正は、広く市民生活に関わる。じっくり議論を重ねたい。慌てる必要はない。
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