「ららら♪クラシック」今回は…。
(「未完成交響曲」)交響曲といえば普通は4楽章。
しかし2楽章しかないこの曲。
音楽史上最大の謎。
この曲…発表までの知られざるミステリーとは!そして交響曲に刻まれたシューベルトの思い。
時代を超えて聴く者の魂を揺さぶるシューベルトの代表作に迫ります!「ららら♪クラシック」今回はシューベルトの「未完成交響曲」です。
ベートーベンの「運命」やドボルザークの「新世界」などと並んで最もよく知られる交響曲の一つですね。
今日のお客様は脳科学者の茂木健一郎さんです。
こんばんは。
ようこそお越し下さいました。
茂木さんからご覧になってシューベルトの魅力というのはどのあたりですか?シューベルトといえば歌曲じゃないですか。
メロディーの美しさ。
なんかねすごく…ちょっと不器用なところもあったりして。
そこがすごく魅力的ですね。
今回の「未完成交響曲」はやっぱり好きな曲のベストテンには入ってくる?当然入ってきますね。
ほんとに子供の頃からヘビーローテーションで聴いてる曲でもあるし。
学生の頃とかそんなにお金ないから行けなかったんだけどウィーン・フィルのコンサートに1回だけ来日公演行って。
その時の「未完成」がやっぱり今まで聴いた中で…人生のピカイチが「未完成」だった。
あと何よりも…何なんだって思いますよね。
そうなんですよね。
何なんでしょうね?まさにこの「未完成交響曲」ミステリアスで謎の多い曲なんですけれどもちょっとこちらをご覧頂きたいと思います。
交響曲といえば4楽章がほとんどなんですけれどもこの作品は2楽章しかないので「未完成交響曲」と呼ばれています。
そしてシューベルトの死後32年目に発見されたという事で…。
長いなぁ。
ちょっとこの空白の時間気になりますね。
そして楽譜が見つかったのはある作曲家の自宅。
えっそうなんですか。
知らなかったです。
そうなんです。
いかがでしょうか。
もしじゃあ見つからなかったら我々知らないままだったかもしれないって事ですか?それではこの曲の作曲から発表に至るまでのミステリーをご覧下さい。
1823年シューベルト26歳。
ウィーン郊外の街グラーツにある音楽家協会から名誉会員の称号を贈られたシューベルトは…それがこの曲…。
当時の常識では作曲途中と思われる謎の楽譜。
受け取ったのは音楽家協会の…シューベルトと共にウィーンでの活躍を目指す作曲家でした。
しかしシューベルトほどの才能に恵まれず故郷グラーツに戻っていたアンゼルム。
送られてきた楽譜を見て未完成と思ったのか何か意図があったのか発表せずに自宅の書棚にしまい込みます。
5年後…そして…ところがこの曲の存在を知るもう一人の人物がいました。
アンゼルムの弟ヨーゼフ。
当時彼はシューベルトの秘書として働き楽譜の管理などをしていました。
シューベルトが新作交響曲に取り組む様子を身近で見ていたのです。
そんな彼が1860年兄アンゼルムの自宅の書斎でこの楽譜を発見します。
あのシューベルトの幻の2楽章の交響曲。
楽譜を見てその価値を確信したヨーゼフはこの曲の初演を企てます。
そして5年の月日が流れヨーゼフの画策の末…。
1865年ついにこの曲はウィーンで初演。
シューベルトの死後37年目の事でした。
「未完成の交響曲」という名で発表されたこの曲はたちまち人々を魅了しました。
切なく美しく深い陰影に富んだ音楽は歌曲王シューベルトの新たな魅力を聴衆に知らしめ「シューベルトの代表作」と呼ばれるようになったのです。
しかしこの曲不可解な謎が初演当時からささやかれています。
ここからはちょっと皆さんでミステリーツアーに出かけたいと思います。
この曲を巡る3つの謎にせまってまいりたいと思います。
まずちょっと1つ目の謎は置いておいてこちらの2つ目の謎から見ていきます。
「なぜアンゼルムはこの曲を32年間も発表しなかったのか?」という事でねさまざまな説があるんですけれどもまず1つ目こちら。
…という事でシューベルトに嫉妬してこういう企みをしたのではないかとまことしやかにささやかれているという事なんですよね。
考えられなくはないですよね。
ありそう。
科学界でも有名なダーウィンが進化論を発表しようといろいろ…。
でもどうしようかなっていう時に別の人が似たような説を出してきちゃって慌てて発表したみたいな事もあるんで。
う〜ん…あるかもしれないですねこの説はね。
そうですか。
では続いて2つ目の説を見ていきたいと思います。
これもしかして時間を置いてまたシューベルトが続きを書いて送ってきてくれるものだと思って待っていたと。
当時は確かに不名誉だと思われてたんですかね。
やっぱりバランスは…。
2つしかない交響曲というのはそれまで多分見た事もなかったので友達としてこれはシューベルトの名誉を守るために置いておいたのかもしれないという説ですね。
