(灰原)
僕の名は灰原達之
街金と呼ばれる金融会社帝国金融で働いて15年が過ぎた
(金子)《この商売他人の不幸を避けて通ることはできへんねん》
(金子)《貸すのか貸さんのか2つに1つや》
(灰原)
金子社長が5年前に亡くなった
最期の言葉はこうだった
「金と命には限りがある。
よう覚えとくんやで」
金には限りがある
人はそれを忘れてしまい簡単に手に入れようとする
世の不安定な景気や法律の改正で僕らの仕事は厳しくなっている
時に人を傷つけたり人生を破滅へと追い込んだりもする
そして僕は今も自分の金融道というものを探しもがき続けている
(桑田)毎度。
帝国金融です。
社長あんた不渡り出しましたやろ?
(大貫)得意先が倒産して代金払えん言うもんやさかいどないもならんのや。
(桑田)それで金はできたんかい?
(大貫)何とかかき集めた。
50万や。
(桑田)確かに。
ほな灰原。
(灰原)今月分の不渡り手形お返しいたします。
(大貫)心配おかけしました。
…で社長。
来月と再来月の手形のことなんですがそれも今買い戻してください。
何でや?129万今ここで払ってください。
(大貫)そんなアホな。
来月の払い何で今払わなあかんのや?うちから借りたときこの金銭借用証書に判を押しましたよね?押したけど。
「不渡りを一度でも出したら直ちに債務を返済します」と書いてあります。
不渡りを1回でも出したら全額回収するのが金融業者としての鉄則なんですよ。
そりゃ殺生や。
待ってくれや!不渡り出しといて何を言うとんねん。
えっ?借りた金はきっちり返さんかい。
金融屋なめとったらあかんぞ!もう一銭も無いわ。
倒産や。
(桑田)倒産でも母さんでも何でもしたらええがなぁ。
こっちはなあんたが返せなんだら保証人のところ行って回収するまでや。
ちょっと待ってくれや。
・
(セツ子)あんた。
セツ子。
(セツ子)倒産やろ?マサユキと実家帰るわ。
後で離婚届送るさかい。
何でや!?
(マサユキ)僕お父ちゃんがええ。
(大貫)マサユキ!
(セツ子)子供はうちがもらう。
親権はこっちや。
ほら早う。
(マサユキ)嫌や!行かへん!
(セツ子)来い言うとるやろ。
(マサユキ)お父ちゃん!マサユキ!社長。
子供取り返しなはれ。
(大貫)えっ?
(桑田)大事な子供やろ?目の中に入れても痛ない息子やろ?桑田はん。
(桑田)それでも父親か?父親やったら親権渡したらあかん。
こんなわしのことそない思ってくれておおきに。
アホか。
誰がお前のこと心配すんねん。
子供がここにおったらな児童扶養手当っつうのが毎月4万円出んねん。
その金で借金返さんかい。
早うがき連れ戻すのや。
早う行け!
(大貫)はい!
(桑田)ダッシュじゃ!どんな金でも金は金やさかいなぁ。
金に困っている人に金を貸し返せなくなったらどんな手を使ってでも容赦なく回収する
それが僕の仕事だ
(大平)いらっしゃいませ。
ご相談に乗りますよ。
(女性)できたらちょっとお願いしたいな思いまして。
(大平)はい。
すんまへん。
(大平・高山)いらっしゃいませ。
5万ぐらいお願いしたいんですけど。
(高山)5万円入り用なんでんな。
審査かけますさかいこの書類に記入してください。
(元木)社長社長。
接客はええですから座っててください。
(高山)アホが。
うちは金子社長が一代で築き上げた会社や。
わしが後を任されただけや。
社長は今もおる。
あ〜さぶさぶさぶ。
戻りました。
迷走企画から集金してきました。
(高山)ご苦労さん。
(大平)お疲れさんです。
おう。
仕事慣れたか?
(大平)いやこんなにお金に困ってる人がいてるやなんて。
総理大臣は何やっとんのや。
話がでかいんだよお前。
すいません。
よしっ。
はい今月分。
(雨宮)はい。
桑田さんは?松野さんがわびを入れに。
松野さん。
(松野)えらいすんまへん。
(桑田)…で金はどないすんのや?エフエックスかファックスか知らんけどちっとももうからんのや。
あれ円安やったらもうかるんでっか?円高やったらもうかるんやろか?そもそも為替って何やねん!な〜んも知らんのにそんなもんに手ぇ出すのが悪いんじゃ。
こらぁ!借りた金耳揃えて払わんかい。
せやね。
そりゃ…そりゃせや。
そりゃせや。
え〜…。
こないなったら生命保険で払うよって。
ちょっと待って!どうするんですか!?
(桑田)おーいちょい待ち。
冗談やないで。
(松野)こないでもせな返す方法ないしな。
嫁がこのまま…。
何て言ってるか分からない。
ちょちょ…。
(桑田)灰原手放すんやないで。
(元木)何や?おい。
おっおっ…ちょっと待て…。
わしにはなもうな保険しかな保険しかな残ってへんねや。
死んでどうするんですか?
(松野)皆さんさいなら!
(雨宮)飛び降りても無駄死にになりますよ。
(松野)何で?この保険去年の1月に加入してはりますよね?
(松野)せや。
1年以上過ぎとるわ。
ハァ…残念。
保険会社が自殺死亡の免責期間を3年に延長してますんで1年やったらお金下りへんなぁ。
え〜ホンマなんか?やるなら他でやらんかいこのぼけなす!
(元木)危ないとこやったでまったくもう。
毎日飽きへんわ。
この仕事。
(桑田)ほんなら返済についてゆっくり話し合おか。
(松野)せやね。
せやせや。
債権の回収について法律が変わり金融業者に対する規制が強くなった
そのため多くの金融会社が倒産したり廃業した
そのとき宙に浮いた債権を帝国金融がタダ同然で買い取った
その債権を回収することもある
ここですかね?
(桑田)お邪魔しまっせ。
(孫野手)どちらさんですか?帝国金融の者です。
よろしいか?
(孫野手)何です?社長。
商工ローンの日没さんから金借りてますよね?ああ。
そやけどあそこだいぶ前に倒産してもうたからな借金はチャラや。
それが違うんですよ。
何がや?うちが日没さんから社長の借用書を譲り受けたんです。
ですから今はうちが正統な債権者です。
これご覧ください。
(孫野手)何やて…。
そしたらうちの借金まだ生きとんのかい?
(桑田)そういうこっちゃ。
うちが債権買い取ったさかい。
うちに払うてもらうことになるな。
半分は返し終えてますね。
残りの額面と利子を含めて900万円です。
そんな…。
いきなり900万払えなんて無茶でっせ。
担保提供された土地もありますよね?その土地の抵当権もうちに移転してありますから。
あの土地もかい?
(桑田)土地に付いてんのはうちの一番抵当だけやし売ったら1,000万にはなるよっていつでも処分できまっせ。
いきなり現れて何言うとんのやあんたら。
(洋子)お父ちゃん…。
お弁当持ってきたで。
(孫野手)娘の洋子や。
(洋子)どないしたん?
(孫野手)日没さんから借りた金返せ言うんや。
なあ?無理やわ。
あんた仕事何してまんねん?介護士を…派遣ですけど。
派遣か…派遣は金借りられへんよってなぁ。
やっぱり土地売って金つくるしかないな。
待ってください。
あの土地は…。
1週間だけ待ってください。
(桑田)あかんあかん。
早う土地売って金返さんかい。
待ってください。
お願いします。
桑田さん。
1週間待ってあげましょう。
(桑田)甘いで灰原。
夜逃げでもされたらどないすんねん。
僕が責任持って管理しますから。
逃げたりなんかしません。
(桑田)チッ。
分かった。
ほんなら白紙委任状もろうとけ。
はい。
すいません。
こちらにですね住所と名前と生年月日判の方もお願いします。
すいません。
1週間後にまた来ますから。
はい。
ここ真っすぐってこの道でいいのかな?これで…。
もうちょい…もうちょい先ちゃうか?戻ります?違うかもしれない。
ここですね。
孫野手さんの土地は。
(桑田)ほう。
何坪や?700坪です。
実勢価格で坪2万6,000円。
1,000万以上で売れますね。
なら900万回収すんの何の問題もないなぁ。
まああかんかったらあの娘を風呂に沈めるだけや。
何や?えっ?あの子にほれたんかい?いや別に…。
ヘヘッヘヘヘ。
そろそろ灰原君も所帯持って身ぃ固めんとなぁ。
風俗ばっかり行っとったら金持たんやろ?大きなお世話ですよ。
どないした?あのキャバクラのほらたたみやすじのももちゃんどないしたん?あ…逃げられました。
えっ?マジかい?ハハハ…。
あのヴァンダレイ・シウバに?かわいそうになぁ。
ハハハ…!
