LIFE〜夢のカタチ〜/「若き漁師が琵琶湖の味の伝道師に!」語り佐々木蔵之介 2016.01.23


日本最大の湖・琵琶湖
ここで育まれる魚介は100種類以上
でも淡水魚っておいしくない
そう思っていませんか?
こいつにはこいつの美味しさがあって食べたら普通に美味しいんですよ
そのすばらしさを多くの人に伝えるため奮闘する若き漁師
琵琶湖で漁業を営みながら地道な活動を繰り広げ淡水魚のイメージを覆そうとしています
今回は琵琶湖の未来を担う若き漁師の夢のカタチ
滋賀県の面積のおよそ6分の1を占めるという雄大な琵琶湖
その起源はさかのぼることおよそ600万年前
世界で3番目に古いといわれるこの湖には100種類を超える生き物が生息
ここにしかいない固有種は50種類も確認されています
悠久の歴史の中で独自の生態系を築いてきたのです
そんな琵琶湖で漁業が始まったのは1万年も前のこと
川からの雪解け水が流れ込む冬から春にかけて氷魚と呼ばれる氷のように透き通った生まれたての小アユ
そして固有種のイサザやスジエビ脂の乗ったコイやフナなど琵琶湖ならではの魚介類がたくさん水揚げされます
こうした湖の恵みから生み出されたのが二ゴロブナで作るご当地名産のフナずし
さらに鯉の煮つけや汁物豊富にとれる小魚はしょうゆやさんしょで甘辛く煮込んで佃煮にするなど趣向を凝らした郷土料理が今に伝えられています
ところが近年外来魚が急増
同時に若い世代が淡水魚を食べなくなり地元でもその味を知る人が少なくなっているといいます
高島市で漁業を営む中村清作さん
歴史ある琵琶湖の食文化を守ろうとする若手漁師の1人です
琵琶湖には琵琶湖にしかいない魚がたくさんいたり長い長い歴史の中でできてきた生態系がここにはあってその魚がまたおいしい僕は自信持って琵琶湖の魚はほんとにおいしいのでってあちこち言いに行ってるけど琵琶湖に漁師がいるというだけで「へぇ〜!」って驚かれたり
今やピーク時の5分の1にまで減ってしまった琵琶湖の漁師
次世代を担う清作さんのような存在はとても貴重です
食文化の変化により今や地元でも珍しくなってしまった淡水魚の専門店
琵琶湖の漁業を盛り上げて漁師減少を食い止めようと頑張る清作さんに期待を寄せています
(スタッフ)漁師さんいないとこのお仕事続かない…そうやで
清作さんの主な漁法は刺し網漁
魚がいそうな所に網を仕掛けかかったものを捕獲していきます
から揚げにしたら…天ぷらでもいいですよめちゃくちゃおいしいです「淡水魚やろ?」って言われるんですけど淡水魚やったらなんであかんのかなって僕はここの魚をもっとちゃんと理解してほしいやっぱ1回食べてもらったら絶対印象変わると思う食べてもらっておいしかったら「なっおいしいやろ?」それだけでいいんですよ
「琵琶湖の魚なんて」そんな固定概念を持っている人にこそ食べてみてほしいというのがこのナマズです
めちゃくちゃおいしいです
日本でとれる在来種のナマズは3種類
そのうち2種類は実は琵琶湖にしか生息していません
特に甘みが強いといわれるイワトコナマズはまさに琵琶湖ならではの味覚です
こんなおいしい魚あるけどどうですかってインターネットに上げてほんでちょっとやってみるわみたいなお店が徐々に徐々に増えてようやく今何軒か連絡したら買ってくれはるみたいな
水揚げした魚は鮮度が落ちないよう生けすに入れ注文が入るとみずから配達します
この日やって来たのは滋賀県近江八幡市にあるひさご寿し
地元の食材にこだわる老舗の和食料理店です
こんにちは〜大将いはります?はいあっすんませんイワトコ持ってきました
数年前に清作さんのイワトコナマズを仕入れて以来常に水揚げ情報をチェックしているというこちらの料理長
いいものはいち早く買い取る目利きの達人です
Facebookとかでこんなんとれたというのを見るとあっそれ欲しい!ちょうだいちょうだいってなって頑張ってるっていうのやっぱり知ってるからそういう人僕らも応援したい…僕らは仲介者になるわけですけども最後食べてもらえる人にとってきた彼の思いが伝わるように自分らも思いを込めなあかんなとは思いますね