ただアンゼルム自身も作曲家ですからこの曲の価値に関してはね才能に嫉妬してたぐらいなのでよく分かった上でずっと持っているんですよね。
そこがなんか気になるんだよな。
では3つ目の説も見てみましょうか。
こちら…。
アンゼルム本人は忘れていたんですと証言はしているそうなんです。
いやぁ〜そうですか?いやぁ難しいですよね〜。
こういう3つの説が。
僕はでも嫉妬説かなぁ…。
「1番」ですか。
いや謎だね。
続いて今度はですね3つ目の謎。
「なぜヨーゼフが発見してから初演まで5年かかっているのか?」という事なんですけれどもこちらは…。
…という事なんですね。
ほぉ〜。
実はねヨーゼフは発見してすぐにある指揮者に演奏してもらおうと連絡をしたんです。
そしたら指揮者も是非初演をしたいと乗り気だったんですがアンゼルムは楽譜を渡してくれなかったそうなんです。
えっ。
これは…。
これ引っ掛かりますよね。
実は一つ事実として明らかに不自然な事があるんですけどもこの「未完成交響曲」の…ウィーンで。
ちゃっかり自分の曲も。
でもそっちの方忘れられちゃってるんですよね。
今となっては。
僕作曲家のお友達の方に聞いたら初演で終わりっていう曲がほとんどだって聞きましたけど。
そうなんですよ。
なかなか再演されるって事はないですし音にならない作品もたくさんあるわけなので。
実際にアンゼルムも自分の作品をオーケストラで鳴らす機会というのを弟ヨーゼフが暗躍して指揮者を言いくるめてお兄さんとバーターで…。
なるほど。
…などといろいろと妄想は広がる。
謎がいろいろと残るんですけれどもさあ残る最後この1つ目。
「なぜシューベルトは2楽章しかない交響曲を送ったのか?」というとこちら!「?」ってなってる。
そうなんです。
これ最大の謎なんですよね。
そもそもこれがなければ他の2つのミステリーも起こらなかった。
どういう事なんだろう?どうなんでしょうね。
この曲を巡る最大の謎。
この曲が未完成といわれる最大の理由はシューベルトが続きの第3楽章を書き始めていたからでした。
しかしそこで筆をおき第2楽章までをグラーツに送ったシューベルト。
不可解な行動の裏で一体…教師として働きながら作曲していたシューベルトはいくつかの歌曲で人気を得るものの作曲家としては評価されずにいました。
そこでシューベルトは…そんな彼の大きな課題となったのが…当時というのはまさに…そういう時代だったわけです。
そこでシューベルトは交響曲の作曲に取りかかっていくんですけどやはりなかなか歌曲を書くようにはスラスラというわけにはいかない。
ハードルが高かったわけですね。
より完成度の高い交響曲を書こうとした時シューベルトは今まで経験した事のない…交響曲を書き始めるも…シューベルトはこの「未完成交響曲」の前に…未完成に終わった交響曲は…しかしこの「未完成交響曲」だけは発表の場を持つグラーツに送られたのです。
この短くも完璧なバランスで作られた交響曲をシューベルトは完成と考えたのか?それともあくまで未完成なのか?真相はシューベルト以外もう誰にも分からない永遠の謎です。
この交響曲が未完成なのか完成なのかという議論はさておき残されているこの2つの楽章やはり非常に美しいですし……の1つだと思うんですね。
やはり「人類の遺産」と言ってもいいような美しい曲じゃないでしょうか。
今も私たちの胸を打つこの曲はシューベルトの作曲家人生を懸けた闘いの結果そのもの。
そしてこの事だけは永遠の真実なのです。
ミステリーだ。
そうですね。
僕でもやっぱり小学校の時に聴いてた時の自分の感覚が今でも何となく要するに…じゃあ「未完成完成説」ですね。
でも実際送っちゃったっていうところがね。
僕が考えるのはシューベルトの心理面に寄っていくと今までうまくいかなかった作品がある中でこれは……という事でまた取って置いたりすると自分で捨てちゃう可能性もあるじゃないですか。
なので一度外に逃がしておいた。
渡したのがグラーツの音楽家協会への提出だったのかなとちょっと思ったりしましたよね今見てて。
もっともっといろいろ人生経験を経て……という夢も含めて友達に託したのかなっていう気も。
その可能性もありますね。
僕たちは歴史を知っていますからシューベルトがこのあとすぐ亡くなっちゃうって分かってるんだけど当人はまだまだ生きて仕事したかったんだもんね。
切ないですねそう考えると。
でもなんかねいい感じするんですよ。
2楽章でバサッていうのは意外と現代の感覚には合ってる。
だから例えば古美術とかだと意外と…今のアーティストだと表現行為って評価されるぐらい…。
しかもこの謎だって我々こんなに百何十年もたって熱く語り合ってるシューベルトについて。
そこも含めてアートだって思ったら…ねえ。
じゃあここで今新たに……っていう感じ僕もするんですけどね。