(桑田)あのヴァンダレイ・シウバやで。
そっくりやで。
(孫野手)来週までに900万。
どないしたらええんや?お母ちゃん。
(洋子)大丈夫や。
うちが何とかする。
(孫野手)あの土地売らなあかんのかな?
(洋子)売らへんわ。
つらいことあっても我慢できたんはあの土地があったから。
あの土地は家族みたいなもん。
ううん。
お母ちゃんなんや。
(元木)いらっしゃいませ。
その日の午後のことだった
(小骨)あの〜…。
お待たせしました。
いらっしゃいませ。
(小骨)あのですね…5…5…。
(典子)50万円貸してほしいんです。
小骨さんは食品の卸問屋にお勤めなんですね。
早急に50万必要になりまして。
聞いてください。
実は主人が…。
(小骨)《え〜!これ全部さばけいうんですか!?》
(主任)《せや支店長が独断で発注してな》《どうせ接待受けたんやろ》《200ケースある》
(小骨)《200…》《君が担当しとるスーパーにぶち込んだってや》《頼むで》《ちょ…ちょっと主任》《そんな…》
(権藤)《イワシ缶を10ケース?》
(小骨)《はい》《エンドに並べてもらえませんやろうか?》
(権藤)《そんなスペースあらへんがな。
無理無理》《そこを何とか…店長!》《あら〜もうこんな時間か》《昼飯食いながら話そか》
(小骨)《頼んます。
200ケースさばかなあかんのです》《あっしもた。
忘れとった》《どないしはりました?》《来週これの誕生日なんや》《プレゼント奮発せなぁ》《困ったなぁ》《はぁ…》《15ケースくらい引き受けてもええんやけどな》《いや…20ケース可能かもしれんけどまあ条件が合うたらの話や》《これ使うてもらえたら》
(権藤)《5,000円かいな》《大した物買えへんけどしゃあないわ》《ここも払っといてや》《あと14ケース持ってきますよって》《誰がそんな約束したんや。
6ケースでええわ》《そんな…店長!》
(権藤)《ついでにあの桃缶2ケース下ろしといてや》《あの上のや》
(小骨)《あっはい》《人の足元見よってからに》
(小骨)《おっ…おっ…》
(権藤)《あ〜!》
(小骨)《店長!》《すんませんでした》《これつまらん物ですけど》《たったの2枚かいな》《医者に聞いたら打撲やと》《痛たた…せやけどわしも大人や》《小骨君責めたかてケガが治るわけやない》
(主任)《ほな示談書お願いしてもええでんな?》《小骨君と2人で話させてもらえまっか?》《ほしたら私席外しますよって》《頼んだで》
(小骨)《えっ?ちょっと主任》
(小骨)会社がケツ持ってくれて当然やのに「最初の見舞金以外は自己責任や」言われて。
(権藤)《示談の前に50万用意してくれへんか》《50万?どういうこってす?》《利き腕やられたさかい身の回りの世話してくれるヘルパーさん雇いたいねん》《分かりました。
急いで工面しますよって》
(権藤)《ほな先に念書書いといてや》《わしの言うとおりに書くんやで》《私が起こした平成27年1月8日の傷害事故に関して…》
(権藤)《こいつからたっぷり搾り取ったろ》クレジットカードでお金借りられませんか?目いっぱい借りてます。
取引相手に昼飯おごったり商品券あげたりせなあかんよってな。
(典子)それで私のカードで借りよう思ったんですけど法律が変わってキャッシング枠は収入証明出さな貸せんて。
主婦の方は簡単に借りれなくなってますね。
灰原君。
少々お待ちください。
すいません。
旦那なぁ他の街金でも結構つまんどる。
そうですか。
(桑田)灰原君!はい。
うちは法律だけはきっちり守る金融業者よってこのような案件での融資は無理でございます!そっか…分かりました。
駄目ですか?申し訳ございません。
ご主人の借り入れの総額が年収の3分の1を超えております。
国が決めた総量規制というのがありましてご融資できないんですよ。
あきまへんの?まともな金融屋ならどこも貸さないと思いますよ。
ハァ…。
どうもお邪魔しました。
(小骨)ありがとうございました。
(元木)ありがとうございました。
(小骨)すいません。
(典子)すいません。
ほな頼んだで。
すいません。
ちょっと待ってください。
すいません。
ちょっと待ってください。
(典子)個人的に貸してくれはるんですか?僕もサラリーマンですから会社の方針に従うしかありません。
でも小骨さんがヤミ金に手を出すんじゃないかなって心配になったんです。
これよかったら使っていただいたらと思って。
おいどないする?他からは借りられへんのやしこの際お言葉に甘えてもええんちゃう?
(小骨)そやな。
ほなお借りします。
なら簡単な借用書で結構ですからご主人が借り主。
奥さまが連帯保証人でお願いいたします。
利子は元金に対して年1割5分です。
(小骨)あの返済期限はどないしたら…。
あっそこは空欄で結構ですよ。
小骨さんのこと信用してますから。
(典子)助かりました。
できるだけ早う返します。
50万確かに。
ホンマおおきに。
よかったな。
(典子)うん。
失礼しま…。
ああ小骨君。
ヘルパーさんや。
もう帰ってええで。
…で金持ってきてくれた?50万です。
おおきに。
ほなこれで失礼しますよってどうぞお大事に。
ちょちょ…待ちぃな。
話はまだ済んでへんがな。
はい?
(権藤)入院したせいでなうちのペットの魚が死んでもうたんや。
手塩にかけて育てたアジアアロワナちゃんがな…。
20万は下らん魚や。
全部で30万やで。
30万!?ちょっと待ってください。
そないなことまで僕の責任になるんですか?わしが被った損害は賠償するって約束したやろ。
・
(敏江)典子。
(敏江)捜したんやで。
(典子)どないしたん?お母ちゃん。
今日はパート休みなん?
(敏江)うん…。
頼みがあるんやけどお金貸してほしいねん。
お金?実はな出勤の途中にチャリで車に追突してもうてな。
相手に修理代で7万支払わなあかんねん。
もう〜何やっとんのお母ちゃん。
助けてぇな。
あんたしか頼れる人おらんのや。
そんなん言われたかて…。
小骨さんの奥さんから会いたいと連絡が来た
どうぞ。
あっすいません。
灰原さん。
主人に内緒であと7万貸してもらえませんか?7万?お願いします。
お力になりたいんですが先日50万貸して僕も手持ちがないんですよ。
ん〜…クレジットカードお持ちでしたよね?せやけど総量規制いうんでキャッシングできません。
いやでもショッピング機能は生きてますよね?それを現金化すれば7万くらいすぐできますよ。
ホンマですか?ええ。
参考までにお話ししますけど…。
(男性)カードの有効期限が本年末。
ショッピング限度額が30万いうことですね?
(典子)ええ。
枠は丸々残ってます。
(男性)では当社の商品をご購入ということで受け付けさせていただきます。
(典子)お宅から商品買うだけで現金もらえるんですか?
(男性)はい。
当社の商品にはキャッシュバックサービスが付いてます。
12万円の商品を購入されれば8万4,000円をキャッシュバックさせていただきます。
クレジットカードのショッピング枠で現金化するということはつまりは借金をするということだ
業者は客にカードを切らせ二束三文の商品を法外な値段で売りつける
そのうちの7割の現金を客にバックして差額の3割をもうけにする
業者にはカード会社からきちんと支払いがある
クレジットカードのキャッシング枠には貸金業法がショッピング枠には割賦販売法が別々に適用されているからだ
一枚のカードに2つの法律が混在しているから典子さんは金を手に入れることができたのだ
おおきに。
ホンマに返してくれるんやろうな?