ひさご寿しではイワトコナマズの多彩なおいしさを味わってもらうため握りずしにしたり皮付きの身を近江八幡の郷土料理「じゅんじゅん」と呼ばれるすき焼き風の鍋に入れたりさまざまなメニューで提供しています
うれしいですよこういうお店がないと絶対琵琶湖の文化って守れへんしすごい大事な場所やと思います
そんな清作さんの熱い思いと良質な魚の評判が口コミで広がり最近は地元だけでなく他府県からも注文が入るようになりました
あ〜すいませんイワトコと…銀ブナ2匹やいうてはったんですけどちょっと小っちゃかったんで3つにしました分かりました
大阪・心斎橋にある鮮魚料理の名店・うろこ屋
ご主人は清作さんのイワトコナマズを食べて以来琵琶湖の魚の大ファン
こちらではナマズやフナが届けられるとメジャー級のブランド魚を押しのけその日の一押しメニューのトップを飾ります
自分がとってる魚にものすごい自信を持って僕と会話してくれたんでいち魚が好きな人間として彼のとった魚が食べたいって思ったのが最初のきっかけです淡水魚なのであっさりしてるもんだとばっかり思ってたらイメージとは違いましたね味が濃いですしうまみもあってすごくいいですびっくりしてますとにかくお客さまがひと切れたりとも残さないように作りたくなりますね
(中村)あぁ分かっててくれるんやとそれはうれしかったですメニュー見た時琵琶湖の魚のことをちゃんと評価してくれる人があちこちいててくれたらその周りにも絶対波及するしさっきも言っててくれはったけど僕自信ない時季にはとってきても売らないんですよほんまにおいしい自信あるっていう時にしか出したくなくてそれが必要なんかなでできるなら自分で持っていって1匹・2匹かもしれないけど出したい
琵琶湖の魅力を多くの人に伝えたい
地道に活動を続ける清作さんの姿は地元・滋賀県の教育現場からも注目を集めここ数年食育の授業を依頼される機会が増えました
(中村)学校の給食でしたか?ちゃう
(中村)おっ家で食べたんやすごいなぁこれ今とれてるアユ・えぇ〜いっぱいアユでもこの小っちゃい時何ていうか知ってますか?あっ違うなぁ違う名前があるんや氷みたいに見えるから…
(中村)はい正解氷魚もうちょっと大っきくなったらねアユを夜中にとってます50種類ぐらいの魚がいるんですがその中でぶっちぎりでアユがたくさん琵琶湖の中でとれてますぶっちぎりですあの〜漁師さんされてる方に聞くことによって子どもたちの学びがもっと深まるかなと思って依頼させて頂きました滋賀県に住む1人として郷土を大切にする心というかね気持ちを大切にしてほしいなと思います
言葉で伝えるより実際に体験してもらうのが一番
今回は伝統的なアユの佃煮作りをやってもらうことに
琵琶湖の魚がおいしいというだけでなく調理する楽しさも知ってもらいたいと清作さんは言います
すごいきれいに炊けたやんほら頭落ちてないし
初めて自分たちで作ったアユの佃煮
その出来栄えに子どもたちの反応は…
(中村)子どもはね難しいこと言っても分からないんですけど「琵琶湖にも漁師がいるんだよ魚がいるんだよ」「へぇ〜!」それでいいと思うんですよ触れた形だったり触感あんなんはやっぱなかなか忘れへんもんやと思うし今後につながるきっかけになるんじゃないかなと思ってます
滋賀県高島市で代々漁業を営む家庭に育った清作さん
二十歳の時父の姿に憧れて漁師になることを決意しました
おやじが夕暮れに帰ってくる船で帰ってくる姿がなんかあぁかっこええな…
父・重樹さんは今も現役漁師
母・弘恵さんと共に船に乗り琵琶湖の漁業を支えています
(中村)この世界に入って色んな漁師さんと出会わせてもうてすごい人ばっかりでその中にやっぱりおやじもおってやっぱ尊敬に値することやと思いますね
同じ道を志す息子に対して漁師の先輩である両親は…
まだまだですからね駆け出しでねもうやりたいことさえやればそれでいいと思ううんなんとかなると…漁師は攻めの一手やからねあくまでも攻めの一手前に出てくのが仕事やから守りの仕事じゃないから
結婚して現在は2人の娘を持つ父親でもある清作さん
おかえり〜ただいまいい子にしてた?
