昔あるところに働き者で心優しいおじいさんと怠け者で強欲なおばあさんが住んでいました。
よっこらしょっと。
ばあさん柴刈りに行ってくるで。
(オナラ)おじいさんがいつものように柴刈りをしているとどこからか声が聞こえてきました。
柴をくれ〜柴をくれ〜。
はて?どこからか声が。
柴をくれ〜柴をくれ〜。
ここじゃな?柴をくれ〜。
何?柴をくれじゃと?もっと柴をくれ〜早く。
わかったちょいと待っとくれ。
おじいさんは刈りためた柴を全部穴に入れてしまいました。
うわぁ何じゃ!?すると穴から女が出てきました。
たくさんの柴をありがとうございます。
どうぞ中へお入りください。
あっ待っとくれ!お入りと言われても…。
え〜い!うわぁ〜。
〜柴を入れてくれたのはそなたか?危うく凍え死ぬところじゃった。
礼を言う。
いやとんでもない。
お役に立てたならよかったです。
そりゃ!これは何ですか?柴のお礼じゃ。
この宝を持っていきなさい。
それではお気をつけて。
ではありがたくいただいていきます。
おじいさんはおきなからもらった宝を担ぎ急いで山を下りました。
ただいま。
ばあさんや。
おじいさんは今日山であったことをおばあさんに話しました。
で宝物をな…。
宝物!?どこじゃ宝。
これじゃな。
大判小判が入っとるんじゃろ。
それ〜!うわぁ何じゃこりゃ!?オラ火男。
包みの中からはなんともおかしな顔をした子供が出てきました。
オラ火男。
火男?あお前さんは火から産まれたから火男というのかい?なんだい宝物どころかみっともない子供じゃないか。
がっかりだよ。
おじいさんは箱から出てきた子供を大切に育てました。
火男はしゃべりもしないで毎日ヘソばかりいじっていました。
なんだい気味の悪い子だね。
ヘソがかゆい。
そしてとうとう火男のヘソは大きく腫れ上がってしまいました。
かわいそうにどうしたらええかのう。
こんなみっともない子捨ててきたらええ。
火箸でなでてくれろ。
おうこうか?おぉ金じゃ。
金?この子はなんていい子なんだろう。
あららら。
ふぅ〜。
こら〜もっと金を出せ。
金の粒が出ると火男のヘソは小さくなるのでおじいさんは1日3回火箸でヘソをなでてやりました。
ヒッヒッヒッヒッ。
ほれほれ。
ほいほい。
ハハハハそうじゃそうじゃ。
フンッ金だけ出してりゃいいんだよ。
(いびき)
(ニワトリの鳴き声)ばあさんいってくるよ。
火男のこと頼むな。
はいもちろんですとも。
欲張りなおばあさんは金の粒をもっとたくさん出して大金持ちになりたいと思っていました。
そこでおじいさんの留守を狙って大きな火箸で火男のヘソを叩こうとしました。
これでヘソを叩けば大きな金の粒が出てくるだろ。
でや〜!こら待て〜。
金の粒を出せ!ヒッヒッヒッヒッ…。
うぎゃ〜!火男はかまどの中にとび込み自分が生まれた火の国に戻ってしまいました。
プハ〜。
火男がいなくなったことを知ったおじいさんはたいそう悲しみました。
うわぁ〜うぅ…。
お〜い火男よ。
それからというものおじいさんはすっかり気を落とし…。
火男よ。
火男戻ってきてくれたのか!じい様オラは元気だよ。
そんなに悲しまないで。
オイラの顔の面を作ってかまどの柱にかけてくれろできた。
おじいさんは夢の中で言われたとおり火男そっくりの面を作りかまどの前の柱にかけました。
するとそれ以来おじいさんの家は裕福になっていきました。
この噂が村中に広まり村人たちは火男の顔をした面をかまどの前の柱にかけるようになりました。
火男の面。
これがお祭りなどで見かけるひょっとこの始まりとなったということです。
昔から雨の降らない日が長く続くたびに人々は干ばつによる飢えや渇きに苦しんできました。
ある年のこと。
とりわけひどい飢饉に見舞われている村がありました。
食べ物は尽き村人たちは木の根や皮にもかじりつき赤土のかけらまで食べてなんとか生き延びようとしていました。
それでも幼い子供や年老いた者など弱い者から順に命を落としてきました。
これ以上日照りが続けばわしらもやがて餓死してしまう。
どうにかして雨を降らせることはできんものかのう。
天に代わって雨を降らせることなど誰にもできん。
しかしこのまま黙って死を待つわけにはいかん。
雨乞いじゃ雨乞いをしよう。
ムダじゃムダじゃ。
体力が続かん。