(敏江)うん。
心配せんかてちゃんと返すがな。
ほなパート戻るよっておおきに。
人は簡単に金が手に入る味を占めたら転落は早い
孫野手建設の洋子さんから呼ばれた
約束の1週間はまだ来ていない
お話というのは?金策に回ったんですけど1週間では無理です。
他にお金貸してくれるとこ紹介してくれませんか。
お気持ちは分かるんですがうちから900万借りてますから他の金融機関から借り入れするのは難しいと思います。
無理ですか…。
法律が変わって昔のように無制限で貸せなくなったんです。
時代がそうなってしまったんです。
国も金融屋も誰も助けてくれへん時代になったっちゅうことやな。
あの土地を売るしか他に方法は…。
土地は売りたない。
こないだも…。
あのどうしてですか?雪見たことあります?海に降る雪や。
海に舞う雪を見たんや。
あの土地でお母ちゃんと。
冬の午後やった。
私らが立ってる場所は降ってないのに向こうの海に音もなく雪が降りだして水平線も見えんようなって青いはずの海が一面真っ白に。
奇麗やったなぁ。
3年前お母ちゃんが死んだときベッドでお母ちゃん言うとった。
「いつかあの土地に家建てて住もな」「そしたらいつでも海が見える」「海に降る雪が見える」って。
洋子…。
お母ちゃんとの思い出の場所なんや。
そうだったんですか。
《でも僕には何もできないんだ》支払期限は4日後です。
すいません。
失礼します。
ハァ…。
(女性)お願いします。
ありがとうございます。
お願いします。
ありがとうございます。
(女性)お願いします。
ありがとうございます。
(女性)お願いします。
ありがとうございます。
(神谷)ああいらっしゃいませ。
(神谷)ご用件は?あのお金貸してくれませんか?
(神谷)話聞きましょう。
さあこちらへ。
どうぞどうぞ。
小骨夫婦の件も終わっていない
今度は旦那が会いに来た
お待たせしました。
女房に内緒であと30万貸してください!またですか?アジアアロワナが死んでもうたんです。
アジアアロワナ…。
店長が来たら僕の言ったとおりにやるんですよ。
せやけどケガの原因僕やから。
冷静になったらどうですか。
あなたはゆすられてるんです。
そうなんやろうか?30万円払ったところでまた次に要求されるに決まってるじゃないですか。
不当な要求には断固として戦うべきです。
・
(ドアの開く音)・
(権藤)よう!小骨君。
こちらは?帝国金融の灰原と申します。
小骨さんからそちらに支払う30万円の申し込みがありましたので同席させていただきました。
(ウエートレス)いらっしゃいませ。
ウインナコーヒー。
まっ熱帯魚の賠償金払うてくれるんやったら金の出どころは関係あらへんな。
念書かてこないして…あ痛たた書いてもろうたんやしなぁ。
小骨さん。
はい。
えっとそれで僕に請求書書いてもらえますか。
請求書?融資金の使途がはっきりしないことには審査を通せないんです。
なるほど。
お安いご用や。
それでは審査にかけますので。
はい…。
僕の言ったとおりにやるんですよ。
はい。
(呼び出し音)どうぞ。
どないやった?金借りれたんか?それが審査通らんかったんですわ。
他に借りる当てもないよって。
ほんなら払わんいうことか?
(権藤)おい小骨。
自分の立場忘れたんか?お前なんかなわしの一言で首にかてできるんやで。
早う30万つくらんかい。
なめとったらあかんどこらぁ!
(不通音)これでええんですか?灰原さん。
ばっちりですよ。
これで彼は自分の首を絞めることになりました。
・
(チャイム)・
(ドアをたたく音)
(典子)はい。
こんにちは。
(ムネ)敏江さんおる?パートに出てる思いますけど。
うちなあんたのお母ちゃんにお金貸してるんや。
返す返す言うて全然返してくれへんねん。
えっ!?
(ムネ)うちだけとちゃう。
あっちこっちで知り合いから借りてるんやで。
パチンコ代を。
そんな怒らんといてぇや。
パートのお給料だけやとやっていかれへんからパチンコで稼いで足しにしよう思うてん。
「自動車とぶつかった」ってあれ嘘やったんやな。
何考えとんの。
・
(満夫の泣き声)
(敏江)お母ちゃんを助けてぇな。
借金はあんたが返しといて。
頼むわ典子。
お申し込みありがとうございます。
リピーターのお客さまにはキャッシュバック1割増しサービスさせていただいてます。
(男性)18万円の商品を購入していただいたら14万4,000円のキャッシュバックとなります。
洋子さんと約束した1週間が近づいてきた
どうも。
社長さんは?
(洋子)おらんよ。
寝込んでもうた。
お父さん大丈夫なの?
(ライターの着火音)洋子さんお金は?ならあの土地を…。
処分したらええ。
ご自由に。
何かあったの?いやだってさあの土地はお母さんとの約束…。
もう心配せんといて。
私らのことなんか。
この先が孫野手さんの土地です。
(赤猫)はぁ〜ええとこやなぁ。
ややこしい権利関係もありませんので早急にさばいてもらえると助かります。
(赤猫)お任せくださいや。
もうすぐ売りますわ。
何だ?これ。
(赤猫)通行止めって…どういうこっちゃ灰原さん。
こないだまでなかったのに。
他に道は?獣道だけだ。
この道通られへんかったら土地に入ることもできへんがな。
あの土地陸の孤島でっせ。
入れもせんような土地に買い手なんか付きまっかいなぁ。
何やの?話って。
夜も働くことにしたんよ。
社員に払う金がいるさかい。
(ウエーター)ご注文は?コーヒーもらえるかな?
(ウエーター)かしこまりました。
話ないんやったら行くけど。
あっちょっと…。
土地のことなんだけど道に立ってる看板のこと知ってる?通行禁止の看板のこと。
知ってるんだね。
灰原さん。
世の中にはええ人もおるんよ。
帝国金融が買い取る前の契約書によると私道の所有者は牛野という人で最近鷲野に変わったようだ
・鷲野さん。
(鷲野)どちらさん?突然すいません。
私帝国金融の灰原と申します。
(鷲野)街金が何の用や。
孫野手さんの土地に通じる道なんですが通行止めを解除してほしいんですが。
その件やったらきっぱりお断りや。
そこを何とかお願いいたします。
このとおりです。
あの道は牛野さんから譲ってもろうたんや。
何遍言われてもお断りや。
孫野手さんと牛野さんが交わした契約書です。
孫野手さんが道を自由に通行できる権利が設定されております。
この権利は所有者が鷲野さんに変わったとしても付随して付いてきます。
通行地役権の侵害になりますよね?《田舎のおじさんだ。
小難しい法律用語でかませば下りてくれる》契約書はその2人で交わされた物やろ。
第三者が分かる形で登記されてるわけやない。
どんだけ効力あるか怪しいもんや。
《まずい。
契約書の弱点を知ってる》《どうしてだ?》どうぞお引き取りくださいや。
裁判しても構へんで。
《誰かに入れ知恵されている。
いったい誰が?》
(神谷)帝国金融の小僧ですわ。
お先。
(元木)お疲れさん。
お疲れさまです。
よいしょ。
帰らへんの?灰原さん。
うん。
孫野手建設の土地やね。
売れたん?誰かが妨害してんだよなぁ。
今まで使えた道を鷲野が買ったのは不自然だし法律にも詳し過ぎる。
バックにいる誰かが巻き込んだに違いないんだ。
そういうときはビールでもあおってぱーっと忘れてまたあしたから頑張ったらええんちゃう?ねっ灰原さん。
うん。
洋子さんは何を考えてんだろうなぁ。
洋子さんって?孫野手社長の娘さん。
そうなんや。
もうすぐ900万の支払期限なんだ。
倒産する前に土地を売って早く回収しないと。
もう少しやってくよ。
ほなお先に。
はい。
雨宮さん。
雨宮さん法律に詳しいよね?法律のことやったら誰にも負けへんよ。
恨みがあるさかい。
(権藤)小骨!いったい何のつもりや!わしを恐喝で告訴したんかい。
そ…そうです!
(権藤)被害者はわしや。
加害者のお前がどないしてわしを告訴すんねん。
わび入れるんやったら今のうちやぞ。
告訴取り下げんかい!
(雨宮)腕のケガ大したことないみたいやね。
誰や?あんた。
法律事務所の方から来た者です。
弁護士を雇ったんかい。
こいつは事故の弁償するいう念書書いたんや。
何で恐喝なりまんねん。
脅されて書いた念書に効力なんてあるわけないでしょ。
「損害は全て弁償します」って書いてあるけどこんなん責任の範囲も見当つかへんやない。
今どきヤクザでももっとましな念書書かせるで。
そこまで言うんやったらわしが脅しとる証拠あるんかい?