漁師として働く父の姿を家族はどう見ているのでしょうか
尊敬しますね海の人から見たら小さい琵琶湖ですけど夢は大っきく持ってもらって頑張ってもらいたいなと思います
(中村)大先輩方にはまだまだかないませんけど30やったらもう中堅ですからね俺に任しとけって言えるぐらいじゃないとあかんのにまだまだひよっこですからこれからですよ
先輩たちが代々守り継いできた琵琶湖の漁業を未来につなぐために
10年の節目を迎えた去年清作さんは新たな漁へのチャレンジを始めました
何十キロものおもりが付いたジョレンと呼ばれる道具で湖の底をかいてとるのは冬場に旬を迎える瀬田シジミ
大きいでしょ?瀬田シジミの特徴なんですよ分厚いのがほかのシジミと違ってちょっとふっくらしてて縦長やっぱ寒くなってくるとおいしいんです
琵琶湖水系にしか生息しない固有種である瀬田シジミは殻が厚く光沢があり肉厚で身が引き締まっているのが特徴
かつては年間6000トンもの漁獲量を誇っていましたが環境の変化と漁師の減少により100分の1ほどに激減
今や幻と呼ばれるほど貴重なものになってしまいました
この秋に引退したベテラン漁師から歴史ある船を譲り受けシジミ漁の未来を託された清作さん
その期待に応えられるよう特訓中ですが…
船もらった時は底にいるんやし絶対とれる簡単やろと全然とれなくて…いや難しいですよ
シジミ漁は地道で根気のいる作業の繰り返し
気付けば夕焼け空が広がっていました
港へ帰ると今度は選別作業
家族総出でほかの貝類とシジミを手作業でえり分けていきます
子どもたちもせっせとお手伝い
寒いし休憩しようかちょっとおみそ汁作ってきたし
この時間が忙しい清作さんにとって家族と過ごせる掛けがえのない時間でもあるようです
あっこれおいしいわ
琵琶湖の豊かな恵みを広く知ってもらい漁業をさらに盛り上げるため清作さんは魚をとるだけではなくみずからがお客さんの前へ出てアピールすることも大切だと考えています
おはようございまーす
そんな取り組みの1つが大阪・吹田市で毎月2回開催される高島直産市への参加
清作さんは3年前に初めて訪れて以来どれだけ漁が忙しくてもその時季一番おいしいと思うものを持ち込み必ず自分で販売することに決めています
フフフハハッ
3年前には全く買ってもらえなかった琵琶湖の魚介
それが今ではこの人だかりです
あっいてはるわと思って
琵琶湖の魚介のおいしさがすっかり浸透したようです
「琵琶湖の魚やろ?」って言われる現実もあるけど「こういう魚でほんとにおいしいんです」って出したらこうやって並んででも買ってくれる人がいるそれはとってもありがたいことやし僕にとってはすごい自信になる
去年の師走兵庫県伊丹市に清作さんの姿がありました
今度「琵琶湖の魚を食べる会」をしてもらうんでその打ち合わせに琵琶湖の魚をほんとにおいしいっていうのを街の人にも知ってほしいなと思って
2年前から年に一度開いているという「琵琶湖の魚を食べる会」
お世話になっている料理人とのコラボレーションで琵琶湖の味覚を広く知ってもらおうという試みです
今回の会場は阪急・伊丹駅のすぐそばにある老舗イタリアン・アントン
早速オーナーシェフの中村さんとイベントをサポートする友人の中脇さんと打ち合わせ
中脇さんは関西各地の地域活性やまちづくりに携わっているその道のプロです
中村くんが僕個人的にはやっぱニゴイ・タテボシな…
琵琶湖から遠く離れた阪神間の町なかでこのイベントを開催するのは今回が初めて
知られていないからこそおいしいのに選別ではねられてしまうような需要の少ないものをたくさん紹介したいと清作さんは考えています
(中村)食べるきっかけになればいいのかな実は案外いけるやんって思ってくれたらそれが一番うれしいかなぁ
果たして新たな場所で琵琶湖の魚介ファンを獲得できるのでしょうか?