うぅ〜。
うぅ〜もう一歩も動けん。
み…水をくれ水を。
ん?上人様じゃありがたいことじゃ。
このような村に来ていただけるとは。
上人様は大きな寺の住職で人々からたいそう慕われておりました。
この村がたいへん困っていると聞いて訪ねてこられたのです。
農民たちがこれほど苦しんでおったとは町の者は誰も知らぬ。
ここに来る途中も新しい墓をたくさん見た。
上人様これ以上日照りが続けば1人残らず死んでしまいます。
上人様どうかお助けください。
すまないが私も皆と同じように雨を降らせる力は持っておらんのじゃ。
自然は人の思いどおりにはならぬものじゃ。
我ら農民はそれを十分承知しておるつもりじゃったがこんなにも日照りが続いてはどうにもこうにも…。
よその村の水をオラたちの田畑に引き込みいさかいの種をまいてきた。
バチがあたったんじゃ。
そうじゃ神様の怒りに触れたんじゃ。
もう終わりじゃ。
皆の気持はよくわかった。
私に任せてほしい。
(読経)村の人たちの思いを私が天に届けよう。
ここに穴を掘ってください。
(村人たち)えっ!?村人たちは残った力を振り絞り穴を掘り始めました。
そこから井戸のように水が湧き出すのだと誰もが思っていました。
そのくらいでよい。
上人様は自らその穴の中に入りました。
さぁここに石のフタをして土をかぶせなさい。
いくらなんでも上人様を土の中に埋めることなどできねえ。
私の命は生きる者みんなの命。
心配はいらぬ迷うでないさぁ早く。
(読経)上人様は穴の中でお経を唱えました。
その声は昼も夜も続きました。
(鈴の音)上人様はこの村で命が尽きるまでお経を唱え続けるという即身仏になる道を選んだのです。
上人様出てきてくだせえ。
ここまでしていただければ十分です。
おねげえします上人様出てきてくだせえ。
ならぬ!今開ければこれまでの苦労がムダになる。
決して開けてはならぬ。
わしらも祈るんじゃ。
上人様のまわりには毎日村人たちが詰めかけて祈りました。
1日でも早く雨が降れば上人様を助けることができると考えたからです。
それから幾日か過ぎやがて上人様の声も途絶えてしまいました。
それでも時折鈴の音が聞こえるのでまだ上人様が生きているのだと村人たちは知ることができました。
(鈴の音)しかしその鈴の音もついに聞こえなくなりました。
(すすり泣く声)雨じゃ雨が降っとるぞ。
信じられん。
雨だよ雨だ雨だ。
雨だよよかった。
あれを見ろ。
あの雨雲はまるで上人様の着ていた衣のような色じゃ。
上人様が雨を降らせてくれたんだ。
上人様ありがとうごぜえます。
雨は村中に降り注ぎ乾いた大地を潤しました。
(鈴の音)村人は穴のあとにお堂を建て上人様をお祀りしました。
そして人々はこの土地を上人原と呼ぶようになりました。
昔むかしのそのまた昔。
この世がまだ混沌としていた頃。
デエタラと呼ばれる地では地上に住みよい場所を築こうと働いている大きな人たちがいました。
ひと休みするか。
今のうちに腹ごしらえしておこうや。
この男力持ちでしたが誰よりも体が小さかったのでいつも仲間はずれにされていました。
男のことを心配した一族の長はこの男にしかできない仕事を任せようと思いました。
あれじゃ形がいびつで他の山からのけものにされておる。
あいつにふさわしい居場所を探してもらえないじゃろうか。
男は山を背負うと旅立ちました。
あんたにふさわしい場所と言われたがどこにそんな場所があるのか。
この世にそんなところがあるとほんとに信じてるのか?どういうことだ?お前さんも俺も仲間と釣り合わないから追い出されたんだ。
まさかそんな…。
仲間のなかに他と違う者が出てきたら遅かれ早かれ邪魔にされるものだ。
そんなことあるもんか。
俺は長の言うことを信じる。
きっとあんたにふさわしい居場所を見つけてみせる。
なんだこれは!?こりゃ海というもんだ。
海の向こうには見たことのない土地があるんだ。
まさかこの中へ入っていくつもりじゃないだろうな。
おっとっと…。
なんだか頼りないな。
頼むから俺を濡らさないでくれよ。
こんなものに浸かっていたら体がふやけちまう。
あっあれは!?美しい山じゃ。
俺もいつかあんな山になりたい。
痛っアチチチ!突っ立ってないでかばってくれたらどうなんだ。
この格好じゃ無理だよ。
あっあれは!