(操作音)
(権藤)おい小骨。
自分の立場忘れたんか?お前なんかなわしの一言で…。
いつの間に。
早う30万つくらんかい。
なめとったらあかんどこらぁ!それからこの請求書やけど…。
飼うてもない熱帯魚代を弁償しろってどういうことです?何いちゃもんつけとんねん。
ちゃんと飼育しとったがな。
ほなアジアアロワナの飼育温度は何度ですか?それは…。
お宅の水道や電気の使用量も調べさせてもらいましたから嘘は通用しませんよ。
小骨さん。
恐喝に詐欺未遂加えて今日中に告訴状提出しましょう。
近いうちに警察から呼び出しかかる思いますから。
待てや!・
(足音)2人に和解書書かした。
これでお互い貸し借りはないいうことにしたわ。
ご苦労さま。
ビールおごってもらわな。
ねっ灰原さん。
ホンマご迷惑お掛けしました。
はぁ〜これで一安心や。
小骨さん。
はい?まだ何か?僕が貸した50万。
返してもらいます。
あ〜そうやったそうやった。
灰原さんに借りてたお金あったんやなぁ。
今日のことはあなたがこれ以上借金を増やさないために力になっただけです。
でもあなたを信用できなくなりました。
あしたまでに全額返してもらいます。
(小骨)いやいや…そないなこと急に言われても無理ですよ。
それに…灰原さん。
返済はいつでもええって。
小骨さん残念。
返済期限を決めてない金銭貸借は貸主の都合のええときに一括請求できるんやで。
そんな…。
利子と手数料入れて55万。
あしたまでに。
あんなポンコツにはじゃぶじゃぶ貸したらええのに。
何で一括返済させんのや?もったいないわ灰原さん。
俺さ…。
人に金を貸して相手の生活をめちゃくちゃにすること…。
そんなことばっかりするのが俺の仕事なのかなぁっていつも考えちゃうんだよね。
まあまあ…甘いって言われるんだけど。
やっぱ甘いよなぁ。
君もそう思うでしょ?甘過ぎてアリ寄ってくるわ。
灰原さんもポンコツや。
フフッ。
そうだよなぁ。
利加子さんこそ金融屋に向いてるんじゃないのかな。
肝も据わってるし法律にもめちゃくちゃ詳しいし。
金融屋?うん。
取り立てもできんじゃないの?大っ嫌いや。
孫野手建設に貸した900万円の支払期限日が来た
土地の方は道を止められまだ売れていなかった
・
(取引業者)孫野手はん!いったいどういうことですんや!?どないしたんでしょう?
(桑田)まさか…。
(取引業者)こんなまねして信義に反しまっせ社長。
(取引業者)せやがな社長。
こんなことなる前にちゃんと説明してもらわな。
(取引業者)答えてくれや社長。
(取引業者)何とか言わんかい。
(大平)灰原さん。
会社を倒産させたんですね。
いやいやうちは倒産も破産もしてまへんで。
何を言ってるんですか。
社員もいなけりゃ備品もない。
誰が見たって夜逃げ状態じゃないですか。
ちゃいまっせ。
孫野手はんは会社を分裂させたんですわ。
何っつってんだよ。
おいおいちょっと待て。
分裂ってどういうこっちゃ?そうなんですわ。
わしのふがいなさに愛想を尽かした娘が…。
洋子さんが?社員引き連れて新しい会社立ち上げたんですわ。
何やて?
(大平)灰原さん。
何が何だか…。
営業譲渡したんですね。
資産と営業権は娘の洋子さんの会社に移して負債だけをこの会社に残した。
借金逃れに必殺技使うたな。
孫野手!
(取引業者)わしらにババかける気でっか社長。
(取引業者)あしたにでも破産する気やろ。
(大平)どないするんです?とにかくあいつらを追っ払わないと。
(桑田)そやな。
(取引業者)踏み倒されたらこっちまで資金ショートやがな。
(言い争う声)待ちなさ〜い。
待たんかい。
会社の中身はな娘の会社の方に移っとんねん。
こんな社長責めてもしょうがないがな。
行くんやったら娘の会社の方やがなぁ。
(一同)そうや!慌てるな。
(取引業者)邪魔や!慌てるな。
(桑田)ほならわしらも行こか。
ですね。
うまいこといったで洋子。
・すいません。
バッテリー上がっちゃったみたいで。
エンジンかかりませんわ。
(桑田)社長悪いけどこの車とつないでもらえまへんか?最近調子悪うて。
(孫野手)そりゃ難儀やなぁ。
《営業譲渡したとしても新しい会社の立ち上げには運転資金が必要だ。
どこから金を引っ張ったんだ?》《土壺金融?》
(エンジン音)
(大平)あっかかってもうた。
(桑田)何をしとんねやお前。
ハハハッ。
社長。
おおきにおおきに。
かかりましたかかりました。
洋子さんが新しくつくった会社だ
・
(ドアの開く音)
(洋子)今度は帝国さんか。
さっきからうるそうて仕事ならんわ。
洋子さん?営業譲渡とはようやってくれたのう。
うちは孫野手建設とは関係ない人間や。
孫野手の会社とは一切関係ない。
別会社です。
アホらしい。
親子で何茶番打っとんねん。
(洋子)親子?孫野手とですか?いいえ。
私ら親子やありまへん。
(桑田)眠たいこと言うとったらうたわすぞこんがき。
(洋子)孫野手とは分籍して親子の縁を切りましたんや。
今は他人です。
真っ赤っかの他人です。
うわっえげつな…。
灰原さん。
お父ちゃんから金取られへんやろ?ない者からは取られへんよね。
持たざる者は強しや。
《900万の回収の手がなくなった》
(桑田)わしら味方にしても大したことないけど敵に回したらどういうことになるかきっちり落とし前つけたるわ。
いやぁでもどうやって回収したら…。
ええか。
娘の会社が実質的には孫野手の会社っちゅうことを証明すんのや。
うーんそっか。
営業譲渡したってそんなの形にすぎないってことか。
証拠つかんだら債権者の利益を害する詐害行為っちゅうことで営業譲渡を取り消す訴えを起こすことができんねん。
分かった。
親子が一緒に暮らしてる証拠つかむんですね。
出入りがあったらきっちり写真撮っとくのやで。
はい。
ほな後は2人に任したで。
桑田さん?帰りますか?寒いねん。
体弱いからさっきから寒いねん。
そやんなぁ。
寒いなぁ。
じゃ頼むわ。
寒いねん。
ちょちょ…。
僕かて寒いですよ。
お前新人だべ。
ずるいですよ。
(桑田)分かった…ほなな3人で仲良うじゃんけんしよう。
(3人)じゃんけんほい!
(桑田)勝った勝った!子供か!
(桑田)土壺金融や。
こんばんは。
(土壺)何や帝国はんか。
(桑田)お宅らこのうちに何の用でんねん?そっちこそここで何してはりまんのや?まさか洋子の会社にお宅ら融資を?何で商売敵に手の内話さなあかんねん。
わしら孫野手追い込む立場ですねん。
そやったらわしらを敵に回すことになんで。
(神谷)帝国さん引きぃな。
(黒住)うちとケンカして勝ち目あると思うとるんか?そのとおり!おっしゃるとおりでんな。
ほな帰らせてもらいます。
行くで。
がきの使いか。
(神谷)あんたらの時代は終わったんやで。
ハハッ。
あんなこと言われて黙ってるんですか?土壺金融が娘の会社に金貸すのはうまみがあるからや。
そやから融資しようとしとんねん。
いやでも洋子さんの会社のどこにうまみが…。
さあそこやがな。
それを見つけんねや。
同業者いうたかて遠慮することないで。
何が何でも土壺を出し抜くのや。
(洋子)土壺さんのお力添えがなかったら…。
ホンマにありがとうございました。
うちがきっちりサポートしますわ。
ホンマにあの土地売らんでも済むんですね?お約束します。
土地の権利書をお預かりするのは一応の担保っちゅうことでしてまあ形だけですわ。
(洋子)土地の権利書と印鑑です。
(神谷)確かに。
では契約書にご記入を。
(神谷)ああ。
これも形式的なもんですわ。
洋子さん。
うちはあんたの会社の将来性に融資しますんや。
(黒住)600万です。
会社の運転資金にお使いください。
(神谷)利息は月3分の10回払い。
つまり78万の10回払いです。
よろしいですか?