2016年1月上旬「琵琶湖の魚を食べる会」当日を迎えました
いつものように軽トラックで現れた琵琶湖の漁師・中村清作さん
イベント会場になっている伊丹のイタリアン・アントンへ鮮度抜群の魚介類を納品します
うわっ生きてる!
協力してくれる友人の中脇さんとオーナーシェフの中村さんもその生きのよさにびっくり
もうばっちりの状態で持ってこれたんでもう中村さんの腕間違いないと思ってるし来てくれはったら絶対喜んでもらえると思うやっぱいつも頑張ってる姿見てるんでやっぱりそれにちょっとでも協力できればいいなと思います
今回清作さんが持ち込んだのは瀬田シジミと一緒にとれる貝類やニゴイ・ナマズなど
いまだ知られざる琵琶湖の魚介にこだわりました
午後6時半開場時間と同時に続々とお客さんが来店
琵琶湖の味を食べてみたいと30名もの人が集まってくれました
皆さんお集まり頂きましてありがとうございます僕琵琶湖で漁師してます中村といいます今日はほんとにおいしい魚いろいろそろってると思います生きたまま魚運んできてますんで自信持ってますゆっくり食べていってもらえたらいいかなと思います
いよいよイベントがスタート
貝類はボイルしたむき身を使ってチャウダースープに
琵琶湖の魚の骨から取ったコクのあるだしがポイントです
イワトコナマズは香ばしくグリル
その骨から取っただしをベースにしたスープと共に頂きます
特に需要の少ないニゴイは調理法も知ってもらうため骨切りのパフォーマンスを披露
こうすることで骨が気にならずふわふわとした身の食感を楽しむことができるんです
こちらはシンプルに小麦粉をまぶして唐揚げに
知られざる琵琶湖の魚介たちが中村シェフの創意工夫によってすばらしい料理に生まれ変わりました
皆さんお味はいかがですか?
うん
初体験の琵琶湖の味に誰もが興味津々
さらに清作さんみずからが厨房に立ち何やら調理を始めました
みんな絶対食べたことないであろうフナの子まぶしをしたいなとフナの刺身は普通に食べるんですけどそん時に僕ら卵を1回ゆでたやつをまぶしてフナの子まぶしっていうちょっとあの変わったお刺身を…すごい手間はかかるんですけどおいしいんですよこれ
フナの子まぶしは滋賀・高島の郷土料理
へぇ〜すごーい!
初めて食べるその味にお客さんの反応は…
おぉ〜
皆さんの言葉に清作さんもこの笑顔
今回のイベント大成功のようですね
みんなの1つ1つの表情がすごいうれしかった最初やっぱ不安やったけど実際やってみたらこんなにたくさんの人が来てくれて琵琶湖の魚を食べて「うわおいしいやんこれ」そしたら僕らもやっぱやりがいが出てくるし戻って船に乗るのがやっぱりまた楽しくなるし
琵琶湖の漁業を未来につなぐためまた1歩前進した清作さん
2016/01/23(土) 11:00〜11:30
ABCテレビ1
LIFE〜夢のカタチ〜[字]/「若き漁師が琵琶湖の味の伝道師に!」語り佐々木蔵之介

人生はいろんな夢でできている…夢追う人の輝く瞬間を描きます。今回は「若き漁師が琵琶湖の味の伝道師に▽知られざる美味食材」です。

詳細情報
◇番組内容
琵琶湖で漁師をしている中村清作さんは、伝統の湖魚や貝類を全国に広めようと精力的に活動しています。淡水魚ならではの味覚を知らしめるため、漁の合間に産直地に出向いたり学校で講師をしたりしています。そんな中村さんが伊丹市にあるイタリアンの名店とのコラボが決定。新たな挑戦に向かう姿を追います。
◇ナレーション
佐々木蔵之介
◇おしらせ
この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
趣味/教育 – その他

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映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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