今日の名曲は…死後37年目に発表された…謎に包まれたこの曲に響く…作曲家の美濃さんが迫ります!作曲家は曲を作る時にね……という重要な仕事があるんですね。
調性というのはその曲のキャラクター個性を非常に大きく左右する部分ですね。
シューベルトが苦悩しながら作ったこの曲。
シューベルトが選んだのは「ロ短調」という調性なんです。
実はこの曲……と言われているんです。
あの大ベートーベンが!そうなんです。
「未完成交響曲」冒頭部分に出てくる主題はこんなメロディーです。
どんなイメージでしょうか。
自分の深層心理の一番見てはいけないところまで下りていくっていう感じしますけどね〜。
ほんとに先の見えないトンネルの中にいるような闇というか暗さというか。
さあ続いて第1主題といわれるメロディーに注目したいと思います。
哀愁漂うオーボエでこんなメロディーで出てきます。
そこはかとない希望生命の兆しとかなんかとにかく僕何かの予感っていう感じがする。
全てはね確かに。
何かを暗示しているというか…。
さあそしてねこの悲しみの中で現れた光のように第2主題が登場するんですけれどもこのメロディーはロ短調から一転してト長調という調性で書かれています。
どんなメロディーかというと…。
快活な感じがしますね。
なんかすごいのはこの日常的な快活の感情の背後に最初にあったあの暗い見通しのきかない気分っていうのがずっと続いてる感じがするのがすごいなぁと思って。
そうなんです。
今のメロディーもね一瞬安らいだと思ってスタートするんですけどこのあと…。
引き戻されますね。
そうなんです。
そのあと…。
こういう世界で…。
感情の移り変わりがすごく聴いてて心地よいし胸の奥深くにしみ込んでいく感じがして…。
音楽でいつもすごいなと思うのは脳科学だと基本的な感情は5個だとか言われてて…。
怒りだとか不安だとか嫌悪だとか喜びとか言われてるんですけどでも感情って絶対他にもたくさんあるというふうに我々分かってるじゃないですか。
まだ脳科学的には全然解明されてなくてだから今の…実はね持ってるんですよ。
作曲家を代表するシンボリックに表す1曲ってあるじゃないですか。
そう考えるとシューベルトの場合はね決して楽ではなかった人生の中で選んで選んで……という気もしますね。
書いたら初めてのシンフォニーになったというね…。
是非シューベルトの人生いろんな事が詰まった交響曲なので耳を澄ませて聴いて頂けたらと思います。
それではシューベルトの「未完成交響曲」から第1楽章をカット版でお聴き下さい。
なんか僕聴いてて「あ〜!」って思ったんですけど何か事情があって完成しなくてもほんっとに精魂込めて作ってたらその断片だけでも人の心は動かせるんだなっていう事を学びましたね今の演奏見てて。
なるほど。
どんな人の人生も未完成で「ああ完成したからそろそろじゃあこの世からお別れします」っていう人いなくて絶対どんな人生も未完成で終わるじゃないですか。
って事はこのシンフォニーは人生そのものって事かなぁ。
だからこの曲って特に日本で大人気なのはそのあたりじゃないですかね。
あ〜そうか。
ある種人生と重ねて音楽を聴く時に「ああ切ないながらにでもここの今のポイントにたどりつく」っていう気がするんですけどね。
自分の人生を重ねてね。
「未完成交響曲」。
皆さんの胸にはどう響きましたか?「SWITCHインタビュー達人達」。
2016/01/23(土) 21:30〜22:00
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック「音楽史上最大のミステリー シューベルトの“未完成交響曲”」[字]
クラシック界最大の謎!?未完成交響曲の秘密に迫る。この曲が発見されたのはシューベルトの死後32年目、ある作曲家の自宅の書斎。2楽章の交響曲に込めた思いとは?
詳細情報
番組内容
クラシック界最大の謎!?未完成交響曲の秘密に迫る。この曲が発見されたのはシューベルトの死後32年目、ある作曲家の自宅の書斎。なぜこれほどまで埋もれることになったのか?発見から初演まで暗躍した人物とは?そしてそもそもこの曲はなぜ2楽章までなのか?作曲家シューベルトの苦闘が刻み込まれた名曲の隠されたエピソードの数々をご紹介。【ゲスト】茂木健一郎(脳科学者)【管弦楽】東京フィル【指揮】田中祐子
出演者
【ゲスト】茂木健一郎,【出演】音楽評論家、玉川大学芸術学部教授…野本由紀夫,指揮者…田中祐子,管弦楽…東京フィルハーモニー交響楽団,【司会】石田衣良,加羽沢美濃,【語り】服部伴蔵門
ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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