(洋子)はい。
結構です。
(神谷)借金から逃げるために新しい会社つくってんのに早速借金やて。
(黒住)学習能力おまへんなぁ。
資金繰りにあくせくしてる中小企業はみんなそうや。
借金は麻薬みたいなもんなんや。
悪いと分かっとってもつい手が出てしもうてやがて依存せなおれんようになってまう。
(神谷)手ぇ出すのは簡単やけど縁を切るのは難しいですなぁ。
そやからわしら高いワインが飲めるんや。
孫野手への融資はごっついもうけなんで。
いらっしゃい。
すいません。
すいません。
ビールでええ?はい。
土壺金融と会ったんだね。
融資頼んだの?そうや。
土地の権利書預けて。
権利書渡したの?
(洋子)土壺さんは土地売らんでも済むって言うてくれはった。
何で渡したの?そんなの口約束にすぎないのに。
土地は売らないって契約書に書いてあった?
(洋子)よう読まんかったけど。
借りた金の利息は?月3%の10回。
78万の10回って言うてた。
そんなの金利のトリックだって!・
(店主)洋子ちゃん。
大きい声出さんとって。
よく聞いて。
月3%なのは最初の返済のときだけ。
元金は減ってるのに金利は下がらないんだ。
最後に返済するときは月30%の金利になってるんだ。
そないなこと言われたかて…。
返せるわけないだろ!何やってんだよ?いいかげん目覚ませよ。
土壺さんは見捨てんかった。
僕だって見捨てたわけじゃない!お客さん大声出すんやったら出てってや。
ハァ…。
小骨さん夫婦に貸した50万円の返済日
(小骨)お願いします。
もう少し待ってください。
奥さん。
教えたクレジットカードの現金化でつくれませんか?何や?それ。
限度額の30万全部使ってしもうて。
(小骨)何にや?お母ちゃんがパチンコで借金こさえて。
聞いとらんで典子。
お前俺に隠れて何しとんねん。
堪忍や。
(小骨)いったいわいらの借金なんぼになってもうたんや。
(桑田)ほう。
泣きついて来とんのやなぁ。
やるんやったら今しかない。
早いとこ片付けて全額回収や。
見とけ。
キャイーン言わしたる。
奥さん。
あんた旦那の連帯保証人や。
分かってんな?
(典子)はい。
小骨はん。
(小骨)はい。
あんたもう戻ってええで。
(小骨)はい?
(桑田)もう仕事に戻ってええっちゅうてんねん。
あんた保証人の立場で逃げたらあかんで。
はい。
(桑田)けどしんどい思いしてでも返済したらカワイイ子と幸せに暮らせるやないか。
そこんところよう考えんのや。
何でもします。
そやけど手に職もないし。
そやなぁ…まあ100万くらいやったら仕事ないこともないけどなぁ。
100万?
(桑田)ほしたら50万とあんたの30万それに旦那が他でつまんだ金かて返せるやないかい。
教えてください。
単刀直入に言うてAV関係の仕事や。
(典子)AVってアダルトビデオ…。
(桑田)そうや。
(典子)無理です。
結婚してるしとんでもない。
奥さん。
もう〜想像し過ぎや。
別に裸になるわけやなし男との絡みもない。
水着着てこないしてポーズ取るだけや。
灰原君。
こういうの何ていうたかな?イメージビデオですか?詳しいね灰原君。
好っきゃねぇ君も。
ああ…。
ホンマに水着だけですか?いやいや。
無理強いはせえへん。
嫌やったらやめて帰ってもええねん。
力ずくでやらせるわけにいかんしなぁ。
強要罪人身売買言われかねんしなぁ。
奥さん。
あとは自分自身で考えなはれ。
(典子)主人に内緒にしてくれますか?・
(ドアの開く音)
(泥沼)はい監督の泥沼です。
泥沼さん!?
(泥沼)灰原さん!?
昔カード地獄にはまったり取り込み詐欺をしたりして毎度借金をつくっては妙な仕事を始めて失敗ばかりしていた男
あの泥沼亀之助だ
わっわっ…。
何年ぶりですかね?灰原さん。
監督やってるんですか?そうなんです。
監督です。
僕芸術っていうか表現者っていうかそういうのに向いてたんですね。
そうですか。
そうですよそうですよ。
言うてたんこの人や。
(泥沼)うわっ奇麗な人ですねぇ。
わっ!わっスタイルもいいし。
熟女ものでいきましょう。
大ヒット間違いなし。
決定!はい。
ギャラの前金の30万円です。
(典子)これで借金を…。
この金はあんたが旦那に渡すんや。
えっ?あんたから直接もらうわけにはいかんのや。
借りた人から返してもらう。
これ会社の方針や。
(小骨)こんな金どこで借りたんや?友達に頭下げて借りた。
誰や?友達って。
(典子)幼なじみや。
あんたの知らん人。
(小骨)ホンマか?典子。
なあ嘘やろ?ホンマのこと言うてみ。
もうええやろ。
早うあの人に返しぃや。
ほな領収書書きますさかい。
あっ奥さん。
灰原君が呼んでまっせ。
典子さん。
これに着替えちゃってください。
今日は1本撮って日を改めて4本撮りますからね。
えっ?今日だけのとちゃうんですか?1本20万円の出演料で5本で100万円ですよ。
聞いとった話とちゃいます。
1回も5回も一緒一緒一緒一緒!はーい男優さんのしどちゃんです。
イェーイ!
(しど)よろしくお願いします。
(典子)イメージビデオって聞きました。
イメージは僕の頭の中にたっぷりありますから。
そしたらうち男と…。
(泥沼)バージンじゃないんだし仕事として割り切っちゃえばいいんですよ。
ねえしどちゃん。
(しど)そうそう。
どういうことですか?灰原さん。
灰原さん!僕はじゅうぶんあなたたちの力になりました。
もうこれ以上は…。
(元木)いらっしゃいませ。
(小骨)びっくりした。
(大平)あっいらっしゃいませ。
小骨さん。
どないしました?あの灰原さんは?
(典子)ちょっとやめてください。
(しど)ご主人さん。
今日…。
小骨さん…。
どうしてここに?女房おりまっか?本番中です。
お静かに。
小骨さん。
ちょっと外出ましょうか。
典子。
お前何やってんねん。
どういうつもりや?何?撮ってんだお前。
来い!
(泥沼)カットカット…!熟女ものがドキュメンタリーものになってる。
(小骨)帰るで。
早うせんかい。
さっさと帰るんや!
(泥沼)ちょっとちょっと灰原さん。
小骨さんちょっと待ってください。
(小骨)人の嫁さらしてまで金欲しいんか?ふざけるんやないでこの高利貸が。
お前なんか…お前なんか人やなか。
鬼や!何なん?あんた。
あんた50万返すために何か一つでも努力したん?自分では何も解決できへんくせにうちや灰原さん責める資格どこにあんねんな!うちあんたの代わりに体張ったんやで。
うちはあんたとちゃう。
降り掛かった火の粉は自分の手で振り払うわ。
満夫泣きやまして。
撮影ならんわ。
お〜…。
エロい気持ちが盛り上がってきたところで本番スタート。
(満夫の泣き声)小骨さんが会社を辞めるそうです。
退職金と奥さんのギャラで全額返済してもらいます。
今月中には全額回収できるなぁ。
はい。
あのな日本っちゅう国はな警察にさえ見つからなんだら何やったって構へん国やねん。
ニュースかてそない言うてるやろ。
ご苦労さん。
(金子)《わしらの仕事焼き畑農業みたいなもんや》
(金子)《山を焼き払うて収穫を上げ収穫がなくなると次の山に移ってその山を焼き払う。
その繰り返しや》《お前自分の道を探してんのやな》《はい》《金融屋の道を突き詰める覚悟やったら痩せた畑を何や大切そうに耕すようなことわしはようやらん》《温情だけではやっていけん》《冷酷になれってことですか?》
(金子)《薄っぺらなメンツは捨てろというこっちゃ》《わしら金貸しや》《金貸しにメンツなんかいるかい》《メンツみたいなもんは筋の者に任せといたらええねや》《わしら恨まれて嫌われて呪われんのが宿命や。
ん?》ちょっと出ますね。
(桑田)うん。
(元木)おう灰原。
東京から来た赤松金融の白石さんや。
(白石)新米ですがよろしくお願いします。
こんにちは。
(元木)こちらへどうぞ。
昨日はごめんね。
洋子さん。
好きやったんよ。
死んだお母ちゃんも。
お父ちゃんが会社始めたころなかなか軌道乗らんかった。
出前のラーメン2個取って3人で分けて食べた。
うちがぎょうさん食べるもんやさかいお母ちゃんお箸付けへんかった。
「みんな食べてええよ」って。
お母ちゃんひもじかったやろなぁ。
何でやろう…。
ハァ…うまいこといかんわ。
何もかもが。
店に出る時間や。
いいよ。
うん。
おおきに。
初めてあんたと会うたとき悪い人やないって分かった。
この人やったらって。
あのときお金貸してくれとったら。
ハァ…もう後戻りはできへんのやね。
あの土地は売らせないから。
(雨宮)やっとビールおごってもらえたわ。
あんときの働き考えたら10杯は頼まんとなぁ。
(大平)いただきます。
何であんたがいてんの?
