クリスマス。
きらびやかなイルミネーションに彩られた北の大都市札幌。
その一角に北海道中から人々が集まる玄関口がある。
今回の舞台高速バスターミナルだ。
行き交うバスは1日400便以上。
料金は列車の半額近くで人々の貴重な足になっている。
(取材者)広いですよね。
よいお年を。
みんなどんな事情を抱えこのターミナルを通り過ぎていくのか?クリスマスを挟んで3日間。
その声に耳を傾けた。
イブ前日の23日から撮影開始。
待合室に入ると…いたいた。
バスを待つ人たち。
ベンチに座って音楽を聴く男性がいた。
今このターミナルでちょっと取材させて頂いておりまして…。
帯広に?は〜。
電車じゃないんですね?安く行けるから。
ふだんは左官屋さんをしているけど冬の時期は仕事がないのでちょっと息抜きしてきたそう。
今度は大きな荷物の女性。
娘さんの所に?地元帯広を離れ声優を目指している娘さんに会ってきたらしい。
札幌観光も楽しんだみたいだけど…。
はいはいはいはい。
あっそうなんですか?好きなんですか?やっぱり。
そうですか?ふ〜ん。
(笑い声)広大な北海道をきめ細かく結ぶ21路線の高速バス。
一番遠い行き先知床半島までは400キロ。
その距離は東京名古屋間にも匹敵するらしい。
夕方になると若者たちの姿が目立ち始めた。
実家に帰省するという3人組。
何の仲間ですか?2人学生やってて1人…。
社会人。
仕事やってます。
そうなんですか?なんでもある?はい。
夜が楽しい。
札幌に出てきて1年。
都会暮らしを満喫…と思ったら。
学校も仕事も札幌が中心の北海道。
生まれ育った町に残りたいと思ってもかなわない事も多いという。
深夜になっても人は全く途切れない。
みんな夜行バスに乗り込むみたい。
NHKの者なんですが今こちらに取材させてもらってまして…。
北見まで?現地に着くのは翌朝4時半。
ハードだけど時間と経費の節約になるんだって。
待合室でお弁当を食べる男性がいた。
今日これから夜行バス乗られるんですか?はい乗ります。
あっ奥さんの所に。
あ〜。
慌ただしい年の瀬。
ついさっき仕事を終えたばかりだという。
初めてのお子さん?そうです。
あっそうなんですか。
おめでとうございます。
うれしそうですね。
何ていう?エイト?はい。
関ジャニ…えっ?関ジャニ∞。
(笑い声)以前は夫婦で函館に住んでいたけど生まれてくる子どものために思い切って転職。
単身赴任を始めたそう。
家族一緒に暮らせる日を夢みて一人札幌で頑張ってる。
2日目はクリスマスイブ。
早朝5時半。
各都市から札幌を目指してきた人々が降りる降車場へ。
早速網走方面からのバスが到着した。
NHKなんですけど今高速バスの取材をしていまして…。
あっお休みですか?あっ自衛隊ですか。
陸上自衛隊員だという男性。
ふだんは極寒の地で過酷な訓練に明け暮れているらしい。
えっ?入隊して30年。
独り身というのもあって長い休みの度に大きな街まで出てきたくなるそう。
すいません。
ありがとうございました。
札幌には4日間滞在予定。
行ってらっしゃい。
おしゃれで?なるほど。
誰のコンサートなんですか?ありがとうございました。
(歓声)夕方6時。
街のにぎわいを背に大きな荷物を運ぶ女性がいた。
あっそうなんですか。
北海道の東遠軽から戻ってきたばかり。
お母さんの面倒を見るためバスで頻繁に行き来する生活だそう。
半月?そうですよね。
札幌の家族との生活もある。
でも今はできるだけお母さんのそばにいてあげたいという。
壁にもたれうたた寝をする男性がいた。
函館方面から札幌を経由して600キロ。
まだ道半ばだけどちょっとお疲れの様子。
畜産関係の施設を回ってネズミなどを駆除する会社で働いている。
網走で1人暮らし。
仕事を求めるうち今の場所にたどりついたそう。
あっそうなんですか?ええ。
随分また南から北へ。
クリスマスイブの深夜。
さまざまな事情がターミナルを交錯する。
3日目は朝から大雪。
トランクを開ける2人組がいた。
こんにちは。
NHKなんですけど…。
北見まで?どういった目的で?なるほど。
2人とも同じ地元出身。
彼女が帰省した時に知り合い彼に何度も猛アタックされたんだって。
誠実に思いを伝えてくる彼の姿に次第に引かれていったという彼女。
いつかふるさとに戻って働けるよう札幌の福祉施設に勤めながら勉強を続けている。
会えるのは年に数回。
バスが出ると再び300キロの距離が2人を隔てる。
寂しくなった?夕方。
案内板を食い入るように見つめる男性がいた。
NHKなんですけど…。
あっご実家の方?あっ滝川行き。
そうですか。
あ〜そうなんですか。
病に倒れたのは46歳の時。
仕事中突然の出来事だったという。
かつてはCDジャケットなども手がけ売れっ子だったという彼。
カメラの腕前もかなりのものらしい。
へえ〜。
あっそうなんですか。
仕事も結婚を約束した女性も病気を境に失った。
でも最近リハビリを兼ねてカメラを再開したそう。
ここに?へえ〜。
長く社会から遠ざかるうち気が付くと以前は全く見向きもしなかったものに目を向けるようになったという。
それは人が減り続ける北海道の小さな町。
悲しいけれど美しい大切な何かがある。
ありがとうございます。
それでは。
よいお年を。
ありがとうございます。
2016/01/22(金) 22:55〜23:20
NHK総合1・神戸
ドキュメント72時間「札幌 聖夜のバスターミナル」[字]
北の大都市、札幌の高速バスターミナルが舞台。クリスマス、さまざまな事情を抱えた人々が長距離バスで道内に点在する町に向かう。3日間それぞれの旅の理由に耳を傾けた。
詳細情報
番組内容
クリスマスを迎えた大都市、札幌。その玄関口となっている高速バスターミナルが今回の舞台。北海道に点在する町と札幌を結ぶ長距離バス。料金が割安なこともあり早朝から深夜まで多くの人が利用する。彼女とイブを過ごすため5時間バスに揺られてきた若者。年老いた親の面倒をみるため数百キロ離れた実家に通う女性。夜行バスで出張する忙しいサラリーマンの姿もある。真冬のターミナルで3日間、それぞれの旅の事情に耳を傾けた。
出演者
【語り】仲里依紗
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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