(2人)うわ〜!
(2人)うわ〜!はっここは!?やっとお目覚めか。
なんとか越えたらしいな海とやらを前を見てみろ。
おぉ!あんたそんな形だったか?大波に削られたんだ。
美しい山になるどころかこれじゃただの醜い土の塊だ。
そんなことあるもんか前より少し山らしくなったかもしれないぞ。
いいかげんなことを言うな。
本当だ。
当てのない旅だが俺もあんたも少しずつ変わってきたような気がする。
ひょっとしたら長の言ったとおりになるかもしれないな。
2人が訪れた地は新しい命で満ち溢れていました。
今夜は星がよく降るな。
痛い!こっちのほうに降ってきたぞ。
ここを発とうお前さんは俺を盾にして走れ。
わかった。
痛っうぅ…痛っ!助かったあんたのおかげだ。
俺なんだかまた体が軽くなったような気がする。
少しは山らしくなれたかな?キミはどの山よりも美しい形になっているよ。
男は山にふさわしい土地を探して更に旅を続けました。
男がデエタラの地を旅立ってから長い年月が経ちました。
(雷鳴)あっ。
(悲鳴)こんな小さい生き物がいるのか。
しかも俺とよく似ている。
おぉ巨人の神様お願いじゃ。
このままじゃ村の皆が焼け死んでしまう。
どうかお助けください。
(村人たち)助けてください。
俺をあの火の上にかぶせてお前は離れてくれ。
あんた丸焼けになってもいいのか?いいから早く!わかった。
うぉ〜それ!あっ!おい無事か?大丈夫だそろそろ出発しよう。
よし。
うぅ…うぅ…。
うわわ〜!フゥ…。
ダメだもうあんたを担ぐことができねえ。
デエタラの長に合わす顔がねえ。
そんなにしょげることはない。
お前さんは頑張って俺をここまで運んでくれた。
見てみろここは今まで見てきたどこよりも美しい。
俺もお前さんも仲間より大きいとか小さいとかを気に病んできた。
しかしこの広い世界を旅していたらもうそんなことはどうでもよくなってきた。
何か今熱い力がみなぎるのを感じるんだ。
きっとここが俺にふさわしい場所なんだ。
そうに違いない。
あんたこの場所にとてもなじんでいるよ。
力強くて美しい。
お前さんも早くそんな場所が見つかるといいな。
ああ俺にもきっとどこかに。
男はそのまま去っていきました。
男が作った地面のくぼみはやがて湖になりました。
この地に住む人々は山を運んできた巨人を神と崇め子々孫々にまで語り継ぎました。
山は日に日に大きくなり後に富士山と呼ばれるようになりました。
2016/01/24(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字]
「火男」
「上人原(しょうにんばる)」
「でえたらぼっち」
の3本です。お楽しみに!!
詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
柄本明
松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
歌:中川翔子
コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】鈴木卓夫
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ
http://ani.tv/mukashibanashi
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32118(0x7D76)
TransportStreamID:32118(0x7D76)
ServiceID:41008(0xA030)
EventID:49840(0xC2B0)