(大平)お肉なんか久しぶりや。
灰原さん。
ごちなります。
どないしたんです?孫野手建設のことでちょっと困っててな。
桑田さんに聞いた。
相手は土壺って金融屋なんやて?まあどうしたらいいのか。
あの土地は洋子さんにとって思い出の場所なんだよな。
何で土壺は俺らと対立してまで洋子さんのことをバックアップするのか。
洋子さんは土壺のことを信じ切っちゃってんだよなぁ。
(大平)もう「洋子さん洋子さん」って。
あっ焦げてまう。
あっごめん。
俺ラーメン食ってきちゃったんだ。
(雨宮・大平)えっ?まさかの洋子さんと?
(雨宮)私残念。
初めてご飯誘ったのに。
そうですよ。
あっ雨宮さんて先輩がタイプらしいですよ。
痛っ。
灰原さんはどないなんです?雨宮さんのこと。
(大平)痛ぇ!ねえ向こうの狙いは会社やのうてあの土地なんとちゃう?うん。
あの土地にはうちの一番抵当権が付いてるんだ。
所有権が洋子さんに移ろうが土壺が二番抵当打とうが一番の権利者はうちなんだよな。
そっか…。
俺らを差し置いて金もうけなんかできるわけがない。
(大平)何かうちに対抗する秘策あるんかな?秘策?土壺か…。
・
(雨宮)うちにも飲ませてぇな。
(黒住)ほう。
この店の子にしてはべっぴんやな。
座れ座れ。
(神谷)ここ座りぃな。
(雨宮)お邪魔します。
(女性)うっとこの子やないで。
(黒住)はあ?ほなお前誰や?帝国金融の雨宮いう者や。
(黒住)帝国金融や?教えてぇな。
(土壺)何をや?あれやて。
孫野手の土地。
うちが一番抵当権持ってるの知っとるやろ?やのにどないして手に入れようとしとるん?土地は女とちゃう。
社長さんみたいな男前かて横取りはできひんのやで。
(神谷)ハハハ。
おい何や?その一番抵当権っちゅうんは。
知ってるくせに。
一番の権利があるいうことや。
他の者は手ぇ出せへんのや。
ほなこういうことか。
アケミの一番抵当がこいつで二番が俺やったら俺はアケミには手を出せんっちゅうわけか?そういうこっちゃ。
何やよう分からんけど手は出せるで。
(アケミ)や〜ん。
帝国から横取りする方法あんで。
教えてぇな。
せやなぁ。
タダでは教えられんな。
何したらええの?そやなぁ。
何でも。
セーラー服に着替えてこいや。
(一同)ハハハ。
社長さんそういう趣味なんやね。
(土壺)あんときのお前をもっかい見たいんや。
覚えてたん?《貸した金返さんかい》《娘ソープに売り飛ばしてもいいんやで》覚えてんで。
かわいかったのう。
うちの家族めちゃめちゃにしようて。
俺を捜すために金融屋入ったんか?そうや。
お前絶対に許さへん。
お父ちゃんとお母ちゃんを…。
地獄にたたき落としたる。
(神谷)おい!ちょっと待て!おい!おい!ちょっと待ておい。
危ないから。
離せ。
おいおい離せ。
ほらほら。
金貸しは恨まれてなんぼや。
(黒住)おい!おらぁ!
(神谷)ホンマ怖い女やなぁ。
おい忘れ物やで。
ほら。
ほい。
ほなさいなら。
(大平)雨宮さん。
あれ?どないしたんです?雨宮さんにそんなことがあったのか。
(大平)ええ。
相手は土壺やそうです。
だから法律にも詳しくなったってことだな。
ここで働く前はキャバクラにおったみたいで。
(桑田)あれで結構エロい女やからなぁ。
何言ってるんですか?何や?その言い方。
ああさてはお前おもてなし受けたな?利加子ちゃんに。
おもてなし。
ちょっと古いんですよ。
ヘヘッ。
なら「ダメよ〜ダメダメ」は?おはようございます。
おはようございます。
おはようございます。
どうも。
速達書留です。
サインお願いします。
はい。
(局員)じゃこちら。
どうも。
(雨宮)土壺金融?灰原さん。
内容証明が向こうに届くんは今日やな。
これで帝国も泣き入んで。
過払い金?過払い金やて?雨宮さんちょっと計算してみて。
はい。
孫野手建設に貸してる金の残高から利息制限法を超えて払われた金利の額を引くんだ。
孫野手に対する抵当権が成立するんは債権の存在が前提や。
債権額が900万って言うとるけど。
前は年29%っていうバカ高い金利で貸してたからもしかして今の15%で計算してみると…。
過払い金の分引いたら以前に返済した分で支払い済みいうことになる。
ほら。
俺ら900万どころか1円も貸してないことになってるんだ。
んなアホな。
あいつらの債権は存在せんようになる。
抵当権は消滅っちゅうこっちゃ。
やっぱり。
土壺金融が土地に二番抵当権を打ってますね。
わしらの抵当権が外れたら自動的に土壺が一番手に繰り上がる。
そうなったら土地の権利は独占されますよ。
過払い金か…気付かなかった。
僕らの負けですね。
いやまだや。
こんだけ土壺が絵を描いてるっちゅうことはわしらが考えてる以上に孫野手の土地が大化けするいうことや。
何かの計画があって土地が高騰すんのとちゃうか。
そうか。
ああそれから灰原。
洋子がうちに借金返さんでもええ話やけどな。
あっすぐ伝えます。
きっと安心すると思うんで。
言わんでええ。
何でですか?過払いのこと黙っとったら900万もうかるやろ。
だますんですか?洋子さんのこと。
もしもし灰原です。
おい。
孫野手が不渡り出したで。
(取引業者)開けんかいこらぁ!
(取引業者)初めっから俺らを泣かす腹やったんや!
(取引業者)中におんのは分かっとんのや!
(取引業者)せや!強行突破や!
(取引業者)せーの!
(ドアを開ける音)
(取引業者)お前ら何者や!?
(取引業者)何しとんのや!?
(土壺)ここを管理しとる土壺金融や。
(取引業者)何やと!?金融屋が占拠しとんのかいな!孫野手社長は夜逃げしとるさかい銭は取れへんで。
夜逃げやと!?
(土壺)お宅ら万事休すでんな。
社長はどこだ?さあな。
お前ら娘知らんか?
(神谷)いらんこと言うな。
おらんようになったんか?フフフ。
知らんがな。
帝国さんあしたうちに来いや。
けりつけたる。
あしたの朝10時や。
ええな?洋子さんは?
(桑田)社長は?社長はどこや?朝から連絡つかへんのです。
灰原。
(桑田)孫野手のガラ土壺が押さえとるに決まっとる。
洋子や。
娘の洋子捜すんや。
いやでもどこに…。
勘を働かせんねや。
こういうときは動物的勘や。
長嶋的勘や。
う〜ん…。
そうですねぇ。
何すんねん首痛ぁ。
(桑田)くっ首〜!もげてしまうがな〜!
(神谷)はい注目。
(取引業者)あ〜!
(神谷)うちがお宅らの債権を額面の2割で買い取ってもええんですがね。
(黒住)社長娘と連絡取れまへん。
早う捜せ。
帝国が動いとるかもしれん。
(黒住)はい。
やっぱりここだ。
(桑田)はぁ〜愛の力やねぇ。
捜したよ。
(洋子)まだ何か用?
