今日のトピックスは先日、友人から質問された内容です。地デジで4K放送を見ることが出来るのか?ということ。友人はどうやら冬のボーナスで4Kテレビの購入を考えているらしく、自称”次世代放送研究家”の私に質問してきてれました。
友人が気にしているのは地デジで将来?始まる4K放送がそのまま見られるテレビが「4Kテレビ」で別途チューナーなどを買えば見ることが出来るテレビを「4K対応テレビ」と考えていたようです。
まぁ、友人からは研究家ではなくただの”マニア”のようですが、それはさておき本題に入ります。
地デジは4K放送は(当分)実現しない、2つの理由。
今後の次世代放送のロードマップ
本サイトで何度か出てきているロードマップからまずは説明します。この次世代ロードマップは昨年より総務省を中心に今後の次世代放送に対してどうやって取り組んでいくかを表しています。
注目して頂きたいのは一番下の「地上放送」と「地デジ化完了」というキーワード。この年表を見ると2020年まで何も変更や追加がないことが分かります。つまり、地上放送については2011年のデジタルで大きな取り組みは完了したということになります。
ただ、これだけだと、2020年以降に何か変更があるんじゃないの?って考える方がいらっしゃると思いますので実現しない大きな理由を2つ説明いたします。
理由1:地デジで4Kを実現するには放送システム変更が必要
地デジでは映像の圧縮方式にMPEG-2(別名:H.262)と呼ばれる方式を採用しています。このMPEG-2はDVDの圧縮方式にも利用されており、現在最も一般的な方法と言えるでしょう。ちなみにBSデジタル放送もこのMPEG-2を利用しています。
一方、最近始まった4K放送は主にHEVC(別名:H.265)という新しい圧縮方式を採用しています。この二つの圧縮方式の違いはHEVCを利用すると同じ画質の映像をより少ないデータ量で実現できることです。
どれぐらい少ない量になるかと言うと、HEVCを用いるとMPEG-2と比較して約1/4ほどのデータ量で同等の画質を実現することが可能となります。逆に言えば、HEVCという方法で実現している放送をMPEG-2で実施すると4倍になってしまうということです。
今の地デジで単純に4倍のデータ量を放送するには電波の帯域(幅)を4倍にする必要があります。しかし、今ですら電波の帯域に余裕がないため、4倍のデータ量を送るには圧縮形式の変更が必要となってしまいます。
放送にて使用している圧縮方式が変更するには地デジの放送システムから必要になってしまいます。一説にはアナログから地デジに変更となる際に全国の放送局で合わせて2兆円ほどの設備投資が必要だったとも言われています。
仮に総務省(国)側から地デジの4K放送対応化の話が上がったとしても、現在の放送局はどこも経営的に厳しいので対応は出来ないでしょう。理由1の結論は放送局側の理解が得られないです。
理由2:放送方式を変更すると、またすべてのテレビの買換えが必要
理由1にて書いた放送システムが変更になった場合、何が起こるかというと・・・ズバリまた全テレビの買換えが必要ということです。この間買ったばかりだから国がやるんだから国からお金を出してほしい等々・・・地デジ化の際はいろんな意見が上がりました。
地上放送は誰もが見ており、テレビの世帯普及率はほぼ100%であるため、変更すると影響が非常に大きいものになります。総務省の方に以前伺った際には最低でも30年は維持する前提で次の方式等を検討しているようです。
これを今回の地デジにあてはめると2041年までは地デジは現行のままとなります。まぁ、実際にはこの30年の信ぴょう性はともかくここ数年でまたすべてのテレビの買換えが必要となったら大ブーイングですよね。理由2の結論は国民の理解が得られないということです。
まとめ
2つの理由から地デジを4K対応するには放送システムの変更が必要となり、恐らく放送局からも、確実に国民からも理解が得らえない事態が起きるため当分は実現しないと思われます。