(桑田)ちょっと話おまんねん。
助かりましたなぁ。
あんた土壺金融に何されるか分からんとこでしたんやで。
出たらあかん。
土壺かもしれん。
せやけど…。
だまされてますねや。
あいつらあんたらの土地をだまし取ろうとしてますねや。
お母ちゃんとの思い出の土地を。
まさか…。
わしもまあ同業者の悪口言いとうないけどあいつらのやり口はえげつない。
なあ?灰原君。
金貸すでしょ。
返せんようなったら娘をソープに売り飛ばしたりどこぞの工場のおっさんなんか借金のカタに北極で猛吹雪の中強制労働させられたり。
ホホホホ怖っ。
《よく言うよあることないこと》あいつらの最近の悪行の手口教えまひょか?幸せそうな夫婦がいました。
子供はまだ乳飲み子ですわ。
あいつらまず夫に金貸します。
奥さんを保証人にして。
夫が金を返せんと見りゃ奥さんをアダルトビデオに出演させたんですわ。
これこそげすの極み。
鬼の所業や。
《それあんたがしたことだ》
(桑田)あっこれが奥さんや。
《買ったのかよ〜!》あいつら人間のくずや。
金貸しとしての品格っちゅうもんがない。
信じられへん。
ほな言葉だけでは信用できんっちゅうなら実際のとこ見てみますか?灰原君。
あんたなぁ。
旦那の借金のためにこんなことやらされてなぁ。
(泥沼)次のシーンお願いします。
典子さん。
あ〜灰原さん。
何で知ってるんです?
(桑田)あっいやいやいや…。
あいつらのやり方があんまりやさかい。
助け出そうとして何回か。
ほら…。
じゃ典子さん行きましょ。
(桑田)ほら見てみてみぃ。
土壺なんかと付き合うてたらあんたもこんな目に遭わされんねやで。
(桑田)あの人の旦那や。
土壺はあんたのお父さんにもおんなじようなことさせるつもりや。
父ちゃん…。
(桑田)年取ってあれはきついで。
何や。
まだ信用でけへんのかいな。
こら雨宮君や。
昔土壺からひどい目に遭わされたんやなぁ。
そやろ?洋子さん。
(洋子)はい。
奇麗な人やね灰原さん。
土壺にどんな目に遭わされたんや?うっとこは両親がコンビニ経営してたんや。
私が高校に上がったときお父ちゃんが脱サラしてな。
銀行に借りた開店資金では足らんて土壺に500万借りたんや。
せやけど返せんようなったらお父ちゃんとお母ちゃん追い込んで今どこにおるかも分からん。
私も17からキャバクラで働かされた。
コンビニがうまくいかんようになったのは何でやと思う?バイトがお金持ち逃げしたんや。
土壺が雇った人間やった。
はめられたんや。
(桑田)つらかったねぇ雨宮君。
うちのすることもあんま変わらんけど。
それは言わんでええよ。
あんた土壺にだまされとるんよ。
向こうは血も涙もない悪魔やけどここはまだまし。
信じてもええんちゃうかな。
(桑田)それであんた土壺から600万つまんどるな。
ええ。
それあしたにでも返済できるか?
(洋子)あしたまで?1日でも早く縁を切った方がいい。
(雨宮)そのうち骨の髄までしゃぶられるで。
お金をすぐには…。
会社の立ち上げや社員の給料で600万の半分は使うてしもうて。
300万貸せやと?
(元木)どういうこっちゃ?洋子さんと土壺の手を切るためにはあと300万必要なんです。
洋子が土地売ったら済むこっちゃ。
売れたらうちにも土壺にも金が入る。
それでええやないか。
土地を売らないで解決したいんです。
何眠たいこと言うてんねん。
土地は売らないと約束したんです。
何年かかっても返させますから。
おい灰原。
はい。
そんなかったるい追い込みやってどないするんや。
人を泣かせることが僕らの仕事なんでしょうか?何やと?あの土地を売ったらあの親子には何もなくなります。
他に返済の道があるならば…。
(元木)何やお前偉そうに!社長に謝らんかいこらぁ!お前の考えでやってええ。
社長甘やかしたらあきまへんで!
(高山)金は貸さん。
洋子の土地守りたいんやったらそうしたらええ。
ただし一筆書けや。
お前が洋子の連帯保証人になれ。
えっ連帯保証人に?当然やろ。
お前の判断であの土地を売らんと残すんや。
せやったらそれなりのもの背負ってもらわんとな。
(元木)もしうちに900万返せへんかったらお前が一生かかって返すんやで。
分かりました。
(桑田)どや?借りられたんか?駄目でした。
(桑田)そらそやろなぁ。
でもね洋子さん。
土地は売らなくて済むよ。
ホンマですか?それは?その代わり僕が連帯保証人に。
えっ?お前が洋子さんの保証人になったんかい。
何してんの!?灰原さんそんなことまでは…。
まあまあ。
大丈夫だから。
いや…。
(雨宮)でもどないしてあしたまでに300万つくんの?
(桑田)うん…。
空手形しかないやろ。
そや洋子さん懇意にしてもろうてる知り合いに融通手形切ってもろうて工面したら?それしかない。
知り合いの会社に空手形を切ってもらって銀行に割り引いてもらうんだ。
そしたら現金をつくれる。
そんなんでお金つくれんの?誰でもいいから頼もう。
時間がない。
行こう。
はい。
私の家族もあんとき灰原さんがおったら…。
融通手形切れ?
(洋子)お願いします社長。
どうかお願いします。
(社長)空手形なんぞ今どき怖ぁて切れるかい。
帰れ帰れ。
それも承知でお願いできますでしょうか?社長。
(社長)何やねんあんた。
お願いいたします。
お願いします。
お願いします。
(洋子)このとおりです!
(社長)こないなとこまで来て無茶言うたらあかんわ。
すいません。
失礼はおわびします。
ですが社長。
洋子さんを何とか助けていただけないでしょうか。
(社長)すまんけど今回は役に立たれへんわ。
あっ…。
(洋子)まだ当てはある。
・
(ドアの開く音)灰原さん?おはようさん。
聞こか。
灰原と桑田どんな作戦立てたんや?こんにちは。
(黒住)お待ちしておりました。
どうも。
今日もええ天気ですな社長。
1月やいうのにぽかぽかしてこら何ですかね?社長。
春と冬が競争して春の方が先越しよったんか…。
ほらほらおっさんこっち。
ほらほら。
お〜怖っ。
(土壺)あの土地から下りてもらいましょか帝国さん。
エスプレッソ?そやそやその話で来ましたんやがな。
過払いの件裁判なったらお宅らに勝ち目はあれへん。
一番抵当は消滅やさかい。
二番抵当のうちのもんや。
それでよろしいな?しょうがおまへん。
わしらの負けや。
念書書けや。
「帝国金融はあの土地に一切手ぇ出さん」って。
念書でっか?裁判しまへんの?あの土地早う売りたいんでっか?もしかして買い手ともう話が…。
(黒住)早う書けや!
(桑田)書きまんがな。
書きまんがな。
わしらの負けを認めてんねや。
せやから最後にちょっとだけよろしいがな。
あそこの土地そないに値打ちがおまんのか?まあ終わったことや。
あそこはな国のエネルギー政策の開発計画に引っ掛かってんのや。
言えるんはそれだけや。
(せきばらい)・
(ドアの開く音)桑田さん。
(神谷)何や?彼女が借りた金を全て返済するとおっしゃっております。
(神谷)何やて?金は用意しました。
全額返済ですか?こんな早うお返しになるとは何ぞ不都合なことでも?さよか。
確かめぇ。
(神谷)はい。
おい。
ようやったな。
(黒住)確かに。
領収書や。
持っていけ。
領収書だけじゃないだろう。
土地の権利書を返しなさい。
金はきっちり返したんだ。
そっちが土地に付けた二番抵当権を外しますから。
それは無理でんな。
うん?
(土壺)この600万はそれとは違うがな。
これはお父さんが不渡りにした手形の分や。
(神谷)昨日の忙しいときにうちが業者から買い取ったんや。
つまり今のはお父さんの不渡り分を清算してもろうただけや。
お嬢さんまだ600万の借金は残ったままやで。
(洋子)えっ?ちょっと待って。
何言ってんだよえっ?今払ったのは洋子さんが借りた600万の分だ。
何で孫野手建設の不渡りの分まで払わなきゃならないんだ!父の不渡りの分は私には関係ないです。
お前らめちゃくちゃやないかい。
法律知っとんのかい!?こらぁ!出るとこ出てもええねんぞこらぁ!
(神谷)だいたいお前ら何や?この小娘と関係ないやろうが!アホみたいに出てきやがって。
ホンマや。
うっとうしい。
(桑田)ハハ。
関係ないことないで。
これはなこの人と最初に会うたときに交わした契約書や。
ここにな「債務財産の全てを一任する」と書いてあんねん。
わしらこそ洋子さんのまっとうな代理人や。
土地の権利書だ。
さあ。
ほう。
契約書か。
契約書ねぇ…。
契約書は絶対や。
ああそうだ。
ほなうちのも見てもらおか。
(土壺)その小娘と交わした金銭消費貸借契約書や。
サインしたな?はい。
よう読んでみ。
あんたは自分の債務の他に孫野手建設の債務を連帯保証するとそう書いてある。
灰原。
駄目だ。
書いてあります。
せやけどこれ言われるままにサインしただけや。
そんなことまで書いてあるやなんて…。
灰原さん私だまされたんや。
何人聞きの悪いこと言うてんのや。
契約書をよう吟味せんかったお前が悪いんや。
それにはもう一つ条項がうとうてある。
一括返済の義務が生じるケースとして債務者が著しく信用なくした場合いうんがな。
あるな?灰原さん。
うちに難癖つけるような客は信用でけへん。
お前が借りた600万もこの場で返してもらおうか。
今ここでや。
最高裁の裁判長かて正しい言いまっせ。
どうせ慌てて金かき集めたんやろ?もう1銭もないやろ?払えんのやったら代物弁済であの土地渡せ。
ほな。
(黒住)念書書けや。
(桑田)ハァー。
もうあかんか。
(土壺)土地はわしらのもんや。
僕が返す!
(土壺)お前は金借りてないやろ。
黙っとけ。
借りてるんだ。
あっ?僕は洋子さんの連帯保証人なんだ。
そうだよね?洋子さん。
だから僕が返す。
おう。
それやったら返せ。
今ここで払えや。
600万あるんか?早う出せや。
(土壺)返せるもんなら返してみぃ!おう?口先だけのがきが。
(高山)ごきげんさん。
社長。
(神谷)うん?何の用や?いやいやいや…。
銀行開いたばっかりで混んでるもんやさかい難儀したわ。
灰原君。
君の貯金下ろしてきたで。
君のなけなしの金。
(雨宮)600万や。
社長。
お返しいたします。
聞こえてないのか?返すって言ってるんだよ。
ほう。
受け取らないのか?雨宮さん写真を。
(雨宮)土壺さん残念。
(シャッター音)
(雨宮)返済するいうのに拒否するんはあかんことなんよ。
(雨宮)この写真証拠にして法務局に弁済供託の手続きするわ。
そうなったら洋子さんの債務は消滅しますね。
(桑田)社長。
最高裁の裁判長かて正しい言いまっせ。
土地の権利書を渡してください。
お前アホなんか!?何で他人のために己の身切ろうとするんや。
こんな金貸し初めてや。
黒住。
(桑田)ホンマええところに来てくれましたわ。
灰原が金つくれんかったら一巻の終わりやからな。
もしつくれたとしてもあいつらのことや何言い出すか分からん。
これで土地の方もわしらの方に戻りました。
社長どうして金用意してくれたんですか?金貸しの意地や。
土壺になめられて黙ってられるか。
それにあの土地は化けるんやろ?桑田。
ええ。
やっぱりそういうことでした。
(高山)灰原ええな?あの金はお前に貸したんやぞ。
今日から洋子きっちり囲い込んで600万返してもらうんやで。
それとうちが貸したことになってる900万もや。
(桑田)洋子はまだ過払い金のこと知りまへんねん。
それも一緒に返してもろたらごっつもうけになりまっせ。
桑田さん。
気付かん本人が悪いねん。
600万と900万合わせて1,500万きっちり追い込むのやで灰原。
忘れるなわしらの仕事は金貸しや。
(洋子)ありがとう。
(洋子)灰原さんを信じてよかった。
実はね洋子さん。
うちが貸したことになってる900万のことなんだけど…。
利息の過払いで返してもらう必要がなくなったんだ。
あとはけさ貸した600万だけだよ。
いつかおうち建てることができたらいいね。
俺も見てみたいなぁ海に降る雪。
これ以上甘えるわけにはいかへん。
ここ売ってください。
借りたお金お返しします。
いやでも…。
もうお母ちゃんはいてないんや。
(孫野手)洋子に言われました。
いつまでも思い出に浸っとったらあかん。
一からやり直そうって。
お金って化け物やね。
最初は優しゅう輝いてんのに。
手ぇ触れた途端姿を変える。
人をのみ込む怪物になる。
きっとお金って使う人を見てんだろうね。
そうやねぇ。
お金の恐ろしさがよう分かったわ。
これからはこっちがその恐ろしさ利用したる。
いつか大もうけしてここ買い戻してみせる。
灰原さん今度会うときは…。
私にだまされんようにしてな。
うん。
気を付けるよ。
ほなさいなら。
(洋子)帰ろか。
もしもし。
おい水増不動産が飛んだ。
これから追い込みかけんど。
ハハハ。
ごっついもうけになんで!分かりました。
すぐ行きます。
ほないってきます。
いってらっしゃい。
2016/01/23(土) 15:05〜17:20
関西テレビ1
新・ナニワ金融道[再][字][多]【借りた金は返さんかい!ナニワ金融道が復活/中居正広ほか】
あのナニワ金融道が復活!借金まみれの女たちが続々登場!借りた金は返さんかい!過払い金もテーマに!予測不能の大逆転劇!
詳細情報
番組内容
灰原達之(中居正広)が金融会社、帝国金融で働き始めて15年が過ぎた。5年前には金子高利社長(緒形拳)が亡くなり、今は高山和夫(綿引勝彦)が帝国金融の後を任されている。灰原は日々、先輩の桑田澄男(小林薫)と共に借金取り立てに回っていた。
債権の回収について法律が変わり、金融業者に対する規制も強くなり多くの金融業者も倒産、廃業した。その際、宙に浮いた債権を帝国金融がタダ同然で買い取っていた。
番組内容2
買い取ったひとつ、孫野手建設の借金の取り立てに行くため、ある日桑田と灰原は孫野手建設社長、孫野手建造(斎藤洋介)のもとを訪れていた。借用書だけでなく担保提供された土地の抵当権も帝国のものとしていた。土地を売れば借金もすぐに返せると迫る2人に対し、社長だけでなく娘の洋子(蓮佛美沙子)もあの土地だけは渡せないと言い張る。親子にとってその土地は亡き妻、母との思い出の場所だったのだ。1週間後までに借金を
番組内容3
払うと約束するも孫野手親子には返せる手だてはなかった。窮地に立たされた洋子の目に「土壺金融」の広告が目にとまり洋子は土壺金融の門をくぐってしまう。社長の土壺京一(ユースケ・サンタマリア)率いる土壺金融は洋子に借金を解決するための裏の手を吹き込む。土壺金融のやり口は帝国金融の行く手を阻むだけでなく、結局は洋子をさらに崖っぷちまで追い込むものだった…。土壺がとった手とは!?
出演者
灰原達之: 中居正広
孫野手洋子: 蓮佛美沙子
高山和夫: 綿引勝彦
元木清: 六角精児
雨宮利加子: 桜庭ななみ
大平隼人: 菊池風磨(Sexy Zone)
泥沼亀之助: 梶原善
小骨典子(小骨正一の妻): 小池栄子
孫野手建造(孫野手建設社長): 斎藤洋介
小骨正一(チクリ商事・社員): 小松利昌
権藤二郎(スーパー「ヤスイデ」店長): 皆川猿時
出演者2
敏江(小骨典子の母): 鷲尾真知子
土壺京一(土壺金融・社長): ユースケ・サンタマリア
桑田澄男: 小林薫
スタッフ
【原作】
青木雄二プロダクション
【脚本】
君塚良一
【プロデュース】
後藤博幸
【演出・プロデュース】
河毛俊作
【音楽】
鴨宮諒
【主題歌】
『借金大王』 ウルフルズ
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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